平成14~18年度科学研究費(学術創成研究費) 高度界面制御有機・無機複合構造による 量子物性の発現と応用

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課題演習B1 「相転移」 相転移とは? 相転移の例 担当 不規則系物理学研究室 松田和博 (准教授) 永谷清信 (助教)
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第29回応用物理学科セミナー 日時: 11月10日(木) 16:10 – 17:10 場所:葛飾キャンパス研究棟8F第2セミナー室
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平成14~18年度科学研究費(学術創成研究費) 高度界面制御有機・無機複合構造による 量子物性の発現と応用 平成14~18年度科学研究費(学術創成研究費) 高度界面制御有機・無機複合構造による 量子物性の発現と応用 研究代表者 斉木幸一朗 (東大 新領域) 研究分担者 青木 秀夫 (東大 理 物理) 島田 敏宏 (東大 理 化学) 上野 啓司 (埼大 理 化学) 佐々木岳彦 (東大 新領域) (H16- ) 有田亮太郎 (東大 理 物理) 研究協力者 中村 榮一 (東大 理 化学) 西原 寛 (東大 理 化学) 木口 学* (北大 理 化学) * H14-15 研究分担者

研究の背景と目的 “ヘテロ”界面に特有な物性の探索 実験と理論の協奏 半導体へテロ界面 金属へテロ界面 ① へテロ界面の構造制御と電子状態 選択的プローブ,第一原理計算,… ② 有機薄膜の重合と高分子強磁性 有機2次元ネットワーク,平坦バンド強磁性,… ③ 有機 / 無機へテロ接合が発現する量子物性 FET構造電荷注入,光物性,界面超伝導,… 半導体へテロ界面 金属へテロ界面 酸化物へテロ界面 従来のヘテロ界面(物質群共通) 絶縁物 / 金属 有機物 / 金属 = 本研究の対象 (実験) ヘテロ界面作製,界面選択性プローブ (理論) 第一原理計算,多体効果 実験と理論の協奏 高度な界面作製/制御技術 相関設計/制御 多様物質系ヘテロ成長 共有結合,イオン結合 分子性結合,金属結合 電子相関理論 超伝導,光学非線形

MIGS - 無機絶縁体/金属界面に特有な電子状態 実験 → 理論 ① へテロ界面の構造制御と電子状態 MIGS - 無機絶縁体/金属界面に特有な電子状態            実験     →   理論 alkali halide / Cu, Ag の  初めてのエピ成長 元素選択性プローブ  NEXAFS 第一原理計算 界面1原子層の MIGS を再現 MIGS(金属誘起ギャップ状態) 半導体 / 金属では確立 侵入長∝1/EG insulator 絶縁体では << 1Å? 未解決の問題

MIGSの展開 実空間位置 有機薄膜 / 金属界面 実験 第一原理計算 物性予測 励起子機構超伝導 探索のモデル系 STM / STS ① へテロ界面の構造制御と電子状態 MIGSの展開 実空間位置 有機薄膜 / 金属界面  実験  C44H90 (TTC) / Cu (100) NEXAFS  第一原理計算 (C2H2)n / Cu, Ni (100) 物性予測 励起子機構超伝導 探索のモデル系 LiCl on Cu(100) MIGS STM / STS cf. NEXAFS MIGS = anion 位置に振幅 Kuroki-Aoki model

極性面 ↓ (<10 層) 極性面安定化! D (EF): nonzero 第一原理計算 1-3層の超薄膜でも極性面, 表面層は金属 ① へテロ界面の構造制御と電子状態 極性面 第一原理計算 1-3層の超薄膜でも極性面, 表面層は金属  anion cation 期待される物性  超活性表面,2次元金属層 不安定で一般には実現困難 MgO, CoO / Ag (111) 極性面強磁性の可能性 有機極性面 O   交互供給 Mg     ↓ (<10 層) 極性面安定化! D (EF): nonzero 5.5 D Bucky ferrocene (東大理 中村研 合成)

② 有機薄膜の重合と高分子強磁性    平坦バンド強磁性 理論      →     実験     平坦バンド強磁性 in 奇数員環鎖 合成実験 (東大理化学 西原研との共同研究) PAT(N,N-ジメチルアミノトリアゾール) モノマー合成:成功 ポリマー化:試行中 N,N-ジメチルアミノピロール: 電解重合に成功 設計物質(PAT) (Arita et al) 強磁性 転移温度 Tc ~ 90K

② 有機薄膜の重合と高分子強磁性 電界誘起重合 重合と強磁性 C60 薄膜の重合 強磁性,高 mobility の期待 光+電場の協奏による重合の促進 (速度定数 103 増大) 炭素系特異磁性 C60 + O2 + laser,H2 C6H6 + Pt (111) (graphene) Laser 照射 C60 in O2 FET mobility の向上 表面分析+ in situ カー効果測定による発現機構の解明 電界誘起重合体の磁性の探索 電流誘起重合,反応位置制御

電界効果電荷注入過程の解明 電界効果トランジスタ (FET) 空乏層,蓄積層の厚さ評価 超薄膜状態(1分子層) FET ③ 有機 / 無機へテロ接合が発現する量子物性 電界効果電荷注入過程の解明 電界効果トランジスタ (FET)  空乏層,蓄積層の厚さ評価  超薄膜状態(1分子層) FET  過渡現象 → 伝導機構 In-situ 測定装置 超薄膜FET 0.0002 M KIaq cathode A anode Ta FET 断面 KFM 測定  界面電荷分布 High-k ゲート絶縁膜  ( 陽極酸化Ta2O5 ) C60 1分子あたり0.25個 KFM測定装置 FET on Ta2O5

異質なヘテロ界面の電子状態の実験的・理論的解明 今後の計画・展望 異質なヘテロ界面の電子状態の実験的・理論的解明 新分野創成の基礎

研究成果報告書 report 29項目原稿完成(カラー) 全80ページ 10月中配布予定

主要購入装置(500万円以上)