1.日本の放送産業の基本的構造 2.日本の放送産業と法制度 3.技術革新と放送産業

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 表現の自由と責任 1. 「表現の自由」とは 2. マス・メディアにおける「表現の自由」 3. 情報収集過程における自由と規制 4. 情報の加工・発表過程における自由と規制.
Advertisements

テレビ放送の歴史 国産テレビの誕生、放送番組の歴史 (1) 1. テレビの発明 2. テレビで何が放送されたか 3. テレビ放送開始 1.
島根大学法文学部 野田哲夫 (情報経済論担当)
1.白黒テレビからカラーテレビへ 2.ENGの登場 3.衛星放送のスタート 4.地上デジタル放送へ 5.難視聴地域(離島)でのテレビ視聴
第14回 日本の放送制度 担当:野原仁(地域科学部)
インターネットの進化と可能性 地上波デジタル放送と ユニバーサル・サービス
授業展開#3 アナログとデジタル.
国及び地方公共団体が分担すべき役割の明確化 機関委任事務制度の廃止及びそれに伴う事務区分の再構成
情報機器のディジタル化 いろいろな情報機器がアナログからディジタルに変わってきている。 教科書13~17ページ.
放送産業の特徴(1) 日本の放送産業の構造的特徴
放送(1) 放送産業の歴史的変遷と特質 1.ラジオの時代 2.テレビ放送の開始 参考文献.
分担 6-2-1 デジタル放送の歴史と意義  担当    福田 智 6-2-2 インターネットによる配信  担当    儘田 遼.
メディア論 第13回 テレビと政治 ( ) 担当:野原仁.
衆議院総務委員会及び参議院総務委員会附帯決議
参考資料2 地方独立行政法人法(抜粋) (定款) 第八条 地方独立行政法人の定款には、次に掲げる事項を規定しなければならない。 一~四 (略) 五 特定地方独立行政法人又は特定地方独立行政法人以外の地方独立行政法人の別 六~十一(略) 2 (略) 3 第一項第五号に掲げる事項についての定款の変更は、特定地方独立行政法人を特.
媒體日文(一) 進修部・夜間部 09月18日(水・三) 担当 神作晋一.
情報通信産業論A - 日本の情報通信産業4 – 放送市場
筑波大学衛星と教育との関わり 筑波大学 保田敦司 「小型衛星の科学教育利用を考える会」 2015/08/22.
第13回 情報操作とやらせ 野原仁(地域科学部)
1.ジャーナリズムとニュース 2.テレビニュースの流れ 3.テレビ報道は何をどう伝えるべきか
一歩半進んだ放送とは ~#rg-00, %deltaTVでの話題から~
1.視聴率とは 2.視聴率の算出方法 3.視聴率は誰のためのものか
事業体制図 申請者名 事業類型 事業の名称 ○○社 申請者 <記入例> 関連事業連携先 様式第2号関係 ◆事業を実施する主なメンバー B社
4 第3次障害者基本計画の特徴 障害者基本計画 経緯等 概要(特徴) 障害者基本法に基づき政府が策定する障害者施策に関する基本計画
戦後の日本における報道機関と権力の関係――歴史的推移と今後の展開についての試論的考察
第33回メディアとことば研究会(2011/06/18) 布尾配付資料②
DVB規格 ~欧州のデジタル放送~
人たるに値する生活を積極的に保障 ○就労の機会の保障 労働能力がある者 労働している者 労働機会を喪失
日本の電気通信産業の流れ 経済学部 四回生   西田 崇.
於:大阪弁護士会館 2013年6月22日(土) 介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット 共同代表 弁護士 藤 岡 毅
4大メディア+1の未来を予想する ~新聞はネットの勢力に対抗できるのか~
第三章 会社のグループを形成する.
人権と教育基本法.
第2回 ジャーナリズムとは何か ( ) 担当:野原仁(地域構造講座)
プロジェクトの選択基準 と CBAの役割と限界
放送産業の特徴(2) 放送法制度、倫理・人権
地上波のデジタル化について 2002年10月23日 (株)岩手めんこいテレビ 総務局 前田秀男   
新しい法人への移行に向けて (社)日本畜産学会 将来検討委員会.
現代マス・メディア、マス・コミュニケーションの成立の歴史をたどる 参考文献 授業頁 授業資料
第16回 商事関係法 2005/11/ /11/9.
株式会社における出資者と経営者 経営とは、一定の事業計画を構築し、それに沿って経営資源を調達し、さらにそれを用いて、社会に財やサービスを効率的に提供しようとする一連の営みである。 投資家(株主) 取締役 (経営者) 株主総会 所有者 経営 所有と経営の分離 資本の循環 資本金 商品 生産 商品´ 売上.
-20世紀のフランス新聞界 -フランスのコミュニケーション概念
インターネットと遠隔講義/講座 大阪市立大学 学術情報総合センター 中野秀男
動画ファイル形式 コンピュータでは、文字や画像、動画、音声といった様々な種類の情報を扱うことができるが、記憶装置に記録されるデータそのものは0と1の情報でしかない。動画ファイルの形式としてはMPEGやAVIです。
外国ジャーナリズムⅠa 先週の講義 本日の授業  現代NZのメディア
1.報道の意義 2.ニュースと現実の関係 3.マス・メディアと民主主義
補足資料.
ソーシャルワークの価値と倫理 ~国際ソーシャルワーカー連盟の議論を踏まえて~
ジャーナリズム史Ⅱ 第10-11回 ジャーナリズムの変質 ジャーナリズム事件史(2): 授業ページ
メディアの普及過程:日本 © Yoshiki Mikami 2000 日本におけるメディア発達史略年表 西暦年 事項
2012年度 情報数理 ~ 様々なデジタル情報(1) ~.
外国ジャーナリズムⅠa 先週の講義 本日の授業  現代NZのメディア
1.出版社の仕事 2.編集者の仕事 3.出版メディアの役割
新聞(3) 新聞記者の仕事 1.新聞に求められる社会的役割 2.新聞記者の基本的な仕事 3.新聞記者向きの人
総合講義B:インターネット社会の安全性 第12回 権利の保護
本部のバックアップ機能設備、ロボットカメラの機能強化
デフ・コミュニティ(広義・狭義) 聴力的観点 言語的観点 政治的観点 社会的観点 ろう者コミュニティ Baker & Cokely 1980
地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインの概要
1DS04167N 稲益晃仁 1NC04010M 久保綾子 1DS04199Y 堀江孝志
中級日本語 第15課 テレビ映像の伝えるもの 吉林華橋外国語学院 日本語学部 製作.
2. 株式交換と株式移転 両方の会社が法人格を保持したまま合併と同様の経済効果を生じる取引 →
総務省総合通信基盤局電波部 国際周波数政策室 平成19年12月9日
無 線 局 申 請 書 免 許 再 免 許 を開設したいので、電波法第6条 無線局 (アマチュア局)
有料道路事業(阪神高速)約1,600億円 【阪高出資金:なし】
低軌道周回衛星における インターネット構築に関する研究
まとめ イギリス: BBC/マードック, 1931~ フランス: エルサン Robert Hersant, 1920~96
Uni Directional Link Routing 片方向通信路に於ける経路制御
北海道胆振東部地震における対応.
第4回 商法Ⅱ 2006/10/ /8/28.
秘密保全法立法過程情報公開と市民への2つのリスク
Presentation transcript:

1.日本の放送産業の基本的構造 2.日本の放送産業と法制度 3.技術革新と放送産業 放送(2) 日本の放送産業の構造と特質 1.日本の放送産業の基本的構造 2.日本の放送産業と法制度 3.技術革新と放送産業

1.日本の放送産業の基本的構造 (1)公共放送と商業放送 ◆日本では、 1950年の「放送法」の制定・施行により、  1950年の「放送法」の制定・施行により、 ・公共放送=NHK ←聴取料・受信料 ・民間(商業)放送 ←広告収入    二元体制に。     ←日本に民主主義を根づかせるため。 ◆1953年放送開始のテレビ放送でも同様。 ◆二元体制は現在、世界の主流に。

◆二元体制の今日的意義  「情報の多元化」の実現   ←公共放送と商業放送の相互補完  他国においても人々の多チャンネル化欲求から  二元体制が実現したといわれている。 (2)二元体制による“分業体制” ◆全国放送と県域放送  NHKは全国放送、民放は地域放送を担う。

(3)民放テレビ・ネットワーク テレビ局の歴史=ネットワーク形成の歴史 全国各地に取材網を持つNHK、新聞(全国紙)に対抗するため。 1959年 JNN(ジャパン・ニュースネットワーク) 現在、NNN、ANN、FNN、TXNの5つのネットワーク。 ←ニュース取材の協力   素材の交換   報道番組の共同制作   取材諸経費の分担など。

2.日本の放送産業と法制度 「放送は制度的メディア」である (1)免許事業としての放送 ◆放送は資源に限りのある電波を使用するメディア  →放送用に分配された周波数を個々の放送事業者 に割り当てなければならない。  ⇒総務大臣の免許を受けなければならない <電波法第4条> →効率的利用の確保・社会的影響力を考慮する必  要がある。  ⇒外国国籍の人・法人は免許対象から排除   <電波法第5条1項>

(2)放送法による番組規制 表現の自由(憲法第21条)は保障<放送法第3条> しかし、 「番組編集準則」も存在<放送法第3条の2>  ①公安および善良な風俗を害しないこと  ②政治的に公平であること  ③報道は事実を曲げないですること  ④意見が対立している問題については、できるだけ 多くの角度から論点を明らかにすること

「番組種目間調和原則」も存在<放送法第3条の2>  ・・・・放送番組の編集に当たっては・・・・(中略)・・・・教養番組又は教育番組並びに報道番組及び娯楽番組を設け、放送番組の相互の間の調和を保つようにしなければならない」 「マスメディア集中排除原則」           <放送局の開設の根本的基準第9条> 複数局支配の禁止<同条第1項>  中波放送・テレビ放送・新聞の3事業支配の禁止 <同条第3項> ⇒有限かつ希少な周波数の最大有効利用 

(プリント参照) 16.1% 読売新聞社 日本テレビ放送網 アール・エフ・ラジオ日本       16.1%  ※同一地域内で10分の1を超えて議決権を保有することはできない。  ※しかし、地上波の2局支配ではないのでO.K.  ※ちなみに、朝日新聞社はテレビ朝日の株式の33.9%を保有。  ※中波放送・テレビ放送・新聞の3事業の支配は禁止だが、独占的でなければO.K.   →同一地域内に他の事業者が存在していればO.K. 読売新聞社 日本テレビ放送網 アール・エフ・ラジオ日本

3.技術革新と放送産業 (1)衛星放送 赤道上空の36,000kmの静止軌道に人工衛星を打ち上げ、搭載した中継器を利用して、地上から発射した電波を増幅させて地表面に送り出し、放送番組を全国の受信者に一斉に直接伝搬する仕組み。 難視聴地域の解消、全国一律カバーが可能。 放送衛星(Broadcasting Satelite):国際的に放送用に割り当てられた周波数を利用。受信者は直接受信が可能。 NHKのBS2局など。 2000年12月からはBSデジタル放送も開始。

CS(Communication Satelite)放送:通信衛星を利用した放送。 1989年の電波法・放送法の改正により、「受委託放送制度」が導入され、可能となった。 →放送設備(ハードウェア)の所有者と放送番組の編 集者(ソフトウェア)が分離された。 受託放送事業者:衛星を所有する者(日本サテライ トシステムズ、スーパーバード) 委託放送事業者:衛星を利用して放送を行う者  郵政大臣の認定を受ける必要あり

CSデジタル放送(パーフェクTV)は1996年10月にスタート →・より鮮明な画面   ・音声の質向上   ・番組数の増加(100以上) (2)地上波テレビのデジタル化 デジタル放送:画像信号の性質を利用し信号圧縮を行うもの。アナログ情報量の数分の1に圧縮可能。 アナログ方式1チャンネルの電波で4~6チャンネルの放送が可能。 ハイビジョン放送、音声、文字データなどいろいろな情報をデジタルデータに変換することが可能。

他メディアとの連携や結合を可能にする。 地上波デジタル放送は、2003年12月、東京・大阪・名古屋で一部スタート。 2011年7月24日、被災地3件を除く日本全国でデジタル放送へ移行。

参考文献 稲田植輝 (1998) 最新放送メディア入門 社会評論社 稲田植輝 (1998) 最新放送メディア入門 社会評論社 伊豫田康弘 (2004) 放送産業の構造と特質 天野勝文・松岡新兒・植田康夫(編著) 新現代マスコミ論のポイント 学文社 Pp. 104-120 日本民間放送連盟(編) (2003) 放送ハンドブック新版 東洋経済新報社