1月16日 免疫 免疫とは何か 抗体 アレルギー エイズ 遺伝子治療.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
アメフラシ属 Aplysia Aplysia californica アメフラシ(雨降らし、雨虎、雨降)は、腹足綱後鰓類の無楯類 (Anapsidea, Aplysiomorpha) に属する軟体動物の総称。 より.
Advertisements

生物学的製剤と小分子化合物製剤 1. Generics and Biosimilars Initiative. (2012, June 29). Small molecule versus biological drugs. Accessed
ワクチン療法の開発(ジェンナー) 英国のジェンナーは、牛飼いの女性から牛 痘に罹ったものが天然痘にならないことを 聞いて、牛痘の接種による天然痘の予防法 を思いついた。牛痘の膿を少年に接種し、 その後真性の凍瘡を接種しても発病を免れ たことから、予防接種の有効性が証明され た。(1796年)
質問・解答例.
12性感染症・エイズの予防 性行為によって感染する病気を,性感染症といい,こんにちでは誰にとっても身近な問題になっています。
血液・免疫学ユニット 第2回 免疫担当細胞の種類と機能.
平成24年基礎微生物学 第2回 平成24年4月18日 担当;前田伸子.
アレルギー・アナフィラキシー 山形大学輸血部 田嶋克史.
脂質代謝.
HLA マイナー組織適合性抗原 ナチュラル・キラー(NK)細胞 IPA/ NIMAコンセプト
マイコプラズマ感染による豚の 慢性呼吸器疾病
新たながん免疫療法における Science
個体と多様性の 生物学 第7回 体を守る免疫機構Ⅱ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
RNA i (RNA interference).
がんと免疫 生命基礎科学講座 小林正伸 TEL/FAX:
輸血の適応/適正使用 新鮮凍結血漿 福井大学輸血部 浦崎芳正.
チョコレートの健康効果 2013‐04‐25 MR1051  アキ.
特論B 細胞の生物学 第2回 転写 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
第19課 人の寿命と病気 背景知識.
肝炎の知識 担当:唐沢 治.
アシドーシス起因の疾病発生機序 濃厚飼料多給、或いは粗飼料不足によるルーメンpHの低下 グラム陰性菌細胞壁外膜成分であるエンドトキシンが放出
Targeting of Receptor for Advanced Glycation End Products Suppresses Cyst Growth in Polycystic Kidney Disease The Journal of Biological Chemistry, 2014,
エイズ予防と大切な生命 群馬県立安中高等学校        学校医 真下正美.
牛の尿路コリネバクテリウムによる 血尿を主徴とする感染症
AIDS 学習目標の要点 病例分析 提示問題についての解答 PBLの流れ 免疫システムの組成と功能 リンパ組織の構造と功能
アポトーシスについて 砂辺浩弥
生物学 第12回 体を守る免疫機構 和田 勝.
長崎大学熱帯医学研究所 長崎大学医学部歯学部附属病院(熱研内科) 有吉紅也
第5編 内部環境と恒常性 第5編 内部環境と恒常性.
2を基本として、より嗜好性を高めるために1を付与する場合が多い
10.エイズとその予防 写真)抗体検査 素材集-エイズ 「岐阜市」 HIV抗体検査 「岐阜市」ホームページより.
高齢者の肺炎による死亡率. 高齢者の肺炎による死亡率 誤嚥のメカニズム 誤嚥は、脳卒中や全身麻痺、あるいは麻痺などの症状のない脳梗塞で、神経伝達物質の欠乏によって、咳(せき)反射や、物を飲み下す嚥下(えんげ)反射の神経活動が低下して起こる。
エイズとその予防.
Case17 6班 小池・越田・後藤 ・古谷野 3.
キンギョにおける 全身性の炎症と免疫の誘導
生命科学基礎C 第9回 免疫Ⅱ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
山羊関節炎・脳脊髄炎(届出) 山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルスによって起きる成山羊の関節炎や乳房炎、幼山羊の脳脊髄炎や肺炎を主徴とする疾病
論文はざっと見る。最初から細かく読まない!
個体と多様性の 生物学 第6回 体を守る免疫機構Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
非溶血性輸血副作用 神戸大学輸血部 西郷勝康.
血液学入門セミナー 第15回:悪性リンパ腫ってなぁに? 日時:2009年2月25日(水) 午後7時から
第19課 人の寿命と病気 背景知識.
血液型検査法 名古屋大学輸血部 山本晃士.
コンゴー赤染色 (Congo red stain) アミロイド染色
樹状細胞療法 長崎大学輸血部 長井一浩.
国立がん研究センター・研究所腫瘍免疫研究分野/
個体と多様性の 生物学 第7回 体を守る免疫機構Ⅱ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
遺伝子の機能は、どのようにしてわかるのか
南アフリカオランダ改革派教会のエイズに対する取り組み
生命科学基礎C 第8回 免疫Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
血栓性血小板減少性紫斑病 TTP 溶血性尿毒素症候群 HUS
Central Dogma Epigenetics
遺伝子診断と遺伝子治療 札幌医科大学医学部 6年生 総合講義 2001年4月16日 2019/4/10.
生命科学基礎C 第1回 ホルモンと受容体 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
個体と多様性の 生物学 第6回 体を守る免疫機構Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
からだをまもる免疫のふしぎ (日本免疫学会:羊土社).
自己紹介 1978年 北大医学部卒業 北大病院医師(血液内科) 1988年 オーストラリア国立大学研究員 1991年 北大医学部癌研病理講師
1.細胞の構造と機能の理解 2.核,細胞膜,細胞内小器官の構造と機能の理解 3.細胞の機能,物質輸送の理解 4.細胞分裂過程の理解
国立がん研究センター・研究所腫瘍免疫研究分野/
免疫機能と機能低下.
新興感染症の病原体 再興感染症の病原体 病原体の種類 病原体名 ウイルス ロタウイルス、エボラウイルス、T細胞性白血病ウイルス
合成抗菌薬 (サルファ剤、ピリドンカルボン酸系)
不規則抗体の意義・ 検査法 名古屋大学輸血部 山本晃士.
1月28日 内分泌・免疫 内分泌 ホルモンの種類 ホルモンの作用 環境ホルモンとの違い 免疫 エイズ 遺伝子治療.
学習目標 1.細胞の構造と機能の理解 2.核,細胞膜,細胞内小器官の構造と機能の理解 3.細胞の機能,物質輸送の理解 4.細胞分裂過程の理解
11月21日 クローン 母性遺伝.
溶連菌感染症 1.急性咽頭炎・急性扁桃腺炎 2.伝染性膿痂疹
生命科学特論B 第7回 免疫 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
アレルギー性鼻炎のおはなし 秋田赤十字病院耳鼻咽喉科 福井奈緒子.
Pre-NK細胞 NK細胞 Pre-T細胞 Pro-T細胞 T細胞 形質細胞 Pro-B細胞 Pre-B細胞 B細胞 リンパ球系
Presentation transcript:

1月16日 免疫 免疫とは何か 抗体 アレルギー エイズ 遺伝子治療

ストレスは免疫力を低下させる ストレス → 脳             →神経(交感神経)→副腎皮質                ↓  副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)抗ストレス作用            →免疫細胞(リンパ球)死、      マクロファージ機能低下   → 免疫機能低下

免疫とは 体の自己防衛反応 獲得免疫と自然免疫 抗原:免疫系を最初に刺激するもの 体の中に侵入して免疫の働きを引き起こす異物 「自己」「非自己」の識別、「非自己」を排除 抗原:免疫系を最初に刺激するもの    体の中に侵入して免疫の働きを引き起こす異物 免疫に関わる細胞:リンパ球(B細胞、T細胞) 相互に作用しあう細胞性および液性因子からなる,1つのネットワーク

非特異的(先天性)免疫 系統発生的には古く,出生時から存在 身体に支障を起こさせる物質との先行する接触を必要としない。 記憶を発生させない。   記憶を発生させない。 (1)侵入する微生物を摂取し消化する食細胞系 (2)いくつかの腫瘍,微生物,およびウイルスに感染した細胞を殺す機能をもつNK(ナチュラルキラー)細胞 食細胞は好中球と単球(血液中)およびマクロファージ(組織中) マクロファージは広範囲に分布し,血液または洞性空間と組織との境界部に戦略的に位置 サイトカイン:特異的抗原,非特異的抗原,または非特異的可溶性刺激(例,エンドトキシン,その他のサイトカイン)に応答して単球やリンパ球から分泌される,非免疫グロブリンのポリペプチド。炎症,または免疫応答の大きさに影響を与える。リンパ球がその特異的抗原と反応することで分泌される。サイトカインそのものは抗原特異的ではない。⇒サイトカインは先天性免疫と適応性免疫を橋渡ししている。

特異的(適応性の)免疫 細胞性因子:リンパ球 液性因子:免疫グロブリン

リンパ球 Tリンパ球、Bリンパ球の細胞膜の表面:外界から侵入してきた抗原が何であるかを認識するためのアンテナのようなタンパク分子が何万個も突き出ている。このアンテナに抗原が触れて、そのリンパ球の担当の抗原であれば、リンパ球は活性化し抗体をつくるなどの仕事を始める。 一つのリンパ球が担当できる抗原は1種類。⇒どんな抗体にも対処できるよう、リンパ球の種類は100億種以上。

細胞性免疫 キラーT細胞:ウィルスに感染した細胞     に特異的に結合 細胞を殺す ナチュラルキラー細胞:がん細胞を殺す

抗体はどのようにして作る 抗原提示細胞:情報をT細胞に送る T細胞:抗体産生すべきか判断 B細胞:抗体つくる (抗体産生細胞に変化) B細胞:抗体つくる (抗体産生細胞に変化) 抗体:侵入物(抗原)に特異的に結合 マクロファージ:抗原と抗体の結合物を           取り込み消化 マクロファージ:血液中の単球 血管から組織中に出て分化した細胞 ヘルパーTリンパ球:抗原を認識⇒       インターロイキン(タンパク質)      (Bリンパ球をより活性化)放出

抗体 抗原と特異的に結合するタンパク 免疫グロブリン 5つのクラス:G,M,A,D,E IgG:血中で最も多量に存在する IgM:抗原刺激により最初に産生される免疫グロブリン。血清中のIgMは感染症の診断のため感染要因に対するIgM型特異抗体として、測定することが多い IgE:アレルギー引き起こす IgD:機能不明 IgA:局所粘膜における防衛

抗体の機能 溶菌素‥‥細菌を溶かしてしまう抗体 溶血素‥‥非自己血球を溶かしてしまう抗体 凝集素‥‥細菌などをくっつけて固まりにする(凝集させる)抗体 沈降素‥‥タンパク質を沈殿させる抗体 抗毒素‥‥毒素を無毒化する抗体

抗原抗体反応の特異性 1つの抗体で処理できる抗原は1種類 外界から体内へ侵入してくる抗原にはあらゆる種類のものがありますが、その一つ一つに対処するため無数の種類の抗体を作り出す能力が私たちの体には備わっています。 抗原と抗体の反応:抗原抗体反応 抗原抗体反応:作用しあう抗原と抗体の組み合わせが一通りに決まっている:                 抗原抗体反応の特異性

胸腺 心臓の上にある一対の器官 骨髄で作られたリンパ球移動 T細胞形成 脾臓で T細胞 B細胞 貯蔵 骨髄で作られたリンパ球移動 T細胞形成 脾臓で T細胞 B細胞 貯蔵 リンパ節  リンパ管の集まった部分      侵入物の処理  風邪をひくと喉が腫れる 非自己だけ認識   胸腺内で自己抗原と結合する細胞は殺される   クローン選択説

免疫に働く細胞 単球:骨髄で生れ少し成熟して血液中に出た細胞で、およそ24時間後には各組織に達してマクロファージとなる。 マクロファージ:組織に存在し、細菌などの微生物や老廃物を取り込んで消化する。 顆粒:好中球:細菌などの微生物を取り込んで消化する。 好酸球:MPBというタンパク質で寄生虫の体に傷をつける。 好塩基球:生体防御に働くさまざまな物質が血管の外へ出て働けるように、血管の透過性を高める物質を分泌 ナチュラルキラー細胞 (略してNK細胞):ガン細胞やウイルスに感染した細胞に傷を与えて破壊する。

抗体の構造 抗原結合部位 L鎖・H鎖末端 可変領域 variable region VL,VH:アミノ酸組成変化:抗原との結合の多様性 抗原結合部位  L鎖・H鎖末端 可変領域 variable region VL,VH:アミノ酸組成変化:抗原との結合の多様性 定常領域 constant region

抗体の多様性 1010以上の種類のタンパク質、多糖類など識別 抗体遺伝子:遺伝子組み換え生じる H鎖の可変領域遺伝子:V,D,Jに分かれる V領域:1000種 D領域:12種 J領域:4種 それぞれから1つ選択・再結合→可変領域遺伝子 L鎖の可変領域:V300種、J4種、 両者で5760万種類

エイズ Acquired Immune Deficiency Syndrome 後天性免疫不全症候群 ウイルス HIV human immunodeiciency virus  ヒト免疫不全ウイルス 潜伏、8〜10年後発症、20年後の死亡率90%以上 ヘルパーT細胞 表面CD4タンパクに結合、侵入、RNA遺伝子→逆転写→リンパ球のDNAに入り込む→自己複製            (ウイルスの定義については生物学Ⅰを復習) T細胞破壊→免疫機構破壊→ガン細胞増殖抑えられない、日和見感染 [試験対策]エイズウィルスが他のウィルスとどのような違いがあるか

遺伝子治療 遺伝子強化療法 正常な遺伝子を導入 特定の細胞を標的・破壊: 毒性の遺伝子導入、細胞破壊 薬剤に反応する遺伝子導入 遺伝子強化療法  正常な遺伝子を導入 特定の細胞を標的・破壊:          毒性の遺伝子導入、細胞破壊            薬剤に反応する遺伝子導入  薬剤を投与して細胞破壊 標的細胞に対して免疫応答引き起こす: 反応増強  抗原遺伝子導入  免疫応答により細胞破壊 標的遺伝子の発現阻害:  アンチセンス遺伝子導入  病因遺伝子発現阻害 標的遺伝子変異修正:変異遺伝子と正常遺伝子 相同的組み換え → 正常型