8章 食と健康 今日のポイント 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路

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メタボリックシンドロームの考え方. 危険因子の数と心臓病のリスク 軽症であっても「肥満(高 BMI )」、「高血圧」、「高血糖」、「高トリグリセリド(中性脂肪) 血症」、または「高コレステロール血症」の危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ、
Q:今日のあなたは昨日のあなたと同じか?
1. 動脈硬化とは? 2. 動脈硬化のさまざまな 危険因子 3. さまざまな危険因子の 源流は「内臓脂肪」 4. 動脈硬化を防ぐには
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糖質(炭水化物) 食 品 働 き 体や脳を動かすエネルギー源 1g= kcal 神経系に働く ポイント から摂取するのがよい。
ビタミン (2)-イ-aーJ.
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脂質代謝.
体重減少 ◎食欲があるのに体重が減る ⇒糖尿病、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群などを疑う ◎食欲がなくて体重が減る ⇒その他の疾患を疑う
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飲酒による人体への影響 市村 将 参考・引用文献:Yahoo!ニュース 未成年の飲酒問題
今 日 の ポ イ ン ト 1. 糖尿病治療のための食事は「健康食」です 2. まず初めに、食生活の基本をチェックしましょう 3.
平成20年度 保健指導実践者育成研修 歯の健康に関する保健指導
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動物への遺伝子導入 hGH 遺伝子 右:ひと成長ホルモン遺伝子を 導入したラット 左:対照ラット
活性化エネルギー.
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狂牛病(BSE).
脂肪の消化吸収 【3】グループ   ~
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
栄養と栄養素 三大栄養素 炭水化物(糖質・繊維) 脂質 たんぱく質 プラス五大栄養素 ビタミン 無機質.
今日の目標 ・家畜の成長について ・家畜の飼料栄養について ・家畜の消化吸収について ・家畜の飼育環境について
代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解
緩衝作用.
解糖系 グルコース グルコキナーゼ(肝) ヘキソキナーゼ(肝以外) *キナーゼ=リン酸化酵素 グルコース6-P グルコースリン酸イソメラーゼ
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× 「花粉症と腸の関係について」です。 プロバイオティクス プレバイオティクス これから花粉症の時期になります。
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生活習慣を変え、内臓脂肪を減らすことで生活習慣病の危険因子が改善されます
たんぱく質 (2)-イ-aーF.
生体分子を構成している元素 有機分子   C, H, O, N, P, S(C, H, O, N で99%) 単原子イオン 
肥満の人の割合が増えています 肥満者(BMI≧25)の割合 20~60歳代男性 40~60歳代女性 (%)
メタボリックシンドロームはなぜ重要か A-5 不健康な生活習慣 内臓脂肪の蓄積 高血糖 脂質異常 高血圧 血管変化の進行 動脈硬化
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資料 1.「指導対象者群分析」のグループ分けの見方 特定健康診査及びレセプトデータによる指導対象者群分析 【フロー説明】
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モデル体型ダイエット塾® ワンデーセミナー (社)日本栄養バランスダイエット協会.
カルビンーベンソン回路 CO23分子が回路を一回りすると 1分子のC3ができ、9分子のATPと 6分子の(NADH+H+)消費される.
アミノ酸の分解とアンモニアの代謝 タンパク質やアミノ酸はどこにでもあるありふれた食材ですが、実は分解されるとアンモニアという、体に非常に有害な物質を産生します。これは、普段われわれが何も気にせずに飲んでいる水が、実はH+(酸)とOH-(アルカリ)で出来ているのと似ているように感じます。今回、アミノ酸の分解に伴って産生されるアンモニアを、生体はどのようにして無毒化しているかを考えましょう。
1. 糖尿病予備群って、なに? 2. 糖尿病って、どんな病気? 3. どんな時に糖尿病予備群と 言われるの? 4. 糖尿病予備群と言われたら
●食物の消化と吸収 デンプン ブドウ糖 (だ液中の消化酵素…アミラーゼ) (すい液中の消化酵素) (小腸の壁の消化酵素)
消化器の解剖 消化器系とは、食物を摂取し、分解し、腸管で吸収した後、食物残渣を排泄する器官である。
全原子の位置 r(t) を求める(各原子がいつ,どこにあるか)
学習目標 1.栄養代謝機能に影響を及ぼす要因について説明することができる. 2.栄養代謝機能の障害による影響を,身体,精神機能,社会活動の三側面から説明することができる. 3.栄養状態をアセスメントする視点を挙げることができる. 4.栄養状態の管理方法について説明することができる. SAMPLE 板書.
~生活習慣病~ 2006.9.23(土) 東京医科歯科大学 伊藤あゆみ 佐藤有紗
物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
   健康な体型 1-5-7 大木 桜花.
プラセンタ.
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8章 食と健康 今日のポイント 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路 8章 食と健康 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路 4.代謝と健康 エネルギーのバランス メタボリックシンドローム 5.まとめ

8章 食と健康、今日のまとめ 1.食べるとは 何のために食べるのか?:生体エネルギーと身体の素材を獲得する 8章 食と健康、今日のまとめ 1.食べるとは 何のために食べるのか?:生体エネルギーと身体の素材を獲得する ATPはエネルギー通貨:ATPは高いエネルギーを保存できる高エネルギー結合を持っているので、高分子の合成、神経などの電気的仕事、運動などの力学的仕事のいずれにもよく使われる。このことから、エネルギー通貨と呼ばれる。 食べたものはどうなるのか?: 唾液腺、胃、十二指腸で消化 → 微絨毛を持つ小腸の上皮細胞から吸収 → 門脈を通って肝臓へ → 解毒 → 肝臓から循環器系を使って全身に輸送される

2.消化と吸収 糖質:唾液腺、膵臓からアミラーゼ;デンプンをオリゴ糖(マルトースなど)へ    小腸でさらにグルコースまで分解 タンパク質:胃(酸性)からペプシン   膵液(弱アルカリ性、胃酸を中和)からトリプシン、キモトリプシン 脂質:膵液からリパーゼ;中性脂肪(グリセリン+脂肪酸)を部分的に分解 → 吸収後再合成+タンパク質=キロミクロン * 胆汁は界面活性剤を含み、脂質を乳化、分散させて消化を助ける 3.代謝の基本経路(教科書、図8−5) 複合的な物質(食物) 構成単位 基本代謝物質(各反応系間で互換性あり) 細胞外、反応系は各高分子ごとに独立 細胞質

4.代謝と健康   エネルギーのバランス 摂取エネルギー=燃焼エネルギー+蓄積(剰余)エネルギー 血糖値のホメオスタシス:インスリン、グルカゴンなど(図8−6) 中性脂肪は効率の良い剰余エネルギー蓄積物質!   メタボリックシンドローム 内臓脂肪型肥満(皮下脂肪型ではない)+高血糖、高血圧、高脂血症の うち2つを合併した状態 剰余エネルギーの過多はエネルギーバランスを崩しメタボリックシンドローム を引き起こす 肥満細胞が生産するレプチン、アディポネクチン、TNF-αなどのアディポサイトカインの役割が注目されている(図8−9)

5.おまけ 消化管の共生微生物:微生物はヒトにとって有害なだけとは限らない ピロリ菌や歯周病菌などは有害 乳酸菌(ビフィズス菌、ラクトバチルス)は環境を酸性にして、有害菌 の繁殖を押さえる プロバイオティクス:有用な乳酸菌などを含んだ食品 プレバイオティクス:有用菌の生育を助けるオリゴ糖などを含む食品 BSE:牛海綿状脳症 羊のスクレイピー、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病と同類 感染性のタンパク質、プリオンが原因 プリオン遺伝子は哺乳類細胞中にあった 異常なプリオンタンパク質が正常プリオンタンパク質に接すると立体 構造を変え、中枢神経系を障害する 肉骨粉(脳、脊髄を含むくず肉の乾燥粉末)が感染経路 現在の検査法では、3歳以下の牛が感染していても検出できないが、 日本では全頭検査を続けている