(IBR: infectious bovine rhinotracheitis)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
馬伝染性子宮炎 馬科動物の生殖器感染症. 馬伝染性子宮炎(届出伝染病) 馬:軽種馬、重種馬、ろばなどの馬科の動物が感染。 1977 年に英国で初めて発生が確認され、日本では 1980 年に北海 道で、有症状馬から原因菌が分離された。 感染部位は生殖器で、雌馬の陰核洞、雄馬の尿道洞、亀頭窩、 包皮の皺内に垢とともに長期間生残し、無症状保菌馬となり、
Advertisements

Copyright © 2005 GIDEON Informatics, Inc. All rights reserved The Premier Global Infectious Disease Knowledge Management System
微生物が体内に侵入する などして、引き起こす病気 病原体 感染症とは 細菌・ウイルス・寄生虫 など 9.感染症とその予 防 インフルエンザウィルス 「福岡県保健環境研究所H P」 タミフル「中村内科日記」よ り 素材集-感染症.
ブルータング (Bluetongue) 病原体: レオウイルス科に属する2本鎖RNAを持つウイルス。24の血清型の存在が確認されている。
伝染病学 各論 情報入手源 動物衛生研究所 疾病情報 農林水産省 動物検疫所 ウガンダ「家畜疾病対策計画」(JICA) 国際獣疫局(OIE)
節足動物(吸血昆虫)の介在しない 牛の感冒
動物感染症学 動物感染症学総論 2015/04/15.
牛流行熱 (Bovine ephemeral fever: Three Day Sickness)
コロナウイルスは、一本鎖(+)RNAで、エンベロープ表面に存在する突起によって太陽のコロナのような外観を持つ。
ブタのコロナウイルス病 伝染性胃腸炎( TGEV; Transmissible gastroenteritis virus)
食糧と国際関係 「世界史における牛疫の影響はローマ帝国衰退の引き金になった」ほど大きなものであった」ように、人々の生活基盤を揺るがす食糧危機は政権崩壊を招くだけでなく、世界支配をめぐる国際紛争をもたらす。1920年に牛疫が欧州全域に広がり、その制御における国際協力の必要性から、1924年のOIE設立を導く契機となった。
カエルのツボカビ 検査の受け方 (愛好家の方へ)
口 蹄 疫 侵入防止にご協力をお願いします ◇ 畜産農場へは必要がない限り立ち入らない ◇ 各施設で行われている消毒に協力すること
口蹄疫問題 塩見菜津希.
日本における牛のアルボウイルス病の主な発生
牧場の衛生管理 目的 ◆ 安定生産 ◆ 食品としての安全性確保 ◆ 労働衛生 ◆ 畜産公害の防止 ◆ 動物福祉
-新たな飼養衛生管理基準の遵守のお願い-
牛白血病の概要 牛白血病は一旦罹患すると治療方法がなく、母子間の垂直感染を起こすため、畜産農家に大きな被害をもたらすことから届出伝染病に指定されている。この問題の解決に際しては、「家畜防疫対策要綱」に記載されている指導項目を念頭に検討する必要がある。 牛白血病は食品の安全性とは全く関係しないが種々の風評がある。
牛丘疹性口炎 (Bovine papular stomatitis)
馬パラチフス 馬科動物の生殖器感染症.
狂牛病(BSE).
Legal Framework for Veterinary Service
家畜衛生学概論 目的 ◆ 安定生産 ◆ 食品としての安全性確保 ◆ 労働衛生 ◆ 畜産公害の防止 ◆ 動物福祉
狂犬病 忘れ去られている恐ろしい病気.
牛白血病(届出) 本病はリンパ系細胞が全身に悪性腫瘍性に増殖したもので、血流中に腫瘍細胞のみられる白血病の他、全身にリンパ肉腫を形成するものの総称である。 大きく地方病性牛白血病(enzootic bovine leukosis ; EBL)と散発性牛白血病(sporadic bovine leukosis.
牛の尿路コリネバクテリウムによる 血尿を主徴とする感染症
日脳 Do you know ? 媒介生物 病気のこと 今後の見通し 予防接種 健康増進課 結核感染症班.
リフトバレー熱 (RVF: Rift Valley fever) 人獣共通
豚水胞病 (swine vesicular disease )
馬ウイルス性動脈炎 (Equine viral arteritis)
ブルータング(bluetongue) 対象家畜: 牛、水牛、しか、めん羊、山羊
黄熱(yellow fever)の要点 WHO Fact sheet December 2009
エイズとその予防.
インフルエンザ:最近の話題 2014年12月01日.
Case17 6班 小池・越田・後藤 ・古谷野 3.
(BVD-MD: bovine viral diarrhea-mucosal disease)
インフルエンザ予防接種のご案内 10月 26日・30日・31日 11月 1日・2日・6日・7日・10日 16日・20日・21日・24日
小反芻獣疫 (PPR: peste des petits ruminants)
World Health Organization
Contagious Bovine Pleuropneumonia
日本糖尿病学会のアクションプラン2010(DREAMS)
ブロイラーの生産管理に用いられている基本的指数
農家等への「家畜衛生情報」の発信、広報誌「通信衛星」の発行
豚コレラ (classical swine fever, hog cholera) ワクチン接種中止に対する生産者の理解が重要!
フラビウイルス属ウイルスの世界的分布 (CDC)
Han Sang Yoo DVM, Ph.D. 国立ソウル大学獣医学部感染症研究室 Seoul , Korea
感染症集団発生事例に対する基本的対応 大山 卓昭 感染症情報センター 国立感染症研究所.
輸入感染症例(平成18年) フィリピンで感染し、日本に帰国後発症死亡
豚エンテロウイルス(テシオウイルス)性脳脊髄炎
(CCHF: Crimean-Congo haemorrhagic fever)
疫学概論 疾病の自然史と予後の測定 Lesson 6. 疾病の自然史と 予後の測定 S.Harano,MD,PhD,MPH.
韓国で口蹄疫が再発しました! みなさんの家畜は大丈夫ですか? 牛用 口蹄疫とは・・・
鳥インフルエンザ 2006.4.19.
新型感染症 2004.11.28.
鳥インフルエンザに関するリスク・コミュニケーション
porcine reproductive and respiratory syndrome
~ 獣医師の皆さん、抗菌剤の慎重使用等対策を進め、
The way towards global control of Trans-boundary Animal Diseases
侵略的外来種リストのカテゴリ区分案 (種特性に応じた全国スケールでの対応方針)
~ 生産者の皆さん、抗菌剤の慎重使用等対策を進め、
馬モルビリウイルス肺炎 (Equine morbillivirus pneumonia)
問13. デング熱 の地理的分布に関する最近の知見では、従来の生物地理区の説明とは違っているので、再確認する。
麻疹(はしか) の流行が広がっています! - 早急に予防接種が推奨される方 - - 特に麻疹が疑われる方 -
4) 上級編 ~新型インフルエンザに対する 公衆衛生対応について知る~
疫学概論 疫学研究の目的 Lesson 1. 疫学研究 §A. 疫学研究の目的 S.Harano,Md.PhD,MPH.
伝染病をどのようにして制するか? 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)を例に.
風しんの予防接種を御検討ください! 妊娠中、妊娠を希望・予定されている女性の方のためにも… 風しん(三日はしか)ってどんな病気?
議論の前提 ある人獣共通感染症は、野生動物が感染源となって直接又は媒介動物を通じて人に感染を起こす。
総合獣医学演習C 獣医伝染病学 第3回目.
白鳥飛来地に何が起こったか? (2008年1月) (2009年1月) 福島県内の白鳥飛来地 2008年4~5月 オオハクチョウの
Presentation transcript:

(IBR: infectious bovine rhinotracheitis) 牛伝染性鼻気管炎 (IBR: infectious bovine rhinotracheitis) 動衛研 日本獣医師会 病原体:  ヘルペスウイルス科のBovine herpes virus 1(DNAウイルス)。 発生原因: ウイルスを含む鼻汁、流涙、生殖器分泌物などから呼吸器・生殖器感染が起こる。回復後もウイルスは潜伏感染するため、抗体陽性牛は重要な感染源の一つとなる。 予防法: 生ワクチンの使用で予防できるが、野外ウイルスの感染を完全に防止することはできない。有効な治療法はない。 臨床症状: 感染牛は40℃以上の高熱と、呼吸困難、呼吸促迫、流涙、流涎、水様性鼻汁などの呼吸器症状を示す。乳牛では泌乳量が減少し、角結膜炎、流産など、新生子牛では、髄膜脳炎による神経症状など、多様な症状を呈する。 上: 結膜炎による眼瞼の浮腫と流涙 右: 多量の鼻汁と泡沫性流涎

2005 1-6 2005 7-12 2007 1-6 2007 7-12

IBRの主要国によるOIEへの発生報告の推移 2005   2006   2007 前  後  前  後  前  後 2005   2006   2007 前  後  前  後  前  後 Denmark Netherlands Germany France UK Russia Korea China Japan India Indonesia Australia New Zealand Iran South Africa Egypt Canada USA Mexico Argentina Brazil Chile Colombia Uruguay Venezuela Panama                                                       情報なし 過去にも報告なし この期間に報告なし 擬似症例はあるが未確定 感染はあるが臨床例なし 臨床例を確認 限定地域で感染確認            

IBR発生の年次推移と地域性 全国戸数 全国頭数 北海道戸数 北海道頭数 頭数 戸数 800 80 700 70 近年は減少している。 600 60 500 50 400 40 300 30 200 20 この間を通算すると、 頭数で56%、戸数で38%が北海道で発生! 100 10 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 IBR発生の年次推移と地域性

伊那家保 <感染経路> A農場:2002年12月中~下旬と、2003年4月下旬に導入牛あり、B農場:2003年2月に導入牛あり、D農場:2003年6月に預託帰りあり、これら3農場では直後に発生が見られ、牛による持ち込み。C農場( B農場と隣接):今回が初発であり、発生前、半年以上導入牛は無かったが、畜主が発生牛舎へ立入っていたことから、人による持ち込み。<発症要因> ワクチン接種の不備:A、B、C農場ともIBRワクチン未接種であり、D農場も預託牛以外には接種を行っていなかった。

IBRの全国の発生状況 家畜防疫対策要綱 特定家畜伝染病防疫指針 (1970年に初めて発生し、 現在では全国的に散発) 平成14年19県49戸686頭 平成15年20県61戸648頭 (発生頭数北海道が約41%) 平成16年15県51戸479頭 今回で岡本の担当は終了するが、最初の講義で述べたように、教科書が基本であり、不足する部分を補う形で紹介した。 家畜生産における伝染病に関する獣医師の役割は、 1. 行政の勤務獣医師(検疫、予防、防疫、指導等の業務、・・・) 2. 共済組合等の臨床獣医師(診断、治療、伝染病の届出、防除活動の協力、・・・) それらの基本的要綱は、 家畜防疫対策要綱 牛海綿状脳症、高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚コレラについては、 特定家畜伝染病防疫指針 家畜伝染病の発生状況(滋賀県) 網走家保 飛騨家保

established by FAO’s Director General in 1994 非常事態阻止システム(EMPRES)の四つの主要な役割 早期警戒: 主として疫学的広域調査に基づいた全ての病気に対する率先した取り組みであり、病気や感染症の分布に関する警戒と知識を深めることになり、発生の更なる進展を予測できる可能性がある。 初期対応:  迅速かつ効果的な封じ込めに的を絞り、病気の発生の排除に導き、その結果として、深刻な流行に発展するのを阻止するあらゆる活動を意味する。これには、不測の事態への計画と非常事態への準備が含まれる。 連携:  たとえば、牛疫などの特定された動物疾病の世界的な撲滅、すなわち、「牛疫撲滅世界計画(Global Rinderpest Eradication Programme)」を通した連携、あるいは、国境を越えて流行する疾病の撲滅のための地域における率先した取り組みの奨励を含む。 研究推進:  問題解決に向けた直接的な研究活動におけるFAOと中核的研究機関との間の協力を強化するためのEMPRESの主要な要素である。 Emergency Prevention System (EMPRES) for Transboundary Animal and Plant Pests and Diseases: established by FAO’s Director General in 1994

EMPRES INFORMATION RESOURCES Diseases... EMPRES INFORMATION RESOURCES African Swine Fever (ASF) Anthrax Bluetongue Brucellosis Classical Swine Fever (CSF) Contagious Bovine Pleuropneumonia (CBPP) Contagious Caprine Pleuropneumonia (CCPP) Foot and Mouth Disease (FMD) Haemorrhagic Septicaemia Highly Pathogenic Avian Influenza (VAI) (Fowl plague) Lumpy Skin Disease (LSD) Peste des Petits Ruminants (PPR) Porcine reproductive and respiratory syndrome (PRRS) Rift Valley fever (RVF) Rinderpest