情報処理の概念 #6 電子出版、Web、PDF、電子図書館 / 2002 (秋)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
Web アクセシビリティ ~新しいアクセシビリティの基準~ 北海道情報大学 情報メディア学 部 情報メディア学科 新井山ゼミ 山口 岳.
Advertisements

図書・雑誌・論文検 索 岩手大学情報メディアセンター図書館 - 2012年 -. 検索とは 文書やデータの中から必要な事項をさがし 出すこと(広辞苑第6版) 文書やデータの中から必要な事項をさがし 出すこと(広辞苑第6版) – インデックス型 文字列が検索キー
DTP/Web パブリッシング 1. この授業について. DTP とは DeskTop Publishing ワークステイションやパソコン上の レイアウトソフトを用いて編集作業を 行い、レーザープリンターなどの高精 細な印字装置で出力し、書籍などの印 刷物を作成すること。 デスクトップ プリプレス.
Web-GIS の開発と地盤情報の 高度利用に関する共同研究について -具体的な共同研究テーマ ( 案 ) - 「地質・地盤情報協議会」・ 「 Web-GIS コンソーシアム」説明会資料 全国地質調査業会連合会・情報化委員会.
2.Web2.0 とは. 2-1. Web とは Web とは・・・インターネットなどのネットワークに接続されているコンピュータを利用して、 誰もが情報を閲覧することができるように公開する システム 1989 年に欧州核物理学研究所 (CERN) の Berners-Lee が学術論文や資料の管理を.
図書館活用法 Ⅰ 第8講 インターネット情報とその利用法 (1) (明治大学図書館庶務課 菊池).
Word で XML マニュアルを編集 し、 XML を自動組版する 1. XML の自動組版概要 2. Word での原稿入力 アンテナハウス株式会社 2004/09/03.
1 1)外部の図書館の利用のしかた ①国立国会図書館 ( 東京本館・・・千代田区永田町 ) 国会議事堂の近く。 ● 満 18 歳以上であれば、だれでも施設・資料を利用することができる。 ● インターネットによる複写サービスもある。 ●NDL-OPAC というシステムから、インターネットを使ってどこからでも.
1 File #1 2 Apache入門 3 Apache とは・・・ 4 ・世界で最も利用されてる WWW サーバー ○ Apache の特徴 ・動作が軽快 ・豊富な機能をモジュールにより追加できる.
情報処理の概念 #7 HTML における構造と表現、アーカイブ / 2002 ( 秋 ) 一般教育研究センター 安田豊.
情報処理の概念 #6 HTML における構造と表現、アーカイブ Yutaka Yasuda, Kyoto Sangyo University.
雑誌記事 DB の使用方法. 8-3 MAGAZINEPLUS データベース 38) 概要 MAGAZINEPLUS ( NICHIGAI/WEB サービス) – 約 30,000 誌、 11,000,143 件( 2010/01/22.
情報モラルと著作権 道徳・特別活動・総合的な学習の時間. 目次  情報モラル 情報モラル  著作権 著作権  関連する Web ページの紹介 関連する Web ページの紹介.
DTM を使った楽曲制作 DTM を扱う職業などの調査 北海道情報大学 情報メディア学 部 情報メディア学科 新井山ゼミ 宮本 拓美.
「コンピュータと情報システム」 03章 ソフトウェア
W e b 2.0 メディアコミュニケーション論Ⅲ 第4回.
電子書籍を さがす どんな書籍があるの? Maruzen eBook Libraryは、学術機関向け和書の電子書籍提供サービスです。
第2章 ネットサービスとその仕組み(前編) [近代科学社刊]
情報処理の概念 #3 電子出版、Web、PDF、電子図書
情報処理基礎 2006年 6月 1日.
電子書籍を さがす どんな書籍があるの?
情報技術と著作権.
DRMのコンセプト 2004/01/15 DRM 入江 伸.
早稲田大学大学院理工学研究科 情報科学専攻修士2年 後藤滋樹研究室 坂本義裕
背景について 国立天文台 天文情報センター.
NIIメタデータデータベースの構想 国立情報学研究所 開発・事業部 コンテンツ課 米 澤 誠
第3章 第2節 ネットワークを活用した 情報の収集・発信 6 情報の多様な提示方法 7 構造を工夫した情報の表現方法 8 ウエブページの公開
中学校「総合的な学習の時間」 基礎講座 本庄市立本庄南中学校 第一学年.
Webサイト運営 09fi118 橋倉伶奈 09fi131 本間昂 09fi137 三上早紀.
情報処理の概念 #5 HTMLにおける構造と表現、アーカイブ / 2003 (秋)
第6章 インターネットと法律(前編) [近代科学社刊]
お勧めのリンク集                安江正治        学籍番号 課程、専攻 宮城教育大学.
5.国立図書館 (1)国立図書館とは ・国家が設置し、国費で運営する図書館 ・国民全体を奉仕対象とする ・国全体の図書館を代表する
情報検索演習の基礎 1.どういう検索をするのか コンピュータを用いた検索である
コンピュータ基礎実習上級 #1 概要説明と基礎体力テスト
SGMLについて 2年8組  原口 文晃.
“W e b 2.0”,次どこへ?  - バズワード メディアコミュニケーション論Ⅲ 第3回.
小樽商科大学学術成果コレクション (Barrel) - ねらいとお願い
お勧めのリンク集                氏名        宮城教育大学 課程、専攻 学籍番号.
2003年度 データベース論 安藤 友晴.
インターネットと遠隔講義/講座 大阪市立大学 学術情報総合センター 中野秀男
製品情報 Windows Server 2003のサポート終了をむかえ、ファイルサーバーの入れ替えを検討されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?既存のファイルサーバーをいきなりクラウド化するとインターネット回線の影響で、エクセルやワードのようなサイズの小さなファイルでさえ、開くまでに時間がかかってしまうことがあります。
お勧めのリンク集                氏名 学籍番号        課程、専攻 宮城教育大学.
第3章 第2節 ネットワークを活用した 情報の収集・発信(2) 4 文書の構造と表現
お勧めのリンク集                氏名 学籍番号        課程、専攻 宮城教育大学.
インターネット利用法実習 経営工学基礎演習a(第3週).
お勧めのリンク集                氏名 学籍番号        課程、専攻 宮城教育大学.
京都大学図書館機構における オープンアクセスの取り組み
HTML の成り立ち 惑星物理学研究室 4年 安達 俊貴.
Maruzen eBook Libraryは、学術機関向け和書の電子書籍提供サービスです。 rev 電子書籍を さがす
平成20年度 奈良教育大学学術リポジトリ成果報告
ディスカバリーサービス プリモ ~ Discovery & Delivery ~
Maruzen eBook Libraryは、学術機関向け和書の電子書籍提供サービスです。 rev 電子書籍を さがす
KARN 鹿児島県 学術共同 リポジトリ 始めます 意 義 あなたも
情報技術演習Ⅰ 人文学研究のための情報技術入門 2017/06/08
お勧めのリンク集                氏名 学籍番号        課程、専攻 宮城教育大学.
コンピュータ リテラシー 担当教官  河中.
国立国会図書館の インターネット上の 情報資源に対する取り組み
第一回 情報セキュリティ 05A1027 後藤航太.
様々なデータの蓄積,共有が簡単操作で可能に!
ダウンロード違法化(文化庁案) ○法改正するとされていること ○権利者団体がするとされていること
ISO23950による分散検索の課題と その解決案に関する検討
情報教育論 最終課題 「授業計画書の作成」 2001.1.22
富岳3776景 防災 減災 少子 高齢 産業 創出 富岳3776景 誕生の キッカケ 富岳3776景 でこう 変わった!
平成28年度 著作権法改正の動向について 2017年4月20日.
凸版印刷 株式会社 情報・出版事業本部 問合せ先: メディア販促 斉山、大竹( ) システム開発 田原( )
あなたの論文を 世界の宝に! 期間中(10/21-27)に 図書を借りると、 ステキなグッズが 当たるよ! オープンアクセスウィーク?
1.保有データを自治体Webサイトで公開しよう①
情報処理の概念 #0 概説 / 2002 (秋) 一般教育研究センター 安田豊.
著作権とライセンス.
Presentation transcript:

情報処理の概念 #6 電子出版、Web、PDF、電子図書館 / 2002 (秋) 一般教育研究センター 安田豊

出版の歴史 出版とは何か? 出版=著作物の大量複製となる はじまりはグーテンベルグから 著作物を世に出すことである 15世紀なかば、活版による活字印刷

出版の歴史 手書きの書物一冊でも出版にはなるが 世に出す=大量に出す 電子出版への流れ 複製:より多くの読者に伝えるための手段 写経をはじめとした聖書複製の歴史を見よ 死海写本 (B.C.200頃から) 世に出す=大量に出す デジタル世界で複製の概念は一変 容易な複製は容易な出版に直結する(はず) 電子出版への流れ

電子出版はどこから始まったか 1984 Macintosh 1986 LaserWriter WYSIWYG (What You See Is What You Get) 見たままが得られるという操作性 1986 LaserWriter Adobe PostScript の発明 DTP (Desk Top Publishing) の誕生 ワーノックとジョブスの出会い

電子出版はどこから始まったか DTP のポイント 電子出版過程の一部分という視点 ではPDFはいかに? 成果物は紙 紙への出力の過程を電子化したもの 電子出版過程の一部分という視点 成果物が紙ではなくデータ(電子化された情報)であることが full の電子出版 ではPDFはいかに?

PDF は電子出版か Adobe Portable Document Format 印刷イメージを電子化 これが電子出版か? 交換可能な、という意味 ファイル作成時に使用したアプリケーションやプラットフォームに関わりなく、あらゆるソースドキュメントについて元のフォント、レイアウト、カラー、グラフィックスをすべて保持 印刷イメージを電子化 ブラウザで見る 紙に印刷する これが電子出版か?

PDFは電子出版か これが電子出版か? => NO 成果物は電子化された紙にすぎない 電子化=データ化、情報化 その価値・可能性を無視している 機械可読である価値を大切に Webを例に説明

Web の登場 1995年ごろ、突如登場 目的は情報共有(研究成果の共有) インターネット普及の立役者 ARPANETからの連続性を感じる人は僅か 目的は情報共有(研究成果の共有) 1990 CERN のティム・バーナーズ・リー 1993 NCSA のマーク・アンドリーセン Mosaic (後にジム・クラークと Netscape を起業) インターネット普及の立役者 キラーアプリケーションとして機能

Web 成功の理由 成功の理由 操作の簡便さ マルチメディア リンクという概念 (HyperText) サイト作成も簡単 (HTML)

Web 成功の理由 多くのプラットホームをサポート アプリケーションインタフェイスへの変化 NCSA Mosaic : Windows / Mac / Unix (X) 無料試用、ダウンロード可 教育関係組織は継続利用も無料 アプリケーションインタフェイスへの変化 ただブラウジングするだけではない サーバ・クライアントの標準対話言語

Web がもたらしたもの 誰もが出版することが可能になった Web出版という「スタイル」の特徴 低い参入障壁 資金・設備・技術力 電子ショップ開店の負担が軽いのに相似 Web出版という「スタイル」の特徴 即時公開 散在(出版社などによる管理がない)

Webがもたらしたもの Web出版「物」の特徴 出版という目的と Web の相性 断片的(まとめて書ける人は少ない) 流動的(固定されない) 信頼性(査読、保証が無い) 紙への出力を目的としていない 出版という目的と Web の相性 合うところと合わないところ がある

Web がもたらしたもの 誰もが可能な情報発信環境 記述言語に HTML を採用 機械可読 そう望む個人の誰もが実施可能になった SGML の柔軟性 構造の記述による情報の再利用 機械可読 ロボット型サーチエンジンの登場

サーチエンジン はじめは Yahoo! ロボット型の登場 リンク集 1994, Stanford University デビッド・ファイロ、ジェリー・ヤン 人間が読み、登録し、並べた ロボット型の登場 自動的にネットを巡回 プログラムが Web ページを読み、登録

ロボット型サーチエンジン HTMLの機械可読性が活きている 大量の情報発信がもたらすもの 一次情報はまず機械が読むという感覚 溢れる情報 人間が振り回されるのはおかしい 今後はニュースなどもまず機械が読む 裏書きの重要性 (新聞社は何を売っているのか?)

電子出版 過程の電子化はもはや果たした 成果物を電子化データとして出版 情報処理の可能性を重視せよ そして出版と同時に蓄積を意識せよ 機械可読性を重視せよ 情報処理の可能性を重視せよ Google のポイント評価方式 PDF は文書の構造を表現できない そして出版と同時に蓄積を意識せよ 電子出版では出版と蓄積は同義である

出版と蓄積 出版と蓄積の分業 納本制度 電子出版物がカバーされていない! 出版社:publishing / 図書館:archiving 文化財の蓄積及びその利用に資するため、発行者は、発行の日から30日以内に、最良版の完全なもの1部を国立国会図書館に納入(義務) 対象:図書、雑誌、楽譜、地図、パッケージ系電子出版物など 電子出版物がカバーされていない!

国立国会図書館 http://www.ndl.go.jp/ 電子図書館機能 貴重書画像データベース 近代デジタルライブラリー (画像) WARP

WARP Web Archiving Project / 国立国会図書館インターネット資源選択的蓄積実験事業 ネットの情報は頻繁に更新・削除され日々失われる 平成14年3月から納本制度審議会で検討を開始 「ネットワーク系電子情報と納本制度のあり方」 「審議会での審議に供するため」平成14年度から、 ウェブ情報を文化資産として将来の世代のために保存する実験を実施 (1)ウェブコレクション (2)電子雑誌コレクション いいわけがましさが苦しさを物語る

WARP Web Archiving Project 国立国会図書館インターネット資源選択的蓄積実験事業 2002.11.1 より公開 電子雑誌400件 著作権法との関係のむつかしさ 「WARPではデータの収集、保存、提供に関する許諾契約を結んでいます。収集データの著作権は、オリジナルのデータの著作権者が保有しています。 著作権に十分ご留意の上、ご利用下さい。」

その他の電子アーカイブ 過去の著作物から積極的に電子化 著作権法の期限外のものから グーテンベルグ計画 青空文庫

まとめ 出版とは広めることが目的 Webがもたらしたもの 機械可読であることの可能性 蓄積を忘れるな 電子化は出版の可能性を大きく変える 電子出版の流れ(DTPからWebへ) Webがもたらしたもの 無制限な多くの作家の登場 散在する断片的なドキュメント 機械可読であることの可能性 サーチエンジンの可能性 蓄積を忘れるな 電子出版では出版と蓄積は同義