角度分解能の向上を目指した 多重薄板型X線望遠鏡の開発

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角度分解能の向上を目指した 多重薄板型X線望遠鏡の開発 軸の説明 目標()の意味 からの要請サイエンスへ 宇宙物理実験研究室 林 多佳由

X線望遠鏡(XRT)・・・天体からのX線を集光・結像させる 回転放物面 回転双曲面 反射鏡 検出器 入射角θ<1° X線の物質に対する屈折率は 1よりわずかに小さい 検出器 「多重薄板型」X線望遠鏡 非常に薄い反射鏡を多数同心円状に並べたもの Wolter I型斜入射光学系 X線望遠鏡について説明します。X線はほとんどの物質で屈折率が1よりわずかに小さいために、入射角1°以下の非常に薄い角度でしか全反射させることができません。 そのため、X線望遠鏡には回転放物面と回転双曲面を組み合わせたWolterI型斜入射光学系が持ちいられます。しかし、非常に入射角が小さいため、多くのX線を集光させることができません。そこで、反射鏡を多重に積層した多重薄板型X線望遠鏡を採用しています。 見込む面積が小さいので集光できる光子が少ない

すざくの多重薄板型X線望遠鏡の構造 すざく衛星搭載X線望遠鏡 X線 反射鏡支持機構 アライメントバー 4段別々 反射鏡断面図 ハウジング 反射鏡175枚 Quadrant すざく衛星搭載X線望遠鏡 反射鏡 厚さ180μm X線 100mm 口径40cm 重量20kg 鏡面 : 金 2次曲面を円錐面で近似 反射鏡支持機構 アライメントバー  4段別々 反射鏡制作方法(レプリカ法) 表面が滑らかなガラス母型に  反射膜を成膜し、基板に転写。 反射膜と基板は接着剤で接着。 !!!!!X線の矢印!!!!! こちらの写真は2005年7月に打ち上げられたX線天文衛星すざく搭載の望遠鏡で、口径が40cm、重量が20kgで有効面積は420cm2となります。この性能を世界の他のX線望遠鏡と比べてみると、小型で軽量であるのに大有効面積を実現しているのが特徴です。一方結像性能は1.8分角となり、他の望遠鏡に比べそれほど優れてはいません。 望遠級の構造はQuadorantと呼ばれる1/4の扇形のハウジングにより構成され、このQuadrantに175枚の反射鏡が同心円上に積層されています。 反射鏡は厚さが180μmで基板にアルミニウム、鏡面に金をしようしており、制作の容易さから2次曲面を円錐面で近似したものになっています。 望遠鏡の構造 反射鏡を逆に、上から入る事を言う 製作 厚みが切れている 断面図に厚さを書く レプリカ法を書く 反射鏡断面図 反射膜[0.2μm] 接着剤(~25μm) アルミ基板 基板(アルミ150μm)

すざくのイメージ (性能評価方法の説明) 半径Rの円内に入る全光量 焦点面でのイメージ 検出器Z[分角] 半径R 光量 全体を1となるように規格化 -2 -4 2 4 検出器Z[分角] 半径R 1.8分角 HPD (Half Power Diameter) :全光量の半分が含まれる 円の直径 こちらは、地上校生試験で得られたすざくの望遠鏡の実際のイメージです。像の一部がかけているのは、各Quadrantの端の部分が、解放端となっているため、結像性能がきわめて悪くカバーをして集光しないようにしているためです。 右の図は望遠鏡の結像位置から半径Rを取り、その中に入る光量をプロットした図です。全光量を1に規格化しその半分が入る円の直径をHPDとよび、結像性能を評価するのに用います。 すざくの場合、このHPDは1.8分角になります。 2 4 -2 -4 検出器Y[分角]

結像性能の決定要因 ②反射鏡鏡面の形状誤差 ③反射鏡の位置決め誤差 ① 反射鏡の円錐近似 反射像 原理的な性能限界 非常に薄い反射鏡 ②反射鏡鏡面の形状誤差 鏡面のうねり 反射鏡 全体の反射像 各点での反射像 焦点面 多数の反射鏡1枚1枚 のばたつき ③反射鏡の位置決め誤差 反射像の結像位置 がばらつく 反射鏡 入射X線 各点での反射像 全体の反射像 焦点面 ① 反射鏡の円錐近似 反射鏡 (円錐面) 入射X線 反射鏡の放物面 と双曲面を 円錐面に近似 反射像に広がり 反射像 原理的な性能限界 すざく搭載 : 1.8分角 形状誤差 :    0.85分角 すざく搭載 : 1.8分角 円錐近似 :    0.3分角 位置決め誤差 : 1.5分角 この結像性能が1.8分角に広がっている要因を説明します。1つは最初に紹介した円錐近似によるものです、2次曲面を円錐面で近似しているため、像は集光せず広がりを持ってしまいます。2つの要因は、反射鏡の形状誤差です。反射鏡が180μmと非常にうすいため、表面にうねりが生じてしまい、反射したX線が広がるため、焦点面でも広がりを生むことになります。 もう1つは反射鏡の位置決め誤差です。非常に多くの反射鏡を積層しているため、その1枚1枚の位置が設計値からばらついてしまい、反射鏡1組ごとの結像位置がばらつくことにより像が広がります。 これらと決定要因を分離すると、すざくの場合は円錐近似が0.3分角、形状誤差が0.85分角、位置決め誤差が1.5分角となり、これらはそれぞれ、独立な要因であるため2乗和のルートで表され、全体として1.8分角の広がりを生んでいます。これを見て分かるように結像性能の主たる要因になっている、位置決め誤差を押さえることで望遠鏡の性能を向上させることができます。 目次 ページに番号 位置決め誤差を抑える 〜 1.8分角

昨年度までの研究:位置決め誤差の改善 反射鏡 アライメントプレートを導入 →なす角を固定 アライメントプレートを2枚一組   1枚をスライド 支持部分に反射体を付けない   反射鏡を開発 →隙間をなくす 支持部に反射体を付けない   →「マスク反射鏡」と呼ぶ そこで我々は位置決め誤差の改善を目指し研究を行ってきました。 二枚一組のアライメントプレートと呼ばれる反射鏡、支持機構を導入し、片方をスライドさせ反射鏡を挟み込むことにより 理想的な位置に固定しました。また、反射鏡の支持部分には反射体を付けない新しい反射鏡を作成し、 反射鏡基板の厚さのばらつきが小さいこと利用して、挟み込んだときの反射鏡のばたつきをおさえ、さらに位置決め誤差の改善を図りました。 こちらが新しい反射鏡で、支持部分に反射体が着いていない事が解ります。こちらは従来のものです。 つなげている接着剤の厚さの制御が困難なため厚い反射鏡がアライメントプレートのスライド量を制限してしまい、反射鏡のばたつきを十分に抑えることができませんでした。そこで、反射鏡の支持部分には反射体を付けない新しい反射鏡を作成し、十分スライドすることで反射鏡を理想の位置に 固定しました。 アライメントバーの問題点は要らない もっと削る 名前を定義2007 全ての反射鏡で溝の遊びがなくなる スライドさせる

昨年度までの研究の成果と課題 位置決め誤差は大きく改善 形状誤差は悪化 昨年度試作望遠鏡 すざく搭載望遠鏡: HPD=1.47分角 形状誤差 :    0.85分角 (反射鏡自体の 形状性能) 形状誤差: 1.13 ±0.04分角 円錐近似: 0.3分角 (設計値) これらの研究の結果、すざくでは主要な結像性能の劣化要因であった位置決め誤差は1.5分角から0.55分角まで大きく改善しました。しかし、反射鏡の形状誤差は逆に0.85分角から1.13分角へ悪化してしまいました。全体の結像性能を1分角以下にする事を目標にすると、今度は形状誤差の改善が必要になってきました。 大きさのことなる---反射鏡の製造工程---失敗の 1pair測定 歴史は列挙する程度でも 同じ条件で1分切った事を強調 結果を端的に Suzakuから鈴木さんまでを短く 目標は入れない 全体の 中間的 タイトルが二つある イントロが長い 同じ高さに 位置決め誤差 : 1.5分角 (反射鏡の理想的な位置からのずれ) 位置決め誤差: 0.55±0.08分角 位置決め誤差は大きく改善 形状誤差は悪化

昨年度までの研究の成果と課題 多重薄板型X線望遠鏡の 結像性能と反射鏡積層数 *数字は反射鏡の積層数 ■衛星計画搭載望遠鏡 ■試作望遠鏡 120 175 9 5 3 10 1995 2000 2005 2010 年 0 0.3 1 2 3 4 HPD [分角] ■衛星計画搭載望遠鏡 ■試作望遠鏡 ASCA Astro-E Suzaku 多重薄板型X線望遠鏡の 結像性能と反射鏡積層数 *数字は反射鏡の積層数 (反射鏡はNASA/GFSC製) 1分角 原理的限界 自作の反射鏡を用いて HPD=1分角は未達成 反射鏡の積層数が 望遠鏡全体の 6%未満 この図は現在までの衛星計画に搭載された望遠鏡と私たちの研究の中で製作した試作望遠鏡の性能を表しています。 横軸は製作、または打ち上げた年、縦軸はHPDで中の数字は反射鏡の積層数です。

本研究の目的 1.反射鏡を改良し、望遠鏡全体でHPD≦1分角 2.曲率半径が最大と最小を含む40組(全体の20%強)   の反射鏡を組み込み、望遠鏡製作技術の確立 を目指す そのために、 反射鏡の表面形状悪化原因を特定 反射鏡を改良(目標を達成するためには形状誤差≦0.8分角) 改良した反射鏡を多数製作 試作望遠鏡を製作、性能評価 昨年度試作望遠鏡:  1.47分角  反射鏡10組 位置決め誤差: 0.55分角 形状誤差: 0.8分角以下 目標:1分角以下 結果を端的に Suzakuから鈴木さんまでを短く 曲率半径が小さいところから大きい所まで 結像集光の意味 世界 1分角の意味 反射鏡40組 形状誤差:  1.13分角 位置決め誤差:  0.55分角

表面形状悪化原因の特定 マスク反射鏡では位相角方向端に 接着剤のムラによる形状誤差の悪化 X線測定結果と一致 マスク反射鏡 だけで見られる 1 2 3 ••• セクター X線測定結果と一致 マスク反射鏡   だけで見られる 反射鏡厚さ測定  (ダイアルゲージ) -40 -20 0 20 40 母線方向位置 [mm] 200 220 240     厚さ[μm] 中央の厚さ 基板(アルミ200μm) 接着剤(~25μm) 反射膜[0.2μm] 反射鏡断面図 200 220 240     厚さ[μm] -40 -20 0 20 40 母線方向位置 [mm] 端の厚さ マスク反射鏡では位相角方向端に 接着剤のムラによる形状誤差の悪化 0 2 4 6 HPD [arcmin] 昨年度X線測定 マスク反射鏡使用 4   6   8 10   12 セクター では次に何が表面形状を悪化させているのかを探るため、反射鏡の厚さをダイアルゲージを用いて測定しました。 中央ではこのようにほぼ平になりましたが、一方、反射鏡端ではこのように大きな厚さムラができている事が解りました。 これをこの位置の表面形状と比較してみるとこのように非常に似た形にり、厚さムラが表面形状を表している事が理解できます。 反射鏡はアルミ基板と接着剤と0.2μmの反射膜で構成されているので、厚さムラを生むのは接着剤しか考えられないことから、 表面形状悪化の原因は接着剤の厚さムラである事が解りました。 厚さの数字 どれだけ 結論を明確に 中央:HPDで      1分角以下 端:下に凸型   HPDで数分角     ~十数分角

反射鏡の改良 接着までの時間 接着剤の粘性 マスクの貼り方 接着時の圧力 接着剤硬化時の圧力 など‥ 接着剤の厚さ 詳しくは修論4章参照 反射鏡の改良  接着剤の粘性 接着時の圧力  接着剤の厚さ 接着までの時間 マスクの貼り方 接着剤硬化時の圧力 など‥    詳しくは修論4章参照  裁断機を使用 切断時の 歪みが問題 そこで、予め長い反射鏡を製作し切断 表面形状を保存して切断可能 全面で表面形状の良い 反射鏡の作成に成功 切断後 切断前 -10 0 10 Height[μm] -40 -20 0 20 40 母線方向位置 [mm] -50 0 50 位相角方向位置 [mm] 0 2 4 6 HPD[分角] 改良した反射鏡 平均0.66分角 次に発想をかえて、形状の悪い部分は捨ててしまおうと考えました。 この図は反射鏡の端からの距離とHPDを表した図です。 30mm入ると形状性能に問題ないので、今回は20mmのところで切る事にしました。 切断前に表面形状を測定し、シャーリングで切断した後、再測定しました。 このように切断前後でほとんど表面形状は変化せず、反射鏡を歪めずに切断することができましたといえます。 この方法で作成した反射鏡の表面形状を表したのがこの図で、横軸は反射鏡の位相角方向の位置、縦軸はその位置のHPDを表しています。 HPDの平均は0.66分角とました。 改良前の結像性能と比較すると、端の極端な結像性能の悪化が消えている事が解ります。 このように、全面で表面形状の良い反射鏡の作成に成功しました。 これらから全面で形状の良い反射鏡の作成に成功したと言えます。 やったことその2 長くして切った有効面積は保存

反射鏡製作 表面形状から予想される結像性能は 目標の0.8分角以下 4つの曲率半径 反射鏡179枚製作(製作期間3ヶ月) 0 1 2 3 HPD [分角] 0 5 10 度数 平均:0.85[分角] 平均:0.75[分角] 平均:0.49[分角] 表面形状を測定 (レーザー変位計) 4つの曲率半径 反射鏡179枚製作(製作期間3ヶ月) うち、形状の良い80枚を選別 歩留まり 表面形状から予想される結像性能は 目標の0.8分角以下

試作望遠鏡の製作と可視光測定 可視光による 結像イメージ 望遠鏡全体 セクター毎 アライメントプレート調整後に 可視光で結像中心を測定 R170mm R80mm R100mm -2 0 2 検出器Y座標[分角] -2 0 2       検出器Z座標[分角] 1つのセクターの 結像中心(線は像の向き) HPD=1.54 可視光による 結像イメージ 望遠鏡全体 セクター毎 -2 0 2 検出器Y座標[分角] -2 0 2       検出器Z座標[分角] 9回調整 HPD=0.55 ~昨年度位置決め誤差 HPD=0.77 HPD=0.79 R114mm 曲率半径のちっちゃいやつから大きいやつまで。 望遠鏡全体を表す 4番台に10ずつ完成品 去年の事も言う アライメントプレート調整後に 可視光で結像中心を測定 アライメントプレートを再調整 (μm単位)

X線光学測定システム (宇宙研30mビームライン) 平行度:13秒角 4.5 m 30 m XRT CCD X線発生装置 スリット X線 CCD Quadrant X線 上流 下流 Ti-Kα 4.51 keV

X線光学測定 曲率半径最大と最小を含む反射鏡40組 HPD=1.08±0.02分角:望遠鏡製作技術確立 0.89±0.02分角 -8 -4 0 4 8 検出器Y座標[分角] -8 -4 0 4 8         検出器Z座標[分角] 反射鏡10組 -8 -4 0 4 8 検出器Y座標[分角] -8 -4 0 4 8         検出器Z座標[分角] 0 2 4 6 8 半径[分角] 0 5 1       Encircled Energy Function 0 2 4 6 8 半径[分角] 0 5 1       Encircled Energy Function 半径R 半径R HPD=1.08±0.02分角 HPD=0.89±0.02分角 4種類の曲率半径を 1種類の曲率半径10組 曲率半径最大と最小を含む反射鏡40組 HPD=1.08±0.02分角:望遠鏡製作技術確立 昨年度と同じ条件、反射鏡10組: HPD=1.47±0.02(昨年度) 0.89±0.02分角

端のセクターの結像性能 端のセクターの結像性能 劇的に改善 反射鏡の改良 成功 HPD=5分角 1分角 昨年度問題になった 端のセクターの          結像性能 0 2   4 HPD[分角] HPD=5分角   1分角    4 6 8 10 12 セクター 端のセクターの結像性能 劇的に改善 反射鏡の改良 成功

結像性能決定要因の切り分け 10セクター×反射鏡40組= HPD=0.66分角 400の局所的なイメージの、 1.結像中心のばらつき -8 0 8   検出器Y座標[分角] -8 0 8   検出器Z座標[分角] 反射鏡の位置決め誤差 による像のばらつき 位置決め誤差 10セクター×反射鏡40組= 400の局所的なイメージの、 Encircled Energy Function 0 0.5 1 0 4 8   半径[分角] HPD=0.66分角 HPD=0.55(昨年度,10組) → 0.66分角 2.結像中心を揃えたイメージ 形状誤差 -8 0 8   検出器Y座標[分角] -8 0 8   検出器Z座標[分角] 反射鏡の形状誤差 による像の広がり 0 4 8   半径[分角] Encircled Energy Function 0 0.5 1 HPD=0.76分角 HPD=1.13(昨年度)     → 0.76分角  0.8分角の目標を達成 セクター毎の反射鏡1組のイメージ、セクターが10、反射鏡が40組あるので、合計400の局所的なイメージを測定しました。 それらの結像中心のばらつきを示したのがこの図です。 始めにご説明した通り、結像中心のばらつきは反射鏡の位置決め誤差を表します。 次に、400の局所的なイメージの結像中心を揃えたイメージがこの図です。 これは反射鏡の形状誤差を表しています。

結果と課題 反射鏡40組でHPD=1.08分角、10組で0.89分角を達成 (世界最高水準) 曲率半径が最大と最小を含む反射鏡40組(全体の~20%強)                 を用いた望遠鏡製作し、製作技術を確立 反射鏡の表面形状の悪化を改善し、形状誤差は0.76分角を達成 反射鏡40組を使用した場合位置決め誤差は0.66分角となった 昨年度試作望遠鏡: 1.47分角   反射鏡10組 位置決め誤差: 0.66分角 形状誤差: 0.76分角 本研究試作望遠鏡:1.08分角 反射鏡40組 4種類の曲率半径 位置決め誤差を軽く まとめと結果 自分がやったことを明確に 自分の 何を目指すか? 課題。 スーパーミラーと組み合わせて観測を目指す。 形状誤差: 1.13分角 位置決め誤差: 0.55分角

結果と課題 多重薄板型X線望遠鏡の結像性能 *数字は反射鏡の積層数 ■衛星計画搭載望遠鏡 さらなる結像性能の ■試作望遠鏡 向上には、 120 175 9 5 3 10 1995 2000 2005 2010 年 0 0.3 1 2 3 4 HPD [分角] ■衛星計画搭載望遠鏡 ■試作望遠鏡 ■本研究試作望遠鏡 ASCA Astro-E Suzaku 多重薄板型X線望遠鏡の結像性能 *数字は反射鏡の積層数 (反射鏡はNASA/GFSC製) 1分角 原理的限界 40 さらなる結像性能の 向上には、 曲率半径の大きい 反射鏡は基板を厚く アライメントプレートの 溝幅を曲率半径毎に 変える

支持部に反射体を付けない反射鏡の作成方法 新しい反射鏡制作方法 接着剤~テープ厚 マスクテープ ~20μm 接着剤スプレー 反射膜を蒸着した ガラス毋型を圧着 母線方向 ガラス毋型 ~10mm アルミ基板 ~200μm 反射膜 ~ 0.2μm では次に何が表面形状を悪化させているのかを探ってみました。まず新しい反射鏡の作成方法を見てみます。図ではこの矢印の方向が反射鏡の母線方向です。 まず200μmのアルミ基板の両端にマスクのためのテープを貼ります。次に接着剤をスプレーします。その上に表面に反射鏡である金を蒸着したガラス母型を圧着し、 接着剤硬化ごに母型から剥がし、最後にマスクテープをはがします。完成した反射鏡は200μmのアルミ基板と20μm程度の接着剤と0.2μmの金の反射膜からできています。 この反射鏡の厚さを測定してみました。中央付近ではこのようにほぼ平になりました。一方、反射鏡端ではこのように大きな厚さムラができている事が解りました。 これをこの位置の表面形状と比較してみるとこのように非常に似た形にり、厚さムラが表面形状を表している事が理解できます。 反射鏡の構造上、厚さムラを生むのは接着剤しか考えられないことから、表面形状悪化の原因は接着剤の厚さムラである事が解りました。 接着剤硬化後毋型から剥離 マスクを除去

厚さムラ起こり方 脱泡のため 真空に引く(~10分) ガラス毋型 中央と端の接着剤の違い 圧着 中央に集まる 接着剤は中央に集まる 基板 ガラス毋型 中央と端の接着剤の違い 圧着 中央に集まる 接着剤は中央に集まる →端は薄い 接着剤均一 基板の端は 接着剤が薄くなる 弾性変形していた基板が 元に戻る 接着剤(テープより薄い) ガラス毋型 ~10mm 基板が変形して 基板が毋型に着く 実際に接着剤が薄いと中央でも 基板側に凸の悪い形状 特徴的な下に凸型 アルミ基板 ~200μm マスクテープ ~20μm 接着剤 スプレー 反射膜 ~ 0.2μm 接着剤硬化後毋型から剥離 マスクを除去 今度はこの反射鏡の端だけに生じる接着剤のムラはどのようにできるのかを考えてみます。基板に接着剤をスプレーした直後は 接着剤は均等に付いていると考えられます。しかし、ガラス毋型を圧着するときに脱泡する必要があるため真空を引きます。 このときに重力によって接着剤は基板中央に集まり、逆に端では薄くなります。これによって中央と端で接着剤の厚さの違いが生じます。 この状態で圧着を行なうと、端ではテープよりも薄い接着剤が基板に乗っている状態で圧力をかける事で基板曲がって無理に母型に着きます。 接着剤硬化後に母型から剥がすと弾性変形していた基板が元に戻りその分反射鏡表面に影響を与え特徴的な凸型の形状を作ると考えられます。 実際、中央付近でも極端に接着剤を薄くすると同じ凸型の形状ができる事が判っています。

解決策2:完成した反射鏡表面形状 改良した反射鏡 平均0.66分角 20mm毎に測定 -50 0 50 位相角方向位置 [mm] -50 0 50 位相角方向位置 [mm] 0 2 4 6 HPD[分角] 改良した反射鏡 平均0.66分角 20mm毎に測定 HPD=0.87[arcmin] HPD=0.40[arcmin] HPD=0.33[arcmin] HPD=0.54[arcmin] HPD=0.48[arcmin] HPD=0.84[arcmin] HPD=1.11[arcmin] HPD=0.70[arcmin] そのようにして作成した反射鏡の形状を測定してみました。反射鏡の動径方向20mm毎に母線の表面形状を8ライン測定した結果がこちらになります。 平均のHPDはこのサンプルで0.66分角となりました。 動径方向とHPDの関係を表すとこうなり、端に見えていた極端な結像性能の悪化はなくなりました。 これらから反射鏡全面で表面形状の良い反射鏡の作成に成功したと言えます。

表面形状悪化原因の特定 マスク反射鏡では位相角方向端に 接着剤のムラによる形状誤差の悪化 X線測定結果と一致 マスク反射鏡 だけで見られる 1 2 3 ••• セクター X線測定結果と一致 マスク反射鏡   だけで見られる 反射鏡厚さ測定  (ダイアルゲージ) -40 -20 0 20 40 母線方向位置 [mm] 200 220 240     厚さ[μm] 中央の厚さ アルミ基板(200μm) 接着剤(~25μm) 反射膜[0.2μm] 反射鏡断面図 200 220 240     厚さ[μm] -40 -20 0 20 40 母線方向位置 [mm] 端の厚さ マスク反射鏡では位相角方向端に 接着剤のムラによる形状誤差の悪化 0 2 4 6 HPD [arcmin] 2008,X線測定 マスク反射鏡使用 4   6   8 10   12 セクター では次に何が表面形状を悪化させているのかを探るため、反射鏡の厚さをダイアルゲージを用いて測定しました。 中央ではこのようにほぼ平になりましたが、一方、反射鏡端ではこのように大きな厚さムラができている事が解りました。 これをこの位置の表面形状と比較してみるとこのように非常に似た形にり、厚さムラが表面形状を表している事が理解できます。 反射鏡はアルミ基板と接着剤と0.2μmの反射膜で構成されているので、厚さムラを生むのは接着剤しか考えられないことから、 表面形状悪化の原因は接着剤の厚さムラである事が解りました。 厚さの数字 どれだけ 結論を明確に 中央:HPDで      1分角以下 端:下に凸型   HPDで数分角     ~十数分角

2008年までの研究の成果と課題 2008,試作望遠鏡 HPD=1.47分角 すざく搭載望遠鏡: HPD=1.8分角 反射鏡175組 形状誤差 :    0.85分角 (反射鏡自体の 形状性能) 形状誤差: 1.13 ±0.04分角 円錐近似: 0.3分角 (設計値) これらの研究の結果、すざくでは主要な結像性能の劣化要因であった位置決め誤差は1.5分角から0.55分角まで大きく改善しました。しかし、反射鏡の形状誤差は逆に0.85分角から1.13分角へ悪化してしまいました。全体の結像性能を1分角以下にする事を目標にすると、今度は形状誤差の改善が必要になってきました。 大きさのことなる---反射鏡の製造工程---失敗の 1pair測定 歴史は列挙する程度でも 同じ条件で1分切った事を強調 結果を端的に Suzakuから鈴木さんまでを短く 目標は入れない 全体の 中間的 タイトルが二つある イントロが長い 同じ高さに 位置決め誤差 : 1.5分角 (反射鏡の理想的な位置からのずれ) 位置決め誤差: 0.55±0.08分角 反射鏡175組 反射鏡10組

2008年までの研究の成果と課題 多重薄板型X線望遠鏡の 結像性能と反射鏡積層数 *数字は反射鏡の積層数 ■衛星計画搭載望遠鏡 120 175 9 5 3 10 1995 2000 2005 2010 年 0 0.3 1 2 3 4 HPD [分角] ■衛星計画搭載望遠鏡 ■試作望遠鏡 ASCA Astro-E Suzaku 多重薄板型X線望遠鏡の 結像性能と反射鏡積層数 *数字は反射鏡の積層数 (反射鏡はNASA/GFSC製) 1分角 原理的限界 自作の反射鏡を用いて HPD=1分角は未達成 反射鏡の積層数が 望遠鏡全体の 6%未満 多数枚の   反射鏡製作が必要