PCTの概要 -海外での円滑な特許取得に向けて-

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PCTの概要 -海外での円滑な特許取得に向けて- 2018年2月 PCTウェビナー 世界知的所有権機関 (WIPO)

目次 PCTの概要・関連統計 主なメリット・活用方法 関連情報の取得

PCTの概要・関連統計

海外での特許取得 ~パリルート vs. PCTルート~ (月) 手数料: - 翻訳費用 - 国内官庁の手数料 - 現地代理人費用 12 外国(各国特許庁)への出願 第一国出願 (国内出願) (任意) 補充国際調査 請求 補充国際調査 報告 国内段階 移行 PCT 国際公開 受理官庁(RO) (月) 12 16 18 22 28 30 第一国出願 (国内出願) PCT出願 国際調査報告及び見解書 (任意) 国際予備審査 請求 特許性に 関する国際予備報告 国際出願手数料 調査手数料等

パリルートの概要 国内出願から12ヶ月以内に、パリ条約に基づく優先権主張を伴う 複数の外国出願を行う必要あり: (月) 12 外国(各国特許庁)への出願 第一国出願 (国内出願) 国内出願から12ヶ月以内に、パリ条約に基づく優先権主張を伴う 複数の外国出願を行う必要あり: 各国の様式・言語で各国の特許庁に出願 各国で方式審査、出願公開、調査及び審査手続が行われる 翻訳料、国内手数料、現地代理人費用が12ヶ月の時点で必要 出願国数が増加すると・・・・・  出願日の遅れにつながり、各種費用などの初期投資も増大

PCTルートの概要 日本語で、日本の特許庁に対して国際出願可能 権利化の判断や主要な費用の支出を先延ばし 権利取得を望む国に対して、手数料の支払や翻訳文の提出等必要な手続を行う 優先日から18ヶ月経過後、PATENTSCOPEにおいて 発明の内容が公開される (任意) 補充国際調査 請求 国内段階移行 国際公開 (月) 12 16 18 22 28 30 第一国出願 (国内出願) PCT出願 国際調査報告 及び 国際調査機関の見解書 (任意) 国際予備審査 請求 特許性に 関する国際予備報告 優先期間内に受理官庁(例えば日本国特許庁:RO/JP)に対して日本語でPCT出願を行うことにより、全てのPCT締約国に個別に出願をしたのと同じ効果を生じる 特許性を判断するための重要情報を取得 (関連する先行技術文献+特許性に関する見解) 補正(あれば)を踏まえた 追加の特許性評価の請求 国内段階での判断を補助するための特許性に関する報告 日本語で、日本の特許庁に対して国際出願可能 権利化の判断や主要な費用の支出を先延ばし 最終的な特許付与の判断は各国移行後に行われる

PCT締約国:18ヶ国 (運用開始時:1978年6月1日)

PCT締約国 :152ヶ国 (2018年2月1日現在) <近年の加盟情報> ・クウェート(2016年6月9日加盟、9月9日発効) ・ジブチ(2016年6月23日加盟、9月23日発効) ・カンボジア(2016年9月8日加盟、12月8日発効) ・ヨルダン(2017年3月9日加盟、6月9日発効) http://www.wipo.int/pct/ja/pct_contracting_states.html

PCT未加盟の国連加盟国 (41ヶ国) アフガニスタン アンドラ アルゼンチン バハマ バングラデシュ ブータン ボリビア ブルンジ カーボベルデ コンゴ民主共和国 エリトリア エチオピア フィジー ガイアナ ハイチ イラク ジャマイカ キリバス レバノン モルディヴ マーシャル諸島 モーリシャス ミクロネシア ミャンマー ナウル ネパール パキスタン パラオ パラグアイ サモア ソロモン諸島 ソマリア 南スーダン スリナム 東ティモール トンガ ツバル ウルグアイ バヌアツ ベネズエラ イエメン

(参考)国際調査機関 (ISA) (全23機関) AT – オーストリア AU – オーストラリア BR – ブラジル CA – カナダ CL – チリ CN – 中国 EG – エジプト ES – スペイン FI – フィンランド IL – イスラエル IN – インド JP – 日本 KR – 韓国 PH – フィリピン (2017年10月に任命:運用開始日は未定) RU – ロシア SE – スウェーデン SG – シンガポール TR – トルコ UA – ウクライナ US – 米国 EP – 欧州特許庁 XN – 北欧特許機構 (デンマーク、アイス ランド、ノルウェー) XV – ヴィシェグラード特許機構 (VPI) (チェコ、ハンガリー、ポーランド、 スロバキア) 日本の出願人は ISA/JP(日・英)、EP (英)、SG (英) を利用可能

PCT国際出願件数の推移 2016年:233,000件(前年比 7.3%増) 2017年2月2日に 累計300万件目の国際公開達成 累計200万件達成 累計100万件達成 2016年:233,000件(前年比 7.3%増)

出願人国別PCT国際出願件数の推移 近年アジア(特に日中韓)からの出願が大幅に増加しており、 2016年はPCT出願の47.4%がアジアからの出願

出願上位5分野 (2016年) 出願人国別 国内段階移行件数 <日本出願人による国内段階移行:2015年> 1PCT出願につき平均2.8カ国へ移行 主な移行先:米(26%)、中(18%)、 日(18%)EP(13%)、韓(9%) 約80%は優先日から28ヶ月経過後に移行

2016年 PCTユーザ トップ10 ※トップ100のうち40者が日本の出願人 出願人 2016年の公開件数 2015年からの増減 1 ZTE Corporation (CN) 4,123 +1968 2 Huawei Technologies Co., Ltd. (CN) 3,692 -206 3 Qualcomm Incorporated (US) 2,466 +24 4 三菱電機(株) 2,053 +460 5 LG Electronics Inc. (KR) 1,888 +431 6 Hewlett Packard Development Company L.P. (US) 1,742 +432 7 Intel Corporation (US) 1,692 +442 8 BOE Technology Group Co., Ltd (CN) 1,673 +446 9 Samsung Electronics Co., Ltd. (KR) 1,672 -11 10 ソニー(株) 1,665 +284 14 シャープ(株) 1,205 +132 15 パナソニックIPマネジメント(株) 1,175 -10 20 オリンパス(株) 1,077 +463 ※トップ100のうち40者が日本の出願人 http://www.wipo.int/ipstats/en/statistics/pct/xls/y_top_applicants.xlsx

パリルート vs. PCTルート 外国への出願件数 PCT パリ 年 パリ   年 2015年:外国への出願のうち57%がPCT経由     (日本の出願人については50%強がPCT経由)

(参考)日本出願人による内外国への出願件数

PCTの主なメリット・活用方法

出願日の確保・優先日から30ヶ月の国際段階期間 最先端の研究分野で技術の展望や市場動向等が不透明、事業のパート ナーを見つけてから権利化国を決めたい、生産拠点や販売拠点が決まっ ていない、競合他社の動向を把握したい、標準の動向・規格会議の結果 次第で決めたい場合など、PCTではプラス1年半の余裕が得られる したがって、権利化する国が決まっていない場合や多数の国に出願する 場合にPCTは特に有効 PCTで18ヶ月の余裕を獲得 (月) 12 外国への直接出願 パリルート 国内出願 国内段階移行 (月) 国際公開 PCTルート 12 18 30 国内出願 PCT出願 PCT締約国(152カ国)での出願日を確保

初期投資を低減・コスト節減も可能 PCT出願のための費用は発生するものの、各国での権利化までに要する 総コストで考えた場合、PCTルートの方が費用節減につながる場合あり 特に権利化国数が増加するとPCT利用によるコストメリット大 予算上の制約からPCTを利用(費用の先送り)するという選択肢もあり パリルート PCTルート 非移行率(取下げ率) コスト 出願費用 代理人費用 翻訳費用 無駄な出願費用、翻訳費用等の削減

簡便な出願・手続 日本語で日本国特許庁に対して手続可能(一部の手続は国際事務局へ) 国際事務局に直接PCT出願することも可能(日本との時差、優先権回復制度の 利用等) <参考:受理官庁としての日本国特許庁(RO/JP)への出願> 出願言語:日本語又は英語 出願方法:JPOのインターネット出願ソフト、FAX、郵送、窓口 管轄ISA:JP、EP(英)、SG(英) <参考:受理官庁としての国際事務局(RO/IB)への出願> 出願言語:全ての言語(ただし、ISA/JPを選択するには日本語又は英語) 出願方法:電子出願(ePCT(推奨)、PCT-SAFE又はEPOオンライン出願)、      FAX(非推奨)、郵送、持参 http://www.wipo.int/pct/ja/filing/filing.html 統一された手続や様式 PCT第27条(1):国内法令は、国際出願が、その形式又は内容について、この条約及び規則 に定める要件と異なる要件又はこれに追加する要件を満たすことを要求してはならない

(*) RO, ISA, IPEAは一部のみ 日本国特許庁は未対応 (参考)ePCTとは? 国際事務局へのお手続の際にご利用いただけるウェブ上のサービス(無料) 日本語を含むすべてのPCT公開言語(10言語)で利用可能 PDF形式のファイルをePCT上で瞬 時に提出することができ、書類原 本の郵送不要 通信費がかからず経済的 書簡が正しく送付されたことや、 その後の処理状況をリアルタイム で確認可能 導入コスト不要(ウェブ上でアカ ウントを作成するのみ) ワンタイムパスワード等を設定す ることでePCT出願やPCT出願の管 理が可能に ISA/IPEA(*) 申請人 RO(*) ePCT IB (*) RO, ISA, IPEAは一部のみ 日本国特許庁は未対応 ※インターネットFAXの導入に伴い国際事務局へのFAX送信が上手くいかない事例が増えておりますので、国際事務局へ書類の提出にはePCTのご利用を強くお勧めしております (参考)ePCTに関するセミナー資料: http://www.wipo.int/export/sites/www/about-wipo/en/offices/japan/pdf/3_epct.pdf

引用文献のカテゴリー (新規性、進歩性など) 特許性を判断するための重要情報を取得 PCTの手続の一環として出願人に提供される国際調査報告(ISR)には、 発明の特許性評価に影響を及ぼす可能性のある公開済みの文献に関する情 報が含まれる;見解書には、引用された文献が出願人の発明にどのように 関連し、その特許性にどのような影響を及ぼす可能性があるかについて、 詳細な説明が記載される これらの情報に基づいて出願の補正や国際予備審査請求の適否、また国内 段階移行の適否、時期、対象国を検討することができる 関連する請求項の番号 各請求項の 特許性の評価 関連すると 認められる文献 引用文献のカテゴリー (新規性、進歩性など) 評価に 関する説明

意図しない誤りに対する救済措置 各種欠陥の補充・訂正機会の提供(様式上の欠陥、優先権主張、申立て等) 非管轄受理官庁によるRO/IBへの国際出願の転送(規則19.4) 優先権回復制度(規則26の2.3、49の3.2) 優先期間の満了日から 2 ヶ月以内にPCT 出願を提出した場合、優先権 の回復を請求することが可能 「相当な注意」と「故意ではない場合」の二つの回復基準 各官庁の採用している基準や、適用を留保している官庁に留意 (RO/JPは「相当な注意」、RO/IBは両方の基準を採用) 引用による補充(規則20.6) 各庁での運用の違い、適用を留保している官庁に留意 明白な誤記の訂正(規則91) 国内段階移行期間を遵守できなかった場合の権利の回復(規則49.6) 不可抗力により期間が遵守できなかった場合の遅滞の許容(規則82の4) 国内段階移行後の翻訳文の誤訳訂正(第46条) etc.

国際公開 国際事務局は、優先日から18ヶ月経過後、速やかに国際公開を行う 原則、毎週木曜日にPATENTSCOPEで公開 発明の名称、要約及び国際調査報告は、英語の翻訳文も公開 出願人の請求により早期公開も可能 国際公開の効果 公開されたPCT出願は、国際公開日に先行技術となる 出願の公開による仮保護が認められる締約国においては、特定の条件を 満たすことにより、国際公開された出願についても仮保護が認められる (各締約国が定める要件の詳細は、「出願人の手引」の国内編を参照) ISR受領後に19条補正をすることにより、仮保護の範囲を確定 国際公開を利用してパートナー企業を発掘することも可能; この際、自身の国際出願に関するライセンシングに関心のある出願人は、 その旨をPATENTSCOPEで表示するよう要請することが可能(無料) 第三者は、PATENTSCOPEを通じて他者出願のウォッチングや、 第三者情報提供制度の利用が可能

(参考)PATENTSCOPEとは https://patentscope.wipo.int 約6,700万件のPCT出願、国内及び広域特許文献を検索可能 明細書及び請求の範囲の機械翻訳による即時翻訳機能 多言語検索(CLIR) 、化学化合物検索(一部のWO公報とUS公報が対象)等の 便利な検索機能を搭載 現在60の官庁がPCTの国内段階移行情報を提供 日米欧加豪の特許文献の包袋情報も提供 10言語 + モバイル用 インターフェース https://patentscope.wipo.int PATENTSCOPE ユーザガイド(日本語)(2017年7月25日更新版) https://patentscope.wipo.int/search/ja/help/users_guide_summer2017.pdf

(参考)第三者情報提供制度の概要  WIPOが提供するウェブサイト(ePCT)から(PATENTSCOPEにリンクあり) 国際公開済みのPCT出願に対して、新規性や進歩性に関する情報提供を行うこ とができる 国際公開日以降、優先日から28ヶ月までの間に提出可能(無料) 各情報提供者は、各国際出願につき 1 回のみ情報提供が可能 (先行技術文献10件までの情報を含めることが可能) 各国際出願について、最大10回までの情報提供が可能 情報提供は国際公開言語のいずれかで行う;先行技術文献の写しについてはいかなる言語でも提出可能 匿名での情報提供も可能 出願人は優先日から30ヶ月まで情報提供に対するコメントを提出可能 提供された情報や出願人からのコメントはPATENTSCOPEに掲載(先行技術文献の写しは除く)されるとともに、優先日から30ヶ月の期間の満了後指定官庁に送付される(ただし考慮するか否かは官庁次第) 第三者情報提供制度についてのFAQ: http://www.wipo.int/pct/ja/faqs/third_party_observations.html 第三者情報提供制度ユーザガイド(英語) http://www.wipo.int/export/sites/www/pct/en/epct/pdf/epct_observations.pdf

権利化時期の調整(1) ダイレクトPCT出願(優先権主張無しの出願) 国際出願日=優先日なので、早期(遅くとも優先日から9ヶ月以内)に ISR及び見解書を入手可能 早期にISRを取得することで、出願取下げによるノウハウ化の検討や そのPCT出願を優先基礎とするPCT出願を行うことが可能 個別の早期国内移行により特定国での早期権利化が可能(国際公開前の 早期国内段階移行+PCT-PPHにより、国際公開前の権利化も可能) 優先期間の初期に出願した場合でも同様の効果 (月) PCT出願 12 30 ~16 18 国際公開 国内出願 国内段階移行期限 ISR及び見解書 早期国内段階移行 PCT出願を優先基礎 とするPCT出願 ダイレクト

2016年7月から12月までのPCT-PPH案件を含む統計データ ( ) 内は全出願のデータ PCT国際段階で肯定的な見解(見解書、又は特許性に関する国際予備報告)を得た場合、PCT-PPH参加国の国内段階で早期審査を受けることが可能 JP US 特許査定率(%) 82.0 (71.5) 81.36 (68.65) 一次審査段階での特許査定率(%) 20.2 ( - ) 21.84 (12.91) PPH請求から一次審査までの平均期間(月) 2.6 (9.3) 7.28 PPH請求から最終処分までの平均期間(月) 7.3 (15.2) 19.11 平均オフィスアクション回数 1.0 2.98 (3.09) PPH参加国 2016年7月から12月までのPCT-PPH案件を含む統計データ  ( ) 内は全出願のデータ 参考:PPHウェブサイト http://www.jpo.go.jp/ppph-portal/index.htm

PCTのメリット:ユーザの声(1) 青色発光ダイオード (LED) の発展に貢献し、2014年のノーベル物理学賞を共同受賞した中村修二氏は、WIPO Magazineの記事の中で、大学研究におけるPCTの重要性を以下のように強調しています。 “大学で生まれる技術のほとんどは非常に初期段階のものであり、そのような技術にとってPCT は非常に重要です。なぜなら、PCT は、商業的なパートナーにとってどの国が最も重要なのかを決定する前に、市場と技術をさらに成熟させる一方で、私たちの特許を世界的に保護する機会を与えてくれるからです。” WIPO Magazine:2014年12月号 http://www.wipo.int/wipo_magazine/en/2014/06/article_0001.html

PCTのメリット:ユーザの声(2) 米国の新興企業であるNokeroは、途上国向けの照明器具の開発を通じてエネルギー貧困問題に取り組んでいます(これまで120カ国にわたり140万台以上の照明器具を提供)。そのCEOであり米国特許代理人でもあるSteve Katsaros氏はPCTについて以下のように語っています。 “我々は非常に多くの市場に展開しているため、特許取得のためにPCTを利用しています。新興企業は資金が限られており、PCTは特許出願費用を先延ばしでき、市場を見極め、予期せぬ技術的な問題を解決するための時間を稼ぐことができる大変重要な制度です。PCTがなければ、国際市場における発明の保護は多額の初期費用がかかり、リスクの高い戦略になるでしょう。” WIPO Magazine:2016年2月号 http://www.wipo.int/wipo_magazine/en/2016/01/article_0005.html

PCTのメリット:ユーザの声(3) ブラジルのエンブラエル社は世界における航空機技術の最前線にいます。エンブラエル社は様々な国々でおよそ800の特許を保有しており、その多くはPCTに基づき出願されました。エンブラエル社の技術開発部長であるWander Menchik氏はPCTについて以下のように語っています。 “PCTは所与の技術に関する様々な国での特許取得の可能性について予備的な見解を提供するとともに、保護を求める特定の技術に関する戦略的なビジネス上の決定をするための更なる時間を企業のために稼いでくれるという点で特に有益です。それ故、PCTは国際市場において特許を取得するプロセスから多大な作業を省き、また当社の新しい技術の特許戦略を具体化するに当たり非常に貴重な意見を我々に提供してくれるコスト効率の高い選択肢です。PCTを利用するかパリルートを利用するかどうかの判断は、発明の性質やその発明が適用され得る製品、プロセス又はサービス、並びにそれが影響を及ぼし得る市場によって決まります。” WIPO Magazine:2017年12月号 http://www.wipo.int/wipo_magazine/en/2017/06/article_0003.html

まとめ:PCTの主なメリット(1) 出願日の確保・優先日から30ヶ月の国際段階期間の活用 締約国全てで出願日を確保できるため、市場動向、研究開発動向等を見極めて権利化対象国を決定することが可能 30ヶ月の期間を利用した市場性調査、標準技術動向の見極め・該当技術の標準化への働きかけ等 初期費用の低減・コストの節減 国内移行費用・翻訳費用の節減、先送り(未移行、翻訳時期の後倒し) 統一手続きによる費用節減、国内段階での応答回数減少も期待 簡便な出願・手続 日本語で日本国特許庁に対して手続可能、国際事務局への出願も可能 統一された手続や様式 国際段階での手続(補正、名称変更の記録等)が各国で反映

まとめ:PCTの主なメリット(2) 特許性を判断するための重要情報を取得(国際調査報告・見解書の活用) 発明の事前評価への利用(特に調査困難な分野)、関連先行技術の予測 国内段階における活用(早期審査、PCT-PPH、料金減額等) 多くの救済措置 各種欠陥の補充・訂正機会、優先権回復、国内段階での誤訳訂正等 国際公開 仮保護の権利取得、先行技術化 ライセンシングの利用可能性の表示(PATENTSCOPE) 他者出願のウォッチング、第三者情報提供制度 国ごとの権利化時期の調整 個別の早期国内移行による特定国での早期権利化 移行時期をずらすことによる業務・費用ピーク発生の回避 PCT-PPHも活用

PCTの主なデメリット・留意点 PCT出願にかかる費用 各国の法制度・運用に対応した明細書、請求の範囲の記載には不向き PCT経由の場合、国際出願の内容に基づいて翻訳文を作成・提出する必要があるため、パリルートと比べると明細書等の記載に関して柔軟性が低い 国際段階の判断がそのまま受入れられるわけではない 国際段階で肯定的な判断が得られたからといって、各国に移行した後に必ずしもそのまま特許になるとは限らない

PCTを戦略的に活用するために(1) 出願ルートの選択(PCT?パリ?) どこで、また何か国で権利取得を目指すか 権利化までのスピード 技術の特性、市場動向、競業動向 準備期間、予算 受理官庁(RO)の選択(RO/JP、RO/IB) 出願方法(電子出願ソフト、FAX等)や手数料の支払方法等の選択肢 優先権回復の採用基準(回復請求する場合はRO/IBを推奨) 開庁時間(時差も考慮)、開庁日 国際調査機関(ISA)の選択(ISA/JP、ISA/EP、ISA/SG) コスト(調査手数料、英語出願の翻訳費用) 国際調査報告(ISR)の品質(言語、調査対象も含む)や適時性 国内段階移行時の有用性(PCT-PPH、手数料減額、早期権利化) 出願時のその他の判断 日本を自己指定するか否か(先の日本出願の取下げに留意) PCT非加盟国等での出願の有無

PCTを戦略的に活用するために(2) ISR、見解書の受領後の判断 19条補正(誤りの訂正、提示された先行技術の回避、仮保護の範囲の確定、 競業他社製品を考慮した補正) 非公式コメントの提出(PATENTSCOPEに掲載&指定官庁へ送付) 特許性の評価(国際予備審査?国際出願の取下げ?) 国際予備審査請求をする場合 34条補正(請求の範囲に加え、明細書、図面の補正が可能) ISA見解書に対する公式な反論(審査官との面接も可能) 移行国・移行時期の選択 生産・開発拠点、市場・競業動向、権利取得・維持のコスト、 権利行使可能性、損害賠償額等を考慮 各国への移行時 各国の法令、運用にあわせた明細書、請求の範囲への補正、 PCT-PPHの利用 等 移行ルートの選択(例:バイパスルートか否か(米)、 EPC経由か各国に個別移行か(欧))

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PCT Newsletter PCTに関する最新動向や実務アドバイス等を毎月紹介(夏は合併号) WIPOウェブサイトで過去の実務アドバイスをテキスト検索可能(英語版のみ) (参考)実務アドバイスの例 ・欠落部分の補充に関する受理官庁の異なる 手続(2015年7-8月号) ・優先権の回復の請求方法とそのような請求 に関する申立て及び証拠の提出(2015年9月 号) ・PCT出願時に参照可能な役立つPCT関連資 料(2015年10月号) ・PCT規則92の2に基づく変更の記録要請を 提出する際のベストプラクティス(2016年1 月号) ・公衆による一件書類の利用からの特定情報 の省略(2016年7-8月号) ・複数出願についてのPCT規則92の2に基づ く代理人の変更の記録(2017年6月号) ・12ヶ月の優先期間を徒過してしまった際に 取り得る行為、タイムラインへの影響(2017 年7-8月号) 英語版 日本語抄訳 英語版:http://www.wipo.int/pct/en/newslett/ 日本語抄訳:http://www.wipo.int/pct/ja/newslett/

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