p型半導体酸化物 遷移金属〔3d金属〕の電荷移動 2p酸素中への強い電子間相互作用 金属欠損あるいは過剰酸素によるholeの導入 n EF

Slides:



Advertisements
Similar presentations
電気伝導の不思議 元素周期表と物質の多様性 「自由電子」って、ほんとに自 由? 電気の流れやすさ、流れにくさ 電子は波だ 電子はフェルミ粒子 金属と絶縁体の違いの根源 超伝導の性質 阪大基礎工 三宅和正.
Advertisements

セラミックス 第10回 6月25日(水)  セラミックスの物性②.
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
セラミックス 第4回目 5月 13日(水)  担当教員:永山 勝久.
単一分子接合の電子輸送特性の実験的検証 東京工業大学 理工学研究科  化学専攻 木口学.
固体の圧電性.
無機化合物の構造と特性 との関係を理解する
セラミックス 第2回目 4月 22日(水)  担当教員:永山 勝久.
物理システム工学科3年次 「物性工学概論」 第5回半導体の色(2) ー半導体の電気的性質ー
CRL 高周波磁界検出用MOインディケーターの合成と評価 1. Introduction 3. Results and Discussion
有機りん系化合物とカーボンナノチューブとの特異的相互作用に関する研究(課題番号:S-13-NR-0025)
第15回セラミックス放談会 1998年6月6日 千葉大工学部 西山伸
固体電解コンデンサの耐電圧と漏れ電流 -アノード酸化皮膜の表面欠陥とカソード材料の接触界面-
電子物性第1 第6回 ー原子の結合と結晶ー 電子物性第1スライド6-1 目次 2 はじめに 3 原子の結合と分子 4 イオン結合
第14章 その他の燒結材料 14.1電気接点材料 要求される性質: 放電アークによる消耗および物質移動を防止すること 電気伝導性が大きいこと 接触抵抗が低いこと 変形に耐えること 適する材料:複合合金 電気伝導性はAg、Cu 骨格:高融点材料(W、Mo) Cu系:(20〜50)%Cu-W、(35〜65)%Cu-WC.
TTF骨格を配位子に用いた 分子性磁性体の開発 分子科学研究所 西條 純一.
空孔の生成 反対の電荷を持つイオンとの安定な結合を切る必要がある 欠陥の生成はエンタルピーを増大させる
セラミックス 4月 18日(水)  担当教員:永山 勝久.
Ⅲ 結晶中の磁性イオン 1.結晶場によるエネルギー準位の分裂 2.スピン・ハミルトニアン
金属使用の歴史 ●優れた材料: 強度が高くて、一定の形を作るのが容易 ●有史以前の単体金属: 金、銀、銅、鉄、錫、鉛、水銀
4.イオン結合と共有結合 セラミックスの結合様式 [定義] (1)イオン結合・・・
Ⅳ 交換相互作用 1.モット絶縁体、ハバード・モデル 2.交換相互作用 3.共有結合性(covalency)
半導体 N型半導体 P型半導体.
較正したホール素子を用いた 低温での超伝導マグネットの 磁場分布測定 宇宙物理実験研究室 安保匠
セラミックス 第4回目 5月 7日(水)  担当教員:永山 勝久.
電子回路Ⅰ 第3回(2008/10/20) バイポーラトランジスタの動作原理.
埼玉大学 長谷川 靖洋 磁場効果を利用した マイクロワイヤーアレイ構造 エネルギー変換素子の開発 埼玉大学 長谷川 靖洋
微粒子合成化学・講義 村松淳司
セラミック化学 無機固体化合物の構造と特性.
セラミックス 第6回目 5月 25日(火)  担当教員:永山 勝久.
担当: 松田 祐司 教授, 寺嶋 孝仁 教授, 笠原 裕一 准教授, 笠原 成 助教
セラミックス 第11回目 7月4日(水).
半導体デバイスの基本構成要素 pn junction diode
担当: 松田祐司 教授, 笠原裕一 准教授, 笠原成 助教
Cr-アセチリド-テトラチアフルバレン型錯体による
セラミックス 第11,12回 7月9日(水)  セラミックスの物性③.
物性物理学で対象となる 強相関フェルミ粒子系とボーズ粒子系
2次元系における超伝導と電荷密度波の共存 Ⅰ.Introduction Ⅱ.モデルと計算方法 Ⅲ.結果 Ⅳ.まとめと今後の課題 栗原研究室
半導体の歴史的経緯 1833年 ファラデー AgSの負の抵抗温度係数の発見
電子物性第1 第11回 ー金属の電気的性質ー 電子物性第1スライド11-1 目次 2 はじめに 3 導電率(電子バス) 4 欠陥の多い結晶
n型熱電変換材料Nd2-xCexCuO4の結晶構造と熱電特性
課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
アセチリド錯体を構成要素とする 分子性磁性体の構築と その構造及び磁気特性の評価
N型Si基板を用いたMOSFETの自己冷却効果
横国大工 ○鄭 鉉默、五味奈津子、金 洛煕、中津川 博
Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性 横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮
B4 「高温超伝導」 興味深い「協力的」現象 舞台としての物質の重要性 固体中の現象: 電子や原子が互いに影響を 及ぼしあうことで生じる
キャリヤ密度の温度依存性 低温領域のキャリヤ密度                   ドナーからの電子供給→ドナーのイオン化電圧がわかる                              アクセプタへの電子供給→アクセプタのイオン化電圧がわかる             常温付近                            ドナー(アクセプタ)密度で飽和→ドナー(アクセプタ)密度がわかる.
* of presenting author:
課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 八尾 誠 (教授) 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
ディラック電子系分子性導体への静電キャリア注入を目的とした電界効果トランジスタの作製および物性評価
アモルファスSiO2による結晶構造制御と磁気特性(S-13-NI-26)
Pr1-xSrxFeO3 (0.1≦x≦0.9) の p 及び n 型熱電特性と磁性
13族-遷移金属間化合物の熱電材料としての応用
La及びY添加した層状熱電変換酸化物Ca349の結晶構造と熱電特性 H.Nakatsugawa and G.Kametani
セラミックス 第5回目 5月 14日(水)  担当教員:永山 勝久.
Bi置換したCaMnO3の結晶構造と熱電特性
横国大工 ○中津川 博、五味 奈津子、田中 紀壮
3.ワイドギャップ半導体の オーム性電極材料開発
Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性
横国大理工 ○中津川博、窪田 正照、伊藤篤志
課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
固体中の多体電子系に現れる量子凝縮現象と対称性 「複数の対称性の破れを伴う超伝導」
Au蒸着による酸化物熱電変換素子の内部抵抗低減化効果
熱電変換酸化物Ca3Co4O9のY及びLa置換効果
セラミックス 第3回目 4月 30日(水)  担当教員:永山 勝久.
複合結晶[Ca2CoO3+δ]pCoO2の磁性と結晶構造
複合アニオンに起因した多軌道性と低次元性からうまれる 強相関電子物性の研究
横国大理工 ○中津川博、木村優太朗、勢山峻平
第2章 電子工学の基礎 2.1 半導体素子 2.2 電子回路 2.3 4端子網.
Presentation transcript:

p型半導体酸化物 遷移金属〔3d金属〕の電荷移動 2p酸素中への強い電子間相互作用 金属欠損あるいは過剰酸素によるholeの導入 n EF Mott-Habard絶縁体 n p dバンド pバンド 下部Habbardバンド 上部Habbardバンド 電荷移動型

高効率 「p型」 酸化物熱電変換材料へのキー? 低次元伝導体 2次元金属のバンド端近傍でのランダムさの増加 =>絶縁体化 縮退半導体 ヤンテラー効果 ホッピング伝導(VRH) 遷移金属複酸化物

縮退半導体

La2CuO4+d 高温超伝導酸化物のエンドメンバー K2NiF4構造: p2次元導電パス 過剰酸素によるホールドープ Sr、Baによるホールドープ La CuO6 K2NiF4構造

La2(Cu,Ni)O4+dの 電気伝導度とゼーベック係数

La2NiO4+d エネルギー ・常温ではn型! ・700℃以上でpに変化 EF p型 n型 O2p Ni 3d 酸素ドープ n型 O2p Ni 3d La2NiO4のエネルギー 状態の予想図 CoをドープしたLa2NiO4の ゼーベック係数の温度依存性

La2NiO4+dのNiサイトのCo置換と 金属絶縁体転移 〔金属 - 絶縁体転移〕

磁化率

Nd2NiO4 400~500℃で金属半導体転移 La2NiO4よりもさらにn型 高温において過剰酸素量が変化 エネルギー EF p型 酸素ドープ Ni 3d Nd2NiO4のエネルギー 状態の予想図

NaCo2O4 結晶構造: ・早稲田大学理工学部 寺崎一郎ら ・早稲田大学理工学部  寺崎一郎ら 結晶構造: ABO2型: AサイトにはLi,Na,K,Rb,Cs,などのアルカリイオンが, BサイトにはMn,Fe,Co,Niなどの3d遷移金属が入る。 層状酸化物であり, CoO2面とNa(サイトを50%ランダムに占有)が c軸方向に交互に積層した構造を持つ。 電気伝導を担うCoO2面にはCoイオンが三角格子状に配列し,酸素イオンはCoイオンを中心に陵を共有した歪んだ八面体を形成している。

物性: 抵抗率:室温で200 μΩcm 熱起電力:室温で100 μV/K → 熱電変換材料として有望 電子状態:擬2次元的  → 熱電変換材料として有望 電子状態:擬2次元的 室温での移動度:10 cm2/Vs程度( Bi2Te3と比べて一桁程度低い) 「熱電変換材料=高移動度の縮退半導体」という従来の設計指針には合致しない。

研究室では・・ Na2CoO4の合成に成功 Naの蒸発により組成の変化と不均一が激しいことが判明 組成により格子定数が変化 焼結体中にはアモルファス状態が存在(?)

p-n型両性半導体 BaIn2O4 酸素分圧、温度、組成によってp型-n型の 両性の半導体であることが判明 しかし、電子構造などは謎。 holeはどこに存在するのか不明。 電気伝導度は低いが、ゼーベック係数は大きい。

まとめ 1.JonkerPlotによって物質本来の熱電特性を知ることができる。 2. n型酸化物半導体による熱電変換材料 5p元素のような広いバンドを持つ金属の複酸化物を選ぶ 結晶格子中に稜を共有するMO6八面体を持つなど、金属イオン間の距離の近い伝導パスを持っている材料を選ぶ 原料のプロセシングを開発し、焼結体密度の高い材料を作る キャリア濃度を調節するとともに、結晶の格子乗数を小さくし、金属イオンの電子雲の重なりを助長する、適当な元素を選んで置換する

3.p型酸化物半導体による熱電変換材料 4.p-n 両性酸化物による熱電変換材料 遷移金属複酸化物を含む用いて、低次元導電パスを持つ化合物を選択する ヤンテラー効果を用いて金属イオン間の距離を短くする 縮退半導体 ←→ 遍歴電子(ホッピング?) 正孔の効果的な導入 4.p-n 両性酸化物による熱電変換材料 BaIn2O4などの移動度が高いp-n境界領域の材料を選べば単一材料による熱電変換素子を作ることが可能となる 雰囲気や温度の調整など問題点も多い

謝辞 本発表では次の方々の出したデータを使っています。 Zn2SnO4、凍結乾燥法 :1994修士 石井直樹君 Zn2SnO4、錯体法: 1997年修士 鈴木鉄之君 MgIn2O4 : 1996年修士 伊勢昌弘君 La2NiO4,BaIn2O4: 1996年修士 草野大介君 Nd2NiO4: 現M2 牛島孝嘉君 NaCo2O4: 現M1 朝倉健作君 また、その他にも、多くの面で千葉大工学部機能材料工学科研究室のメンバーの協力をいただいています。 OHPの作製にあたり書籍、Webより、多くの引用をしました。 東工大水谷先生の叱咤激励がなかったら受賞はできませんでした。 以上の方々にお礼いたします。ありがとうございました。