土地取引に於ける土壌汚染問題 02162289 髙根 崇文 これから、土地取引に於ける土壌汚染問題について発表致します。 髙根 崇文 これから、土地取引に於ける土壌汚染問題について発表致します。 発表者は私髙根です。 よろしくお願い致します。
目次 1.研究動機 2.土壌汚染とは 3.土壌汚染の現状 4.土地取引に於ける土壌汚染問題への考え方 3-1.土壌汚染判明件数の推移 3-2.土壌汚染の発生原因 3-3.土壌汚染の対策費用 4.土地取引に於ける土壌汚染問題への考え方 5.土壌汚染に関する土地取引上のリスクマネジメント 5-1.リスクマネジメントの全体的な流れ 5-2.リスクコントロール 5-3.リスクファイナンシング 6.土地売買契約締結に当たっての留意事項 7.土地取引に於ける土壌汚染問題の今後 8.参考文献 本日の発表はこの様な流れで進めさせて頂きます。
1.研究動機 来春、住宅メーカーに就職する為、土地取引に関して研究し、理解を深めようと考えた 近年、都市部に於ける土地取引に当たって、土壌汚染が判明した土地の利用転換・流動化が進まずに遊休化・放置される事例が増加しており、今後更に深刻になるであろう土壌汚染問題について研究したいと考えた まず、研究動機です。 私は来春、住宅メーカーに就職するため、土地取引に関して研究し、理解を深めようと考えました。 また、近年、都市部に於ける土地取引に当たって、土壌汚染が判明した土地の利用転換・流動化が進まずに、遊休化・放置される事例が増加しており、今後更に深刻になるであろう、土壌汚染問題について研究したいと考えました。
2.土壌汚染とは 人の活動に伴って排出された有害な物質が土に蓄積されている状態を言う 地算 法律 化学 カドミウム 廃棄物 土 農薬 それではまず、土壌汚染について簡単にご説明したいと思います。 土壌汚染とは、人の活動に伴って排出された有害な物質が土に蓄積されている状態を言います。 この図にもあるように、廃棄物、有機化合物、油、カドミウム、農薬、重金属などの有害な物質が土に蓄積されている状態です。 土壌汚染問題は大変複雑です。 (enter)汚染物質によっては土壌中で化学反応や分解などをおこし、その化学反応・分解の過程で有害な中間産物が出来てしまう事もあります。 また、(enter)地下の構造も簡単ではありません。特に日本の地質構造は複雑で、多くの地層によって形成されています。 そして、(enter)土壌汚染により問題が生じた場合、損害賠償責任や不法行為責任などの様々な法律関係も絡んできます。 これらの事で、土壌汚染は環境問題の中でも想定しにくく、解決しずらい問題であると言えます。 土 農薬 有機化合物 重金属 油
3.土壌汚染問題の現状 3-1.土壌汚染判明件数の推移 出典:「平成15年度土壌汚染調査・対策事例及び対応状況に関する調査結果概要」 次に土壌汚染問題の現状をご説明致します。 まずは、土壌汚染判明件数の推移です。 こちらのグラフは、環境庁が行った「調査事例」と「超過事例」のグラフです。 調査事例とは、土壌中の物質の濃度について何らかの調査が行われた事例であり、 超過事例とは、土壌環境基準又は法の指定基準を超える汚染が判明した事例です。 このグラフを見ればわかる通り、土壌汚染の判明件数は年々増加傾向にあります。 また、平成10年頃から調査事例が大きく増加しているのは、企業の工場跡地等の再開発や、事業者による自主的な汚染調査の実施に伴った結果であると思われます。 この調査は自治体に対するアンケート調査を集計したものであり、汚染の報告義務は必ずしも無いことから、わが国の土壌汚染の全容を表しているとはいえず、実際にはもっと多いと推定されています。 ・調査事例:土壌中の物質の濃度について何らかの調査が行われた事例 ・超過事例:土壌環境基準又は法の指定基準を超える汚染が判明した事例 出典:「平成15年度土壌汚染調査・対策事例及び対応状況に関する調査結果概要」 平成15年3月、環境庁水質保全局
3.土壌汚染問題の現状 取り扱いや管理に問題がある 3-2.土壌汚染の発生原因 出典:環境省環境管理局水環境部「平成12年度土壌汚染調査 次に土壌汚染の発生原因です。 この表は、汚染事例574件の発生原因が示されたものです。 もっとも多いのが「汚染原因物質の不適切な取扱による漏洩」ですが、その下の「施設破損等による汚染原因物質の漏洩事故」もその下の「汚染原因物質を含む排水の地下浸透」など、上位の3つはいずれも、(enter)取り扱いや管理に問題があるのです! この表でもわかる通り、企業が如何に今まで土壌汚染に対する問題意識が低くかったかを露呈しています。 出典:環境省環境管理局水環境部「平成12年度土壌汚染調査 ・対策事例及び対策状況に関する調査結果概要」(平成14年2月) 取り扱いや管理に問題がある
3.土壌汚染問題の現状 莫大な費用がかかる 3-3.土壌汚染の対策費用 次に土壌汚染の対策費用です。 土壌汚染の対策費用は、汚染の程度、場所、性状、浄化期間などにより大きく異なり、一概に言うことは出来ません。 また、対策費用はどんな対策を講じるかによっても異なります。 そこで、土壌汚染の浄化費用がどの程度かかるのか、一応の例としてここに出させて頂きました。 この表の一番上の掘削除去の例では、18万立方メートルの掘削除去で80億円かかっています。 その下の気化、回収の例では、6万立方メートルなのにも関わらず70億円もかかっているのです。 もし、人間の人体に関わる有害な土壌汚染が発覚した場合には、掘削除去だけでは足りず、回収し浄化する必要がある場合もあります。 つまり、処理土量や面積だけでは対策費用は検討しづらく、(enter)想像以上に土壌汚染の対策費用には莫大な費用がかかるのです。 莫大な費用がかかる
4.土地取引に於ける土壌汚染問題への考え方 瑕疵担保責任 契約の取消 不法行為責任 土壌汚染浄化費用負担 土壌汚染に関する土地取引上のリスクが存在するのにも関わらず、それに対する適切な対応を怠り、土地の取引後または利活用の段階になって問題が顕在化した場合には、問題が容易に解決せず、莫大な費用がかかる 次に、土地取引に於ける土壌汚染問題への考え方です。 土地取引後に土壌汚染が発覚した場合、(enter)契約の取消をはじめ、不法行為責任や瑕疵担保責任が問われる場合があり、 もし、契約の取消がない場合も、発覚した土壌汚染の浄化処理の為に莫大な費用を負担させられる可能性があります。 (enter)これらの、土壌に関する土地取引上のリスクが存在するにも関わらず、それに対する適切な対応を怠り、土地の取引後または利活用の段階になって問題が顕在化した場合には、問題が容易に解決せず、莫大な費用がかかります。 その為、土壌汚染問題がいつ顕在化されても企業の大きな危機にならぬよう、(enter)日頃から適切な「リスクマネジメント」を行う事が大切であると私は思います。 適切な「リスクマネジメント」を行う事が大切
5.土壌汚染に関する土地取引上のリスクマネジメント 5-1.リスクマネジメントの全体的な流れ リスクの発見・確認 結果の検証 リスクの分析・評価 それでは「リスクマネジメント」とはなんでしょうか? ここでは、簡単に「リスクマネジメント」の説明をしたいと思います。 まず、第一のステップは(enter)リスクを発見・確認する事です。 自社に於いて、何処に、どの様なリスクが存在するかを的確に洗い出します。 (enter)次のステップはリスクを分析・評価する事です。 ここでは、発見・確認したリスクを、リスクの「発生頻度」と、発生した場合の「損害規模」を予測し、企業活動への影響度を評価します。これにより、企業として対応すべきリスクの優先順位が明らかになります。 (enter)次のステップはリスクの処理です。 リスクの処理の手段としては、リスクコントロールとリスクファイナンシングがあります。 リスクコントロールとは、企業が被るかもしれない損害を緩和したり、あるいは排除する事前処理策です。 一方、リスクファイナンシングとは、万一の損害に備えた資金的手当を行う事です。 (enter)そして最後のステップは結果の検証です。 採用したリスクの処理手段が適切に実施されているか、事故や災害による損害の状況は改善しているか等を検証し、必要に応じて見直しを行います。 それでは、次から土壌汚染に於いての具体的なリスク対策はどんなことをやったらよいか、リスクコントロールとリスクファイナンシングの視点からご説明したいと思います。 リスクの処理 リスクコントロール リスクファイナンシング
5.土壌汚染に関する土地取引上のリスクマネジメント 5-2.リスクコントロール a.土地における有害物質の調査を徹底<リスクの回避> ・自主的に調査を行う事により、利害関係者からも信頼され、適切 で効果的な土地取引を将来に渡って持続する事が出来る b.適切な調査・浄化業者を選定<リスクの移転> ・企業自らが土壌汚染に関する知識を身につけ、技術的にも信頼 出来る業者を選定する事が重要 まずは、リスクコントロールです。 リスク対策として(enter)まず、土地取引を行う前に、土地における有害物質の調査を徹底する事が大切であると思います。 基本的には汚染物質があってもなくても行政からの法律上の調査命令が下らな内は、調査をする必要はありません。 しかし、自主的に調査を行うことにより、利害関係者からも信頼され、適切で効果的な土地取引を将来に渡って持続する事が出来ると思います。 (enter)また、適切な調査・浄化業者を選定する事が大切であると思います。 ここ数年の土壌汚染ビジネスは、調査や浄化技術の発展が著しく、価格・技術の両面において過当競争の傾向にあります。 企業としては少しでも安い業者を起用したいと考えますが、価格だけで選定するのは危険であり、やはり企業自らが土壌汚染に関する知識を身につけ、技術的にも信頼出来る業者を選定する事が重要であると思います。 そして、(enter)もし汚染を発見したら放置しないことが大切です。 汚染を放置していると、自社の土地だけでなく、周辺の土地まで汚染してしまう可能性があり、賠償責任などの損害額が多くなってしまいます。また、汚染を放置しているという事実が内部告発などで外部に漏れた場合、企業の信頼やイメージは大きく低下してしまうでしょう。 その為、もし汚染が発覚したら、早急に浄化や除去を行う事が大切だと思います。 c.汚染を発見したら放置しない<リスクの軽減> ・早急に浄化または除去を行う事が大切
5.土壌汚染に関する土地取引上のリスクマネジメント 5-3.リスクファイナンシング a.保険の活用<リスクの転換> ・第三者への損害賠償を補償する保険 ・土壌汚染の浄化費用を補償する保険 ・浄化費用の見積超過分を補償する保険 b.経常費処理<リスクの保有> ・特段の資金的手法を行わず、土壌汚染による損害が発生した場合に その都度、経常費等で財務処理を行う 次はリスクファイナンシングです。 まずは、(enter)リスクの転換として、保険を活用する事が良いと思います。 保険の種類は、第三者への損害賠償を補償する保険、土壌汚染の浄化費用を補償する保険、浄化費用の見積超過分を補償する保険など様々なものが大手損害保険会社を中心に発売されています。 次に(enter)経常費処理という考え方があります。 これは、特段の資金的手法を行わず、土壌汚染による損害が発生した場合にその都度、経常費等で財務処理を行う方法です。 この手法は、保険などにかかる費用はありませんが、もし汚染が発覚した場合、莫大な費用が掛かります。 いくら汚染調査を徹底したとしても、資金に潤沢な大企業は例外として、中小・中堅企業では避けた方が良い方法です。 次に、(enter)引当金や準備金です。 これは将来の汚染発生に備え、土壌の浄化や賠償金等の損害額を事前に積み立てておく方法です。 ここで紹介したものは、どれが一番良い方法であるか、一概に言う事は出来ません。 自社の財務状況やリスクの大きさを想定し、費用対効果を考え、適度に経営資源を投入してリスクを軽減させることが大切だと思います。 c.引当金・準備金<リスクの保有> ・将来の汚染発生に備え、土壌の浄化や賠償金等の損害額 を事前に積み立てておく
6.土地売買契約締結に当たっての留意事項 ・損害賠償の範囲等について ・売買の前提となる事実の告知について ・瑕疵担保責任の成立要件について 調査結果の概要だけでなく、調査レポート全体を、売主から買主へ引き渡す 事が望ましい ・瑕疵担保責任の成立要件について 土壌汚染の存否・分析状況に関する認識を明確にしておくと共に、特約によ って瑕疵担保責任の成立要件を明確にしておくことが重要 次に、土地売買契約、締結に当たって留意すべき事項についてご説明致します。 土地売買契約の締結は土地取引に於いて、大切なターニングポイントとなります。 その為、ここで適切な対応を行うかどうかが、その後の問題に大きく影響します。 まず、売買の前提となる事実の告知について留意する必要があります。 取引段階の時に、あらかじめ、土壌汚染の調査結果や今までの土地の利用履歴などを買手側に告知する事により、もし、契約締結後、汚染が発覚した場合でも、調査を行った証拠は存在しているため、賠償責任を逃れる可能性があります。 また、調査を行ったら、(enter)その調査概要だけでなく、調査レポート全体を売主から買主へ引き渡す事が望ましいと思います。 このことで、買主も安心して土地を購入する事が出来るようになります。 次に、瑕疵担保責任の成立要件についてです。 ここでは、(enter)土壌汚染の存否・分析状況に関する認識を明確にしておくと共に、特約によって瑕疵担保責任の成立要件を明確にしておく事が重要だと思います。 成立要件を明確にしておかなければ、もし、土壌汚染が発覚した場合に賠償責任の問題であらぬトラブルを招く恐れがあります。 次に、損害賠償の範囲等についてです。 (enter)不法行為責任上の損害賠償や建物撤去費用などの不測の損害等を含め、様々な事項を視野に入れつつ、範囲を明確にしておく事が大切だと思います。 損害賠償の範囲を明確にすることで、売主側も賠償責任を問われた際の費用を想定する事が出来、その後の対処も迅速に行われると思います。 これらの点に留意して契約を締結する事により、土壌汚染問題への迅速かつ適切な対応や消費者の利益保護が図られ、ひいては、このことにより土地取引への信頼性が確保され、円滑で安全な土地取引が出来るようになると思います。 ・損害賠償の範囲等について 不法行為責任上の損害賠償や建物撤去費用などの不測の損害等を含め、 様々な事項を視野に入れつつ、明確にしておく事が大切
7.土地取引に於ける土壌汚染問題の今後 今後、更に土壌汚染問題は深刻化し、土地取引に於いては莫大な損害が多くの企業で生じるだろう。 ・土地取引に於ける規制の拡大 ・周辺住民・利害関係者からの汚染調査開示請求 最後に土地取引に於ける土壌汚染問題の今後です。 今後、更に土壌汚染問題は深刻化し、土地取引に於いては莫大な損害が多くの企業で生じると思います。 そして、それに伴って、(enter)土地取引に於ける規制の拡大や周辺住民、利害関係者からの汚染調査開示請求なども当たり前の様に要求される様になると予想されます。 その為、土壌汚染問題が深刻化しつつある今だからこそ、(enter)企業に於ける土壌汚染リスクに対する対策が急務なのだと思います。 土壌汚染リスクに対する対策が急務なのである!
8.参考文献 「土地取引と土壌汚染問題への対応」 「土壌汚染と企業リスクマネジメント」 「土壌汚染と対応の実務」 参考URL 監修:国土交通省 土地・水資源局土地政策課土地市場企画室 編集:財団法人 土地総合研究所 「土壌汚染と企業リスクマネジメント」 著者:地層汚染診断・修復簡易化研究会 編集:(株)インターリスク総研 「土壌汚染と対応の実務」 監修:平田健正 編集:社団法人 土壌環境センター こちらが今回の研究の参考文献となっております。 以上で、私の発表を終わらせて頂きます。 御清聴有り難う御座いました。 参考URL 環境省ホームページ:http://www.env.go.jp/ 総務省ホームページ:http://www.soumu.go.jp/