MAXI未同定短時間軟Ｘ線トランジェント(MUSST、マスト天体) 初代星研究会　金沢歌劇座 2016.10.26. MAXI未同定短時間軟Ｘ線トランジェント(MUSST、マスト天体) 正体を教えてください。 三原建弘(理研)、根来均(日大)、中平聡志(JAXA)、　　松岡勝、芹野素子、杉崎睦(理研) ほかMAXI チーム

MAXI/GSCの視野 160 × 3 deg(bottom) × 2視野　 = 全天の2% 稼働時間 40% （南大西洋放射線異常帯や高緯度放射線帯） Slit Slat Collimator 160 deg 1.5 deg (FWHM) 3.0 deg (at bottom) Celestial sphere 1-dimensional position sensitive detector 2

GW 150914 Event GW 150914 Event Abbott et al. 2016 Credit : LIGO Caltech Sky Blue Contour: ROUGHLY 90% credible level MAXI was not operating at the GW time 2015.9.14. 9:50:45 UT.

4-30 min after the detection GW 150914 4-30 min after the detection 　　　　検出後 4-30 分間 (MAXI) 　 MAXI視野 Kawai et al. in prep. MAXI scan on the GW region started in 4 minutes later. About 90% of the error region was observed within 30 min.

1 orbit (~92 min) GW 150914 検出後 90 分間 (MAXI 1軌道) Sun 3 σ upper limit (2-20 keV) : 0.1 c/s/cm2 ~ 30 mCrab ~ 10-9 erg/s/cm2 (Serino et al. 2015) Although MAXI was off at the GW time, it put upper limit in flux in just after the event, long before and after the event. GW 151226 : upper limit (Serino in prep.)

MAXI トランジェント（GRB、MAXI天体） １スキャンで　　0.1 Crab以上と言う明るい状態で検出されたが、 92分後の次スキャンでは検出限界以下であった。 この半数弱（30個程度）に対しては、3～24時間後にSwift衛 星で追観測が行われた。 GRBであれば、90%程がＸ線残光を持ち(Nousek+ 2006)、Ｘ線残光が 発見されGRBだと確定する。

MAXIトランジェントのSwiftフォローアップ (2011?－) MAXI J1501-026 1.7h後 GRB 140814A MAXI J0545+043 26h後 ●対応天体あり △候補あり ＊候補なし ※ MUSST 　　　10 　　　4 　　　6 　　　7 合計27 ※ MAXIでの明るさ [Crab] GRB 150428C MAXI J1631-639 27h後 ※ MAXI J1631 と MAXI J1501 は位置にエラー情報がない (目であわせた?重心?) GRB 130407A MAXI J1540-158 47h後 Swiftフォローアップまでの時間[h]

しかしながら、他のGRB衛星で検出報告がなく、 Swift追観測でＸ線残光がなかったものが７例あった。 MAXI による GRB と MAXI天体 2015年10月現在、69個のGRB と 29個のMAXI天体を発見 すべてのGRBと、8個のMAXI天体（合計77個）は、 １スキャンで　　0.1 Crab以上と言う明るい状態で検出されたが、 92分後の次スキャンでは検出限界以下であった。 この半数弱（30個程度）に対しては、3～24時間後にSwift衛 星で追観測が行われた。 GRBであれば、90%程がＸ線残光を持ち(Nousek+ 2006)、Ｘ線残光が 発見されGRBだと確定する。 残光が発見されたMAXI GRBは 26個。 しかしながら、他のGRB衛星で検出報告がなく、 Swift追観測でＸ線残光がなかったものが７例あった。

これまでに検出されたMUSST天体 7例 全天に一様に分布 GRB 150428C MAXI J1501-026 MAXI J1540-158 　GRB 140814A　MAXI J0545+043 GRB 130407A　 MAXI J1631-639 (l, b) = (139.1, +11.3) 　 (354.6, +46.8) (351.6, +30.6) (139.9, +66.4) (201.1, -12.6) 　 (26.4, +35.6) (324.4 -10.8) 2-4 keV 2-4 keV 4-10 keV No flux in high energy band 10-20 keV flux 0.16 Crab 0.44 Crab 0.1 Crab 0.23 Crab 0.2 Crab 　　　 0.17Crab 0.12 Crab 2015-04-28 2015-08-26 2015-03-11 2014-08-14 2014-04-12 　 2013-04-07 2011-04-29 GCN #17772 Atel #7954 GCN #17568 GCN #16686 ATel #6066 GCN #14359 ATel #3316 Swift follow-upｓ 　　　すべて非検出 11’ FOV （注）我々はGRBだと思ってGRBを関してGCNに報告したが、実はGRBではなかったのかもしれない。 2014年以降は、MAXIのノバ検出効率もあがり、Swiftの7tile観測もルーチン化したので例数が増えた。 光度曲線ではスキャンプロファイルは未補正。

Swift follow-upｓ 　すべて非検出

MAXI Unidentified Short Soft Transient (MUSST) Soft : X線帯（MAXI 2-10 keV) でのみ検出される 硬Ｘ線のSwift/BAT (15-50 keV)では検出されていない GRB検出器 （Fermi/GBMやKonus/wind）でも非検出。 （稼働中だったか、視野内だったかどうかは未調査。） Short transient : 約半日後のSwift/XRT 追観測では非検出。すでに 0.1mCrab以下にFade outしている。 Unidentified : Swift/XRTによる位置同定ができないため。 MAXI の位置精度(0.3deg) では可視光などの追観測には精度が足りない。

MUSSTの位置 全天に一様に分布 ④ ② ⑥ ③ ① ⑦ ⑤

これまでに検出されたMUSST天体 7例 全天に一様に分布 GRB 150428C MAXI J1501-026 MAXI J1540-158 　GRB 140814A　MAXI J0545+043 GRB 130407A　 MAXI J1631-639 (l, b) = (139.1, +11.3) 　 (354.6, +46.8) (351.6, +30.6) (139.9, +66.4) (201.1, -12.6) 　 (26.4, +35.6) (324.4 -10.8) 2-4 keV 2-4 keV 4-10 keV No flux in high energy band 10-20 keV flux 0.16 Crab 0.44 Crab 0.1 Crab 0.23 Crab 0.2 Crab 　　　 0.17Crab 0.12 Crab 2015-04-28 2015-08-26 2015-03-11 2014-08-14 2014-04-12 　 2013-04-07 2011-04-29 GCN #17772 Atel #7954 GCN #17568 GCN #16686 ATel #6066 GCN #14359 ATel #3316 Swift follow-upｓ 　　　すべて非検出 11’ FOV （注）我々はGRBだと思ってGRBを関してGCNに報告したが、実はGRBではなかったのかもしれない。 2014年以降は、MAXIのノバ検出効率もあがり、Swiftの7tile観測もルーチン化したので例数が増えた。 光度曲線ではスキャンプロファイルは未補正。

X-Ray Flash (Soft GRB ?) with HETE-2 ガンマ線の無いGRB様のX線天体現象はHETE/WXMでとらえられていた。Sakamoto+ (2008) XRF 20個のうち特にソフトな ５個の soft-XRF 　XRF SX/Sγ比 010213 11.4 　GRB like 011130 6.0　 Xonly 020625B 19.8 Afterglow? 020903 5.6 Xonly z=0.25 030723 7.4 z～0.5 BATSE, HETE-2, SwiftのGRB Epeak 011212 1.3 ー＞除いた。 15-50 keV flux

Soft X-ray transient たぶんGRBだろう。 2005 HETE時代 GRBでないヤツもいる。。 2013 MAXI時代 3 XRF では、zが測られて ⇒ extra galacticと判明。 2005 HETE時代 2013 MAXI時代 感度が３倍上がったら GRBでないヤツもいる。。 Soft XRFライクな MAXIイベント 新星点火 (MAXI J 0158-744, Morii+ 2013) 未知の静穏状態のLMXBがいきなりＸ線バースト (GRB 121225A = Swift J1741.5-6548 ) 白色矮星をcoronal mass ejectionが通過？ (MAXI J0758-456)

古典新星爆発の火の玉フェイズ（史上初） MAXI J0158-744 Morii+ 2013 MAXI-GSC ignition phase SSS phase ignition phase Time (days) since trigger time UVOT (mag) Log L (erg s-1) d MAXI-GSC 発見時の撮像画像 ・小マゼラン雲の距離→とても明るい 100 LE ・1日後にSSS (Super Soft Source)フェーズ。 ・ＭＡＸＩの3回目(1300s後)のスペクトル中に、　　　ネオンの輝線。 ⇒ (酸素と)ネオンで構成されている重量級白色矮星の表面上で発生した新星爆発であることを示唆。

根来2013秋季天文学会 Swift J1741.5-6548 (= GRB 121225A?) MAXI が GRB 121225A を発見 (Ogawa+ GCN #14100) Swift J1741.5-6548 Swift/BAT により 2013/02/26 - 03/13 の 16 日積分データから発見 (11~25 mCrab, Krimm+ ATel. 4902, 3/20) 位置的に GRB 121225A と同一で、LMXB の可能性 (Negoro+ ATel. #4911) Burst のスペクトル: kT ~ 1.7 keV, 明るさがEddington 光度なら 6-8 kpc Burst 以来、徐々に増光 (~ 8 mCrab @ 3/20) Gemini Multi-Object Spectrograph (GMOS)

MAXI J0758-456 2016/4/24 15:05:06 kT brems =4.2 (+3.8/-1.8) keV 根来2016秋季天文学会 MAXI J0758-456 2016/4/24 15:05:06 Nova-Alert System にて Soft なバースト現象を 1 scan のみで検出 (Nakagawa+ ATel #8983) 熱的なスペクトル 3-10 keV 2-4 keV Scan 方向 4-10 keV 10-20 keV kT brems =4.2 (+3.8/-1.8) keV kTBB = 1.1 (+0.3/-0.2) keV ( GPL = 2.5 (+0.7/-0.5) ) F2-10 keV = 3.1e-9 erg/s/cm2 急速なクーリング？

2016/4/24 20:02~ Swift ToO 7-point tiling obs. 対応天体なし(MUSST 天体?) 4/25 14:59- CV, 1 RXS J080114.6-462324 を誤差領域内に検出 (Kennea+ ATel #8988) MAXI J0758-456 = 1RXS J080114.6-462324 ? Masumitsu+ ATel #8993 Swift Tiling 4/24 t = 10.5 ± 2.0 sec Swift Tiling 4/25 ~ 1.4 Crab ~ 9e34 erg/s (for 150 pc) 1RXS J080114.6-462324 CV (IBIS hard source) intermediate polar MAXI error region

Soft X-ray transient 2005 HETE時代 2013 MAXI時代 ひょっとして。。。 2016 GW時代 たぶんGRBだろう。 3 XRF では、zが測られて ⇒ extra galacticと判明。 感度が３倍上がったら 全部が、と言うわけではない。。 Soft XRFライクな MAXIイベント 新星点火 (MAXI J 0158-744, Morii+ 2013) 未知の静穏状態のLMXBがいきなりＸ線バースト (GRB 121225A = Swift J1741.5-6548 ) 白色矮星にCME？ 2005 HETE時代 2013 MAXI時代 ひょっとして。。。 次の重力波源はsoft X線を出すかもしれない 　　 (NS-NSマージャーで、Off-axis short-GRB) 2016 GW時代

Short GRBとextended X-ray emission ↓ ↓ 米徳 2016物理学会

MUSST の正体は ? △Softer end of GRB である可能性は残る ○ SN shock breakout 無 見える ― （誤差領域カバー率～0.9。GRBは10%はX線残光を持たない[暗い]） ○ SN shock breakout 　　 無　　 見える　 ― ×新星点火 (MAXI J0158)　 　 見える　見える 無　 ×静穏LMXB のX-ray burst　 　 見える 無 無 ×白色矮星連星でCME通過　 　 見える 無 無 ×宇宙論的zのGRB (z>10) 　　　 見える　 無 見える ×Orphan afterglow of a GRB 　　 見える 見える 見える ？重力波源 (failed short GRB)　　　 ？ ？ ？ ？単独blackholeに彗星落下 　 見える? 無　　無 ？Old magnetar　　　　　　　　　見える? 無　　無 Swift/XRT 可視光 赤外 ×星のフレア、潮汐破壊現象は、数時間以上のイベントなので除外できる。

OHMAN プロジェクト Onorbit Hookup of MAXI And NICER NICER: Launch in March 2017 Keith Gendreau (NASA/GSFC) 素早い追観測 まだＸ線で明るいうちにＸ線で見る。 ISS上で天体検出＆出現情報を伝達。 ISSトラスELC3 MAXI: Already on orbit

まとめ MUSST （マスト天体） マスト天体は何でしょうか？ MAXI Unidentified Short Soft Transient MAXI J1501-026 まとめ　　MUSST　（マスト天体）　 MAXI Unidentified Short Soft Transient (MAXI未同定短時間軟Ｘ線トランジェント) 全天Ｘ線監視装置MAXIの６年半の観測で正体不明の新天体が７例 それらの特徴は、 Ｘ線領域のMAXI帯でのみで輝くsoftな天体 半日後のSwift/XRTの追観測時にはすでに消えている短時間現象(short transient) MAXIの位置精度(約0.3度)では可視光の追観測には不十分なので「未同定」 これらの中には、 Ｘ線残光を伴わなかったGRBや、 位置がSwift XRTの視野外だったGRBもあるだろう。 超新星ショックブレイクアウト 重力波天体 古いマグネター 単独ブラック ホールに彗星が落下 「未同定」の主原因は、そのＸ線減光が速すぎて追観測で検出できなかったためである。 NICER (ナイサー)装置と即時連携し、 ディスカバリスペースとして残されている、　Ｘ線（10keV以下）での短時間（１時間以下）の フロンティアを探りたい。 OHMANプロジェクト マスト天体は何でしょうか？ おわり