MRI検査スピード化 (疎明に映すことと併用されれば、多数の救命に) 岡田一秀
K-空間とは? 核磁気共鳴画像法 (MRI) において、k空間 (k-space)は実空間の画像データのフーリエ 変換である空間をさす。すなわちk空間と 実空間は互いにフーリエ変換の関係にある。 実空間の座標軸は位置座標 (x , y ) であり、 k空間 (kx , ky ) での軸は空間周波数。 MRIには 信号の読み取り中、傾斜磁場を印加し位置のエンコードを行い、時間軸をk軸に対応させており、画像生データの集合がk空間を構成。 k空間の低周波部分(中央部)は信号強度あるいは画像コントラストを決定し、外側の高周波成分は画像の分解能を決めている。
MRI コンセプト 「Phase encode でy座標に応じて位相を変える」 「k-space を二次元フーリエ変換するとMR画像になる」 MR画像は二次元スペクトル MR画像のx軸・y軸は空間周波数
エンコード ⇒ 画像再構成
コイルから信号をどう取るか? k-space のx軸・y軸は周波数ではない k-space のx軸 = frequency encode gradient の強度 k-space のy軸 = phase encode gradient の強度
選択的励起
Slice selection
What is Phase encode Frequency Encoding Direction frequency encode gradient が強いピ クセルほどスピン周波数が高いので、 frequency encode 方向の位置 は一旦スピン周波数に置き換えられる事になる。次にエコー信号はM RI装置内部のメモリ(k-spaceの実体?)に転送される。この時点で時 間情報は無関係となり、スピン周波数は k-space 上の空間周波数に置 き換えられる。そしてフーリエ変換により割り出された空間周波数が frequency encode 方向の位置と見なされる。 従って水より共鳴周波数 が低い脂肪は、本来の位置よりも frequency encode gradient が弱い 方向に存在する様に見える(chemical shift artifact)。これはMR画像 の軸が周波数である事の証明である。
MRIのキーワード SE法
K-空間イメージ
アーチファクトは? 位相方向・周波数方向にも、折り返しにともなうアーチファクトが見られる。 周波数エンコード情報 ---- 最大周波数の倍以上の周期で サンプリングを行えば、折り返し 雑音を防げる。(ナイキスト定理) このように、点線のようなサンプリングでは、 実線の信号の周波数が認識できないので (寧ろ、オーバーサンプリング位が)
位相エンコードのアーチファクトは? ほしい画像 折り返しの起こった画像
Phase Encode Direction a. y座標がゼロの位置(x軸上)に ファントムがある場合 b. y座標がゼロでない場合 Phase Encode Gradient を変えても、ファントムの磁場強度は変わらないので常に同じエコー信号が得られる。このエコー信号を k-space に並べると、y軸方向の断面は直線(下図で左端)となる。直線即ち空間周波数がゼロ(シマ模様の数がゼロ)なので、二次元フーリエ変換するとy座標がゼロの位置にスペクトルが観察される。即ちMR画像ではy座標がゼロの位置にファントムが写る(様に見える)。 Phase Encode Gradient を変えて撮影すると、共鳴周波数は 変わらないが phase encode gradient の強度に比例して 位相がずれたエコー信号が得られる。このエコー信号を k-space に並べると、y軸方向の断面は正弦波状(左では 1.5サイクル)となる。 phase encode gradient の最大勾配が 同じなら、エコー信号の位相変化はファントムのy座標に比例。 ファントムのy座標がさらに大きくなると、k-spaceのy軸方向の 断面に生じる正弦波の周波数は更に高くなる(右では3サイクル)。
Phase Encodeの目的 Phase Encodeを二次元フーリエ変換すると、ファントムのy座標に比例した 空間周波数のスペクトルが観察される。即ちMR画像ではファントムの y座標が再現される。 つまりy軸方向の位置は phase encode gradient により、まず位相変化に 置き換えられ、次に raw data を k-space に並べる事によって位相変化に 比例した空間周波数の波に置き換えられ、最後にこれを二次元フーリエ 変換すると撮影対象のy座標が再現されたMR画像になる。 Phase encode の最終目的は位相変化ではなく、それによって k-spaceにy座標に対応した空間周波数のシマ模様を 発生させる事にある
共鳴とRFパルス RFコイルから磁場を加えた場合、巨視的磁化(M)は静磁場の方向を 中心にくるくると回り出し、だんだんと傾いて行く。これはエネルギーの 吸収に相当する。ここで交流電流を止め回転磁場をストップさせると、 くるくる回りながら静磁場の方向へ戻って行く(エネルギーを放出)。 この過程においてエネルギーの吸収と放出という2つの 現象が起こることから、これを共鳴現象と見なす ことができ、そのために核磁気共鳴と呼ばれる。
自由誘導減衰(Free Induction Decay )
緩和現象について <緩和> この二つのエネルギー差に対応する高周波磁場を外から与えるとエネルギーの低い状態から高い状態への遷移が起こる。これを「共鳴」と言う(上左図)。 共鳴しているのは核スピンであるため,この共鳴を「核磁気共鳴(NMR)」と言う。共鳴スペクトル(信号強度の周波数(磁場)依存性)を測定し、原子核周りの電子状態を調べることが出来る。また、核スピンは高周波磁場により得たエネルギーを周りの格子系(伝導電子など)に放出することにより、元 の状態に戻る(上右図)。共鳴後、元の状態に戻るまでの時間を緩和時間と言う。原子核周りにエネルギーをもらってくれる相手が居るかどうかなどに より、緩和時間は大きく変わる。よって緩和時間を測定することにより、電子状態を調べることが出来る。
スピンエコー法を使用 ・90度パルス(90-degree pulse) MRIまたはNMRの観測におけるとは、磁化ベクトルの方向を回転座標系から見てちょうど90°回転させるRFパルスのこと。ある均一磁場中に置かれた核スピンの巨視的磁化ベクトルの向きを、z軸方向からx-y平面上に90°倒すためのRFパルス。実験室座標系から見ると、磁化ベクトルはらせん軌道を描きながらx-y平面上に倒れる。 ・180度パルス(180-degree pulse)MRIまたはNMRの観測において、磁化ベクトルの方向をちょうど180°回転させるのに等しいRFパルスのこと。ある均一静磁場中に置かれた核スピンの巨視的磁化ベクトルの向きを、z軸のプラス方向からマイナス方向に180°倒したり、x-y平面上の横磁化成分を180°反転させる。スピンエコー法では、90°パルス付加後に外部磁場の不均一で起こる位相ずれをリフェーズさせる作用。
スピンエコーシークエンス A) - 垂直の赤矢印はプロトンといった スピンの一つの集団の平均磁気モーメ ントである。全ては垂直磁場中で垂直 に位置し、長軸に沿ってスピンしている。 しかしこのイラストは、スピンが平均す ると静止している回転座標系である。 B) 90°パルスを印加し、巨視的磁化 ベクトルをx-y平面上に倒す。C) 局所的 な磁場の不均一性(時間に対して不変 なサンプルの異なる部分での磁場の ばらつき)のため、減速するスピンと逆 に加速し前方に出るスピンが生じる。 これによってシグナルの減衰が起こる。 D) 遅いスピンが主モーメントよりも前 方に出て、速いスピンが逆に後方にな るように180°パルスを印加する。E) 次 第に速いモーメントは主モーメントに追 い付き、遅いモーメントは主モーメント に戻っていく。F) 完全なリフォーカスが 起こり、この時全てのT_2*効果が除去 された正確なT_2*エコーを計測するこ とができる。図では示されていないが、 全く独立した赤矢印の垂直方向への 回復はT_1緩和を反映している。
ハーンエコー減衰 ハーンエコー減衰実験は、下のアニメーションに見るような位相散逸時間を測定す るために用いることができる。2つのパルスの幅を変化させ、エコーの大きさを記録 することによって、πパルスによってリフォーカスされないデコヒーレンスを明らかに することができる。ある場合は、T2時間で表される指数関数的減衰が測定される。
MRIの緩和の概念 外部磁場のかかった状態で熱平衡状態に あるスピン系に対し、磁場の向きを変えずに 大きさを突然変えた場合に磁化 磁場の変化ΔH が元の磁場 H に垂直
NMRにおける測定量 Nuclear Magnetic Resonance (核磁気共鳴)
MRIにおける座標系
プロトンのスピンの挙動
RFパルスの形状 矩形波パルス sincパルス (スライス選択)
スライス選択
矩形波のフーリエ変換は、sinc関数
イメージング 磁気共鳴を用いての共鳴周波数 共鳴周波数 ω(X,Y,Z) = γ・(B0±G(x,y,z))・(1-σ) < X, Y, Z : 位置、 Gx,Gy,Gz :傾斜磁場, B0 : 磁場強度, σ:遮蔽定数 > ( 磁場は、スカラー量: G(x,y,z) = Gx・X + Gy・Y + Gz・Z ) スライス撮り