今すぐ役立つ特許・商標 ~特許・商標があなたの会社を繁栄させます~ 工業所有権情報・研修館事業 徳島県知財総合支援窓口 平成28年度 知的財産活用普及啓発セミナー 今すぐ役立つ特許・商標 ~特許・商標があなたの会社を繁栄させます~ 平成28年9月28日 川原英昭 (川原特許事務所、弁理士 大阪工業大学 知的財産学部 客員教授) © hideaki kawahara 2016.09
1983 弁理士試験合格(1984弁理士登録、 2005特定侵害訴訟代理業務付記登録) 2004.10 川原特許事務所開設 川原の略歴 1968.3 徳大工学部(精密機械)卒 1968.4~2004.9 大阪ガス 勤務 1983 弁理士試験合格(1984弁理士登録、 2005特定侵害訴訟代理業務付記登録) 2004.10 川原特許事務所開設 2005.4~2015.3 大阪工業大学 知的財産学部 教授 2015.4~ 同学部 客員教授 (c) h.kawahara2016.9
大阪ガス在職時 同社&関係会社の知財業務全般*を担当 退職時:理事、エグゼクティブスタッフ *出願・審査・審判(代理人) 、 特許調査、 大阪ガス在職時 同社&関係会社の知財業務全般*を担当 退職時:理事、エグゼクティブスタッフ *出願・審査・審判(代理人) 、 特許調査、 審決取消訴訟・侵害訴訟(訴訟代理人)、 契約等 (c) h.kawahara2016.9
大阪工業大学*では 知的財産法(特許法、商標法等)を教授 *2003.4 知的財産学部 設立、 4年制 2005.4 知的財産専門職大学院 設立、 2年制 川原の詳しい経歴、著書等は、 「川原特許事務所」HPをご覧下さい。 (c) h.kawahara2016.9
本日は主として、中小企業の方、知的財産に馴染みがなかった方に、知的財産のうち特許と商標をご説明します。 本日は主として、中小企業の方、知的財産に馴染みがなかった方に、知的財産のうち特許と商標をご説明します。 短時間の研修ですが、2時間あれば、特許・商標の概要は理解できます。 参考:知的財産基本法第2条 1 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。 2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。 (c) h.kawahara2016.9
第1部 特許 5 特許取得に要する費用 1 特許法が保護する発明は 2 特許権を取得すると 3 特許権を取得するには 第1部 特許 1 特許法が保護する発明は 2 特許権を取得すると 3 特許権を取得するには 4 特許情報プラットフォーム 5 特許取得に要する費用 6 特許をどのように活用するか 7 事例に学ぶ (c) h.kawahara2016.9
1 特許法が保護する発明は、 スマートフォンには、技術的に高度な発明が多数含まれていますが、 ヒットした発明=高度な発明 1 特許法が保護する発明は、 技術的アイディアです。 スマートフォンには、技術的に高度な発明が多数含まれていますが、 ヒットした発明=高度な発明 とは限らないことを、 身近な発明でご説明します。 (c) h.kawahara2016.9
片岡物産のドリップコーヒーパック ドリップコーヒーパックの草分けです。 出願 1983.12.27 公告 1988.10.20 出願 1983.12.27 公告 1988.10.20 特許 1504901(1989.7.13) 川原英昭撮影 ドリップコーヒーパックの草分けです。 (c) h.kawahara2016.9
越後製菓(株)の切り餅特許 知財高裁は、佐藤食品工業の切り餅は本特許権を侵害するとして、佐藤食品工業に ・製造販売等の差止 ・装置の廃棄 知財高裁は、佐藤食品工業の切り餅は本特許権を侵害するとして、佐藤食品工業に ・製造販売等の差止 ・装置の廃棄 ・損害賠償金(約8億円)と利息の支払い を命じた(2012.3.22判決)。 越後製菓の特許 川原英昭撮影 出願2002.10.31 特許4111382号(2008.4.18) 佐藤食品の製品 川原英昭撮影 (c) h.kawahara2016.9
2 特許権を取得すると 特許権者は、特許発明を、出願から20年間、独占的に実施できる。 その結果、特許発明が無断実施されると、 2 特許権を取得すると 特許権者は、特許発明を、出願から20年間、独占的に実施できる。 その結果、特許発明が無断実施されると、 ・実施の差止請求、 ・損害賠償請求、and ・信用回復措置(謝罪広告)請求 ができる。 特許権侵害には刑事罰の規定もある。 このため、特許権をビジネスに活用できる。 (c) h.kawahara2016.9
3 特許権を取得するには 3.1 特許出願 発明を文書化し、 ・特許庁に特許出願*し、 ・審査官の審査を受けて審査に合格し、 3 特許権を取得するには 3.1 特許出願 発明を文書化し、 ・特許庁に特許出願*し、 *提出書類:願書、特許請求の範囲、明細書、必要な図面、要約 ・審査官の審査を受けて審査に合格し、 ・特許料を納付すると、特許権が付与される。 *特許権の維持には毎年特許料の納付が必要 (c) h.kawahara2016.9
3.2 特許出願の手続フロー 特許出願 方式審査(出願番号通知) 出願公開(出願日から1年6月経過で) 出願審査請求(出願日から3年以内) 審査 拒絶査定 拒絶査定不服審判請求 特許査定 特許料納付(3年分) 登録(特許権発生) 特許公報発行 特許異議申立 特許権は出願日 から20年で満了 (c) h.kawahara2016.9
3.3 主な特許要件 発明 : 特許法上の発明であること(特2条①、特29条①柱書) 新規性: 発明が新しいこと(特29条①) 3.3 主な特許要件 発明 : 特許法上の発明であること(特2条①、特29条①柱書) 新規性: 発明が新しいこと(特29条①) 進歩性: 当業者が、従来技術から容易に考えつかない発明であること(特29条②) 新規性、進歩性は出願時で判断する。 先願主義: 発明が同じなら、1日でも早く出願した者に特許を付与する(特39条) (c) h.kawahara2016.9
3.4 出願発明は公報に掲載 ① 出願日から1年6月経過すると、 出願発明が公開特許公報に掲載される。 3.4 出願発明は公報に掲載 ① 出願日から1年6月経過すると、 出願発明が公開特許公報に掲載される。 ② 特許されると、特許発明が特許公報に掲載される。 (c) h.kawahara2016.9
切り餅特許の公報 (c) h.kawahara2016.9
4 特許情報プラットフォーム INPIT(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)が無料提供するデータベース J-PlatPat(ジェイ プラット パット) で下記を入手できる。 (1) 公開特許公報、特許公報、登録実用新案公報、意匠公報、公開商標公報、商標公報 (2) 審査審判経過情報、登録情報 (3) 特許実用新案調査、意匠調査、商標調査 (4) その他 (c) h.kawahara2016.9
5 特許取得に要する費用 (1)特許庁費用(円、Nは請求項の数) 特許出願 14,000 出願審査請求 118,000+4,000×N 5 特許取得に要する費用 (1)特許庁費用(円、Nは請求項の数) 特許出願 14,000 出願審査請求 118,000+4,000×N 特許料(1~3年分) (2,100+200×N)×3 <請求項が5つの場合> 特許出願 14,000円 出願審査請求 118,000+4,000×5=138,000円 特許料(1~3年分) (2,100+200×5)×3=9,300円 合計 161,300円 (2)弁理士手数料は弁理士との契約で決まる。 (c) h.kawahara2016.9
6 特許をどのように活用するか (1) 特許されていることを商品、商品包装、HP等に表記しPRすること。 (2)戦略 6 特許をどのように活用するか (1) 特許されていることを商品、商品包装、HP等に表記しPRすること。 (2)戦略 ①クローズ戦略: 特許発明を、自社でのみ実施 ②オープン戦略: ・特許発明を、他社に実施許諾 ・他社と特許権をクロスライセンス 他社特許を使用しないと製造できない場合がある。 例.家電メーカー間でクロスライセンス (c) h.kawahara2016.9
7 事例に学ぶ 中小企業の視点での特許の活用 下町のおじいちゃん開発 平らに開くノート 使いやすいよ 文具大手量産へ 7 事例に学ぶ 中小企業の視点での特許の活用 日経夕刊2016.09.10 下町のおじいちゃん開発 平らに開くノート 使いやすいよ 文具大手量産へ この開発品を例にして、特許の活用を説明します。 (c) h.kawahara2016.9
(有)中村印刷所の水平開きノート 水平に開くため左右の頁がフラットになり使いやすい。 発明ノート 従来ノート ・特許取得 川原英昭撮影 発明ノート 従来ノート 水平に開くため左右の頁がフラットになり使いやすい。 ・特許取得 ・ツイッターで大反響(アクセス数:21.3万件2016.9.13現在) ・大手メーカに採用 出願2014.11.27 特許5743362(2015.5.15) 無限綴じ冊子の製本方法 (c) h.kawahara2016.9
(1) 開発品を守るには特許が必要 ①(有)中村印刷所(東京都、従業員4名) 発明品の山、倒産寸前から、 注文に追いつけない状態に! (1) 開発品を守るには特許が必要 ①(有)中村印刷所(東京都、従業員4名) 発明品の山、倒産寸前から、 注文に追いつけない状態に! ジャポニカ学習帳のショウワノートで量産化決定(日経夕刊) ・東洋経済ONLINE、フジテレビMr.サンデーでも紹介された。 ②(株)サンコー(和歌山県、従業員100名) アイデア小物商品で一代で中堅企業に成長 NHKルソンの壺で紹介。私も面談に行った。 (c) h.kawahara2016.9
(3) 特許は商品の価格維持に寄与、収益アップ 例.特許庁の調査結果 (4) 特許は他社とのコラボ・共生に必要~有利 (2) 特許は大企業対抗ツール 例:下町ロケット (3) 特許は商品の価格維持に寄与、収益アップ 例.特許庁の調査結果 (4) 特許は他社とのコラボ・共生に必要~有利 例:中村印刷所 (5) 特許取得だけでは不十分 特許の広告宣伝が必要(世界的発明は別)。 (c) h.kawahara2016.9
ヒットを誘引した従業員孫娘のツイッターでの「つぶやき」 ヒットを誘引した従業員孫娘のツイッターでの「つぶやき」 【拡散希望】 うちのおじいちゃんノートの特許をとってた... 宣伝費用がないから宣伝できないみたい。 Twitterの力を借りる! どのページ開いても見開き1ページになる方眼ノートです。 出典:2016.3.13フジテレビMr.サンデー (c) h.kawahara2016.9
(6) その他 ① 特許取得維持には費用が掛る。無駄な特許の出願、権利化、維持はしない。 ② 第三者の無断実施を立証できない発明は特許出願せず、社内秘匿するのがよい。 差止および損害賠償を請求するには、侵害の立証責任が特許権者にあるためです。 (c) h.kawahara2016.9
を知っていると、不当な要求や契約を拒否できる場合がある。 3.独占禁止法の ・共同研究開発に関する独占禁止法上の指針 ・知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針 を知っていると、不当な要求や契約を拒否できる場合がある。 侵害されたときの対応: 商標編で説明 (c) h.kawahara2016.9
第2部 商標 1 商標とは 2 商標権を取得するには 3 商標の類似 4 地域団体商標 5 商標権の存続期間と効力 6 商標権を侵害されたとき 7 商標調査 8 商標権の取得に要する費用 9 登録商標の活用 (c) h.kawahara2016.9
1 商標とは 1.1 商標は御社の広告塔です。 1.2 商標法的に言えば、 商標は、自他商品・自他役務(サービス)を識別するマークです。 1 商標とは 1.1 商標は御社の広告塔です。 1.2 商標法的に言えば、 商標は、自他商品・自他役務(サービス)を識別するマークです。 (c) h.kawahara2016.9
1.3 商標の機能 1.4 商標の形態 お客(需要者)は、商標Aの付いた商品Aは、 沖縄で買っても、徳島で買ってもその商品は、 1.3 商標の機能 お客(需要者)は、商標Aの付いた商品Aは、 沖縄で買っても、徳島で買ってもその商品は、 ① 出所が同じで(出所表示機能)、 ② 品質も同じと思うし(品質保証機能)、 ③ 商標Aを広告宣伝することで購買を誘発するし、その商品に満足したら商標Aを付した商品はよいと思うようになる(広告宣伝機能)。 1.4 商標の形態 (c) h.kawahara2016.9
①文字商標 登録618689 ②図形商標 登録2001273 ③記号商標 登録1530257 ④立体商標 登録2001273 ③記号商標 登録1530257 ④立体商標 登録5225619 登録4157614 (c) h.kawahara2016.9
⑤結合商標 登録1783114 ⑥動き商標 商願2015-30273 登録5804316 ⑦ホログラム商標 商願2015-30198 商願2015-30273 登録5804316 ⑦ホログラム商標 商願2015-30198 登録5804315 (c) h.kawahara2016.9
(単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標であって、輪郭なく使用できるもの) ⑧色彩のみからなる商標 (単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標であって、輪郭なく使用できるもの) ⑨音商標 商願2015-29806 登録5804299 ⑩位置商標 (文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標 商願2015-30361 登録5807881 ⑥~⑩の商標は2015.4.1から出願可能になった。 (c) h.kawahara2016.9
2 商標権を取得するには 2.1 出願手続のフロー 商標登録出願 方式審査(出願番号通知) 出願公開(出願日から2月以内の公開が多い) 審査 2 商標権を取得するには 2.1 出願手続のフロー 商標登録出願 方式審査(出願番号通知) 出願公開(出願日から2月以内の公開が多い) 審査 登録査定 登録料納付 登録(商標権権発生) 商標公報発行 商標登録異議申立 商標権は登録日から10年で満了(ただし、更新可能) 拒絶査定 商標公報発行日から2月以内 拒絶査定不服審判請求 (c) h.kawahara2016.9
2.2 商標登録出願 【書類名】 商標登録願 ・・・・・ 【商標登録を受けようとする商標】 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】 2.2 商標登録出願 【書類名】 商標登録願 ・・・・・ 【商標登録を受けようとする商標】 【指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分】 【第1類】 【指定商品(指定役務)】 化学品,植物ホルモン剤 【商標登録出願人】 ・・・・・ (c) h.kawahara2016.9
出願商標を何に使うかを願書で指定。指定したものを指定商品、指定役務という。 【商品商標の場合】 出願商標を何に使うかを願書で指定。指定したものを指定商品、指定役務という。 【商品商標の場合】 商品・役務分類表の「1~34類」の区分、と 具体的な商品名 を書く 例.1類 化学品、植物ホルモン剤 【役務商標(サービスマーク)の場合】 ①商品・役務分類表の「35~45類」の区分、と 具体的な役務名 を書く 例.35類 美容師の斡旋、複写機の貸与 ②小売業、卸売業で使用するマークは役務商標としても 登録可能(35類) (c) h.kawahara2016.9
2.3 主な登録要件1 (1) 商標法上の商標であること(商2条①、商3条) (2) 自他商品・自他役務の識別力があること(商3条) 2.3 主な登録要件1 (1) 商標法上の商標であること(商2条①、商3条) (2) 自他商品・自他役務の識別力があること(商3条) 下記商標は識別力なしで拒絶される。 ①指定商品: 電子計算機 商標: コンピュータ ←電子計算機の普通名詞(商3条①1号) 商品パーソナルコンピュータに商標パソコンもダメ (c) h.kawahara2016.9
商標: 東京銀座 ←スーツの販売地(商3条①3号) ②指定商品: 清酒 商標: 正宗 ←清酒の慣用商標(商3条①2号) ③指定商品:スーツ 商標: 東京銀座 ←スーツの販売地(商3条①3号) ④指定商品: 乗用車 商標: デラックス ←乗用車の品質(商3条①3号) ⑤指定商品: 入浴剤 商標: 疲労回復 ←入浴剤の効能(商3条①3号) (c) h.kawahara2016.9
* 本来識別性ない商標でも、全国的に有名になると登録できるが、要件が厳格(商3条①3,4,5号、商3条②)。 ⑥指定商品: せんべい 商標: 手焼き ←煎餅の生産方法(商3条①3号) ⑦指定商品: 菓子、パン 商標: 佐藤 ←ありふれた氏又は名称(商3条①4号)。佐藤商店もダメ 。 * 本来識別性ない商標でも、全国的に有名になると登録できるが、要件が厳格(商3条①3,4,5号、商3条②)。 (c) h.kawahara2016.9
2.4 主な登録要件2 2.5 主な登録要件3 下記商標は拒絶される。 2.4 主な登録要件2 下記商標は拒絶される。 (1) 先願の他人の登録商標と同一又は類似で、指定商品・役務が同一又は類似(4条①11号) (2) 他人の業務に係る商品・役務と混同するおそれがある(4条①15号) (3) 商品の品質、役務の質を誤認するおそれがある(4条①16号) 2.5 主な登録要件3 最先の出願であること(先願主義、商8条) (c) h.kawahara2016.9
3 商標の類似 商標の類否判断は審査、侵害判断で重要です。 ①称呼類似(←発音が似ている。これが一番多い。) 例: アリナミン ≒ アリナメン ②外観類似(←外観が似ている。図形記号商標で多い。) 例: ≒ ライオン ≒ テイオン ③ 観念類似(←意味が似ている。) 例: 王様 ≒ King (c) h.kawahara2016.9
両商標は類似するか? 引例 本願 ガスト ガス燈 GAST ①②③のいずれかに該当すると、原則として、両商標は類似する。 ①②③のいずれかに該当すると、原則として、両商標は類似する。 ------------------------------------------------------------------------ 両商標は類似するか? 引例 本願 ガス燈 ガスト GAST 東京高裁:H3行ケ24 (c) h.kawahara2016.9
4 地域団体商標(商7条の2) 団体の構成員に使用させるため、団体が商標出願し、団体が商標権者になる団体商標制度があるが、登録要件が厳しい(全国的に周知になっていることが必要)。 地名を含む商標が、全国的に周知になっていなくても複数県(都道府)で周知であれば、登録できる地域団体商標制度ができた。 注.団体商標、地域団体商標とも、通常の登録要件を満たすことも必要。 (c) h.kawahara2016.9
地域団体商標の登録例 ① 地域名称+普通名称 宇治茶、有田みかん ② 地域名称+慣用名称 松阪牛、輪島塗、久谷焼、草津温泉 ① 地域名称+普通名称 宇治茶、有田みかん ② 地域名称+慣用名称 松阪牛、輪島塗、久谷焼、草津温泉 ③ 地域名称+普通慣用名称+産地等表示としての慣用文字 熊本名産からし蓮根、本場大島紬 注.+で示した文字の順序は問わない。 (c) h.kawahara2016.9
徳島県関連の地域団体商標 地域団体商標 登録番号 商標権者 1 渭東ねぎ 徳島市農業協同組合 登録5013382 2 なると金時 全国農業協同組合連合会 登録5043110 3 徳島唐木仏壇 徳島県唐木仏壇協同組合連合会 登録5069251 4 鳴門らっきょ 徳島北農業協同組合 登録5155666 5 阿波しじら織 阿波しじら織協同組合 登録5166495 6 阿波山田錦 阿波町農業協同組合 登録5264987 (c) h.kawahara2016.9
5 商標権の存続期間と効力 (1) 存続期間は登録日から10年(商19条)。 (2) 商標権者は下記権利を有する。 5 商標権の存続期間と効力 (1) 存続期間は登録日から10年(商19条)。 存続期間満了前に、更新登録すると、権利がまた10年存続する。このため商標権は永久権ともいう。 (2) 商標権者は下記権利を有する。 専用権:指定商品又は指定役務に、登録商標をする権利を専有する(商25条)。 禁止権:他人が類似範囲で無断使用することを禁止する権利を有する(商37条1号)。 (c) h.kawahara2016.9
指定商品が「清酒」、登録商標が「桜」の場合 商品「清酒」に 商標「桜」を使用すると侵害 商品「焼酎」に 商標「さくら」を使用すると侵害 (3) 商標権侵害になる場合 指定商品が「清酒」、登録商標が「桜」の場合 商品「清酒」に 商標「桜」を使用すると侵害 商品「焼酎」に 商標「さくら」を使用すると侵害 :商標権者は専用権を有する(使用権+禁止権) :商標権者は禁止権を有する 商標「桜」と、商標「さくら」は称呼類似です。 「清酒」と、「焼酎」は類似商品です。 商品「自転車」に、商標「桜又はさくら」を使用しても商標権侵害にならない。自転車と清酒は、商品が非類似であるため。 (c) h.kawahara2016.9
6 商標権を侵害されたとき (1)民事上の救済 商標権者は、商標権を侵害する者に対して 下記の請求ができる。 ①差止請求 6 商標権を侵害されたとき (1)民事上の救済 商標権者は、商標権を侵害する者に対して 下記の請求ができる。 ①差止請求 ②損害賠償請求、and ③信用回復措置(謝罪広告)請求 (2)刑事上の制裁 商標権侵害には刑事罰もある。 悪質な場合は実刑判決もある。 (c) h.kawahara2016.9
(3) 商標権を侵害されたときの対応 侵害しているかの確認 警告・交渉 ・調停、仲裁 ・裁判(勝訴、敗訴、和解) (3) 商標権を侵害されたときの対応 侵害しているかの確認 警告・交渉 (交渉で解決できない場合) ・調停、仲裁 ・裁判(勝訴、敗訴、和解) 侵害されたときは専門家に相談を! (c) h.kawahara2016.9
適法な権利行使を! 類似するか? 登録商標 大阪地裁H16ワ5713 (c) h.kawahara2016.9
類似するか? 商品:防蟻剤 登録商標 神戸地裁H14(ワ)826 無効2002-35378 神戸地裁H16(ワ)889 類似するか? 商品:防蟻剤 登録商標 神戸地裁H14(ワ)826 神戸地裁H16(ワ)889 無効2002-35378 (c) h.kawahara2016.9
7 商標調査 (1) 調査目的 ・出願前の調査 出願予定の商標と、同一類似の他人の登録商標または出願商標がないかを調査。 ・使用前の調査 使用予定の商標が、他人の商標権を侵害しないかを調査。 (2) 調査ツール ・データベースJ-PlatPatで無料で調査できる。 ・調査には商標法の知識が必要。 (c) h.kawahara2016.9
8 商標権の取得に要する費用 1.特許庁費用(円、Nは指定した区分数) 商標登録出願 3,400+8,600N 8 商標権の取得に要する費用 1.特許庁費用(円、Nは指定した区分数) 商標登録出願 3,400+8,600N 登録料(10年分) 28,200×N <区分が1つの場合> 商標登録出願 3,400+8,600×1=12.000 登録料(10年分) 28,200×1=28,200 合計 40,200円 2.弁理士手数料は弁理士との契約で決まる。 (c) h.kawahara2016.9
9 登録商標の活用 (1) 登録商標であることを商品、商品包装、HP等に表記しPRすること。 (2)登録商標を使用すること。使用しないと価値が出ない。3年間不使用だと登録取消しになることがある。 (3) 戦略 ①クローズ戦略: 登録商標を、自社のみで使用する。 ②オープン戦略: 登録商標を、他社に使用許諾する。 例.サンリオは、KITTY・キティーちゃんのキャラクタの商標・著作権を他社A,B・・・に適切な条件でランセインスし、更にライセンシーE,F・・・とのコラボ(共同、協力)で多額のライセンス収入を得ている。 (c) h.kawahara2016.9
クイズ Q1: の意味は? A1:Registered Trademarkの略号で、マルアールという。米国商標法では は登録商標であることを意味し法的効果もある。日本の商標法施行規則17条では登録商標第1234567号のように表示することになっているがスマートな を使用する人が多い。 Q2:TM、SMの意味は? A2:TMは商標Trademarkの略語。SMはサービスマークServicemarkの略語。登録されているか否かは関係ないが、登録されていない場合に付けることが多い。 Q3 :©の意味は? A3:Copyright(著作権)の略号でマルシーという。万国著作権条約では意味があるが、日本を含む主要国が加盟している文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約で法的意味はない。しかし、著作権がありますよとの注意喚起になるため表示する人が多い。 (c) h.kawahara2016.9
ご静聴ありがとうございました。 知的財産を活用して、ご繁栄を! 本研修に関するご質問は、 「川原特許事務所」HP*の 「お問い合わせ」フォームで お問い合わせ下さい。 *http://www2u.biglobe.ne.jp/~hidekawa/ 又は川原特許事務所で検索 (c) h.kawahara2016.9