東京工業大学    ○ 青木 康平 正 大西 有希 正 天谷 賢治 株式会社アールテック      清水 利恭 小杉 隆司 名古屋大学      礒田 治夫

Slides:



Advertisements
Similar presentations
5 章 標本と統計量の分布 湯浅 直弘. 5-1 母集団と標本 ■ 母集合 今までは確率的なこと これからは,確率や割合がわかっていないとき に, 推定することが目標. 個体:実験や観測を行う 1 つの対象 母集団:個体全部の集合  ・有限な場合:有限母集合 → 1つの箱に入っているねじ.  ・無限な場合:無限母集合.
Advertisements

『わかりやすいパターン認 識』 第 5 章 特徴の評価とベイズ誤り確率 5.4 ベイズ誤り確率と最近傍決定則 発表日: 5 月 23 日(金) 発表者:時田 陽一.
模型を用いたジェットコターの 力学的原理の検討 06522 住友美香 06534 秦野夏希. 平成22年度 卒業研究発表 山田研究室 研究目的 ジェットコースターのコースは、どのような計算に 基づいて作られているのか、研究を通じて理解し、 計算を用いた模型製作を行う。
生体情報論演習 - 統計法の実践 第 1 回 京都大学 情報学研究科 杉山麿人.
自動映像生成のための パーティクルフィルタによるボールの追 跡 2007 年 3 月 21 日 神戸大学大学院自然科学研究科 矢野 一樹.
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
BRIEF: Binary Robust Independent Elementary Features
CsIシンチレータと マルチアノードPMTを用いた 硬X線撮像装置の性能測定
点対応の外れ値除去の最適化によるカメラの動的校正手法の精度向上
HOG特徴に基づく 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
MR based CFD による脳動脈瘤WSS分布推定における血管形状抽出法および 血液の非ニュートン性の影響
画像処理工学 2012年2月2日 担当教員 北川 輝彦.
現場における 熱貫流率簡易測定法の開発  五十嵐 幹郎   木村 芳也 
符号化のための重み付きジョイントバイラテラルフィルタを用いた 奥行き画像超解像
9月27日 パラボラミラーによる ミリ波ビーム絞り
流れ(3時間分) 1 ちらばりは必要か? 2 分散・標準偏差の意味 3 計算演習(例題と問題) 4 実験1(きれいな山型の性質を知ろう)
資源の空間的不均一性がプランクトン群集の共存に与える影響: 格子モデルシミュレーションによる予測
VTX_RP analysis 2011/12/16 Hiroshi Nakagomi.
Volume Extractor Ver 概要紹介と造形モデル例-
SURF: Speeded Up Robust Features
DARTs: Efficient scale-space extraction of DAISY keypoints
わかりやすいマルチスライスCTにおける画像再構成
建物周辺気流の予測手法としての 数値シミュレーション・風洞実験の検証
流体のラグランジアンカオスとカオス混合 1.ラグランジアンカオス 定常流や時間周期流のような層流の下での流体の微小部分のカオス的運動
内視鏡画像からの奥行き情報提示による 視覚支援システムの開発
X線CTにおけるファントム中の エネルギー変化についての検討
Bottom-UpとTop-Down アプローチの統合による 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
画像処理工学 2013年1月23日 担当教員 北川 輝彦.
第14章 モデルの結合 修士2年 山川佳洋.
YT2003 論文紹介 荻原弘尭.
住宅用調理レンジを対象とした 排気フードの廃気捕集率に関する研究
Computer Graphics 第10回 レンダリング(4) マッピング
1-P-6 パラボラ反射板を用いたアクティブマイクロフォンによる方向推定
磁気回転不安定性によるブラックホール降着流の角運動量輸送機構の 解明
Taniguchi Lab. meeting 2004/10/15 Shigefumi TOKUDA
治療用フィルムによる線量分布測定の 基礎的検討Ⅱ
高エネルギー陽子ビームのための高時間分解能 チェレンコフビームカウンターの開発
2つの平行光の観測による 内部カメラパラメータの安定なキャリブレーション
化学工学基礎 −後半の後半− 第1回目講義 (2009年7月10日) 1 担当 二又裕之 物質工学1号館別館253ー3号室
SURF+BoFによる特定物体認識 卒業研究1 1 11/27/11.
FEM勉強会 (第3回).
リングの回転成形の 近似3次元有限要素シミュレーション 塑性加工研究室 平松直登 一般化平面ひずみを用い た近似3次元FEM
背景 課題 目的 手法 作業 期待 成果 有限体積法による汎用CFDにおける 流体構造連成解析ソルバーの計算効率の検証
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
早稲田大学大学院商学研究科 2014年12月10日 大塚忠義
Chapter 26 Steady-State Molecular Diffusion
ウィルスって どの位感染しているのかな? 菊池研究室  小堀智弘.
Bottom-UpとTop-Down アプローチの組み合わせによる 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
第3章 線形回帰モデル 修士1年 山田 孝太郎.
Volume Extractor Ver 概要紹介と造形モデル例-
過学習を考慮した IS1-60 AAMパラメータの選択と回帰分析による 顔・視線方向同時推定 顔・視線同時推定 研究背景
Maxwell3Dによる電場計算の結果 佐賀大学大学院工学系研究科博士前期課程2年                        青座 篤史.
流動を伴う物質移動(p.483) y x 壁を伝わって流れ落ちる 薄い液膜にA成分が拡散 δ NA,y 速度分布:p.96.
潮流によって形成される海底境界層の不安定とその混合効果
ポッツスピン型隠れ変数による画像領域分割
環境配慮型水田におけるイシガイ類の生息域及び 水管理による成長量の違い
1ーQー18 音声特徴量抽出のための音素部分空間統合法の検討
1.5層スペースフレームの 接合方法に関する研究
軸対称近似を用いたしごきスピニングの 有限要素シミュレーション
・Bernoulli(ベルヌーイ)の定理
大型ホイールのディスク成形における 有限要素シミュレーション 有限要素 シミュレーション 工具と素材形状の最適化 材料の歩留り向上
多重関数を用いた調波時間スペクトル形状のモデル化による音声合成 1-P-4
コロトコフ音と運動の関連性について ~拍動血流ポンプを用いた模擬血管血流システムの構築と検討~
計算力学技術者2級 (熱流体力学分野の解析技術者) 認定試験対策講習会 ー 8章 ポスト処理 -
弱電離気体プラズマの解析(LXXVI) スプラインとHigher Order Samplingを用いた 電子エネルギー分布のサンプリング
AAMと回帰分析による視線、顔方向同時推定
市松模様を使用した カメラキャリブレーション
磁場マップstudy 1.
外れ値検出 Outlier Detection 外れサンプル検出 Outlier Sample Detection
Presentation transcript:

Accuracy improvement of vascular wall shear stress estimation in the method of PC-MR based CFD 東京工業大学    ○ 青木 康平 正 大西 有希 正 天谷 賢治 株式会社アールテック      清水 利恭 小杉 隆司 名古屋大学      礒田 治夫 浜松医科大学      竹原 康雄

研究背景

脳動脈瘤について 脳動脈の一部位が膨らみ血管壁が 脆弱となったもの. くも膜下出血の原因の一つ. 全てが破裂するわけではない.  脆弱となったもの. くも膜下出血の原因の一つ. 全てが破裂するわけではない. 予防的治療のリスクが高い.  → 将来破裂する可能性が高い脳動脈瘤を    定量的に推定する方法が必要. 脳動脈瘤の破裂の要因       → WSS(Wall Shear Stress) WSSから破裂する可能性が高い  脳動脈瘤を推定. 脳動脈瘤 (引用元:秋田大学大学院医学系研究科) CFDで求めた脳動脈瘤の WSS分布

WSSについて WSS(Wall Shear Stress) (at Wall) 血液 血管壁 血液の粘度 剪断速度(速度勾配) 血流速ベクトル 血管壁からの距離 剪断速度(速度勾配) 血管壁そのものの(固体力学的な)応力ではなく,血管壁表面に直接外力として加わる流体剪断応力

WSS推定手法 手法 形状 流入出 境界条件 計算方法 問題点 従来手法 CFD MR,CT等で測定 先験情報から設定 流入出境界条件が正しいか不明 PC-MR PC-MRで測定 不要 PC-MRで測定した流速分布から,壁面の流速を0として外挿近似を行い,WSSを計算 PC-MRの空間分解能,測定精度が不十分 本手法 MR based CFD 流量(PC-MRで測定した流速分布から計算) 精度検証が不十分 (本研究の目的) 3D cine PC-MR ⇒空間3次元の血流速分布と血管形状の測定が可能.

研究目的 MR based CFDのWSS誤差検証 ・PC-MR形状測定誤差による影響 ・流入境界条件の違いによる影響 - 流量の誤差 - 流入速分布を一定としている 実施事項 1. PC-MR流速測定精度検証実験 2. PC-MR形状測定精度検証実験 3. MR based CFD の流入境界条件の違いによる  WSS誤差評価

回転式装置を用いた PC-MR流速測定精度検証実験

実験内容  水溶液を入れた円柱容器を一定の速度(今回は360rpm)で回転.  剛体回転している水溶液の流速分布をPC-MRにより測定.

実験結果 傾向は合っているが, 比較的大きな誤差が見られる. ・ PC-MR測定値 理論値 速さ (mm/s) ある断面における速度分布 円筒容器の回転軸からの 距離に対する速さの分布

実験結果 PC-MR流速測定誤差 ・ガウス性がある. (標準偏差:187[mm/s]) ・個々の測定点の 流速誤差は大きい.  ・ガウス性がある.   (標準偏差:187[mm/s])  ・個々の測定点の  流速誤差は大きい.  ・ある断面の平均流速値の  誤差は小さいと考えられる.  ・PC-MRで測定した流速値から求めた  流量の誤差は小さいと考えられる. 測定点数 速さの誤差 (m/s) 速さの誤差のヒストグラム

直円管を用いた PC-MR形状測定精度検証実験

実験内容 形状抽出方法 測定対象:直径3mmの直円管 この画像の輝度に対して閾値を与えることにより,形状を抽出. PC-MRで撮影される画像 ・流速:大 → 明 ・流速:小 → 暗 この画像の輝度に対して閾値を与えることにより,形状を抽出. 実験装置 測定対象:直径3mmの直円管 定常流ポンプで直円管に水溶液を流し,   PC-MR測定を行う. (測定分解能:0.3125×0.3125×0.5[mm/pixel]) 測定データから抽出した形状の確認.   (抽出分解能:0.2[mm/pixel]) 実際にCFDでWSSを求めて理論値と比較することにより,WSS推定精度に対する形状測定誤差の影響について検証. 流入境界条件:

実験結果(形状) 測定誤差により形状が凸凹している. スムージングにより改善されている. スムージング前 スムージング後 直径方向 (mm)

実験結果(WSS) ・直円管のWSS 分布の理論値 は一定. ・形状誤差による 影響は大きい. スムージング前 スムージング後 WSS分布 [Pa} ・直円管のWSS  分布の理論値  は一定. ・形状誤差による  影響は大きい. 理論値 理論値 WSS(Pa) WSS(Pa) 軸方向 (mm) 軸方向 (mm) WSSの最大誤差:    135%            60%

曲がり円管を例にした MR-based CFD の 流入境界条件の違いによる WSS誤差評価検証

検証内容 目的 流入境界条件の違いによる影響を検証. 左図の曲がり円管に対して,直円管の実験と同様の手順でPC-MR測定を行う. -流量の誤差 -流入速分布を一定      としている 手順 左図の曲がり円管に対して,直円管の実験と同様の手順でPC-MR測定を行う. 測定データから求めた流量と正解値(メスシリンダーで測定)を比較. 左の表の3つの条件でWSSを求める.誤差無しのWSSと比較する. 曲がり円管の形状 WSS計算条件 誤差無し 形状のみ誤差無し MR based CFD 形状 PC-MR 流入 境界条件

検証結果(流量誤差の影響) 流量の誤差による影響は小さい. 流量 (m3/s) 正解値 PC-MR測定値 1.8602×10-6 1.8829×10-6 (誤差約1%) WSS分布図 [Pa] 形状:誤差無し 流量:誤差無し 形状:誤差無し 流量:PC-MR 形状:PC-MR 流量:PC-MR WSSの最大誤差:    約3%           約30% 流量の誤差による影響は小さい.

検証結果 (流入速分布の違いによる影響) 流入口からある程度離れたところでは流入速分布を一定にしている影響は小さい. WSS分布図 [Pa] 形状:誤差無し 流量:PC-MR (流入口付近) 約20mm 流入口からある程度離れたところでは流入速分布を一定にしている影響は小さい. MR based CFDの流入境界条件についての問題は解決された.

結言 PC-MR形状測定精度検証実験の結果から,MR based CFDによるWSS推定結果に対して,PC-MRの形状測定誤差の影響が大きいことが分かった. PC-MR流速測定精度検証実験の結果から,PC-MRの流速測定誤差にはガウス性があることが分かった. MR based CFDのWSS誤差評価結果から,MR based CFDの流入境界条件についての問題は解決された.

補足資料

従来のWSS推定手法 3D cine PC-MR 血流速分布 WSS分布 3D cine PC-MR ⇒空間3次元の血流速分布  と血管形状の測定が可能. ・PC-MRで測定した血流速分布から,血管壁面における血流速を0として外挿近似を行い,WSSを計算. ・PC-MRの流速測定誤差が大きい. ・PC-MRの解像度が低い. WSSの同定精度が不十分 問題点

本研究におけるWSS推定手法 MR based CFD ① PC-MRで血管形状と 血流速分布を測定. ② ①の血流速分布からそれ    実際の血流情報を基に    CFD解析を行う方法. ① PC-MRで血管形状と   血流速分布を測定. 0.625*0.625*0.8 ② ①の血流速分布からそれ   ぞれの流入出口における   流量を計算.(10断面の   流量の平均値をその流入   出口の流量とする.) ③ ①の血管形状を用いてCFD解析   を行い,WSSを求める.(流入出   境界条件は②の流量とする.)

MR based CFDのWSS推定結果 流れの様子が違う原因として考えられるもの PC-MR測定誤差 形状測定誤差の影響 流入境界条件の影響 - 流量の誤差 - 流入速分布を     一定としている 誤差検証が不十分 MR based CFD        従来手法 WSS分布(Pa) 流速分布(m/s)

直円管を用いた PC-MR流速測定精度検証実験 壁面付近の誤差が大きい

補正流速BC 補正流速BC作成方法 PC-MRで測定した流速データから断面流入量Qを得る. 測定流速データと形状データから生成した有限体積法のメッシュを用い,流入口断面の全フェイスにおける流速を移動最小二乗法(MLS)を用いた補間により得る. フェイス流速データを流入口断面で積分して得られた断面流量Q’を求め,フェイス流速データを全てQ/Q’で定数倍することによりフェイス補正流速データを得る. 断面流速分布[m/s] 正解 WSS分布 [Pa] PC-MR PC-MR流速測定誤差の影響により,流入口付近のWSSに誤差が生じている.