はじめて学ぶ建物と火災 第1章 建物火災に対する安全 第2章 火災は意外と多い ー 火災の実態 第3章 ものが燃える ー 火災の現象

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講義の予定 はじめて学ぶ建物と火災 第1章 建物火災に対する安全 第2章 火災は意外と多い ー 火災の実態
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第2章 機械の強度と材料 機械の必要条件 ★壊れない ★安全である ★正しく機能する そのためには・・・ ★適切な材料を使う
4-1 鉄骨造建物の耐震安全性 4-2 鉄骨造建物の被害例 4-3 鉄骨造建物の耐震診断と補強 4-4 鉄骨造大空間構造の耐震設計
現場における 熱貫流率簡易測定法の開発  五十嵐 幹郎   木村 芳也 
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問14(第1回):鉄筋コンクリートに関する次の記述のうち、正しいものの数を数字で答えよ. a
RCはりをU字型補強した連続繊維シートによる
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はじめて学ぶ建物と火災 第1章 建物火災に対する安全 第2章 火災は意外と多い ー 火災の実態 第3章 ものが燃える ー 火災の現象 第1章 建物火災に対する安全 第2章 火災は意外と多い ー 火災の実態 第3章 ものが燃える ー 火災の現象 第4章 火災の被害を小さくするために 第5章 火・煙から人をまもる ー 避難安全 第6章 火災の拡大を防ぐ ー 延焼防止 第7章 火災に耐える建物をつくる

第6章 火災の拡大を防ぐ -建物内での延焼防止- 第6章 火災の拡大を防ぐ -建物内での延焼防止- 6-1 火災が延焼拡大する危険 6-2 火災はどのように延焼拡大するか 6-3 延焼拡大を防ぐには 6-4 具体的な延焼拡大防止対策

6-1 火災が延焼拡大する危険 ・室内火災: 室内の家具,衣料や寝具などの可燃物に 着火 → 拡大 → フラッシュオーバー ・建物火災: 6-1 火災が延焼拡大する危険 ・室内火災:  室内の家具,衣料や寝具などの可燃物に 着火 → 拡大 → フラッシュオーバー ・建物火災:  室内全体に拡大した火災が壁,床,扉等  を越えて隣接室や上階に延焼 ・人命の危険:  避難通路や階段に煙や熱気が流入する  と避難不可能 → 消防隊の救助を待つ

・建物自体の損害:  内装材の焼失や煙汚損,構造体の変形  などで,火災後の修復は長期化する ・建物の機能停止:  公共施設なら公的サービス,生産ライン  工場なら生産活動が不可能に ・建物の修復期間:  焼失面積が大きいほど損傷が激しく修復 や機能回復まで長くかかる

6-2 火災はどのように延焼拡大するか ・木造住宅: 火災発生後短時間で,壁や上階の床が 燃え抜け,隣接室や上階に延焼 6-2 火災はどのように延焼拡大するか ・木造住宅:  火災発生後短時間で,壁や上階の床が  燃え抜け,隣接室や上階に延焼 ・RC造(鉄筋コンクリート造)の床:  材料は燃えることはないが,床厚が薄い  と熱が伝導し上階の可燃物に着火 ・S造(鉄骨造)の壁パネルや床パネル:  軽量鉄骨下地が熱変形して,パネルに  隙間が生じ,火炎や煙が噴出

鉄骨造の壁・床パネルからの延焼 隙間 隙間 隙間

6-2-2 扉等などを通して延焼拡大する ・鋼製扉の変形: 扉が熱膨張で変形して,枠との間に隙間 が生じ,火炎が噴出 ・鋼製扉の放射熱: 6-2-2 扉等などを通して延焼拡大する ・鋼製扉の変形:  扉が熱膨張で変形して,枠との間に隙間  が生じ,火炎が噴出 ・鋼製扉の放射熱:  火災室が高温になると鋼板は赤熱し,  反対側の放射熱や熱気流で着火する ・防火扉やシャッターの閉鎖障害:  防火扉や防火シャッターが故障や不適切  な使用で閉鎖しなかった(直下の物品等)

扉の熱気流や放射熱からの延焼

感知器連動閉鎖式シャッターが 閉鎖しなかった例 感知器連動閉鎖式シャッターが          閉鎖しなかった例

6-2-3 配管・ダクト等の貫通部から延焼 ・区画貫通部: 防火区画を構成する壁や床を配管, ダクト,電線などが貫通する部分  防火区画を構成する壁や床を配管,  ダクト,電線などが貫通する部分 ・壁や床を貫通する可燃物:  塩化ビニル製の配管やダクト,  電線の被覆材や絶縁材(ポリエチレン製) ・貫通孔との隙間:  可燃材を耐火充填材で被覆し,隙間は  モルタル等で充填して延焼を防ぐ

外壁と床の隙間からの延焼の例

床の配管貫通部から延焼した例

6-2-4 竪穴を介して延焼拡大する ・竪穴: 階段室,エレベーターシャフト,吹抜け, パイプスペース,ダクトスペース等 ・煙突効果: 6-2-4 竪穴を介して延焼拡大する ・竪穴:  階段室,エレベーターシャフト,吹抜け,  パイプスペース,ダクトスペース等 ・煙突効果:  下階の火災の煙や熱気が竪穴に流入する  と浮力のため激しい上昇気流になる ・竪穴上部階への延焼:  竪穴で大きな圧力分布が生じ,上部階には  強い正圧が作用して煙が上階へ噴出

6-2-4 竪穴を介して延焼拡大する ・竪穴内温度と開口面積: わずかな開口でも竪穴内温度が上昇 すれば多量の煙が噴出, 6-2-4 竪穴を介して延焼拡大する ・竪穴内温度と開口面積:  わずかな開口でも竪穴内温度が上昇  すれば多量の煙が噴出,  下部の開口が大きいと速度が更に増す ・空調ダクトによる延焼:  ダクトスペースに煙が流入し,上部階  の空調機から煙が噴出(千日ビル火災)

火災室内の圧力分布 上部には強い 正圧が作用し 煙が噴出

竪穴における煙突効果 煙突効果: 下階から,火災の煙や熱気が竪穴に流入する       ↓  浮力のため激しい   上昇気流になる

エレベータシャフトによる漏煙

竪穴内温度とガス流出温度

千日ビル火災の概要 1972年5月 22時頃 3階の電気工事で 起こった火災の煙と有毒ガスが,階段, 1972年5月 22時頃 3階の電気工事で 起こった火災の煙と有毒ガスが,階段, エスカレータ,エレベータシャフト等を経て,約10分で7階まで上昇,118人が死亡

千日ビル火災 出火階 エスカレータ 工事の火災 階段 エレベータシャフト

千日ビル火災 7階での被害者

竪穴内の 煙の流出

6-2-5 建物外部から延焼する ・板ガラス: 耐火性は乏しく,200℃近くになると破損 ← 防火ガラスは網入りとする 6-2-5 建物外部から延焼する ・板ガラス:  耐火性は乏しく,200℃近くになると破損 ← 防火ガラスは網入りとする ・開口部からの上階延焼:  板ガラスが破損し火炎が外部へ噴出して,  放射熱などで上階に延焼 ・スパンドレル:  上下階の窓と窓の間の壁,または,それに  使われるアルミやステンレスの金属板

開口部からの噴出火炎

開口部からの噴出火炎

ベランダと階段室の延焼例

6-3 延焼拡大を防ぐには 6-3-1建物に応じた対策が必要 6-3 延焼拡大を防ぐには 6-3-1建物に応じた対策が必要 ・防火壁の設置:  床面積1000㎡以上の木造建築物は防火壁  で区画(屋根や外壁から50cm以上突出) ・隔壁の設置:  木造の長屋や共同住宅の界などは小屋裏  や天井裏に達する隔壁を設置

木造建物の防火壁

・耐火構造物:  主要構造を耐火構造とした建物で,延焼  範囲(1階:3m,2階:5m)には防火ガラス ・耐火構造:  RC造やレンガ造など,柱・梁・床・耐力壁  の構造部材が耐火性能を持つ ・耐火性能:  通常の火災の終了まで構造耐力上支障が  ある変形・溶融・破壊等はしない ・準耐火構造物:  主要構造が準耐火構造の建物+防火ガラス

隣接建物による延焼範囲 防火ガラスは網入り板ガラスが一般的

6-3-2 一定の床面積で区画 ・面積区画: 耐火構造物:床面積1500㎡以内ごとを区画 準耐火構造物: 500㎡~ 1500㎡ごとを区画 6-3-2 一定の床面積で区画 ・面積区画:  耐火構造物:床面積1500㎡以内ごとを区画  準耐火構造物: 500㎡~ 1500㎡ごとを区画 ・部屋の用途による防火区画: 火気を使用する部屋,貴重品を収蔵する部屋 ・高層区画:  はしご車が届かない11階以上の階が対象   内装と下地が不燃材料:500㎡以内ごと       準不燃材料:200㎡以内ごとを区画

6-3-2 鉛直方向などの延焼を防止 ・竪穴区画: 竪穴(階段室,吹抜け,パイプスペース, ダクトスペース等)を他の部分と区画 ・層間区画: 6-3-2 鉛直方向などの延焼を防止 ・竪穴区画:  竪穴(階段室,吹抜け,パイプスペース,  ダクトスペース等)を他の部分と区画 ・層間区画:  出火階から上階への延焼を防止するため  の区画 → 床と外壁を耐火構造化 ・異種用途区画:  不特定多数の人が利用する建物は,  建物の用途ごとに区画

建物の防火区画の例

建物の防火区画の例

建物の防火区画の例

防火防煙シャッターによる区画 感知器連動 閉鎖式 防火 防煙シャッター

特定防火設備による区画 感知器連動 閉鎖式防火扉

遮煙性能のある扉による区画 防火エレベータ扉

エレベーターホールによる区画 感知器連動 閉鎖式防火扉

エスカレーターの竪穴区画

層間区画のスパンドレル

6-3-3 建物の延焼拡大防止設計法 ① 防火区画の計画: 建物の用途や使用状況等から,どの位置 で延焼を防止するかを決定  で延焼を防止するかを決定 ② 区画部材の構造を計画:  床と壁,扉とシャッター,貫通する配管類  やケーブルの部分 ③区画部材の標準火災加熱時間の算定:   防火区画内の火災の継続時間から算定

6-3-3 建物の延焼拡大防止設計法 ④ 区画部材の保有耐火時間の算定: 数値計算や耐火試験から ⑤ 区画部材の保有耐火時間が,   数値計算や耐火試験から ⑤ 区画部材の保有耐火時間が,   等価火災継続時間以上であることを確認 ⑥ 建物の外部からの火災により建物が   延焼しないことを確認

延焼拡大防止設計法

吹き抜け内での出火

吹抜け隣接室内での出火

防火区画の要求性能

6-4-2 床や壁に要求される性能 ・非損傷性: 鉛直荷重を支持する床や耐力壁は,火災時 も変形,溶融,破壊せず荷重を支持する ・遮熱性: 6-4-2 床や壁に要求される性能 ・非損傷性:  鉛直荷重を支持する床や耐力壁は,火災時  も変形,溶融,破壊せず荷重を支持する ・遮熱性:  火災室と反対側の表面に接触している  可燃物の着火を防止する → 最高160℃ ・遮炎性:  火炎が外部に噴出しないように,外壁を  貫通する亀裂などを生じさせない

6-4-3 床や壁の遮熱性の評価方法 ・耐火試験:床や壁を試験体として試験炉 に用いて,非損傷性,遮熱性や遮炎性を評価 ・標準加熱温度曲線:フラッシュオーバー後を 模擬,30分842℃,60分945℃,180分1110℃ ・非損傷性の評価: 試験体の主要な各部が長期許容応力度を 作用させてもひび割れしない ・遮熱性の評価: 試験体の裏側温度が可燃物燃焼温度以下

標準加熱温度曲線

防火床と防火壁

防火壁の実験

6-4-3 開口部材の種類 ・防火扉: 鋼板製が多いが,鋼板枠かアルミ合金枠に 網入りガラスか耐熱ガラスでもOK ・防火シャッター: 6-4-3 開口部材の種類 ・防火扉:  鋼板製が多いが,鋼板枠かアルミ合金枠に  網入りガラスか耐熱ガラスでもOK ・防火シャッター:  鋼板製が多いが,セラミックを用いた  クロスシャッターが出現 ・水膜式延焼防止装置:  避難経路に高圧で水を放出して水膜を形成  して延焼を防止する

耐熱ガラスを用いた防火扉

防火シャッターのスラット形状

水膜式延焼防止装置

円筒状の防火区画

トンネル状の防火区画

6-4-3 開口部材に要求される性能 ・ 開口部の遮炎性: 火災時に開口部材が高熱により変形 して,枠との隙間に火炎が噴出を防ぐ 6-4-3 開口部材に要求される性能 ・ 開口部の遮炎性:  火災時に開口部材が高熱により変形  して,枠との隙間に火炎が噴出を防ぐ ・遮炎性の耐火試験:  壁と同じ耐火試験で,反対側に10秒 以上の火炎噴出がないかを確認

鋼製シャッターの放熱量

防火スクリーンシャッター

6-4-7 区画貫通部の種類と性能 ・区画貫通部の可燃材: 塩化ビニル製の配管やダクト,電線の被覆材 や絶縁材 ・貫通孔との隙間: 6-4-7 区画貫通部の種類と性能 ・区画貫通部の可燃材: 塩化ビニル製の配管やダクト,電線の被覆材 や絶縁材 ・貫通孔との隙間:  可燃材を耐火充填材で被覆し,  隙間はモルタル等で充填して延焼を防ぐ ・防火ダンパー:  冷暖房設備や換気用のダクト(風洞)の  貫通孔付近に設置,高温で閉鎖

床を配管が貫通する例

ケーブルが床を貫通する例

配管の防火区画貫通部の例

ケーブルの区画貫通部の例

防火ダンパーの例

建物の火災拡大防止対策

建物の火災拡大防止対策

第7章 火災に耐える建物をつくる -火災時の構造性能- 第7章 火災に耐える建物をつくる     -火災時の構造性能- 7-1 火災に耐えるということ 7-2 鉄筋コンクリート造の耐火性 7-3 鉄骨を断熱材料で被覆する 7-4 燃えにくい木造とするために 7-5 載荷加熱試験で確かめる

建物の火災対策の目的 建物から安全に避難する → 防煙区画 ② 消防活動の遂行:消防拠点を確保する ③ 財産の保全: ① 人命の確保:   建物から安全に避難する → 防煙区画 ② 消防活動の遂行:消防拠点を確保する ③ 財産の保全:   建物が再利用でき,損失を最小限に   抑える →建物を耐火構造とする ④ 周辺への加害防止:   隣接建物への延焼を防止する

7-1 火災に耐えるということ 建物火災の進展 ② 防火区画で延焼防止 → NG ③ 消防隊の活動 → 近隣に延焼防止 7-1 火災に耐えるということ   建物火災の進展  ① 初期消火 → NG  ② 防火区画で延焼防止 → NG  ③ 消防隊の活動 → 近隣に延焼防止        → 建物は全焼,全壊?        → 耐火構造は全壊しない 

RC造建物の地震火災の被害 大きく変形しても 倒壊はしない

被覆なしの鉄骨造建物の火災被害 21階から 27階が崩壊

建物の耐火構造化 ・耐火構造物: 主要構造を耐火構造とした建物で,延焼範囲 (1階:3m,2階:5m以内)は防火ガラス ・耐火構造の種類:  柱・梁・床・耐力壁の構造部材と屋根・階段 ・耐火性能:  通常の火災の終了まで構造耐力上支障が  ある変形・溶融・破壊等はしない

標準加熱温度曲線

構造部材の主要な材料 ・鉄筋コンクリート構造: 鉄筋が高温にならないようにかぶり厚さを確保 ・鉄骨造:  鉄筋が高温にならないようにかぶり厚さを確保 ・鉄骨造:  耐火被覆を施して,鉄骨が直接外気に曝され,  耐力(強度)や剛性が低下するのを防ぐ ・木質構造:  通常の断面は燃えるが,大断面の部材は  表面から徐々に炭化するので耐火性を持つ

RC造とS造の柱と梁 かぶり厚さ 耐火被覆

かぶり厚さや被覆厚さと耐火時間

耐火建築物(建築基準法) ・耐火建築物の種類: 3階建以上の劇場,映画館,病院, ホテル,共同住宅,学校,百貨店など  3階建以上の劇場,映画館,病院,  ホテル,共同住宅,学校,百貨店など ・要求される耐火時間 :  最上階から数えて1~4階:1時間,  5~14階:2時間,15階~:3時間

耐火構造に要求される耐火時間 1時間 2時間 3時間

耐火構造物の要求耐火時間

7.2 鉄筋コンクリート造の耐火性 ・線膨張係数(熱膨張係数): 1℃の温度上昇での伸びの歪み度 → コンクリートと鋼は共に10μ/℃ 7.2 鉄筋コンクリート造の耐火性 ・線膨張係数(熱膨張係数):  1℃の温度上昇での伸びの歪み度   → コンクリートと鋼は共に10μ/℃ ・コンクリートの高温時の線膨張歪み:  600℃で0.5%~1.6%,珪岩(変成岩)が最大,  石灰岩は小さい ・高温時の強度:  550℃で圧縮強度と弾性係数は1/2に低下

RC造建物の火災の被害

コンクリートの熱膨張ひずみ

コンクリートの応力-ひずみ関係

コンクリートの圧縮強度の低下

コンクリートの熱膨張 ・コンクリートの熱伝導率: 鋼の約1/40,壁厚10cmで2時間の延焼防止,  加熱すると減少,高強度コンクリートは大きい ・出火時の梁に作用する曲げ応力度:  火災室の上の梁が加熱され膨張し,上下の  柱が変形を拘束して,大きな曲げ応力が発生 ・完全拘束時の応力度:  200℃で歪みは0.2%になるので,最大強度  と同等な圧縮応力度が作用

コンクリートの熱伝導率

コンクリートの高熱時の変形 加熱 梁が伸びる 出火

火災階の柱に作用する熱応力

火災階の梁に作用する熱応力

コンクリートの爆裂 ・爆裂の原因: 水蒸気説(コンクリート中の自由水が蒸発) 熱応力説(線膨張歪みが一気に解放)  水蒸気説(コンクリート中の自由水が蒸発)  熱応力説(線膨張歪みが一気に解放) ・高強度コンクリートと爆裂:  設計基準強度が36MPa以上,60MPa以上  は爆裂の検討が必要 ・かぶり厚さと鉄筋温度:  幅400mmでかぶり40mm柱の鉄筋,  1時間:200℃,3時間:600℃

高強度コンクリートの柱の爆裂

コンクリートの火害診断 ・火災室内の火災後の状況: コンクリート表面に亀の甲状ひび割れ, かぶり部分の爆裂と剥離 ・目視による火害診断:  コンクリート表面に亀の甲状ひび割れ,  かぶり部分の爆裂と剥離 ・目視による火害診断:  コンクリートの色,ひび割れ幅と長さ,  梁や床のたわみなど ・コンクリートの色と補修方法:  黒いすす → 表面の洗浄  ピンク色に変色 → はつり取り打ち直す

RC構造物の火害等級と補修方法

火害を受けたRC部材の補修方法

7.3 鉄骨を断熱材料で被覆する ・鋼材の高温時の引張試験: 200℃まではほぼ同じ,400℃で急激に強度 7.3 鉄骨を断熱材料で被覆する ・鋼材の高温時の引張試験:  200℃まではほぼ同じ,400℃で急激に強度  低下,600℃で1/3の強度になり塑性化 ・高力ボルトの高温耐力低減:  鋼材よりも低い温度で強度が低下する  400℃で約1/2,600℃で1/6 ・鋼材の座屈耐力の低下:  ヤング係数が高温で低下するので,火災時  に座屈耐力も低下→局部座屈も生じ易い

鉄骨造建物の火災実験(1) 鉄骨梁のたわみ

鉄骨造建物の火災実験(2) 梁の下フランジの座屈

高温時の鋼材の応力度-歪み関係

高温時の鋼材 のクリープ歪み

高力ボルトの高温時の強度低下

鉄骨造の柱の圧縮曲げ座屈

高温時の柱の座屈荷重

鉄骨造の梁の局部座屈

鉄骨造の梁の全塑性化

火災時の鉄骨梁の崩壊型

鉄骨部材の耐火被覆材(1) ・耐火被覆の目的: 室内温度が1000℃でも,鉄骨の表面温度 を使用限界温度の 600℃ 以下とする  室内温度が1000℃でも,鉄骨の表面温度  を使用限界温度の 600℃ 以下とする ・吹付け工法:  ロックウールにセメントを混ぜる,安価なので  80%以上で使用,原料は高炉スラグ ・成形板張り工法:  繊維混入珪酸カルシウム板,珪酸質原料に  石灰粉末を混ぜ高圧蒸気で反応

耐火被覆した鋼材の温度

鉄骨部材の耐火被覆材(2) ・巻き付け工法: 高耐熱ロックウールを巻き付けピンで留める ・塗装工法:  高耐熱ロックウールを巻き付けピンで留める ・塗装工法:  火災加熱で250℃くらいになると数十倍に  発泡・膨張し,灰化層が断熱性を持つ ・鉄骨造建物の火害診断:  鉄骨部材の塑性(残留)変形を外観で調査,  高力ボルトにも注意

主な鉄骨部材の耐火被覆

鉄骨部材の耐火被覆の例(1)

鉄骨部材の耐火被覆の例(2)

鉄骨部材の耐火被覆の例(3)

耐火塗料の発泡メカニズム

Concrete Filled Steel Tube 鉄骨部材の耐火被覆の例(4) Concrete Filled Steel Tube

耐火鋼と無耐火被覆CFT柱

鉄骨造の火害診断

7.4 燃えにくい木造とするために ・木造建物の防火部分:外壁と軒裏 防火性能を持たせる → 30分間の加熱試験 7.4 燃えにくい木造とするために ・木造建物の防火部分:外壁と軒裏  防火性能を持たせる → 30分間の加熱試験 ・大断面集成材の燃えしろ設計: 1987年から  25mmの燃えしろを見込んで部材を設計する ・加熱により軟化しない接着剤:  フェノール樹脂やレゾルシノール樹脂 ただし,フェノール樹脂は接着力が弱く, レゾルシノール樹脂はホルムアルデヒドを含む

大規模木造建物の防火壁

木造住宅の実大火災実験

各部屋の温度の推移 1階 2階 防火性能のある壁や天井で延焼が遅れる

大断面集成材の炭化速度

木材の加熱温度と破壊荷重

木造3階建住宅の防火規定

木造3階建住宅の準耐火構造

準耐火構造の木造外壁の例

準防火構造の非耐力壁の例

準耐火構造の木造外壁と屋根

7.4 燃えにくい木造とするために ・防火性能: 通常火災の加熱30分間で,反対面が 平均140℃,最高180℃以下 ・木材の加熱試験: 7.4 燃えにくい木造とするために ・防火性能:  通常火災の加熱30分間で,反対面が  平均140℃,最高180℃以下 ・木材の加熱試験:  150℃で表面が褐色になり,200℃で可燃性  ガスが発生,260℃で引火して出火する ・防火地域と準防火地域:  市街地における火災の拡大と延焼防止の  ため市町村の都市計画により定める

柱の背割りと炭化深さ 背割り部分が 炭化が深くなる

木造構造物の燃え代設計

高層木造 の例