生活援助ヘルパー研修 適切なケアの実施について(グループワーク) 資料6 生活援助ヘルパー研修 適切なケアの実施について(グループワーク) 平成29年1月12日/2月9日 健康福祉部 地域福祉室 介護保険課
1.適切なケアとは
常に適切なサービス提供を心掛けて仕事に従事する必要がある。 適切なケアとは ・生活援助の難しさ ⇒日常生活に直接かかわるサービスであるという特性がある。 日常生活の中に線引きすることは困難 ・介護保険制度は社会保険制度⇒どこかで線引きする必要がある。 「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号) ・介護保険制度のために徴収された公費 介護を要する人のためだけに使われるべきであること。 基本的な生活の維持のためだけに限定されてはいけない。自立支援が目的。 財源が税金・保険料であるため!! 常に適切なサービス提供を心掛けて仕事に従事する必要がある。
利用者からの要望に対応したほうがいいかどうかを考えてみてください。 2.事例検討 利用者からの要望に対応したほうがいいかどうかを考えてみてください。
事例1 利用者: 男性 77歳 世帯構成:長男と同居 長男はタクシーの運転手で、勤務時間は不規則 長男は協力的で、父親の介護や家事はできる限り行っている。 サービス利用回数:週1回生活援助サービス サービス内容:掃除(範囲は自室) 要望:長男より、「自分は勤務時間が不規則で夜勤もある。できる限り家のことは行っ ているが、負担が大きい。今はヘルパーを利用して父親の部屋だけを掃除して もらっているが、ついでにトイレだけでも簡単に掃除してほしい。お願いします。」 とあり。
事例2 利用者:女性 78歳 世帯構成:一人暮らし 市内に長男夫婦、長女夫婦住んでいる。 膝が少し痛み外出が億劫になっている。 サービス利用回数:週1回生活援助サービス サービス内容:買い物、調理 要望:いつも通り、サービス内容である買い物と調理を終え、事業所に帰ろうとして いたところ、利用者から「今日は膝が痛いので外に出ることが難しい。帰るつ いでに隣の家に回覧板を回してきてほしい。そして手紙を郵便ポストに入れ てきてほしいので、お願いします。」と要望があった。
事例3 利用者:女性 70歳 きれい好き 世帯構成:一人暮らし サービス利用回数:週2回生活援助サービス サービス内容:掃除、洗濯 要望:掃除している最中に、本人から「いつもきれいにしていただいて本当にありが とうございます。ただ、自分が元気な時は、日常的に換気扇を掃除していた ので、できれば掃除する際には換気扇も掃除してほしい。自分ができないの でずっと気になっていたの。お願いします。」と要望があった。
事例4 利用者:男性 80歳 ラジオを聞くことが趣味 世帯構成:一人暮らし サービス利用回数:週2回生活援助サービス サービス内容:買い物、調理 要望:買い物に行こうとしていたところ、利用者より「今日はいつものスーパーでは なく、自転車で30~40分で行くことができる電気屋さんに行ってほしい。チラ シでラジオが安くなっていると書いてあったので、そのラジオを買いに行って ほしい。家のラジオが壊れて楽しみがなくなっているのでお願いします。」と あり。
3.事例解説
事例1 解説 答え:×ときどき○ 同居家族がいる場合、生活援助は原則家族で対応していただく必要がある。 ⇒生活援助ヘルパーは「お手伝いさん」ではないので。 ⇒しかし、同居家族が家事等できない理由があれば生活援助提供問題なし。 同居家族がいる場合の掃除 あくまで、利用者本人が使用する自室等に限られる。 共有部分(お風呂・トイレ・台所・家族の部屋等)は認められない。 例外:トイレなどの共有部分が利用者本人の使用を原因として、恒常的に甚だしく 汚染するのであれば、その都度清潔な環境を維持する必要があるので、ケ アマネジャーのケアプランに位置付けて掃除の援助を提供することは可能と 考えられる。
事例2 解説 答え:× 「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号)には、郵便物の投函や回覧板を回す行為は位置付けられていない。 ⇒不適切なサービスとなる。 しかし、誰かが支援する必要あり!! ケアマネジャーを中心に他の方法も含め調整することとなる。 具体的には、家族、ボランティアや近所の友人、知人の協力を優先する。 「それぐらいならお安い御用」、あるいは断りきれずに対応すると・・・ 利用者からすれば当然のことのように把握されてしまい、今後も当然のようになってしまうので注意が必要。
事例3 解説 答え:× 掃除の目的⇒清潔な療養環境の維持 大掃除は認められない。(換気扇の拭き掃除は一般的に見て大掃除) 社会保険制度であるため、必ずしも利用者の生活習慣にあわせなければならないということはない。 しかし、断りっぱなしでは関係が悪くなる ⇒ケアマネジャーに報告、相談し代替案を利用者交えて検討する。 具体的には、定期的に清掃業者に入ってもらうなどを検討していただく。 生活援助ヘルパーは、介護保険制度に基づくものとなり、お手伝いさんではありません。利用者にとって、「良い人」であることも大切ですが、生活援助ヘルパーであることを念頭に置き対応していただく必要がある。
事例4 解説 答え:× 買い物代行⇒日々の生活に欠かすことができない必需品であって、利用者の生活 圏域にて調達できるもの。安売りをしているからといって、生活圏域 以外に行くことも不適切。 対象となるもの 対象とならないもの ・食料品 ・台所用品 ・日常消耗品 ・日常被服(下着) 等 ・電化製品 ・家具 ・外出着 ・専門書籍 ・その他高価なもの 等 買い物代行の際の注意点 ①生活援助は、利用者が単身、家族が障害・疾病などのため本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行う。 ②生業の援助的な行為は生活援助の内容に含まれないことから、例えば販売するための商品等生業のために必要な物品の買 い物代行は含まれない。 ③直接、本人の日常生活の援助に属さないと判断される行為は生活援助の内容に含まれないことから、日常品の範囲を超える 趣味性の高いもの等の買い物代行は含まれない。 ④金銭を預かる際には、必ずしも預かり証を発行する必要はないが、利用者・家族に金額を確認してもらった上で預かり、商品 と釣りを渡す際にはレシート・領収書等を一緒に渡して確認してもらう。また、預り金、購入商品、釣りを記載し、レシート・領収 書等を張り付けることができる買い物代行の記録帳を作成し、利用者・家族に保管してもらうとともに、訪問介護記録に預り金、 購入商品・金額等を記録する。 (兵庫県 「訪問介護のてびき」より)
4.まとめ
まとめ 一般的に生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例 直接本人の援助に該当しない行為 日常生活の援助に該当しない行為 主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為 (事例1) ・利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し ・主として利用者が使用する居室以外の掃除 ・来客の応接(お茶、食事の手配等) ・自家用車の洗車、清掃等 日常生活の援助に該当しない行為 訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為 (事例2) ・草むしり ・花木の水やり ・犬の散歩等ペットの世話 等 日常的に行われる家事の範囲を超える行為 (事例3) ・家具、電気器具等の移動、修繕、模様替え ・大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ ・室内外家屋の修理、ペンキ塗り ・植木の剪定等の園芸 ・正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理等