デジタル情報学概論 2008年12月18日 第13回資料 担当 重定 如彦
冬休みの課題 その1 成績の評価は、期末試験重視(1月22日3限に実施予定。 詳細は来年の最後の授業で説明します)で行う予定ですが、 それだけだと一発勝負になってしまうので、レポート課題を 出します。レポートの内容は以下の通りです 「今回の授業までで解説した様々なデジタル情報学に関する テーマの中から一つ興味を持ったものを選び、そのテーマ関して、以下の点をレポートにまとめて出すること」 そのテーマの簡単な解説と現状 そのテーマが現在抱えている問題点 そのテーマの今後の展望 そのテーマに関するまとめと感想
冬休みの課題 その2 レポート作成に関する注意点 冬休みの課題 その2 レポート作成に関する注意点 資料の丸写しはしないこと 資料を参考にするのは大いに結構ですが、書かれている内容を丸写しにはせず、なるべく自分の言葉で整理すること。また不正は大きな減点の対象とします 参考にした資料を最後に参考文献として一覧で明記すること 本の場合は書籍名、著者名を、ウェブの場合はページのタイトルとURLを書くこと 締め切りと提出方法 締め切りは来年の授業までです。来年の授業内で提出してください 記述は手書き、ワープロ(印刷すること)のどちらでもかまいません。 いずれの場合も必ず表紙を作り、「デジタル情報学概論レポート テーマ ○○」、名前、学年、学生証番号を書いてください 分量について レポートの分量は表紙を除いて2ページ以上書いてください
サイバービジネス IT時代では従来の経済活動を規定していたルールが一変している 急激な技術の進歩により意思決定にスピードが要求される コンピューターネットワークなどによって、生産者と消費者が直結する 流通経路が短縮し、それにより流通の高速化やコストの低下が見込める 店舗や在庫が最小限に抑えられるので大資本が不要になる 従来重要視されていた系列企業との固定的な関係が重荷になる 系列以外の様々な企業との間で自由な組み合わせが進行する 従来のビジネスモデルの多くが陳腐化する 「情報」と「アイディア」が企業間の競争力を決定つけるようになる
電子商取引 その1 電子商取引(Electric Commerce:EC、eコマース)の形態 電子商取引 その1 電子商取引(Electric Commerce:EC、eコマース)の形態 ECは本来ネットワークを介した商取引一般を指し、何と何の間で商取引を 行うかによって、ECの形態を分類する ECの形態の分類は、商取引を行うものを下記の3つに分類し、1文字の アルファベットを to で繋げて表記する B(Business) 会社 C(Consumer) 消費者 G(Government) 行政 例:B to B (企業間EC)、G to G(電子政府)
電子商取引 その2 B to B 近年、企業間のECによるビジネスが活発化している 電子商取引 その2 B to B 近年、企業間のECによるビジネスが活発化している MRO(Maintenance, Repair and Operations)商品群のEC化 MROとは企業が経費で購入するオフイスサプライ用品などのこと メーカ、卸、小売りの各社が入り乱れる格好で一斉にECの実現に乗り出している 企業の業務効率化と囲い込み 一般の消費者よりもまとまった発注が見込める企業に、特別なサービスをインターネットというオープンな環境で提供→コストを削減できるサービスを導入可 ウェブEDI(Electric Data Interchange) メーカーが中心となって取引先や関連会社を結ぶ大規模なネットワークを構築 この技術をインターネット技術を使ってオープン化することで、受注・発注業務などを行うウェブEDIにどの企業も参加できるようになっている
電子商取引 その3 B to C その1 企業と個人の間でのEC。オンラインショッピングやインターネット通販など 不特定多数の消費者を相手にする場合が多い 電子商店(オンラインショッピング、仮想店舗) インターネット上で商品やサービスを販売するウェブページのこと 現在では数十万もの電子商店の店舗がウェブ上にあるといわれている 電子商店には以下のような欠点と利点がある 商品選びでは、紙のカタログに比べ一覧性が劣る モニター上で見たイメージや色彩が実物と異なって見える場合がある 膨大な商品の中から望みの商品を抽出する検索機能が強力 自作パソコンのパーツを選択するだけで、値段を即座に計算して表示するなど、紙のカタログにはないコンピュータならではのメリットがある また、電子商店が信頼できるかどうかを判定するサイトなども存在する
電子商取引 その4 B to C その2 電子商店街(オンラインモール、サイバーモール) 電子商店を集約したウェブページで以下のような利点がある 集客力が高まる ネット上であちこち探し回らなくても1箇所のウェブページで様々な電子商店を訪問可能 同じ電子商店街の中であれば、異なった電子商店で買い物を行っても一括して選んだ 商品を注文し、清算を行う事ができるようなサービスを提供することができる ホームトレード 証券会社の店頭に出向いたり、電話を使ったりすることなく、自宅からインターネットを使って株式などの売買を行うことができるようになっている オンラインブローカーが株式の売買手数料の大幅値下げ合戦を繰り広げたことによって、これまで証券会社の店頭やラジオでしか入手できなかった株式情報をインターネットからリアルタイムに入手できるようになり、一般にも普及しはじめている
電子商取引 その5 B to C その3 ネットディーラー 物販のECでは自動車が焦点となっている 電子商取引 その5 B to C その3 ネットディーラー 物販のECでは自動車が焦点となっている インターネットで車種を検索し、該当する自動車販売ディーラーに見積もりを依頼する ネットディーラーは直接自動車を販売するのではなく、サイト上でユーザ希望の車種を検索させ、その見積もり依頼のデータを該当するメーカの自動車ディーラへ仲介するといった、見込み客の紹介サービスを行う コンビニEC 365日・24時間営業と、全国に張り巡らされた店舗網をフルにECに活用している オンラインショッピングの注文の引渡しや代金の決済をコンビニで行うことにより、 クレジットカード番号をインターネットに流すというオンラインECの弱点をカバーできる 昼間は仕事があるユーザーでも深夜に商品を受け取ることが可能
電子商取引 その6 ロングテール ヘッド 売り上げ テール 一般的な企業が扱う商品の売り上げは、よく売れる商品が全売り上げのほとんど 電子商取引 その6 ロングテール 一般的な企業が扱う商品の売り上げは、よく売れる商品が全売り上げのほとんど 占めるという性質を持っており、従来は売れ筋の商品のみが重視されていた これを図にすると売れない商品の部分が恐竜の尻尾(テール)のように長く延びる。 従来は注目されなかったこのテールの部分が電子商取引の世界で注目されている 例えば、Amazon.comのようなオンラインの書店では、在庫や流通にかかる費用が 従来の書店とくらべはるかに安くすむため、このテールの部分をビジネスに組み込む という新たなビジネスモデルを生み出した。商品を注文する際に、同じ商品を購入した 他の購買者の情報を提供することで、テールの部分の宣伝を行うという工夫も行っている 売り上げ ヘッド テール
電子マネー その1 インターネット上のECでは、クレジットカードを使わない新しい決済手段として電子マネーが考案され、実用化されつつある 電子マネー その1 インターネット上のECでは、クレジットカードを使わない新しい決済手段として電子マネーが考案され、実用化されつつある クレジットカードの盗難や偽造による被害が社会問題になっている クレジットカードでの取引には手数料が必要 電子マネーは、バリュー(value、貨幣価値)をデジタルデータに置き換えたもの。これに対し、クレジットカードは、カードの中にはお金のデータははいっておらず、実際のお金は銀行に預金されている 電子マネーは、ICカード型とネットワーク型の2種類がある
電子マネー その2 ICカード型電子マネー ICカードを使った決済 デビットカードを使った決済 電子マネー その2 ICカード型電子マネー ICカードの中にバリューを保存したもの。クレジットカードやデビットカード(銀行の キャッシュカードで代金を支払うサービス)による決済を補完する役割を果たす 支払い時の運用コストを抑えることが可能。小銭の代わりに使用することも可能 また、ICカードと暗号技術を使うことにより、偽造などの被害を防ぐことが可能 ICカードを使った決済 デビットカードを使った決済 デビットカード ICカード 銀行の端末と通信を 毎回行う必要がある バリュー バリューを移す だけで良い 店舗の端末 通信コストや手数料 が必要な為小額の 決済には向かない 店舗の端末 銀行の端末
電子マネー その3 ネットワーク型電子マネー 電子マネーの今後 電子マネー その3 ネットワーク型電子マネー バリューのやりとりを(ICカードを使わずに)ソフトウェアだけで実現するもの インターネット上でのショッピングで、クレジットカードを使って数百円程度の決済を行うと与信処理などの運用コストが高くなってしまうため、小額の決済手段としてネットワーク型電子マネーが注目されている 電子マネーの今後 ICカードの規格を統一することで、端末を共有可能にする動きが出ている これにより加盟店とユーザの利便性を図ることができる 多機能型ICカード 電子マネーだけでなく、クレジットカード機能、デビットカード機能などの複数の機能を 一枚のICカードで実現する
電子商取引のセキュリティ その1 セキュリティの必要性 電子商取引のセキュリティ その1 セキュリティの必要性 オープンな環境であるインターネットでは、第三者による盗聴や成りすまし、データの改ざんなどを防ぐためにセキュリティに格別の配慮が必要である 特にECの分野では、クレジットカード番号などの重要な情報がネットワーク上を行き来するため、一層の安全性が求められる SSL (Secure Socket Layer) ブラウザとウェブサーバの間の通信の安全性を暗号を使って保障する技術 インターネット上のセキュリティ確保技術の基本であり、オンラインショッピングを行うウェブサイドで広く利用されている SSLの延長線上にある技術としてSET(Secure Electronic Transaction)など、よりECの分野に踏み込んだ高度な電子決済の技術も登場している
電子商取引のセキュリティ その2 決済情報の切り分け 電子商取引のセキュリティ その2 決済情報の切り分け インターネット上でのデータの安全性を保障できても、カード番号を受け取る電子商店側で不正が発生する可能性が残っている。そこで、SETやSECE(Secure Electronic Commerce Environment)ではクレジットカード番号などの決済情報を注文情報から切り分け、電子商店にすらカード番号をみせないことで守秘性を高めている サーバウォレット (ウォレット=電子財布) 電子商店や金融機関が管理するサーバの上でウォレットソフトを動かすシステム 容易にSETによる決済を行うことが可能 ウォレットソフトを自分のコンピュータにインストールしなくても利用可能。具体的にはウォレットソフトを呼び出す為の数十KBト程度の小さなプログラムをネットワークからダウンロードする セキュリティの向上 ウォレットソフトは信頼できる電子商店や金融機関が管理するサーバの上で実行されるため、セキュリティの向上を見込むことができる
オンラインビジネス(eビジネス) その1 検索サービス オンラインビジネス(eビジネス) その1 検索サービス ウェブサイトを使った情報提供型ビジネスの筆頭に挙げられるサービス 多くのユーザを集め、ヒット数を稼ぐことで広告収入を得る、マスコミ型のビジネス 検索サービスでもっとも重要なキーワードはウェブブラウザを起動した時にユーザが 最初にアクセスするサイトであり、これを「ポータル(portal)、門・入り口」と呼ぶ オンラインバンキング 自宅や外出先から銀行振り込みや残高照会を可能にするサービス NTTのiモードがその牽引役として都市銀行、地方銀行、信用金庫など100以上の 金融機関を提供するモバイルバンキングのサービスを提供 外貨預金の取引などのサービスも開始されており、いつでもどこでも行えるという 便利さから利用者が増えている また、インターネット専用の銀行なども出現しており、本店以外の店舗や行員を持たないため、金利や振込み手数料の点で通常の銀行より有利なサービスを提供できる
オンラインビジネス(eビジネス) その2 デジタルコンテンツのインターネット配信 オンラインビジネス(eビジネス) その2 デジタルコンテンツのインターネット配信 インターネットを通じてデジタルコンテンツを配信するノンパッケージ流通が急速に台頭 デジタル化の技術により普及 高音質の音楽データをCDの1/10に圧縮するMP3や、印刷物をオンライン配信可能なデジタルデータに変換するAcrobatなどの技術の普及がその要因となった 従来のCD販売ビジネスに打撃を与えかねないため懸念の声も大きい そこで、家庭に直接音楽コンテンツを送る代わりに、ネットで配信した音楽をレコード店などに設置した店頭端末でいったん蓄積し、消費者がそこから購入できるようにする音楽自動販売機が設置されている ビジネスとしての魅力 インターネット上の送金代行サービスの登場で売り上げを確実に回収できるようになったため、ビジネスとしての魅力が高まっている。例えば、通信カラオケの分野ではすでに実績を挙げている オンライン書店(ネット書店) 米企業のアマゾンドットコムは、ネット書店の仕組みをいち早く確立し、インターネット通販の一番の成功例の一つに挙げられている
ビジネス(モデル)特許 従来にはなかった、ITを駆使した新しい形の特許がどんどん生まれてきている ワンクリック操作注文方式 インターネットショッピングで、1回のクリックで注文が成立するサービス 国際的側面 特許は国家が決める権利なので、ある国で取得した特許が海外で通用するとは限らない。例えばアメリカで特許がとられていても、日本国内だけで販売し、アメリカに輸出しなければ問題は発生しない。 しかし、ITを用いたビジネス特許はそのような考え方が通用しない。 インターネットは世界中とつながっているため、日本のサイトを海外からも利用可能なため、日本国内のサイトで、日本人向けに作られたものであってもアメリカの特許を侵害したとみなされる可能性がある
サイバービジネスと詐欺(その1) お金の動くところには必ず詐欺を行う人が出てくる。これはサイバービジネスでも例外ではない。サイバービジネスは新しいビジネスなので、これまでになかった新しいタイプの詐欺がどんどん出現している ワンクリック詐欺 携帯電話やウェブページでクリックしただけで契約が成立したことになり、法外な請求のメールが送られてくる。送られてくるメールには根拠のない 住所を特定したなどの文言が書かれており、支払いに応じないと職場や家庭にまでおしかけるという脅し文句が書かれている場合が多い 気の弱い人や、コンピュータの仕組みに無知な人に対する詐欺 法律的にはろくな説明もなしに行われた契約は無効なので無視してよい また、詐欺師は捕まるリスクを避けるため実際に職場や家庭にたずねて くることはまずありえない
サイバービジネスと詐欺(その2) ウェブページのなりすまし詐欺 ウェブページはHTMLを使って記述されているが、それをそのままコピー すれば容易に全く同じ外観のウェブページを作ることが可能 例えばアマゾンなどのショッピングサイトのウェブページと全く同じ外観の ページを作成し、ユーザをその偽のページに誘導し、クレジットカード 番号やパスワードなどを入力させてそれらの情報を盗む 対策としては以下のようなものが挙げられる クレジットカード番号やパスワードなどの大事な情報を入力する際に、ウェブブラウザの アドレスの欄を確認し、正しいウェブサイトであるかどうかを確認する アドレスのURLがhttps://ではじまっているかどうかを確認する https://ではじまっていれば、暗号を使った通信が行われていることが保障される。 また、表示されたウェブページが改ざんされていないことも保障される。 ただし、そのページへたどり着くまでに一度でもhttps://ではじまらないページを 辿った場合は、途中で偽のサイトに誘導されている可能性がある点に注意
サイバービジネスと詐欺(その3) その他の詐欺 注文した商品が送られてこない。または違う商品が送られてくる、 ねずみ講やマルチ商法詐欺など現実の世界で行われている詐欺も 当然サイバービジネスでは行われている 詐欺と対策のいたちごっこ さきほどのウェブページのなりすまし詐欺では、ウェブブラウザのアドレスの 真上に偽のURLを表示することでユーザのアドレスを確認するという対策の 一つを無効にするという詐欺が実際に過去に行われた。これに対し、アドレス バーの上に偽の情報を表示できないようにするといった対策が行われた このように、詐欺とそれに対する対策はまさにいたちごっこのような状況に なっており、日々新しい詐欺が生み出され、それに対して対策が取られている 情報弱者が詐欺の餌食に 詐欺師は詐欺の手口を知らないいわゆる情報弱者と呼ばれる人をターゲットに している。日頃から様々な情報に目を光らせておくことが対策の一つになる 一方お年寄りや子供など、どうしても情報弱者にならざるを得ない人々を 詐欺の被害からどのようにして守るかについて考えていかなければならない