地震防災GISの活用事例: 自治体と地域住民との協働による 地震防災の取り組み(豊橋市の例) 地震防災GISの活用事例: 自治体と地域住民との協働による 地震防災の取り組み(豊橋市の例) 工学院大学 久田嘉章・村上正浩 インフォマティクス:市居嗣之・生井千里 科学技術振興調整費:危機管理対応情報共有技術による減災対策 (平成16~18年)「住民参加による災害情報収集技術及び伝達に関する研究」 大都市大震災軽減化特別プロジェクト(平成14~18年) Ⅳ2.「災害情報:ニューメディアを活用した被害情報収集システム」
地震被害想定愛知県豊橋市 東海・東南海地震連動 人口:約36万人 地震被害想定 校区:51 避難所:90箇所 自主防災組織:435 校区:51 避難所:90箇所 自主防災組織:435 地震被害想定 死者:150~370人 負傷者:3500~7500人 避難者:7万6千人 全壊家屋:約12000棟 半壊家屋:約23000棟 出火件数:50~150件 消失家屋:約10000棟 東海・東南海地震連動
地域住民の力:1995年阪神淡路大震災の死者と人命救助をした人の内訳 死亡時刻 救助した人の内訳 埼玉県消防課:http://www.pref.saitama.lg.jp/A05/BC00/tenken/point8.htm 公助から自助・共助へ、住民との協働不可欠
自治体と地域住民の協働による地震防災 ○平常時の利用: 地域住民の防災力向上 防災WS(防災マップ作成・DIGなど) ・地震防災WS 地域住民の防災力向上 ・地震防災WS :地域点検・防災マップの作成 図上演習(DIG)の実施 → WebGISシステム ・地震防災訓練 :従来型総合防災訓練 まちなか発災対応型訓練 情報収集・被災マップの作成訓練 → ICTによる情報収集・伝達・共有 ・リーダー育成、自治体との協働体制 ○災害時の利用: 迅速な地震被害情報収集と共有 ・住民参加による被害情報収集と対応 ・ICTによる情報収集 ・自治体との情報共有 ○実証実験 ・東京都北区(2002~) ・愛知県豊橋市(2005~) 防災WS(防災マップ作成・DIGなど) WebGIS 防災マップ 耐震診断 など 被害推定情報など 実被害情報など 防災訓練(情報収集・発災対応) GIS ウェアラブルPC 携帯電話 GPS 中遠距離情報収集など
防災WS:WebGISによる地域点検マップの作成 地域点検マップづくりワークショップ ○実施日時:2005年8月7日(日)9時~12時30分 ○実施場所:豊城地区市民館(豊橋市飽海町・東田町西脇二区) ○実施内容:まちなかウォッチング,地域点検マップづくり まちなかウォッチングの様子(飽海町・東田町西脇二区)
防災WS:WebGISによる地域点検マップの作成) 地域点検情報アイコンの選択 地域点検マップづくりの様子 (豊城地区市民館) 地域点検情報 の登録 写真の例
WebGISによる地域点検マップの作成 ○WSの現場で地域点検マップを効率良く作成・提供が可能 ○マップ作成と同時に地域点検情報(文字・画像情報)をデータベース化 ○インターネット環境で地域点検情報をいつでもどこでも容易に閲覧・更新・ 検索が可能,また必要に応じてマップを各自で印刷可能(ユーザー制限有) ○詳細な地域点検情報と国・自治体が作成したハザード情報等をあわせて活 用することで,意識啓発や住民の防災活動にも活用可能 当日配付した地域点検マップ ハザード情報との重ね合わせ
防災訓練:発災対応力の向上と情報収集・共有 校区 災対本部 従来の情報伝達 (一極集中) 校区 校区 自治体 被害情報 電話 駆け込み 校区 避難場所(防災拠点) 住民 住民 住民 住民 住民 自治会 自治会 ・何万もの被害情報 ・全体像つかめず個別対応 ・デマによる混乱 ・情報は一方通行、見返り無し ICT 住民 住民 住民 住民 住民 住民 ・住民との協働による校区単位で情報集約+ICT情報収集 ・情報は双方向 従来型の地域防災訓練
2006年豊橋市防災訓練の流れと概要 実施日:2006年11月12日(日) 対象地域:豊橋市 住民参加:八町校区、栄校区 ①地震発生と初動対応 住民:情報収集、消火・避難活動 市:災害対策本部・避難所設営 参加機関:・収集端末による情報収集 ②情報伝達と集約 住民:被災マップ作成と伝達 市:情報の入力・伝達・集約(校区⇔市) 参加機関:各種シミュレーション開始 ③シミュレーション結果の伝達・表示 参加機関:各種シミュレーション結果 市:情報伝達・表示(校区⇔市) 住民:避難勧告など情報伝達 豊橋市役所 八町校区避難所 遠距離無線LAN 市対策本部 栄校区避難所
① 情報収集・伝達 住民:情報収集、消火・避難活動 被害看板設置(火災・建物・道路) 2地区を各6グループに分け、 八町校区 飽海地区 住民:情報収集、消火・避難活動 八町校区避難所 被害看板設置(火災・建物・道路) 栄校区 山田地区 2地区を各6グループに分け、 各グループで2~3箇所設置 栄校区避難所
① 情報収集・伝達 住民:情報収集、消火・避難活動(飽海地区73名、山田地区153名) 初期消火訓練 (消火器・バケツ・消火栓) 住民:情報収集、消火・避難活動(飽海地区73名、山田地区153名) 初期消火訓練 (消火器・バケツ・消火栓) 被災マップ作成 (総代確認) 一般防災訓練 (消火器・救援・救護) 避難訓練(要援護者) 避難者名簿作成 校区防災拠点
被災マップ(飽海地区住民) 発見ミス 一箇所 約30分 でマップ完成
① 情報収集・伝達 ICT収集端末による情報収集 中遠距離被害情報収集システム 現地被害情報収集システム 豊橋市役所 八町校区避難所 長距離無線LAN 中遠距離被害情報収集システム 現地被害情報収集システム 栄校区避難所
② 災害対策本部対応支援 災害対策本部活動支援システム(協力:豊橋市、消防研究センター、東京大学関澤研究室、安全・安心マイプラン) ② 災害対策本部対応支援 災害対策本部活動支援システム(協力:豊橋市、消防研究センター、東京大学関澤研究室、安全・安心マイプラン) 災害対策本部(仮) 被害情報表示システム 延焼予測(2時間後) 被害推定システム 避難所開設状況 延焼予測(5時間後)
③ 住民への情報伝達 災害対策本部活動支援システム(協力:豊橋市、消防研究センター、 東京大学関澤研究室、安全・安心マイプラン) ③ 住民への情報伝達 災害対策本部活動支援システム(協力:豊橋市、消防研究センター、 東京大学関澤研究室、安全・安心マイプラン) 避難経路(要援護者) 被害状況(Web GIS) 住民説明(八町校区) 避難経路(一般住民) 避難所情報(Web GIS) 住民説明(栄校区)
まとめ: 自治体と地域住民との協働による地震防災の取り組み(豊橋市におけるGISの活用事例) Web GISを活用し、地域点検マップ作成システムによる地震防災マップを作成(2地域)、及び、大震災発生時を想定した自治体と住民との協働による情報収集と発災対応訓練を実施 平常時における地震防災環境の認識、発災時における効率的な情報収集と共有、迅速な意思決定においてGISが有効なツールであることを確認 Web GISや情報収集システムなどICTを非常時に活用するには、平常時からの利用に加え、情報ボランティアの協力などが必要 現在、首都圏直下地震を想定し、新宿区において自治体・地域住民に加え、工学院大学の帰宅困難者をボランティアとして協働する体制・システムを構築中