銀河物理学特論 I: 講義3-3:光度関数の進化 分光探査サンプルによる Lilly et al. 1995, ApJ, 455, 108

Slides:



Advertisements
Similar presentations
星間物理学 講義4資料: 星間ダストによる散乱・吸収と放射 1 星間ダストによる減光 ( 散乱・吸収 ) 過程、放射過程 のまとめ、およびダストに関わるいろいろ。 2011/11/09.
Advertisements

硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
2020 年( TMT 、 SPICA 時代)の すばる望遠鏡 高見英樹 ( 国立天文台) 年の光赤外の情勢 大きな流れ TMT 稼働開始 SPICA 打ち上げ、 JWST は? LSST 稼働開始、 HSC の役割は? Keck 、 Gemini は存続だが予算は厳しい、 VLT は着実.
日本学術会議マスタープランへの提案 ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画 HiZ-GUNDAM 主査: 米徳 大輔(金沢大学) HiZ-GUNDAM WG 光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10 国立天文台.
- X 線選択で見つかる obscured AGN の母銀河 - @筑波大学 2010/02/19 秋山 正幸(東北大学天文学専攻)
銀河物理学特論 I: 講義1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 遠方宇宙の銀河の理解のベースライン。 SDSS のデータベースによって近傍宇宙の 可視波長域での統計的性質の理解は飛躍的 に高精度になった。 2009/04/13.
宇宙大規模構造の最近の話題 計60分 松原隆彦 (名古屋大学) 東北大学 21COE研究会
miniTAO近赤外線観測で見る 銀河の星形成活動
平成24年度(後期) 総合研究大学院大学 宇宙科学専攻
Maclean ゼミ レジュメ 大澤担当分(pp.129〜pp.135).
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
Nova in M31: b b: 山中雅之(広島大)、新井彰(京産大)、かなた望遠鏡グループ
観測的宇宙論グループ 東京大学 宇宙線研究所 大内 正己.
Ksバンドで見るz~1の銀河形態(途中経過)
電離領域の遠赤外輻射 (物理的取り扱い)      Hiroyuki Hirashita    (Nagoya University, Japan)
Damped Lya Clouds ダスト・水素分子
WISHによる超遠方クエーサー探査 WISH Science Meeting (19 July 三鷹
宇宙物理II(9) Planetary Formation
WISHによるhigh-z QSOs 探査案 WISH Science Meeting (10 Mar. 三鷹
銀河物理学特論 I: 講義1-1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 Kauffmann et al
銀河物理学特論 I: 講義1-2:銀河の輝線診断 Tremonti et al. 2004, ApJ, 613, 898
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義3 近傍宇宙の銀河の統計的性質 1) 銀河の星の系の統計的性質 2) 銀河の力学構造 3) 銀河の活動性、中心の巨大ブラックホール 4) 銀河の大規模構造、環境効果 2010/09/14.
形態別銀河計数から見る 銀河進化の研究 東北大学大学院理学研究科天文学専攻 博士前期課程2年 銀河実験・観測グループ 小西 真広
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
銀河物理学特論 I: 講義2-2:銀河バルジと巨大ブラックホールの相関関係 Magorrian et al
WISHでの高赤方偏移z >6 QSO 探査
Taurus-Auriga association
抄訳 PFSによる銀河進化 嶋作一大 (東大) 2011/1/ すばるユーザーズミーティング.
銀河物理学特論 I: 講義1-4:銀河の力学構造 銀河の速度構造、サイズ、明るさの間の関係。 Spiral – Tully-Fisher 関係 Elliptical – Fundamental Plane 2009/06/08.
WISHで探る星質量集積史 鍛治澤 賢(東北大学).
星間物理学 講義3資料: 星間ガスの力学的安定性 星間ガスの力学的な安定性・不安定性についてまとめる。星形成や銀河形成を考える上での基礎。
ガンマ線バーストで z~20の宇宙を探る ガンマ線バースト:宇宙で最も明るい光源 早期型星の終末に関連 次のステップ
銀河物理学特論 I: 講義3-4:銀河の化学進化 Erb et al. 2006, ApJ, 644, 813
銀河物理学特論 I: 講義3-1:遠方銀河の探査 どのようにしてサンプルを作成するか。
銀河物理学特論 I: 講義1-3:銀河性質と環境依存性 Park et al. 2007, ApJ, 658, 898
すばる望遠鏡 次期観測装置の検討会 (銀河・銀河形成分野) 観測提案のまとめ
COSMOSプロジェクト: z ~ 1.2 における星生成の環境依存性 急激な変化が起こっていると考えられる z ~1 に着目し、
坂本強(日本スペースガード協会)松永典之(東大)、 長谷川隆(ぐんま天文台)、 三戸洋之(東大木曽観測所)、 中田好一(東大木曽観測所)
地上 8-10m 望遠鏡の将来装置計画のまとめ 国際協力・時間交換の議論のベースとして 次世代装置開発の議論のベースとして
棒渦巻銀河の分子ガス観測 45m+干渉計の成果から 久野成夫(NRO).
大離心率トランジット惑星HD17156bの ロシター効果の観測結果
星形成時間の観測的測定 東大天文センター M2 江草芙実 第4回 銀河shop 2004/10/19.
星間物理学 講義1: 銀河系の星間空間の世界 太陽系近傍から銀河系全体への概観 星間空間の構成要素
COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
論文紹介 Type IIn supernovae at redshift Z ≒ 2 from archival data (Cooke et al. 2009) 九州大学  坂根 悠介.
ガンマ線バースト観測用 面分光装置の紹介 岡山天体物理観測所 尾崎忍夫 共同研究者 吉田、岩田、神戸、沖田(岡山天体物理観測所)、
銀河物理学特論 I: 講義2-1:銀河中心の巨大ブラックホールと活動銀河中心核
塵に埋もれたAGN/銀河との相互作用 今西昌俊(国立天文台) Subaru AKARI Spitzer SPICA.
Welcome to the FINAL stage for SDF data handling!
銀河物理学特論 I: 講義3-5:銀河の力学構造の進化 Vogt et al
セイファート銀河中心核におけるAGNとスターバーストの結び付き
大井渚(総合研究大学院大学) 今西昌俊(国立天文台)
クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力
Spiral銀河における星形成史について
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
COE外国出張報告会 C0167 宇宙物理学教室 D2 木内 学 ascps
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
MOIRCSサイエンスゼミ 銀河団銀河のMorphology-Density Relation
銀河系内・星形成・系外惑星 系内天体の観点から
<近赤外線多天体分光撮像装置MOⅠRCSの全体像と開発状況>
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
銀河物理学特論 I: 講義3-6:銀河とブラックホールの共進化 Alexander et al
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
2009/4/8 WISH 三鷹 小山佑世(東京大学) クアラルンプールの夜景.
Z~1の星形成銀河の性質  小西.
COSMOS天域における 高赤方偏移低光度クェーサー探査
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
形成期の楕円銀河 (サブミリ銀河) Arp220.
Z=0.24 の Hα輝線天体でみるSFR(UV), SFR(Hα), SFR(MIR) 相互の関係
(FMOS戦略枠観測で余ったファイバーによる) M型星まわりのトランジット地球型惑星探し
Presentation transcript:

銀河物理学特論 I: 講義3-3:光度関数の進化 分光探査サンプルによる Lilly et al. 1995, ApJ, 455, 108 2009/06/29

CFHT-MOS: Canada-France Redshift Survey に用いられた多天体分光器システム。 http://www.cfht.hawaii.edu/Instruments/Spectroscopy/SIS/Manual/chapter2_5.html#81 LeFevre et al. 1995, ApJ, 455, 60

Hawaii-survey: Keck/LRIS を用いた銀河の分光探査。赤方偏移が大きくなるとK-band で明るい銀河(大質量の銀河)でも激しく星形成をしているものが見られる。(down-sizing ?) Cowie et al. 1996, ApJ, 112, 839

COMBO-17: 分光探査の代わりに 2m 望遠鏡に細い幅のフィルターを12枚とブロードバンドフィルター5枚を搭載して深い撮像観測を行い、SED の形から赤方偏移などを推定した(photometric-redshift)。SED の形別に光度関数の進化を議論。 Wolf et al. 2003, A&A, 401, 73

The K20 survey: K-band の等級を基準として選択したサンプルを議論。より長い波長で選択することで星形成による選択から星質量による選択へ。 Pozzetti et al. 2003, A&A, 402, 837

The DEEP survey: Keck DEIMOS を用いた大型分光探査に基づく光度関数。 Willmer et al. 2006, ApJ, 647, 853

The VIMOS-VLT deep survey (VVDS): VLT/VIMOS による大型分光探査に基づく光度関数。 Ilbert et al. 2005, A&A, 439, 863

GOODS: HST/ACS の登場によるHSTの視野の大型化。 Dahlen et al. 2005, ApJ, 631, 126

GOODS: HST/ACS のデータによる形態分類に基づいた形態別の光度関数。 Ilbert et al. 2006, A&A, 453, 809

光度関数進化の探査の変遷まとめ: 分光探査 +単色、2色データ (CFHT4m+MOS) :赤い銀河、青い銀河        +多色データ (Keck LRIS) :SEDタイプ        +近赤外を加えた多色データ (NIR imager -> Subaru/MOIRCS) :銀河の星質量        (+測光赤方偏移の手法の確立、信頼性の向上)        +分光探査の大規模化 (Keck/DEIMOS, VLT/VIMOS)        +HSTの高い空間分解能可視データ (HST/ACS) :銀河の形態別        +中間赤外を加えた多色データ ( + Spitzer/IRAC) :銀河の星質量、星形成率 銀河のSED=星形成率、星質量への制限 + 銀河の形態 の情報を加え、 光度関数の議論から、星質量関数の議論へと変遷。銀河形成の理論モデルとの比較がより直接的になっていった。