岡本貞夫(日本流星研究会) 上田昌良(日本流星研究会) OAA総会 2005,6,11-12 協定TV観測1年間のまとめ (2004,4-2005,3) 岡本貞夫(日本流星研究会) 上田昌良(日本流星研究会)
はじめに 昨年の徳島流星会議で 鈴木智氏の火球監視装置 植原 敏氏のUFOCapture 3月になって阿部新助氏のmail 小惑星イトカワ起源の流星観測(4月3/4日)、Pribram/Neuschwanstein隕石関連火球の観測呼びかけ 上田昌良が呼びかけた「隕石火球パトロールの協定日」 継続的な協定観測:火球パトロール
Ⅰ.協定観測の方法 観測者の位置 上田昌良 大阪府羽曳野市 東経 135°38′11 北緯 34°32′04″ 高度 45m 岡本貞夫 東経 135°38′11 北緯 34°32′04″ 高度 45m 岡本貞夫 A:愛知県日進市 東経 137°01′27″ 北緯 35°07′17″ 高度 30m B:田峰観測所 東経 137°31′33″ 北緯 35°03′30″ 高度 470m
Ⅱ 協定方向及び機器 A:三重県桑名市上空100km B:三重県菰野町上空100km Ⅱ 協定方向及び機器 A:三重県桑名市上空100km B:三重県菰野町上空100km 協定位置が2観測点間の中点上空でないのは岡本の観測点の視野状況による。 カメラ:WAT-100N レンズ:6mm F0.8(56°×48°) ソフト:UFOCapure
Ⅲ.流星撮影結果
*5月21/22日は岡本の観測地をBに移動 *6月3/4日~15/16日の間は協定位置から はずす。(昼間群TV同時観測のため)
Ⅳ.同時流星の解析から 求められる結果 (1)協定空域を設けると同時流星は多くなる。 (2)全流星数に対する同時流星数の比は (2)全流星数に対する同時流星数の比は ・ 上田 1012/3689≒1/3.64 ・ 岡本 1012/3078≒1/3.04 差の原因は上田の観測条件が良い(最微等級が 暗い)こと、並びに上田からは仰角44°、 岡本からは仰角68°という観測条件からくる空域 の差による。
a 隕石を伴った火球パトロール協定観測の結果(2004年4月) (3)個別の結果 a 隕石を伴った火球パトロール協定観測の結果(2004年4月) 協定観測開始のきっかけとなった隕石関連流星は捉えられなかった。しかし、4月5/6日の同時流星のうち5個について軌道要素を得た。(計算は上田昌良)
Table-1 The radiant positions,velocities and heights of TV meteors. No. M04011、 M04012、 M04010、 M04014、 M04015 DATE YYYYMMDD 20040405、 20040405、20040405、20040405、20040405 UT hhmmss 134911 162736 164860 190649 192214 RADIANT(2000.0) α 228.1 274 273.6 252.4 273.6 Dα 2.19 0.78 2.1 0.45 1.09 δ 76.2 27 35.1 -10.6 32.5 Dδ 0.59 0.81 0.87 1 0.74 Vobs. Km/s 23.7 52.4 42.2 60.6 42.2 V error % 30.2 37.8 27.7 18.4 23.8 Vg Km/s 17.8 50.9 40.5 59.6 40.6 Vh Km/s 38.4 39.7 35.8 39.1 34.7
No. M04011 M04012 M04010 M04014 M04015 Q Deg 75.8 61.9 48.3 71 80.5 Obs. Mag -0.7 3.1 0 1.6 0.6 Abso.Mag -0.9 2.8 -1.1 0.9 0.4 Hb Km 96.2 99.7 99.8 112.2 103.3 Hm Km 82.8 90.3 97 102.2 96.5 E Km 73.6 88.3 83 98.9 89 DH Km 0.2 0.2 0.7 0.2 0.2 log (mass) 0.57 -2.67 -0.52 -2.16 -1.52 Max/L 0.5227 0.8 0.2353 0.8 10 0.5455
表の説明 No. :流星の通し番号(ここでは仮番号). DATE :年月日. UT :時分秒( 世界時). RADIANT α: 天頂引力, 日周光行差の補正をした修正輻射点の赤経2000.0年分点( °). Dα :輻射点の赤経エラー, 流星位置を比較星の誤差分だけ位置を変えて10とおりの計 算したときの輻射点の最大の差. δ :赤緯( °). (先の赤経と内容は同じ.) Dδ :赤緯エラー. (先の赤経と内容は同じ.) Vobs. :速度. V error:速度エラー(各切断点の速度のばらつき) Vg :地心速度. Q :2地点から見た天球上での流星経路の交差角. obs. Mag. : 観測光度. abso. Mag.: 絶対光度. Hb :流星が写り始めた高さ. Hm :最大光度時の高さ. He :流星が写り終わった高さ. DH : He のエラー. HbとHeの*印は,流星が視野外であったことを表している. log (mass) : 常用対数で表示した流星体の質量(g). Max/L:最大高度を示す点の流星経路中の位置(0.00=発光点、1.00=消滅点)
Table-2 The orbital elements of TV meteors. (eq.J2000.0) No. M04011 M04012 M04010 M04014 M04015 DATE YYYYMMDD 20040405 20040405 20040405 20040405 20040405 UT hhmmss 134911 162736 164860 190649 192214 A AU 2.947 4.431 1.804 3.642 1.555 E 0.6608 0.7791 0.4534 0.9197 0.3709 Q AU 0.9995 0.9788 0.9863 0.2924 0.9783 Ω Deg 16.061 16.169 16.184 16.277 16.288 i Deg 26.454 93.221 75.513 146.887 77.647 ω Deg 184.238 198.163 197.407 298.516 203.47 P Yr 5.058 9.327 2.424 6.951 1.939 Obserber U-SO U-SO U-SO U-SO U-SO
表の説明 a:軌道長半径 e:離心率 q:近日点距離 Ω:昇交点黄経 i:軌道傾斜角 ω:近日点引数 P:周期(年) 5個の内No.4010とNo.4015は早期こと群の可能性があるという事と、それらがArter and Williams (1995) のset2群と同一群である事を、大塚 氏 が指摘した。 (2004) (*4)
Table-3 早期こと群軌道要素比較 (*5) Meteor qA.U.) e i(°) ω(°) Ω(°) 2140 1.000 0.410 73.9 185.9 21.0 7431 0.934 0.411 73.8 220.0 18.8 10377 0.997 0.332 78.4 170.6 16.6 10431 0.997 0.346 74.7 190.1 18.6 14834 0.985 0.371 77.1 199.3 16.4 4405 0.941 0.409 74.3 217.5 18.3 4010 0.9863 0.4534 75.513 197.407 16.184 4015 0.9783 0.3709 77.647 203.47 16.288 上段6流星は上記論文に記載された早期こと群Set 2 のグループのものであり、下段2流星はTable-2に示した今回の流星である。
2004年7月1日の大火球 残念ながら隕石落下はなかった模様
b 7月1日の火球の軌道を得た。 出現時刻:2004年7月1日22:36:11 JST b 7月1日の火球の軌道を得た。 鈴木智氏(*6)、上田昌良なども取らえた火球について位置計算により次の結果を得た。(計算は上田昌良) 出現時刻:2004年7月1日22:36:11 JST 修正輻射点 α316.0°δ+22.6°(2000.0) 対地速度Vg 76.8km/s 発光点 λ137.80°φ+34.88°h 142.9km 消滅点 137.02 +34.87 78.9
絶対光度 -16等以上、 質量 14kg以上 同時流星の天球上の交差角 29.5° a -0.4、 e 2.94、 q 0.71、Ω 100.0、 i 107.9、 ω 233.1 突入角は41°
以下上田のコメント(nmsML)の引用 岡本貞夫の動画は、経路の途中から消滅まで写っているが、爆発で画面が真っ白で各駒の火球位置が測れず。上田昌良の方は、発光点から途中までが写っていたが、上田の観測地から火球までの距離が249kmもあり、天球上の動きが小さくその結果として速度決定が精密にできずやや大きな誤差を含んでしまった。 計算上は、以上の結果である。速度が速いことを考えればこれに伴う隕石落下はありそうにないでしょう。 観測データは、岡本貞夫、上田昌良撮影のTV観測の動画を使用した。 光度は、流星の面積内の輝度の合計を使ったが、爆発時には、光りすぎで測定不能となった。
2004年6月23/24日11時~14時(UT)までに岡本6個上田9個のJune Bootidsを検出 内1個は同時観測となり軌道算出に成功
2004年6月23日のJune Bootidsの軌道要素 RADIANT:α=222.7° +-2°.02 δ=+47.0° +-1°.06 Vg =13.3 km/s Orbital Elements a:2.8AU e:0.64 q:1.01AU Ω:92.3° I:17.5° ω:185.6° 結果は出されていた予想と良く一致した
中部、北陸、近畿、四国から 同時観測に成功 2004年9月20日の火球 中部、北陸、近畿、四国から 同時観測に成功
火球3点観測が成功した (同時観測は5ヶ所) 出現時刻:2004年9月20日2h40m39s JST 特徴:長経路流星の軌道 (同時観測は5ヶ所) 出現時刻:2004年9月20日2h40m39s JST 特徴:長経路流星の軌道 観測者:上田昌良、岡本貞夫、 前川公男(観測地:福井県)、植原 敏 撮影機材:自動TV観測、ワテックWAT-100N, レンズ 6mm,F0.8 讃岐まんのう公園(観測地:香川県) 撮影機材:自動TV観測装置
軌道要素 軌道要素(2000.0年分点) a : 2.4 AU e : 0.61 q : 0.92 AU Ω: 357.1° i : 29.8° ω: 38.5° P : 3.7 yr
輻射点、その他 絶対光度:-1.9mag 修正輻射点:R.A. 30.4°±0.08°Dec. -59.7°±0.08° 地心速度:20.1km/s ±5.6km/s 発光点 : λ 136.17°φ+33.92°h92.3km±0.2km 三重県熊野付近上空 消滅点 : 136.31 +35.49 84.5 滋賀県伊吹山付近上空 継続時間:7.63sec 測光質量:18.5g 実経路長:177km 突入角:2° 同時流星の天球上の交差角:41.8°(前川-上田)
1年間で1000個を超える同時流星 画像を得たが現在のところ解析が進ん だのは2004年4月分である。 輻射点分布 1年間で1000個を超える同時流星 画像を得たが現在のところ解析が進ん だのは2004年4月分である。
同時観測による輻射点分布ー2004年4月ー
これまでに得てきた同時流星の解析を進め、各期群流星のR.P.移動などを検証、及び協定観測の継続により流星現象のさらに深い考察を試みたい。 Ⅴ.今後の課題 これまでに得てきた同時流星の解析を進め、各期群流星のR.P.移動などを検証、及び協定観測の継続により流星現象のさらに深い考察を試みたい。
Ⅵ.謝辞 大塚勝仁氏にはnmsMLに投稿されたメールから多くの示唆を与えられた。参考文献も氏のメールから文献名を引用させて頂いたたものである。 鈴木 智氏、植原敏氏にはnmsMLに投稿された火球情報を利用させて頂いた。 前川公男氏には9月の同時検出火球のデータを頂いた。 各氏に感謝申し上げる。 NmsML上に書き込まれた多くのかたがたの観測報告を常に参考にさせて頂いていることをここに感謝をこめて報告する。
参考文献等 * 1 2003 徳島流星会議 ポスターセッション * 2 植原敏: 2003 徳島流星会議 レポート * 1 2003 徳島流星会議 ポスターセッション * 2 植原敏: 2003 徳島流星会議 レポート * 3 阿部新助:2004,nmsML 21711 他 * 4 大塚勝仁:2004, nmsML21777及び21779 * 5 Title: An Investigation of Meteors in Early April Authors: Arter, Terrance R.; Williams, Iwan P. Journal: Earth, Moon and Planets, v. 68, p. 141-153. (EM&P Homepage) Publication Date: 00/1995 Origin: KLUWER Bibliographic Code: 1995EM&P...68..141A ・ * 6 nmsML22199 SonotaCo HP : http://hp.vector.co.jp/authors/VA034934/