予防に関する ゴールデン・レクチャー 予防を目的としたグローバルなネットワークを形成し、知識、知恵を共有すること “予防は治療に勝る” Henry De Bracton 1240 疾病予防の重要性は、人類の歴史の中で長い間、認識されています。しかし、私たちは、治療を目的とした最先端の医療に目を奪われがちです。 我々、Supercourseプロジェクト<http://www.pitt.edu/~super1>は、21世紀における人類全体の健康における、予防の重要性を再認識するため、このゴールデン・レクチャーを作成しました。 Supercourse は、NIH 研究費助成プロジェクトで、インターネットを通して予防医学及び公衆衛生に関する世界の専門家のパワーポイントによるレクチャーを無料で公開しています。無料で公開する目的の一つは、多くの方々に共有して頂きたいからです。Supercourse プロジェクトには現在、151カ国から約10,000人が参加しています。 日本からも多くの先生方のご参加を頂いております。また UMIN にSupercourse の mirror site をおいて頂いております。 http://www.umin.ac.jp/supercourse/ このレクチャー(パワーポイント)に収載されているスライドのほとんどは、スーパーコースのレクチャーから引用しています。その場合には、スライドのノートに出典を、インターネット・アドレスで示してあります。 予防を目的としたグローバルなネットワークを形成し、知識、知恵を共有すること この予防に関するレクチャーを世界中で100万人の方々と共有すること.
2003年9月19日 ヒポクラテス日 Hygeia ギリシャ神話における健康の女神 Hygiene (衛生) 健康の維持、増進をテーマとした科学 2003年9月19日 ヒポクラテス日 ヒポクラテスは、医学の父として広く認められています。病気の治療を、霊媒等の迷信ではなく、科学に基づいた医師の手で行われべきであるとしたことに由来しています。 「ヒポクラテスの誓い」は、多くの医学部の卒業式等で読まれます。 ヒポクラテス (460-377?BC) ギリシャの卓越した哲学者、また医学記述家。コス島の医師で、ギリシャの全盛時代に存命し、迷信にとらわれなかったと伝承されています。80以上の書物を書いたとされており、それは、10冊の医学、外科百科事典に相当します。を形成します。ヒポクラテスは、科学的医学の父と呼ばれいます。それは、その当時の多くの人と異なり、呪いによる病気や奇跡による病気の回復を信じず、健康には適切な食事が重要であること、また気候が体や心に影響を与えることを説いたからです。彼は、高齢でテッサリアで死にました。 http://www.sacklunch.net/biography/H/Hippocrates.html ギリシアでは、9月19日を、ヒポクラテス日として祝います。我々は、この9月19日は世界病気予防の日として、世界中で祝われるべきであると考えます。そして、2003年9月19日は、ヒポクラテスの医学の概念と、Hygeia の予防の概念がひとつとなればと思っています。Hygeiaは、健康の女神だり、hygiene の語源です。 ヒポクラテス http://www.allsands.com/Science/hippocratesbiog_rtb_gn.htm このスライドは、Global Health Network Supercourseチームによって作られました。
このレクチャーの目的 予防とは何か定義し、グローバル・ヘルスにおける予防の重要性を深く認識すること 2. スーパーコースをモデルとたネットワークの重要性を認識し、インターネットを利用し、疾病予防を目的としたグローバルなネットワークを形成し始めること 3. このゴールデン・レクチャーを100万人の教授、学生、予防専門家への配布すること 予防、公衆衛生、医学関係者は、是非、このゴールデン・レクチャーをご利用下さい。 また、スーパーコースでは、このレクチャー(パワーポイントファイル)を世界中で 100万人の方々のお手元にお届けしたいと願っております。ご自由に同僚、友達等に電子メール等でお送り下さい。また、レクチャーを配布する良い方法(メーリング・リスト等)に関して、ご意見のある方は、 super2@pitt.edu まで、御願いします。 また Supercourse にご参加ご希望の方は、同様に まで電子メールを頂くか、もしくは、www.pitt.edu/~super1/ にて、ご登録下さい。参加は無料です。スーパーコースのCD等、無料でお送りいたします。
予防の定義 “予防とは、病気の根絶、または病気、障害の影響を最小限にくい止めることを目的とした活動である。予防は伝統的に、一次予防、二次予防、三次予防として、疾病発症予防、疾病再発予防、疾病による障害の予防として定義されています。” 疫学辞典、第4版 編集 John M. Last John Last は、多くの学者から、”予防医学の父”として、知られています。 John Last は、British Medical Research Council、シドニー大学、バーモント大学、エジンバラ大学等に籍をおき、1969年からは、オタワ大学、疫学、地域医学の教授である。Textbook “Public Health and Preventive Medicine” 11版、12版、13版の編集者、14版の名誉編集者であり、また日本語にも翻訳されている「疫学辞典(Dictionary of Epidemiology」1-4版の編集者でもあります。
公衆衛生 (Public Health) と衛生 (Sanitation) 20世紀における業績: 病原菌に対する衛生対策 食品衛生 水道衛生、下水処理 予防接種 公衆衛生および個人の衛生習慣により、多くの伝染病の発生は劇的に減少しました。近代化に伴う、予防接種、下水処理、食品衛生等により、伝染病の大規模な発生は大幅に抑えられています。 Supercourse lecture by Joshua Lederberg,ノーベル賞受賞者、USA http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec6991/index.htm
20世紀後半における全世界、先進国、 非先進国における平均寿命の推移 なぜ予防が重要であるのか? 20世紀、人類の平均寿命は20年以上の延長が認められるが、この改善は、臨床医学の進歩によるより、衛生、公衆衛生を通した疾病予防の貢献が大きいと推定されている。 このスライドは、グローバル・ヘルス・ネットワーク・Supercourseチームによって作られました。 出典: United Nations (U.N.) Population Division, Demographic Indicators, 1950-2050 (The 1996 Revision) (U.N., New York, 1996).
予防と宗教 手洗い 穢れたもの、汚いものに触れる時、食事の前、もしくは後に手を洗わなければならない。 預言者は言った。 手が脂肪で汚れたまま、寝て、害を被った場合、責任は本人にあります。 預言者は、食事の前に手を洗います。 病気予防や衛生の習慣は、非常に長い歴史があります。衛生の習慣は宗教、宗教儀式と関連のあることが多く、このスライドはイスラム教の例ですが、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教等、他の多くの宗教にも存在しています。 宗教団体のような既存の組織を、個人に対する予防情報の伝達の手段として考えることも可能です。我々は、インターネットを通して主要な宗教団体への Supercourseが提供する予防に関する最善の科学的情報を提供することができます。そしてこの予防に関する情報は、その宗教団体内で共有されうるかもしれません。このように考えるとき、宗教団体のみならず、あらゆる社会グループが予防情報を共有しうるものと考えられうるかもしれません。 原典 Supercourse lecture by Sherine Shawky and Abed Husseini、Berzeit University http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec5351/016.htm このスライドでいう預言者とは、イスラム教のモハメドを指しています。
世界的疾病予防活動の歴史的な例 天然痘の撲滅は、WHOの輝かしい業績として有名です。1967年に、WHO が天然痘の撲滅に取り組み始めた時点で年間1500万人の発症があり、内200万人が死亡、数百万人が障害また盲目になったと推定されていました。めざましい国際協力で、1980年には、WHOは、天然痘は根絶されたと宣言できるに至りました。 もし天然痘が根絶されていなかったら、過去20年間にアメリカとメキシコの人口をあわせた数値と同等の3億5000万人が天然痘に罹患し、スペインまたは南アフリカ一国の人口と同等の4000万人が天然痘で死亡したことになります。 出典、WHO web site: http://www.who.int/archives/who50/en/smallpox.htm スライドは Supercourse lecture by Martin Meltzer, CDC, US http://www.inta.cl/supercourse/lecture/cdc0111/003.htm Supercourse lecture by Joshua Lederberg,ノーベル賞受賞科学者、US http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec6991/index.htm
1860-1960、アメリカ合衆国における結核による死亡率亡率: 出典 US Bureau of the Census, Historical Statistics of the United States; Colonial Times to 1970 (Washington, D.C: Government Printing Office, 1975), Part 1 pp58,63. Note: Data between 1860 and 1900 for Massachusetts only. コッホによる 結核菌の同定 ストレプトマイシン 使用開始 Supercourse lecture by John M Last http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec2561/007.htm 19世紀に観察された疾病構造の変化は衛生の改善に加えて、人々の行動様式や価値観の変化による面も関与している。結核による死亡率の減少は19世紀前半から始まり、継続して減少し続け、予防接種が可能となった1950年代のはるか以前に、激減している。 経済的発展により、人々はよりよい住宅環境に住み、より栄養のあるものを食べ、また読み書きする者の比率は増えました。同じベッドを共有しなければならない子供は減りました。こられの要因も、人から人へ伝播する感染症の減少に貢献しています。また母子間の自然免疫も関与しているかもしれません。 予防接種 開始
衛生革命 衛生革命は、人類の歴史上で、疾病構造を最も大きく変革したと言えよう。 (衛生革命とは19世紀後半、欧米ではじまった公衆衛生の実践を指す) 19世紀の衛生革命は、John Snow のコレラと衛生等の仕事に始まり、イギリス人口統計局William Farr、細菌学者Louis Pasteur、また Robert Koch、病理学者、Rudolph Virchow、社会改革者であり、公衆衛生専門家の草分けである Edwin Chadwick、Lemuel Shattuck, John Simon、その他多くの人々の貢献によって成しえた。 近代化の過程で人々は都市に定住するようになったが、適切な衛生、公衆衛生対策が欠如していた時期には、都市は感染症の温床として危険な場所であった。都市における乳幼児死亡(一年以内)は4分の1以上、生殖可能な年齢に達するまで、約半数が死亡している。死因は消化管、呼吸器感染症であり、コレラ、チフス、乳幼児下痢、ジフテリア、クループ、麻疹、肺炎、結核であった。 Supercourse lecture by John Last, Canada http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec2561/004.htm
イングランドとウェールスにおける15歳未満の子供の風疹死亡率1850-1970 Epidemiologic transition と健康 経済的発展に伴い、疾病構造が変化し、非先進国におけるその変化のパターンは、先進国で観察されたパターンと同様のものになると予測される。変化のパターン(Epidemiologic transition)は、死亡率が減少し、平均寿命が延長するにしたがい、主死因が感染症から、慢性疾患へ移行していく。慢性疾患が主死因になるのは、慢性疾患に罹患し死亡するまで、多くの人が生きながらえるようになるということも一因であろうが、ただ単に感染症が慢性疾患に置き換えられたというものではない。現在、非先進国は、程度の差はあるものの、Epidemiologic transition の過程にあると言えよう。たとえば、南米やアジアの国々では、慢性疾患による死亡が、感染症と同等かそれ以上になっている(1)。しかし、非先進国においては、感染症から慢性疾患へ完全に移行したというには程遠い。最貧国では、感染症が大きな問題であり続けながら、同時に、慢性疾患も、大きな問題になってきており、この状態は、”double burden” と称されている(2)。また、Epidemiologic transition、特に、感染症が減少していくためには、衛生革命でみられたような、環境、衛生を改善するための、政策や投資が必要である。 1. Christopher J. L. Murray and Alan D. Lopez, eds., The Global Burden of Disease: Volume 1 (World Health Organization, Harvard School of Public Health, and The World Bank, Geneva, 1996), p. 18. 2. A. Rossi-Espagnet, G.B. Goldstein, and I. Tabibzadeh, "Urbanization and Health in Developing Countries: A Challenge for Health for All," World Health Statistics Quarterly, Vol. 44, No. 4 (1991), p. 208. http://wri.igc.org/wri/wr-98-99/001-ptn2.htm#life このスライドは、Global Health Network Supercourseチームによって作られました。 出典 Thomas McKeown, The Modern Rise of Population (Academic Press, San Francisco, 1976), pp. 93, 96.
メキシコにおける Epidemiologic transition 感染症死亡の減少と慢性疾患による死亡増加 下痢 マラリア TB 腸チフス CHD CA メキシコにおける Epidemiologic transition。 Epidemiologic transition は、20世紀、多くの国で観察された。このスライドはメキシコのもので、ほとんどの感染症死亡の減少があり、かわって、CHD (心臓病)、CA(癌)の増加が見られる。
チェルノブイリ原発事故は、1986年4月26日、発生しました。事後処理作業に、60万人以上の人が従事し、内、ウクライナ人は20万人に上りました。作業は、1990年まで続けられました。放射能汚染は、ウクライナ、ベラルーシとロシアの領土で広がりました。このスライドは汚染密度を示します。 衛生革命は成功しましたが、環境問題はいまだに、保健上の大きな関心です。チェルノブイリ原発事故は、原子力汚染や他の人為的汚染を予防することが非常に重要であるかを再認識させてくれました。放射線の健康への影響及び、被爆者の二次予防は、ウクライナ及び周辺地域の公衆衛生専門家にとって大きな問題です。 Supercourse lecture by Boris Ledoshchuk、MD、PhD、Ukraine http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec2731/001.htm
予防プログラムの成功例(キューバ) 予防接種プログラム ポリオ 1962年根絶 ジフテリア 1969年根絶 新生児破傷風 1972年根絶 先天性風疹 1989年根絶 流行性耳下腺炎後髄膜炎 1989年根絶 麻疹 1993年根絶 百日咳 1994年以降伝染例無し 風疹 1995年以降伝染例無し 流行性耳下腺炎 1995年以降伝染例無し 髄膜炎菌による感染症 93%減少 腸チフス 75%減少 B肝炎 52%減少 キューバの健康保険は、全国民を無料でカバーし、また疾病予防と情報共有に力を注いでいます。この数十年間で、平均余命が大きく延長し、また、妊婦死亡率・乳幼児死亡率が著しく減少しました。これらは、疾病予防によるものと言えるかもしれません。スライドは、キューバにおける予防接種プログラムの業績を示しています。予防接種による同様の業績は、スウェーデン、フィンランド、その他の国々、インドのいくつかの地方でも達成されています。これらのことは、20世紀後半においても、予防がいかに重要であったかを示しています。 Supercourse lecture by Peter G Bourne, Cuba http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec9881/001.htm
子宮頸癌 子宮頚癌は、女性の癌で二番目に多い癌である 非先進国では効果的な検診プログラムが行われていないため、子宮頸癌の死亡率は先進国に比べて高い 毎年、47万例以上の子宮頚癌が発症し、その大多数は、非先進国の女性です(1998)。非先進国では、前癌状態での発見、癌でも非浸潤性の段階で発見して治療することを目的とした検診プログラムが欠如しているため、子宮頸癌の死亡率が高い。従って、非先進国では、効果的な検診、予防プログラムが施行されれば、子宮頸癌による死亡者数が大幅に減る可能性があります。 Supercourse lecture by Naila Baig Ansari、Aga Khan University, Pakistan http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec7161/index.htm
マラリア対策の費用 中国政府は、年間99,970ドルを投資し、マラリア伝染地帯に住んでいる3千4百万人の人々をマラリアから守っています。一人当たりのコストは0.03ドルになります。 住民を対象とした血液検査によるサーベイランスー25% 媒介する虫のサーベイランス ー12% 発症例の治療 ー60% 一症例当たり4.18 USドル(費用分析を用いた推定) 83%は、薬剤費、失われた収入に相当 17%は、政府による治療体制及確立、治療指針作成 中国のHenan州では、マラリア対策は非常に重要な問題です。このスライドは、一発症例に対する治療は、予防の100倍以上の費用がかかることを示しています。 Supercourse lecture by Professor Xi Li Liu, TDR/WHO Project、主任研究者 http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec5501/008.htm
小児死亡率(5歳以下)への AIDS の影響 アフリカにおける2010年の推定 250 200 150 100 50 per 1000 live births with AIDS Botswana Kenya Malawi Tanzania Zambia Zimbabwe without AIDS HIV/AIDSの予防は公衆衛生上、非常に大きな問題になりました。完治させる有効な治療がない点、現在の治療は費用等の問題があり、全ての人が治療を受けるのは不可能である点から、HIV/AIDS の感染予防が疾病率、死亡率を減らす最善の方策と言えます。 HIV/AIDS は、非先進国で、公衆衛生対策により新生児死亡率50/1000を達成した Zimbabwe や Botswana のような国で非常に深刻な問題になっており、5歳以下の死亡率は、AIDS に罹患している者を除いた場合の4-7倍にも達しています。新生児死亡率がいまだに高い非先進国でも、その数値は約2倍となります。 Slide author: Marc Bulterys, MD, PhD Mother-Child Transmission & Pediatric and Adolescent Studies Section Epidemiology Branch, Division of HIV/AIDS Prevention National Center for HIV/STD/TB Prevention, CDC Source: US Bureau of the Census
男性虚血性心疾患死亡率の1970年から1993年の国別の動向 750 FIN AUS US SCOT NZ CAN 500 SING USSR 250 ITY 旧ソビエト連邦では、他の国々と異なり、虚血性心疾患死亡率の増加がみられます。ソビエト連邦の崩壊に伴い、保健システムが機能しなくなったことがその大きな原因と考えられます。 出典:NIH 死亡率は男性35-74歳における年齢調整死亡率(/100,000) USSR:旧ソビエト連邦、US:アメリカ合衆国、AUS:オーストラリア、CHN:中国、FIN:フィンランド、FRA:フランス、HK:香港、NZ:ニュージーランド、ITY:イタリア、SING:シンガポール、SCOT:スコットランド、SPN:スペイン Supercourse lecture by 上島弘嗣教授、滋賀医科大学 http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec4091/006.htm SPN FRA 日本 HK CHN
“遺伝子は疾病感受性に、 生活習慣は、疾病発症に関与する。” Elliot Joslin 糖尿病で世界的に有名な Joslin Diabetes Center の設立者 http://www.joslin.org/main.shtml 20世紀前半には、生活習慣の改善による疾病予防という考えは、産業保健等を除くと、あまり、一般的ではありませんでした。 20世紀後半には、生活習慣と成人病が関連するという知見が徐々に蓄積してきました。1990年、アメリカ合衆国では、Department of Health and Human Service が”Healthy People 2000” として、政策発表を行いました。これは、2000年までに達成すべき国民の健康増進、疾病予防目標を、根本的目標(22項目)、具体的目標(300項目)に分け、生活習慣も含め、それぞれの項目毎に数値目標を掲げている。 http://odphp.osophs.dhhs.gov/pubs/hp2000 それ以後も、生活習慣の改善により、成人病予防が可能であるという知見が集積しています。健康や病気を規定する因子の中で、生活習慣は、変更可能な因子であり、かつ、健康や病気を規定する大きな因子の一つです。 Supercourse lecture by Diane Wilson, USA http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec4231/006.htm
虚血性心疾患予防におけるHMACo-A 還元酵素阻害剤(スタチン)による臨床治験とLDL コレステロールの関連 30 二次予防 虚血性心疾患発症率(%) 25 20 15 10 一次予防 5 Author:Letchuman Ramanathan スライドで見てきたように、20世紀に見られた平均寿命の大幅な延長は、主として、衛生、公衆衛生、栄養の改善によるものです。平均寿命は新生児死亡率の影響が大きく、新生児死亡の主因は感染症です。従って、新生児死亡率が高い非先進国では、感染症の予防によって、平均寿命は大きく改善します。 ところが、15歳以上を考えると、先進国、非先進国に関わらず、健康で問題になるのは非感染性疾患です。(Sen K et al. Lancet 356: 577-82; 2000)。 非先進国の健康問題を考える時、感染症が主な焦点とされて来ましたが、21世紀における疾病予防を考える時、非先進国においては、感染症予防と同様に非感染性疾患予防をも考えていく必要があります。 実際、先進国及び多くの非先進国における死亡の主因は、循環器疾患、特に心臓病です。確かに、循環器疾患の予防には、バランスのとれた食事、禁煙、運動等の健康な生活習慣が大切です。しかし、健康な生活習慣にも関わらず、心臓病に罹患する人が多いのも事実です。このスライドは、1998年の時点における、スタチンを用いた主要な臨床治験の結果をまとめたものでしす。これらの臨床治験の結果等から、虚血性心疾患予防におけるスタチン適用のガイドラインが作成されました。 Shepherd J et al. N Engl J Med. 1995;333:1301-1307. 4S Study Group. Lancet. 1995;345:1274-1275. Sacks FM et al. N Engl J Med. 1996;335:1001-1009. Downs JR et al. JAMA. 1998;279:1615-1622. 2002年に発表された、Heart Protection Study (HPS) は、スタチンを用いた臨床治験で最大規模です。この結果から、スタチンによるコレステロール治療は、必ずしも高コレステロール値の者に限らず、虚血性心疾患発症リスクが高い者、虚血性心疾患の既往がなくても、高齢で高血圧、糖尿病の者は全てその対象になるとも考えられる結果でり、大きな議論を呼んでいます。 Heart Protection Study Of Cholesterol Lowering With Simvastatin in 20,536 High–risk Individual: a randomized placebo controlled trial Lancet 2002;360:7-22 90 110 130 150 170 190 210 LDL-C
分子疫学は、21世紀初頭において、最も重要な研究分野の一つです。なぜなら、人ゲノム計画の成果は、分子疫学によって、医学/予防/公衆衛生 に反映されるからです。個々の遺伝子の疾患感受性及びリスクを研究するには、分子疫学的なアプローチ(well-designed population- based epidemiological study)が必要だからです。病気の診断、予防対策の立案、さらに、人ゲノム計画に関連した倫理的、法的、社会的問題を議論する場合も、分子疫学は必須です。 Human Genome Project http://www.ornl.gov/TechResources/Human_Genome/home.html Supercourse lecture by Janice Dorman, University of Pittsburgh http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec0131/005.htm
インターネット利用の爆発的増加 インターネット・ユーザー(100万)の数 年 この10年間で、インターネット利用は爆発的に増加しました。予防の重要性を考える時、インターネットをその手段とし利用していくことに真剣に取り組む必要があります。 Vint Cerf (TCP/IP の設計と実装を行い、インターネットの父と称されている。) “産業の発展は、水力発電所、蒸気機関、電力に依存していたが、今日における産業の発展は、インターネットとそのインフラに依存している。” Supercourse lecture by Vint Cerf http://www.pitt.edu/~super1/lecture/lec1351/002.htm 年
スーパーコース Teacher in Cairo Teacher in Alexandria Teacher in Tanzania Teacher in Pittsburgh 過去5年で、パワーポイントは医学、科学における共通言語として、その地位を確立したようです。学会、講義、講演では、パワーポイントが普通に用いられています。インターネットを利用した仮想図書館のような形態を用い、予防をテーマにした学術、教育発表のパワーポイントを世界中の人々が、無料で共有し利用できるシステムがあれば、疾病予防を大きく促進していく力になるかもしれません。 Supercourseは、このような発想で始められ、2003年6月現在、152カ国から、約1万名が参加しています。当初はNASAの研究費により、現在は、NIH の研究費により、運営されています。 www.pitt.edu/~super1 Teacher in Paris Teacher in Moscow
Telepreventive Medicine テレコニュニケーションを用いて、予防に関する知識を健康な人々へ提供する Supercourse Tele-Medicine (遠隔医療) テレコニュニケーションを用いて、医療情報を利用することであり、患者治療、医療従事者への情報提供、患者教育等を目的としている。 American Telemedicine Association Supercourse では、Telemedicine に対して、Tele-preventive Medicine という概念を提唱しています。Telemedicine は疾病の治療を目的としており、グローバル・ヘルスを考えた場合、20世紀に予防が果たしたような大きな役割を果たしていくとは考えにくいと思われます。一方、予防に焦点を当てたテレコニュニケーションの利用は、グローバル・ヘルスに大きく貢献していく可能性を秘めています。 Supercourseは、予防に焦点を当て、インターネットを利用し、世界中の多くの人と予防の知識を共有しよう試みている点、Telepreventive Medicine の一例といえるかもしれません。 日本における遠隔医療の定義、米国における遠隔医療(Telemedicine)の定義に関しては、下記を参照下さい。 http://www.md.shinshu-u.ac.jp/SUMIS/student/medinfo2001/product/group7/intro1.html
Supercourse Lecture Growth Supercourse では、約1000のレクチャーを収載した、CD を無料で配布しています。ご要望の方は、英語で下記に電子メールを御願いします。 super1@pitt.edu 日本では、UMIN にSupercourse がありますので、こちらもご利用下さい。 http://www.umin.ac.jp/supercourse/
結論 20世紀における劇的な平均寿命の延長は、衛生、公衆衛生、疾病予防によりもたらされました。 この成果は、予防に関わる世界中の専門家が知識を共有したためとも言えます。健康、予防に関する知恵、知識を世界中の専門家で共有することは、21世紀、人類全体の健康増進に非常に重要であると考えられます。 従って、インターネットを用いた、知恵、知識の共有は、人類全体の疾病予防、健康増進の鍵であると言えます。 ヒポクラテスは、「Positive Health」 という考えを提唱しました。 「Positive Health」には、一人一人の体質(今日で言う所の遺伝)、及び栄養に関する知識が必要です。食生活に注意することは大切が、同様に運動も大切です。季節、気候、年齢、生活環境を考慮しながら、食事と運動を考えていくことが健康には非常に大切です。どちらか一方でも、不適切であれば、病気になります。」(紀元前5世紀) P Simopoulos MD によるコメント
疾病予防の将来 疾病予防のグローバル化 予防に従事する専門家のネットワーク形成 データ、知識と知恵の共有 グローバルな観点からの予防の重要性を論じた、このゴールデン・レクチャーは如何でしたか?どうぞ、このパワーポイントによるプレゼンテーションを周囲の方々にご紹介下さい。また、出来れば、電子メールその他の手段を通して、周囲の方に配って頂ければ幸いです。 Global Health Network に参加しませんか? この Global Health Network Supercourse プロジェクトに是非、ご参加下さい。参加方法は、 http://www.pitt.edu/~super1/assist/join.htm にてご登録頂くか、またはEメールを super1@pitt.edu にお願いします(英語のみ)。 参加は無料です。 あなたの参加を心待ちにしております。 このパワーポイントによるプレゼンテーションを出来るだけ多くの方に、お教え頂き、かつ、電子メールその他の手段を通して、お送り頂ければ幸いです。
ご意見、ご批判を歓迎します ここまで、レクチャーを読んでいただき、ありがとうございました。ご意見、ご批判に基づいて、Supercourse プロジェクトをよりよいものとしていきたいと考えております。このスライドの下にある書式で、お手数ですが、下記の電子メールまでご意見、ご批判をお送り下さい(英語のみ)。お待ちしております。 super2@pitt.edu Name: 2. Position: 3. Organization: 4. Email: 5. Did the graphics transfer in a reasonable amount of time? Please rate the lectures on the following characteristics: 5 = Excellent, 4 = Above Average, 3 = Average, 2 = Below Average, 1 = Poor 6. Content:5 4 3 2 1 7. Presentation:5 4 3 2 1 8. Relevance:5 4 3 2 1 9. Overall Rating:5 4 3 2 1 10. Would you be interested in translating this lecture into your native language? 11. How are you planning to use this lecture? Please provide your general and specific comments about the lecture. Let us know if you have any thoughts about the distribution of this lecture world wide.