永井晴康、都築克紀(原研)、植田洋匡(京大防災研)

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永井晴康、都築克紀(原研)、植田洋匡(京大防災研) 大気-陸面-水文結合モデルの開発と サウジアラビア砂漠地域を対象とした試験計算 永井晴康、都築克紀(原研)、植田洋匡(京大防災研) 文部科学省RR2002「人・自然・地球共生プロジェクト」 課題5:「広域水循環予測及び対策技術の高度化」 目的 ・ 領域水循環統合モデルの開発 ・ 海洋性砂漠の水文・水循環とその変動の解明と予測 大気モデル モデル カップラー 海洋モデル 海洋 波浪モデル 大気‐土壌 ‐植生モデル 水文モデル MM5 SOLVEG WW3 POM RIVERS 研究領域 (サウジアラビア 南西部山岳地帯) 水循環統合モデル

Atmospheric variables 大気、陸面、水文モデルの結合 大気モデル:MM5 ペンシルバニア州立大とNCAR開発の非静力大気力学モデル 陸面モデル:SOLVEG(原研開発) 鉛直1次元モデル(接地層大気、表層土壌、植生) 大気と陸面間の熱、水、CO2交換を詳細計算 水文モデル:RIVERS(原研開発) 分布型水流出モデル(水平グリッド×土壌鉛直層+河川) 各セル内の水収支から陸水の3次元移動計算 結合による改善 水流出計算への詳細な大気-陸面水交換データ提供 大気-陸面間の熱・水交換における陸水の水平移動の考慮 ⇒ 陸面における水循環の再現 外部入力: 降水強度 霧水 降水 水蒸気 土壌水蒸気 土壌水 葉面水 水平移動 河道 土地利用 表層土壌・地質 標高 降水量・気温 分布型情報 降水量・蒸発散量 被覆物 地表面 土壌 水文モデル MM5 Atmospheric variables (u, v, T, q) SOLVEG Surface conditions (Ts, albedo, fluxes) MPI Upper B. C. Surface B. C.

Land-use map of calculation domains 試験計算 計算条件  サウジアラビア南西部海岸砂漠地域を対象とした2領域2way-nesting計算  期間:2003年9月15日00UTC~22日00UTC MM5  広域:100x100、45km格子  狭域:100x130、15km格子 鉛直23層  物理過程:積雲Grell、雲Reisner2、放射Cloud、境界層MRF、陸面Noah‐LSM  時間ステップ:90s(広域)、30s(狭域) SOLVEG  水平格子:MM5狭域  鉛直格子:大気10層、土壌6層、植生5層  時間ステップ:5s RIVERS  水平格子: MM5狭域  鉛直格子:表層+土壌4層+河川 入力データ  NCEP/NCAR Reanalysis  2.5x2.5deg.、17 pressure levels  6h interval (00, 06, 12, 18 UTC) Land-use map of calculation domains Domain1 Domain2

◆:観測値、―:MM5のみ、―:結合モデル 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 観測との比較(時間変化) 地上気温比較 ④ Jeddah ⑤ Makkah ⑥ Taif ◆:観測値、―:MM5のみ、―:結合モデル

まとめ 結合モデル開発 サウジアラビア砂漠地域を対象とした試験計算 大気+陸面+水文のカップリングモデルを開発  大気+陸面+水文のカップリングモデルを開発  モデル間のデータ交換が正常に行われることを確認   ⇒ 陸面における水循環を再現可能 サウジアラビア砂漠地域を対象とした試験計算  サウジアラビア南西部海岸砂漠地域を対象とした試験計算  観測値との比較ではオリジナルのMM5の方が良い結果  (結合モデルの地上気温が夜間低い) ⇒ 結合モデルの改良及びチューニングが必要   (パラメータ、運動量交換、安定時乱流量)  水文モデル結合については明確な効果は見られない ⇒ さらに狭域をネスティングした計算で試験