流体の運動方程式の移流項を ベクトルの内積を使って 直感的に理解する方法

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流体の運動方程式の移流項を ベクトルの内積を使って 直感的に理解する方法 三重大学・大学院生物資源学研究科 共生環境学専攻 地球環境気候学研究室 教授 立花義裕

移流項をベクトルの内積を使って直感で理解しよう 温度 T をいれて移流項を オイラー的に考えよう (オイラー) (ラグランジュ) (移流項) 風向と移流項 (等温線) 温度勾配∇T と風ベクトル v の方向が同じで, かつ平行 10 11 12 13 (K) v ・(∇T ) > 0 v v A < 0 v ∇T A点における気温減少

移流項をベクトルの内積を使って直感で理解しよう 温度 T をいれて移流項を オイラー的に考えよう (オイラー) (ラグランジュ) (移流項) 風向と移流項 (等温線) 温度勾配∇T と風ベクトル v の方向が逆で, かつ平行 10 11 12 13 (K) v ・(∇T ) < 0 v v A > 0 v ∇T A点における気温上昇

移流項をベクトルの内積を使って直感で理解しよう 温度 T をいれて移流項を オイラー的に考えよう (オイラー) (ラグランジュ) (移流項) 風向と移流項 (等温線) 温度勾配∇T と風ベクトル v の方向が垂直 10 11 12 13 (K) v v ・(∇T ) = 0 A v v ∇T A点における気温変化なし

移流項をベクトルの内積を使って直感で理解しよう 温度 T をいれて移流項を オイラー的に考えよう (オイラー) (ラグランジュ) (移流項) 風向と移流項 風ベクトル v が温度勾配∇T に対して斜めのとき (等温線) 10 11 12 13 (K) v・(∇T ) = (vT + vR) ・ (∇T ) = vT ・(∇T) + vR ・(∇T ) v vT ・(∇T ) = 0 , vR ・(∇T ) > 0 A v < 0 R A点の気温の移流効果 ⇒ 温度勾配∇T と平行な成分の 風ベクトルのみで決まる ⇒ 風ベクトルを温度勾配ベクトル方向 に射影してみれば良い v ∇T vR vT v = vT + vR