小惑星を探れ! 村仲 渉 (木曽高校) 杉本 寛 (上宮高校) 佐藤 駿 (オイスカ高校) 鈴木 寿弥 (磐田南高校) 池内 苑子 (大宮高校) 吉川 優衣 (広島国泰寺高校) 斎藤 杏奈 (洗足学園高校) §1.はじめに ②太陽から小惑星までの距離 小惑星の軌道は円と仮定する。小惑星の軌道半径をaA、周期をTA、地球の軌道半径をaE、周期をTEとすると、時間tでの小惑星の移動距離dA、地球の移動距離dEは、 太陽系には8つの惑星、3つの準惑星、それらを回る衛星、彗星や小惑星などが存在している。私たちはその中でも、小惑星の分布、大きさについて研究した。この研究は銀河学校2008に参加し、「小惑星を探れ!」というテーマで行ったものである。 天球座標での移動量(θx, θy)から、直行座標での移動量(Lx, Ly)は、 §2.方法 2-1.観測 ・太陽から小惑星までの距離を求めるためには、小惑星が時間tに移動する量を調べる。詳しい求め方は解析参照。 ・大きさを求めるためには、小惑星までの距離が分かっていれば、明るさと反射率によって大きさを求めることができる。 ・観測内容 衝の方向(3領域)を時間を置いて2回撮影した。 日時:2008年2月28日 装置:東京大学木曾観測所105cmシュミット望遠鏡 使用フィルター:R-band 露出時間:300秒 撮影間隔:約1時間 ※衝の方向:太陽、地球、小惑星が一直線上に並ぶ方向 図3から 次にケプラーの法則から aE=1AU、TE=1年として整理すると、aAに関する2次方程式をつくることができる。 この2次方程式を用いてaAを求める。 ③大きさ 小惑星の反射率が分からないので、月の反射率と等しいと仮定して大きさを求めた。小惑星と太陽の距離、小惑星と地球の距離、月と太陽の距離、月と地球の距離をそれぞれ、 lSA、lEA、lSM、lEMとする。また、小惑星の大きさrAを、月の大きさrMをとすると、小惑星と月の明るさの比は sun earth asteroid 2-2.解析 ①移動量 小惑星は、恒星よりも非常に近くにあるので、恒星に対して動いて見える。時間を置いて撮影した2枚の画像を比較して、動いている天体を探し、天球座標での移動量(θx, θy)を測った。 ※座標系は黄道座標とする。(単位は度とする。) lSA,lEAは②から求まる。FAはマカリによって測った。lSM,lEM,FM,rMは理科年表を参考にした。 ④軌道傾斜角 i 図3より から軌道傾斜角 i が求まる。
§3,結果 §4,考察 §5,謝辞 図1 図3 図2 図1: 直交座標系での地球と小惑星の軌道と 移動距離(赤線が地球、青線が小惑星) 移動距離(赤線が地球、青線が小惑星) i は軌道傾斜角(度) 図2: 図1をZ軸方向から見た図 図3: 図1を原点からy軸方向へ見た図 Lは小惑星の見た目の移動距離 x L 図1 図3 §3,結果 67個の小惑星を発見。 小惑星は2AU~3AUの間に多く、火星寄りが多い。木星付近にも一つ見つかった。 小惑星の半径のグラフは山なりになっていて、1.00km~3.16kmでピークになっ ている。最大で27.3km、最小で0.06km であった。 軌道傾斜角が大きくなるにつれて、 個数は少なくなる。軌道傾斜角の 最大は15度だった。 軌道半径が大きくなるにつれて、 小惑星の半径は大きくなる。 軌道半径と軌道傾斜角の間には 明らかな関係は見られない。 図2 グラフ1 §4,考察 グラフ1から小惑星は火星と木星の間に多く分布し、木星寄りが少ないのは、火星に比べ木星の方が引力が強いため、木星寄りのものは引力に引かれ衝突したり、飛ばされたりするためだと考えられる。 木星軌道付近に小惑星が一つあるが、これは木星とほぼ同じ軌道で、木星から充分な距離を保っているため、近づかず、木星の引力の影響を受けにくいと考えられる グラフ2で小惑星の半径が小さくなるにつれて数が増えていったが、1.00~3.16kmをピークに数が減っている。半径の小さいものは、暗くて見つけられなかった可能性がある。 グラフ4を見ると、軌道半径が大きいところでは、半径が小さいものは見つかっていない。 ・グラフ3から小惑星の軌道面は黄道面のあたりに多いと推測できる。ただし、軌道傾斜角が大きいものは、黄道面から遠ざかったところにあることがあるため、観測できた個数が少なかった可能性がある。 グラフ2 グラフ3 0 2.5 5 7.5 10 12.5 15 17.5 0.1 0.316 1 3.16 10 31.6 100 グラフ5 グラフ4 §5,謝辞 今回のジュニアセッションに参加するにあたり、多くの助言をして下さった東京大学木曽観測所の猿楽祐樹さんをはじめ、TAの藤原英明さん、青木すみれさん、そして銀河学校のスタッフの皆さんにこの場を借りて深くお礼申し上げます。また、本発表にはNPOサイエンスステーションの協力をいただきました。