少人数職場の実態調査 アンケート結果 要約  群馬県理学療法士会(以下、県士会)所属の理学療法士が勤務する少人数職場( 理学療法士2名以下の職場)への支援体制づくりのための実態調査を目的としてアンケート調査を実施した。  アンケート回答率は40%(30/75施設)であり、ブロック別回答率は北毛ブロック76.9%であり、その他のブロックは20~40%程度であった。

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少人数職場の実態調査 アンケート結果 要約  群馬県理学療法士会(以下、県士会)所属の理学療法士が勤務する少人数職場( 理学療法士2名以下の職場)への支援体制づくりのための実態調査を目的としてアンケート調査を実施した。  アンケート回答率は40%(30/75施設)であり、ブロック別回答率は北毛ブロック76.9%であり、その他のブロックは20~40%程度であった。  少人数職場の理学療法士は県士会主催、非主催に関わらず、各種行事への参加は積極的に実施されていた。一方、職場での業務にて困惑する事象の存在は2/3の理学療法士が困惑すると回答していた。その内容は、知識・技術的側面に加え、職場環境に関する問題であった。  県士会からのサポートの必要性については約半数の施設にて肯定的ではなかった。これは、少人数職場は固有の職場環境の問題(PTの立場や他職種との関係等)を多く抱えており、現状のサポート(ホームページやニュース等)だけでは解決困難な事象が存在している可能性が示唆された。  今後は現状のサポートに加え、各ブロックや近隣施設とのネットワークを拡充し、問題が生じた場合に身近に相談できる環境の設定が必要と考えた。 アンケートの目的  県士会所属の理学療法士が勤務する少人数職場への支援体制づくりのための実態調査を  目的とした。  ( ※以下は理学療法士2名以下の職場を少人数職場とする。 ) アンケート対象施設  県士会名簿より理学療法士2名以下の  少人数職場75施設を対象とした。  (平成19年12月) アンケート郵送日  平成19年12月4日 アンケート回答締切日(ファックスにて返信)  平成19年12月28日 アンケート回答数・回答率  30施設/75施設 回答率40% ○アンケート対象施設について(平成19年12月時点)  県士会員所属施設における少人数職場の数は155総施設に対して75施設(48.4%)であった(図1)。  県士会所属員のうち少人数職場に勤務する者は総数734名に対して99名(13.5%)であった(図2)。  ブロック別総施設に対する少人数職場の割合は北毛ブロックで最も高く59.1%であった(図3)。  群馬県内の少人数職場の種別は病院、老健がそれぞれ約1/3を占めていた(図4)。 理学療法士 3名以上の職場 80施設 51.6% 少人数職場 75施設 48.4% 図1 県士会員勤務先における少人数職場の割合 アンケート回答施設 30施設 少人数職場以外に 勤務する理学療法士 568名 77.4%  少人数職場に勤務 する理学療法士 99名 13.5% 自宅会員 67名 9.1% 図2 少人数職場に勤務する理学療法士の割合 その他 4施設 5% 10 20 30 40 50 西毛 中毛 東毛 北毛 図3 ブロック別の少人数職場の割合 23施設 50% 19施設 41.9% 21施設 47.7% 13施設 59.1% 学校 2施設 3% 行政 5施設 7% 訪問看護 ステーション 5施設 7% 病院 24施設 32% 診療所 10施設 13% 介護老人保健施設 25施設 33% 図4 群馬県内の少人数職場の種別

ブロック別アンケート回収率は北毛ブロックで 最も高く76.9%であった(図5)。 ○少人数職場施設の種類について ○アンケート返信施設のブロックについて  ブロック別アンケート回収率は北毛ブロックで  最も高く76.9%であった(図5)。 ○少人数職場施設の種類について  アンケート回答施設における施設形態は  病院・介護老人保健施設が全体の70%以上  を占めていた(図6)。 5 10 15 20 25 西毛 中毛 東毛 北毛 8/23施設 34.8% 4/18施設 21.1% 8/21施設 38.1% 10/13施設 76.9% 図5 少人数職場のブロック総数に対する回答数と回答率 病院 13施設 43% 介護老人保険施設 9施設 30% 診療所 4施設 13% 介護老人福祉施設 1施設 3% 訪問看護ステーション 2施設 7% その他 図6 施設の種類 ○アンケート対象者の年齢について  20歳代の理学療法士が全体の1/3を占めて  いた(図7)。 ○アンケート返信者の理学療法士経験年数について  各年数ともに存在するが、10年以下の経験者が  約半数であった(図8)。 20~29歳 11件 30~39歳 12件 40~49歳 3件 50~59歳 2件 図7 アンケート対象者の年齢 図8 アンケート返信者の理学療法士経験年数 1~5年目 8件 6~10年目 6件 11~20年目 14件 20年目以上 2件 ○職場における業務上のニーズ充足について  業務におけるニーズを「あまり充足していない」  (9件)、「充足していない」(5件)との回答が全  体の約半数であった(図9)。 ○職場における業務の忙しさについて  業務における忙しさは「忙しい」(13件)、「ある程  度忙しい」(13件)との回答が多数であった(図10)。 図9 業務状況 業務上のニーズ充足について 充足している 1件 ある程度 充足している 14件 あまり充足 していない 9件 充足して いない 5件 図10 業務状況 業務の忙しさについて 忙しい 13件 ある程度 忙しい 13件 あまり忙しく ない 2件 忙しくない 2件

○理学療法の実施において困惑するかについて 業務において「困惑する」(9件)、「ある程度困 惑する」(12件)との回答が全体の約2/3を占め  業務において「困惑する」(9件)、「ある程度困  惑する」(12件)との回答が全体の約2/3を占め  ていた(図11-1)。 ○困惑する内容について  「知識」(15件)、「技術」(16件)、「他職種と  の関係」(11件)、「職場環境・情報」(15件)  が多く、多岐にわたっていた(図11-2)。 図11-2 業務状況 業務における困惑内容 4 8 12 16 知識 技術 他職種との 関係 施設内での PTの立場 職場環境・ 情報 その他 15件 16件 11件 7件 3件 図11-1 業務状況 業務上で困惑について 困惑する 9件 ある程度困惑 する 12件 困惑しない 1件 あまり困惑 しない 8件 ○県士会主催行事への参加状況(過去1年間)について  2/3の者は県士会主催行事に参加していた(図12-1)。  また、参加頻度も複数回の者が多かった(図12-2)。  参加行事の内容は、研修会・学会等の任意の行事が  最も多かった(13件)(図12-3)。   ※行事とは各種研修会や学会、イベントを指すことと   する。以下すべて同様である。 図12-1 県士会主催行事への参加状況 ある 21件 70% ない 9件 30% 図12-2 県士会主催行事への参加回数 1 2 3 4 5 6 7 8 1回 2回 3回 4回 5回以上 5件 7件 6件 2件 1件 2 4 6 8 10 12 14 任意の 行事 新人教育 総会部会 13件 6件 1件 図12-3 参加行事内容 ○県士会以外の主催行事への参加状況(過去1年間)について  多くの者は県士会以外が主催する行事に参加(22件)  していた(図13-1)。  参加頻度は県士会主催の行事に比べ、少数・もしく  は5回以上が多く、2極化している傾向にあった(図13-2)。  参加行事の内容はPT協会主催(9件)、他学会・研  究会(12件)、院内・施設内行事(8件)であり、院内  行事等の身近に参加可能な行事以外でも積極的な  参加がうかがえた(図13-3)。  図13-1 県士会以外の主催行事への参加状況 ある 22件 73% ない 8件 27% 図13-2 県士会以外の主催行事への参加回数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1回 2回 3回 4回 5回以上 8件 5件 3件 6件 図13-3 県士会以外の主催行事への参加内容 2 4 6 8 10 12 14 PT協会 他県士会 他学会・ 研究会 院内・施設内 その他 9件 3件 12件 8件

○県士会主催の行事の企画・運営状況(過去1年間)について 企画・運営経験のある者(6件)に比べ、ない者(24件)  企画・運営経験のある者(6件)に比べ、ない者(24件)  が多数であった(図14-1)。  企画・運営経験のある者は全員1回の実施であり、  公開講座、群馬県PT学会、臨床実習教育講習会、  部会等の実施であった。  企画・運営経験のない者は職場環境(6件)、負担感  (4件)、メリットの無さ(1件)、県士会所属意識の低さ  (1件)等を理由としていた。  一方、依頼があれば参加可能との回答(2件)もあった  (図14-2)。 図14-1 県士会主催の行事の企画・運営状況 ある 6件 20%  ない 24件 80% 1 2 3 4 5 6 7 職場環境 負担感 メリットのなさ 県士会所属 意識がない 依頼があれば 参加可能 図14-2 県士会主催の行事の企画・運営ができない理由 6件 4件 1件 2件 図15 県士会HP閲覧状況 ある 27件 90% ない 3件 10% ○県士会ホームページ閲覧状況  ほとんどの者は県士会ホームページを閲覧してい  た(27件)(図15)。 ○県士会からのサポート状況について  サポートを受けた経験がある者(7件)に比べ、サ  ポートを受けた経験のない者(16件)やサポートと  して認識のない者(7件)が多かった(図16)。  サポートを受けた経験のある者の多くは、ニュース  やメーリングリストからのサポートを挙げていた(4件)。 図16 県士会からのサポートの有無 ある 7件 ない 16件 わからない ○今後、県士会からサポートを必要とするかについて  今後、サポートが必要とする者(15件)と、必要ない(1件)どちらともいえない(14件)とする者は同数  であった(図17-1)。  県士会から必要なサポート内容は講習会や医療状勢等の情報発信(8件)、診療報酬(4件)、ホーム  ページ上での事例紹介(1件)、現状どおり(2件)であった(図17-2)。   また、サポート取得方法としてはEメールやホームページ、FAX、郵送等を希望する者(8件)が多く、   相談窓口の設置を望む者(2件)もあった。 図17-1 県士会からの今後のサポートの必要性 必要である 15件 必要ない 1件 どちらとも いえない 14件 1 2 3 4 5 6 7 8 9 情報発信 診療報酬 事例紹介 現状どおり 図17-2 県士会からの今後のサポートの必要性 8件 4件 1件 2件

まとめ  基礎調査では、20歳代の理学療法士が全体の1/3を占めており、経験年数10年目以下が半数であった。また、回答率では北毛ブロックが非常に高かった。アンケート回答施設では病院、介護老人保健施設が全体の70%以上を占めていた。  多くの職場の理学療法士は多忙さを提示しており、業務上で困惑する事象も存在していた。困惑する事象内容については知識・技術的側面に加え、職場環境に関する問題を多く抱えていた。  また、県士会主催・県士会以外主催に関わらず、勉強会や講習会等への参加意識が高いことが示唆された。しかし、行事の企画・運営については少人数職場固有の職場環境や負担感の増大が原因となり消極的であった。  県士会ホームページの閲覧状況は盛んであるが、県士会からのサポート状況についてはサポートを受けたと回答した施設は全体の1/4程度であり少数であった。また、県士会からのサポートの必要性は半数の施設で必要としていた。必要なサポート内容としては、現状のニュースやメーリングリスト、ファックス等によって配信されている内容の情報が主であった。このため、各施設の受信者は県士会からの情報発信を適確に受信できていない可能性が考えられた。  一方、県士会からのサポートの必要性について「どちらともいえない」との回答も約半数存在していた。これは、県士会からのサポートに対する期待の低さを提示していると捉えることができる。アンケート結果から考えられる原因としては、困惑している事象内容が知識・技術的側面のみならず、職場環境(PTの立場・他職種との関係等)の問題を多数提示しているためと考えることができるかもしれない。  今後の県士会からのサポート方法として以下の項目を提案する。  ・情報送信時に受信者にとって優先順位の高い情報を選択的にピックアップしやすい内容とする。  ・県士会ホームページの拡充を図る。   具体的手法(例)として「トップページに部局毎ではなく、県士会が行う全ての研修会・勉強会や診   療報酬等の情報をリンクさせる。」、「年間行事予定をトップページにリンクさせる。」等を提案する。  ・県士会員から情報や疑問を発信するために、なんらかの窓口を設置する。  ・各ブロック内のネットワークの拡充を図る。  ・県士会からの情報伝達を確実にしていく。 監修:      社会局長 目黒 力 集計及び分析:調査部長 岡崎大資          部員 赤池 優