よりよい通訳・介助をするために福祉制度を知ろう

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於:東京都秋葉原(平成25年11月15日~17日)現任研修会受講者天野より報告 平成25年度 現 任 研 修 会 於:東京都秋葉原(平成25年11月15日~17日)現任研修会受講者天野より報告 和歌山盲ろう者友の会

よりよい通訳・介助をするために福祉制度を知ろう

・障害者基本法の一部改正 ・障害者総合支援法の施行 ・障害者差別解消法の成立 ・障害者権利条約の批准の動き 盲ろう者に関する制度的な枠組みの動向 ・障害者基本法の一部改正 ・障害者総合支援法の施行 ・障害者差別解消法の成立 ・障害者権利条約の批准の動き

障害者基本法の一部改正 平成23年7月に障害者基本法が一部改正され、障害者は意思疎通のための手段についての選択の機会が確保され、情報の取得や利用のための手段についての選択の機会拡大が図られるなどの規定が盛り込まれた。 この改正で、内閣府に設置された「障害者政策委員会」には現在、2名の盲ろう者が参加している。

障害者総合支援法の施行 平成25年4月から障害者総合支援法が施行され、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業と養成事業が都道府県の必須事業とされた。 法施行後3年(平成28年4月)を目途として、意志疎通を図ることに支障のある障害者等に対する支援の在り方について検討を行い、必要な措置をとることが規定された。

障害者差別解消法の成立 平成25年6月に障害者差別解消法が成立した。(平成28年4月から施行、施行後3年を目途に必要な見直しを検討) 障害を理由とする差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の不提供の禁止などを定めた本法の施行により盲ろう者を含む視覚・聴覚障害者の情報・コミュニケーション保障(アクセシビリティの確保)などが進むことが期待されている。

障害者権利条約の批准の動き 平成18年12月に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」については、障害者基本法の一部改正をはじめとする国内法の整備が行われたことを踏まえて平成25年10月国会に上程され、批准の運びとなった。 国内法として効力を有する条約において「盲聾(ろう)者」という用語が初めて公式に用いられることとなる。

盲ろう者福祉に関する課題 (その1:養成研修カリキュラムの標準化) ・障害者総合支援法において、盲ろう者向け通 訳・介助員養成事業が都道府県の必須事業とされたことから、これまで各都道府県でバラバラに実施されていた養成研修の内容を底上げし、カリキュラムの標準化を図ることが必要となった。

(その2:3年後の見直しに向けた施策のあり方の検討) 障害者総合支援法においては、法施行後3年(平成28年4月)を目途として盲ろう者等に対する支援のあり方について検討し、必要な措置をとることとされている。このため、盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の一層の充実やその他の福祉施策の利用拡大、またそれらと密接に関連する障害支援区分の改善などに向けて早急に検討を進め、国や地方公共団体、他の障害者団体などとも十分に連携して制度の再構築を進めていく必要がある。

総合支援法に関連するその他の問題 (大都市特例の導入) 障害者総合支援法においては盲ろう者向け通訳・介助員派遣及び養成事業等が必須事業化されるとともに、これら事業の実施主体が指定都市及び中核市に拡大された。 (意思疎通支援事業モデル要綱の作成) 障害者総合支援法の施行に伴い手話通訳者及び要約筆記者の派遣事業に関し、都道府県及び市町村のモデル要綱が作成された。

盲ろう者に関する実態調査の概要 ・身体障害者手帳の交付状況 ・目と耳の両方に障害のある方の生活状況 ・盲ろう者地域団体の活動状況 ※上記調査は、全国盲ろう者協会が厚生労働省の平成24年度障害者総合福祉推進事業補助金を受けて実施

盲ろう者通訳・介助者の養成カリキュラムの内容に関する調査の概要 ・盲ろう者向け通訳・介助員養成事業 ・盲ろう者向け通訳・介助員の状況 ・通訳・介助についてのニーズ ※上記調査は、全国盲ろう者協会が厚生労働省の平成24年度障害者総合福祉推進事業補助金を受けて実施

盲ろう者向け通訳・介助員養成カリキュラムの提言 ・調査を踏まえ、全国盲ろう者協会から「盲ろう者向け通訳・介助員養成カリキュラム」を厚生労働省に提言 ・厚生労働省においては、この提言に基づいて各都道府県、指定都市、中核市宛に「盲ろう者向け通訳・介助員の養成カリキュラムについて」を発出

養成カリキュラムの構成

1 必須科目と選択科目 ・通訳・介助員の養成には、必須科目42時間、選択科目42時間、合計84時間の研修が必要であり、最低でも必須科目42時間を実施 ・通訳・介助員養成研修では、必須と選択を合せた84時間は望ましい水準で「推奨」する ・必須科目については、全科目の実施が基本 ・選択科目は、全科目の選択を「推奨」するが、地域の実情に応じて適切な科目を選択すること

2 養成目標と到達目標 ☆養成目標とは、養成研修の狙い、方向性を示したもの ☆到達目標とは、養成研修修了時における期待される受講者の状態、イメージを示したもの (ただし、当面研修修了時における効果測定を行うことは想定していない)

【必須科目の養成目標】 盲ろう者の生活及び支援のあり方についての理解と認識を深めるとともに、盲ろう者との日常的なコミュニケーションや盲ろう者への通訳及び移動介助を行うに際し、最低限必要な知識及び技能を習得する

【選択科目の養成目標】 必須科目の研修修了時に加えて、盲ろう者向け通訳・介助員の役割・責務などについて理解と知識を深めるとともに、多様なニーズや場面に応じた通訳及び移動介助を行うに際し、必要な知識及び技能を習得する。

【必須科目の到達目標】 盲ろう者と1対1での外出(買い物、食事などに伴う外出)などの日常生活上の場面において、必要な通訳・介助を行うことができる。 ※盲ろう者とコミュニケーションが取れる必要最低限の通訳技能を身につけ、移動介助ができること。このため、最低限持ち合わせているコミュニケーション方法(手話、点字、手書き文字、筆記、音声など)を使用して盲ろう者と日常的なコミュニケーションができるようになること。

【選択科目の到達目標】 電車、バスなどの公共交通機関の利用を伴う外出や複数のものが参加する講演会、会議などの場面において必要な通訳・介助を行うことができる。

盲ろう者福祉施策の今後の展望