2013/07/31 金融リテラシー連続講義 第14回 ライフプランを描く③
2018/8/9 ライフプラン講義の進め方 本講義では、提出して頂いた「まるおさんのキャッシュフロー表」の見直し案の中から、典型的な提案、ユニークな提案などを紹介します。 そのうえで、より効果的な提案にするための着眼点や具体策について、これまでの各分野の講義内容を復習しながら議論・検討します。 最後に、専門家から見た着眼点、改善策を具体的に提示し、金融知識の実践的な活用法を説明します。
ライフイベント表とキャッシュフロー 表の意義 キャッシュフロー表の分析法 2018/8/9 ~前回の振り返り~ 老後資金の準備 ライフイベント表とキャッシュフロー 表の意義 キャッシュフロー表の分析法
1. キャッシュフロー見直しの着眼点
(1)キャッシュフローの現状分析 教育費、住宅ローン返済、自家用車の購入が重なり、38歳で貯蓄残高がマイナスに転落。 2018/8/9 (1)キャッシュフローの現状分析 教育費、住宅ローン返済、自家用車の購入が重なり、38歳で貯蓄残高がマイナスに転落。 その後、教育費が増えるにつれてマイナス幅が拡大。 貯蓄残高は、退職金で一時的にプラスになるものの、リタイヤ後の生活費収支が赤字のため、マイナスは増大の一途。
(2)キャッシュフロー見直しのポイント① ディスカッション ライフイベントの時期に無理はないか? 必要以上の保険に入っていないか? 住まいや住宅ローンに無理はないか? 資産形成を行っているか? 収入を増やす方法はないか? グループに分かれて、より効果的な改善策を議論しよう。
(2)キャッシュフロー見直しのポイント② (グループ討議の進め方) 課題のキャッシュフロー表で問題だと感じた点、見直した方が良いと思った点、実際に見直しをしてみた効果などをグループの中で発表し合ってみよう。 グループの他のメンバーの発表を聞いて、気づいた点や考え直した点をチェックしよう。 グループの中で重要な見直しポイントだと意見が一致した事項を発表し合い、他のグループの意見も聞いてみよう。
(2)キャッシュフロー見直しのポイント③ (見直しに際しての大きな視点) 2018/8/9 (2)キャッシュフロー見直しのポイント③ (見直しに際しての大きな視点) 一生涯を通してみると、億円単位の支出が想定される。 その支出を賄うためには、それに見合った「収入」を確 保する必要があります。 将来の収入には不確実性が付きもの。年齢や家族構 成等の変化に応じてライフスタイルを変えることも必要 です。 老後は、年金収入と貯蓄の取り崩しで生活せざるを得ないため、若いうちから計画的に資産形成(貯金や資金運用)をする必要があります。 改善策はひとつではありません。いろんな角度から、取り組めることがないか考えることが重要です。
(2)キャッシュフロー見直しのポイント④ (収支を改善する3つの方法) 支出を減らす 資産形成で増やす 収入を増やす
2. 具体的なキャッシュフロー見直し策
(1)具体的な見直し策① ①保険を見直す 支出を減らす ①保険を見直す ・ 一般に、子どもが自立すると、大きな保障は必要なくなります。 世帯主の死亡保障額を下げることで、保険料の減額が可能で す。 ・ 医療保険に関しては、高額療養費制度等の公的制度を活用す ることで自己負担額を抑えられる可能性があります。入院日額 を減額して保険料を減らすことも一案です。 ・ 住宅を取得したときに“団体信用生命保険”に加入すれば、既加入の生命保険の保障額を下げることで保険料を減額することが可能です。 生命保険・医療保険等は、ライフステージごとに見直しが必要。
死亡保険金 死亡保険金 (参考)主な保険の仕組み 定期保険 保険期間が一定で、その期間に死亡した場合に保険金を受け取れる。 終身保険 2018/8/9 (参考)主な保険の仕組み 定期保険 保険期間が一定で、その期間に死亡した場合に保険金を受け取れる。 死亡保険金 保険料払込期間 契約 満了 30歳 60歳 30歳男性 (30年間の保障) 死亡保障 1,000万円の場合 月額保険料例 2,408円(60歳まで) 終身保険 保険期間が一定ではなく、一生涯死亡保障が続く。 死亡保険金 契約 満了 終身保障 保険料払込期間 30歳 60歳 http://www.lifenet-seimei.co.jp/plan/ 定期保険 ライフネット生命試算 http://www.tmn-anshin.co.jp/kojin/goods_shibou/syushin/simulation/ 終身保険 東京海上 30歳男性 (一生涯の保障) 死亡保障 1,000万円の場合 月額保険料例 22,750円(60歳まで)
死亡保険金 定期保険特約付終身保険(更新型) 終身保険(主契約)と定期保険特約がセットになった保険。 更新型の場合、 (例) 終身保険(主契約)と定期保険特約がセットになった保険。 更新型の場合、 更新毎に保険料がアップします。 保険料 契約 満了 終身保障 死亡保険金 定期保険特約 終身保険(主契約) 更新 10年
⇒まるおさんの加入保険を上記のとおり見直すことで、 赤字 約3,330万円 → 赤字 約2,830万円 定期保険 医療保険 保険金 死亡保険金 4,000万円 給付金 入院給付金日額 10,000円 被保険者 夫 妻 受取人 保険料 26〜35歳 月額 3,500円 36〜45歳 月額 5,800円 46〜55歳 月額 14,000円 56~65歳 月額 31,000円 更新型が基本であり、10年 ごとに保険料の見直しあり 25歳〜60歳 月額 5,500円 60歳で払込み完了 終身保障 (死亡保険金 減額) ・46歳〜55歳 2,000万円に減額 ⇒ 保険料 月額6,900円 ・56歳〜65歳 1,000万円に減額 ⇒ 保険料 月額7,900円 (医療保険)入院日額を5,000円に減額 ⇒ 保険料 月額3,000円 ⇒まるおさんの加入保険を上記のとおり見直すことで、 80歳時の貯蓄残高が約500万円改善されます。 赤字 約3,330万円 → 赤字 約2,830万円
2018/8/9 ①保険見直しの結果
(2)具体的な見直し策② ②住宅を見直す(新築→中古物件のリフォーム)※ (物件価格 新築3,500万円 ⇒ 中古2,500万円)(注) 支出を減らす ②住宅を見直す(新築→中古物件のリフォーム)※ (物件価格 新築3,500万円 ⇒ 中古2,500万円)(注) ※日本では総戸数が総世帯数を上回っており、空き家率は13%を超えます。 (総務省「平成25年住宅・土地統計調査速報」) 借入額を3,000万円から2,000万円に減額。 借入額の減額により、30年間の支払い総額は1,330万円(うち利息は約330万円)減らすことができます。 (注) 中古住宅を購入する場合は、仲介手数料が必要になり、その上 限額は、成約価格の3%に6万円を加算した額になります。本例 では、2,500万円×3%+6万円=81万円を支出に加算します。 このほか、リフォーム費用を減額する案もある。
見直し前 見直し後 借入金額 3,000万円 (賞与での返済なし) 2,000万円 借入期間 30年 金利 2%(固定金利) 返済方法 元利均等返済 毎月の返済額 110,885円 73,923円 年間の返済額 約133万円 約89万円 総返済額 約3,990万円 約2,670万円 ⇒中古物件への見直しとリフォーム代の減額(400→200万円)で、80歳時の貯蓄残高が約1,500万円改善されます。 赤字 約3,330万円 → 赤字 約1,800万円
②住宅見直しの結果
(3)具体的な見直し策③・④ ③妻がパートで働くケース ④妻が正社員で働き続けるケース 収入を増やす 第2子の小学校入学から妻が60歳になるまで26年間、パート収入で月8万円(年間96万円)の収入を得る。 ⇒80歳時の貯蓄残高が約2,500万円改善されます。 赤字 約3,330万円 → 赤字 約830万円 ④妻が正社員で働き続けるケース 妻が正社員で働き続け、夫と同額の収入を得る。厚生年金にも加入し続けるため、年金受給額も大幅に増える。 ⇒80歳時の貯蓄残高が約1億9,000万円改善されます。 赤字 約3,330万円 → 黒字 約1億5,700万円 (注)ただし、ここでは共働きに伴う育児費用等は見込んでいません。
2018/8/9 ③妻がパートで働いた結果
④妻が正社員で働き続けた結果
(4)具体的な見直し策⑤・⑥ ⑤収支見直しの総力戦 3つ全てを実践することで、 80歳時の貯蓄残高が 約4,500万円改善されます。 ①保険の見直し ②住宅の見直し ③妻がパートで働く 3つ全てを実践することで、 80歳時の貯蓄残高が 約4,500万円改善されます。 赤字 約3,330万円 → 黒字 約1,170万円 資産形成で増やす ⑥総力戦⑤+貯蓄の運用 金融資産(貯蓄残高)を年利2%で複利運用できたとする。 (注)運用方法によっては、元本割れとなるリスクもあることに注意。 ⑤+⑥の対策で、 80歳時の貯蓄残高が約6,990万円改善されます。複利運用の効果は 約2,480万円。 赤字 約3,330万円 → 黒字 約3,660万円
2018/8/9 ⑤総力戦①~③を実践した結果
⑥総力戦+運用を実践した結果
改善策を比較すると・・・
3. ライフプランニング総括
十分な貯蓄が必要であるということ 備えあれば憂いなし! コツコツ計画的に貯蓄を続けるのが大切です。 ライフプランは、一人ひとりの“生き方”の具体化であり、人によって異なります。 ただ、どのようなライフプランを想定したとしても、共通して言えることは、 十分な貯蓄が必要であるということ ☆結婚するまでに、しっかり貯蓄をしておきましょう。 ☆独身の場合も、将来のために貯蓄をしましょう。 備えあれば憂いなし! コツコツ計画的に貯蓄を続けるのが大切です。
専門家の意見を聞くことも有益 ライフプランの立案や見直しのときは、ライフイベント にかかる費用のことだけでなく、お金の節約や貯蓄・ 運用のコツ、公的年金や税金に関する制度の内容な ど、専門的な知識やノウハウが必要になることがあり ます。 その場合は、「その道のプロ」に相談してみるのが良い でしょう。ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務 士、税理士など、さまざまなプロがいます。 相談したい内容に応じ、各々の団体のHPにアクセス してみて下さい。 なお、相談には有料の場合もありますので、有料・無料の別なども確認して下さい。