BPMN(Business Process Modeling Notation) ビーピーエムエヌ / ビジネスプロセス・モデリング記法 情報マネジメント用語事典 より
ビジネスプロセスを示すグラフ表現(フローチャート)に関する業界標準の表記法。企業内の業務プロセスやワークフロー、企業間連携などのプロセス実行モデルであるBPD(business process diagram)を表記する際の標準仕様としてBPMI.org(Business Process Management Initiative)によって定義された。
BPMNで表現した簡単な支払い業務フローの例
ビジネスプロセスやワークフローに関する表記法はツール(プロセスモデリング、シミュレーション、ワークフロー、EAI、BPM、BtoBインテグレーションなど)や方法論ごとに数々あり、それぞれ固有の形式で描画されていた。そこで使われている「イベント」「アクティビティ」「タスク」などの用語が示す意味内容も異なっており、使用ツールや依拠する方法論が異なる人同士(例えばIDEFを使用するプロセス定義者とUMLを使用するITエンジニア)の相互理解の妨げとなっていた。 そこでベンダ独自の書き方に依存しない表記法を確立するため、ツールベンダやコンサルティング会社によって結成された非営利団体BPMIを舞台にビジネスプロセス表記法の標準化が進められ、2004年5月3日にビジネスセマンティックと表記法を統一したBPMN 1.0が発行された。 BPMN策定の第1の目的は、ビジネスプロセスの設計、実行、メンテナンス、最適化などの関わる人々同士の意思疎通を円滑にすることであり、非ITエンジニアであっても理解しやすいよう配慮されている。また、情報システム(Webサービス)対情報システム、情報システム対人間だけではなく、“人間対人間”の事務フローを表記できるように開発されており、業務全体のビジネスプロセスの可視化、把握、コミュニーションに利用可能である。 BPMNで作成する図はBPDと呼ばれる1種類のみで、オブジェクト(図形アイコン)を並べて表現する。ビジネスプロセスの参加者を識別するための枠であるスイムレーン(プール、レーン)も用意されている。 オブジェクトには詳細な規定があるが、基本セットは3つのフローオブジェクトと3つの接続オブジェクトである。
そのほか、図を読みやすくするために「注釈」や「グループ」「データオブジェクト」などもある。 BPMN策定のもう1つの大きな目的に、BPEL4WSなどのプロセス実行言語とのマッピングの定義があった。BPMNは最初からBPMLのプロセス実行メタモデルをベースにしており、BPDのグラフィカルな画面でモデリングすれば、自動的にプロセスが実行できることが目標となっていた。すでにIBMをはじめとするベンダがBPMNによる描画→BPEL4WS生成→プロセスエンジンによる実行をサポートするBPM/ESB製品を市場に投入している。 現在、OMG(Object Management Group)でBPDM(Business Process Definition Metamodel)というビジネスプロセスを定義するメタモデルの標準化を進めているが、BPMIではBPMN標準を受け入れるよう提案している。同時にOMGが開発中のUML 2.0でもBPELとのマッピングが検討されていることから、BPMNがUMLのアクティビティ図に統合される可能性も囁かれている。