電池の化学 電池とは化学反応によってエネルギーを 直接に(直流)電力に変換する装置 燃焼: 化学反応 → 熱エネルギー 電池: 化学反応 直接に(直流)電力に変換する装置 燃焼: 化学反応 → 熱エネルギー 電池: 化学反応 → 電気エネルギー どんな化学反応か? 酸化還元反応
酸化還元反応 酸化反応 電子を失う反応 還元反応 電子を受け取る反応 電気が流れる
化学電池の構造 負極:電子を出す 正極:電子を受け取る 電流が 流れる 電流が 流れる 電解質: 負極と正極をつなぎ イオンを伝え、 酸化還元反応を起こす
電池の始まり イタリアの生物学者ガルバーニが カエルの足の神経に 真鍮と鉄の棒を触れさせると 足がピクピクと動くことを発見 生物の体内には電気が流れている 生物の体内には電気が流れていて、それを金属が伝えた
電池の始まり2 ボルタがガリバーニの説に異論 生物の体内には電気が流れていて、それを金属が伝えた ではなく、 金属で作られた電気がカエルの体液(電解液)を伝わった。 適切な金属と電解液があれば電池が作れるはず!
ボルタの電池 適切な金属と電解液があれば電池が作れるはず! 負極に亜鉛、正極に銅、電解液に硫酸 を用いた電池を発明
ボルタの電池 ナポレオンの前で実験 ナポレオンの辞書に 「電池」を加えることに成功 ペリーとボルタ電池 ペリー二度目の来日で ボルタ電池を将軍に渡す
ダニエル電池 ボルタ電池を改良、 より安定して電気が流れるように
ボルタ・ダニエルは電解液が液体で漏れやすい、 そこで、ゲル状にして漏れにくい電池を開発 マンガン電池 (ルクランシェ電池) ボルタ・ダニエルは電解液が液体で漏れやすい、 そこで、ゲル状にして漏れにくい電池を開発 正極に二酸化マンガンのゲル、 負極に亜鉛を用いる 電池が開発された →ルクランシェ電池 (今の乾電池の大元)
ルクランシェ電池はゲル状で漏れにくいが内部は液体のため低温だと凍ってしまい使えない 乾電池の始まり ルクランシェ電池はゲル状で漏れにくいが内部は液体のため低温だと凍ってしまい使えない 中身を固体にしてしまえば → 「乾電池」の誕生 乾電池を一番始めに作った人: 屋井先蔵
いつ見ても波瀾万丈:屋井先蔵 乾電池を発明したが使い道が無いため見向きもされなかった先蔵に光明が 日清戦争で、凍らない屋井乾電池は無線用に電灯に大活躍、 清や露は古い電池で凍ってしまい使えなかった 屋井乾電池は認められ宮中茶話会(大正天皇の時)にも招かれた。屋井、人生の至福の時であった。 しかし、屋井の知らないところライバルが その名を松下幸之助と言った。
乾電池の構造
マンガン電池の正極に黒鉛を加え、 電解液を塩化アンモニウム(酸性)から 水酸化カリウム(アルカリ性)に 替えたもの アルカリマンガン電池 (アルカリ電池) マンガン電池の正極に黒鉛を加え、 電解液を塩化アンモニウム(酸性)から 水酸化カリウム(アルカリ性)に 替えたもの マンガン電池よりも長持ち、 起電力は1.5V
アルカリ電池の正極に オキシ水酸化ニッケルを加えたもの アルカリ電池よりも長寿命、起電力も1.7Vと高い 「新しい乾電池」として注目された、 オキシライド電池 アルカリ電池の正極に オキシ水酸化ニッケルを加えたもの アルカリ電池よりも長寿命、起電力も1.7Vと高い 「新しい乾電池」として注目された、 EVOLTA アルカリ電池の正極に オキシ水酸化チタンを加えたもの オキシライド電池よりもさらに長寿命 世界一長持ちする単3形アルカリ乾電池」 としてギネス世界記録に認定
電池の種類 一次電池:繰り返し使用しない電池 二次電池:充電して繰り返し使用可能な電池 マンガン電池・アルカリ電池など 鉛蓄電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池など ニッケル水素電池:ハイブリットカーのバッテリー リチウムイオン電池:携帯やパソコンなど 最も多く作られている電池
二次電池 構造的特徴 正極と負極の接する面積を大きくすることで 効率のよい充電・放電をさせる。 一次電池 (マンガン電池) 二次電池(ニッカド電池)
ニッカド電池 負極にカドミウム、 正極にニッケルを使用 小型二次電池 ニッカド電池 負極にカドミウム、 正極にニッケルを使用 なぜカドミウム? カドミウムは周期表で Cu Ag Au Zn Cd Hg 上下の関係なので 性質が似ている ニッカド電池の特徴:大きな電流で放電できる
ニッケル-水素電池 負極にカドミウムの代わりに水素吸蔵合金を 使い、水素が酸化される 小型二次電池 ニッケル-水素電池 負極にカドミウムの代わりに水素吸蔵合金を 使い、水素が酸化される ニッケル-水素電池の特徴:安全 同じ大きさでたくさんの電気をためることが出来る
乾電池型ニッケル-水素電池 繰り返し使用可能な乾電池 エネループ:1000回程度使える。 マンガン電池やアルカリ電池と違い 再利用することで省資源になる。
リチウムイオン電池 負極にリチウムを用いる 小型二次電池 リチウムイオン電池 負極にリチウムを用いる リチウム: 原子の大きさが小さい(水素、ヘリウムの次) イオン化傾向が一番大きい(電子を出しやすい) 同じ大きさでたくさんの電気をためることが出来る 起電力:3V
電池と環境問題 電池:金属を用いている 3つのR:リデュース・リユース・リサイクル マンガン・亜鉛:比較的安価 リチウム:比較的高価 カドミウム・鉛:毒性高い → 環境への影響も 電池においても省資源・環境付加の低減は重要 3つのR:リデュース・リユース・リサイクル
乾電池と環境問題 乾電池:比較的安価で環境負荷も低い金属を 用いている(Mn、Zn) 積極的なリサイクルはせず、不燃ゴミとして 環境影響がないように処分 しかし、3つのRの観点から: リデュース:より長持ちのアルカリ電池の使用 EVOLTAのような長寿命型電池 リユース:使い切りではなく、 何度も使える乾電池型充電池の利用 エネループのような乾電池型ニッケル水素電池
二次電池と環境問題 二次電池:環境負荷が高い金属(Cd、Pb) 希少金属(Li、水素吸蔵合金) リサイクルで省資源・環境負荷低減