データ総集編 2009年度天文学校 第3日 第1講.

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Presentation transcript:

データ総集編 2009年度天文学校 第3日 第1講

今回の進行 (前半の観測不能をreasonableに仮定) 18~22時 HII領域の測光、SFRへの変換 22~26時  ≥晴れ → 観測          ≤曇り  → 観測データの考慮事項                  自習解析時間 13~17時 展開 13~14.5時 遠赤外線&サブミリ波で探る銀河の星形成活動(高橋) 15~15.5時 衣笠望遠鏡見学 15.5~17時 ガンマ線バーストの紹介と遠方宇宙へのアプローチ (衣笠) 第4回 (任意) Star formation: Related topics

観測天体 Hαフィルター 標準星 cz=-500~+500km/s と +500~1500 km/s SA098, SA101 Group ID Coords. (J2000) cz(km/s) D(Mpc) A M74(NGC628) 1h36m42s +15d47’00” +657 9.2 B M51 13h29m56s +47d13’53” +600 7.1 C M94 12h50m53s +41d07’14” +308 4.9 NGC 2403 7h36m51s +65d36’09” +131 2.5 M95 10h43m58s +11d42’14” +778 10.0 M106 12h18m58s +47d18’14” >500 7.3 omake M83 13h37m01s –29d51’57” 513 4.5 All IC 342 3h46m49s +68d05’46” +31 3.0 Hαフィルター cz=-500~+500km/s と +500~1500 km/s 標準星 SA098, SA101

高度曲線

雨読バージョン 画像処理(解析) ~ つづき

画像処理の流れ 画像リスト作成 バイアス画像作成、バイアス引き フラット画像作成(+規格化)、フラットかけ http://www.astron.pref.gunma.jp/~hasegawa/Gakko/wstart1.cl + wclean.cl 位置あわせ前測定(明るい星の位置と明るさの測定) 画像の座標変換式導出の準備 スカイ引き シーイングそろえ(省略) 画像複製 座標変換式導出、画像の座標変換 各画像のカウントそろえ Stack 連続光差し引きの係数測定と差し引き http://www.astron.pref.gunma.jp/~hasegawa/Gakko/wcomb.cl diffuse Hα光の差し引き http://www.astron.pref.gunma.jp/~hasegawa/Gakko/wha.cl フラックスキャリブレーション (標準等級に直す) 標準星画像で開口測光(aperture photometry;機械等級が測定される) 標準星カタログと比較して、機械等級 → 標準等級への変換式を決定 これでR-bandのCCD上のカウントと光子の個数との変換が可能に 銀河までの距離と合わせて絶対等級に直す エネルギーに直す 星形成率へ変換

できたっ! (その1)

diffuse Hα光の差し引き 下準備 月明かり 東に月 → 空の明るさが左右に傾き # Remove gradient in the sky; possibly from moonlight subtraction error imsurfit IC342Ha IC342Haf 2 2 cross- xmed=21 ymed=21 type_output=fit imarith IC342Ha - IC342Haf IC342Hass # Keep important area only imcopy IC342Hass[383:1782,223:1622] IC342Has imcopy IC342HM[383:1782,223:1622] IC342HMs imcopy IC342RM[383:1782,223:1622] IC342RMs

diffuse Hα光の差し引き 1st option imsurfit IC342Has IC342Hasf2 4 3 regions="invcircle" circle="700 700 20" niter=3 cross+ xmed=21 ymed=21 type_output=fit 2nd option imcopy IC342Has IC342Har00 cl < wrotate.cl imcomb IC342Har*.fits IC342HaRot comb=median reject=sigclip lsigma=1 hsigma=1 imdel ICHar*.fits prows IC342Hasf2 690 710 wy1=0 wy2=20 prows IC342HaRot 690 710 append+ 3rd option magnify IC342Has IC342Hasb 0.2 0.2 rmedian IC342Hasb IC342HaRot2 rinner=0 router=130 magnify IC342HaRot2 IC342HaRot3 5.015 5.015 引き算! imarith IC342Has - IC342Hasf2 IC342Hassub

いろいろ思うよしなしごと みなさんは何を思う? いろいろ思うよしなしごと  みなさんは何を思う? 普通の星は消えるはずなのに? HII領域以外は光っていないか? 銀河中心からどこまでHII領域は分布するか? 遠くの銀河のHII領域も混ざっている? 腕との位置合わせ 明るいHII領域はどこに多いか? 電波との比較!

Hα領域の測光     Difficult...!!!! sex IC342Hassub.fits -CATALOG_NAME IC342Ha.cat -CHECKIMAGE_TYPE -OBJECTS -CHECKIMAGE_NAME IC342HaRes.fits sex IC342Hassub.fits -CATALOG_NAME IC342Ha.cat -CHECKIMAGE_TYPE OBJECTS -CHECKIMAGE_NAME IC342HaObj.fits default.sex -GAIN 2.0 -PIXEL_SCALE 1.5 -SEEING_FWHM 3.0 -MAG_ZEROPOINT 25.0 -DETECT_MINAREA 10 -DETECT_THRESH 2.5

Flux Calibration 標準星の解析 標準星データ Landolt (1992) The Astron. Jour. 104, 340 天球赤道上の星の基準とされる等級 3時間おきに8 field (他、選択基準?) 標準星画像で開口測光(aperture photometry) 機械等級(instrument mag)を測定 標準星カタログと比較して、機械等級m  → 標準等級Mへの変換式を決定 m = c0 + c1 * sec(z) + c2(color) + M And then, m M M = c0 + c1 * sec(z) + c2(color) + m 先にsec (z)だけ直してしまう流儀もある。 これでR-bandのCCD上のカウントと光子の個数との変換が可能になる

測光係数 測光データは20100204.tarの中の画像 Contents: 測光係数 IC342/M51/M83/M106/M94/ M95/N2403/N628 with VRIHa(0 or1000km/s) SA101 (標準星領域)                  with BVRI 測光係数 Rcat = robs – 0.0884 sec z    + 0.0249 (v – r)obs    – 3.1870 ± 0.0220 N=56 sec z項とcolor 項はちゃんと分離できるか(conspireしないか)?

Hα領域の測光 R-bandの測光 (IC342R03 at GAO) 1 ADU = 23.5×10–18 erg s–1 cm–2 Assumption: R = 0 mag 烹 2.0×10–6 erg s–1 cm–2 1.75×10–9 erg s–1 cm–2 A–1 1750A bandwidth; 2/3 for non-rectangular bandpass 1ADU = 2.3 ×1034 erg s–1 IC342 D=3.0 Mpc 1pc = 3×1013km = 3×1018cm 4π (1Mpc)2 = 1.1 × 1050cm2 etc…

Hα領域の測光(検算) Hα(IC342; Kiso, 中心半径67arcsec以内) = 3.5×105ADU = 8.1×1039erg s–1 = 0.065 Mo yr–1 (SFR = 0.8×10–41 L(Hα) Kennicutt + 1994、                  OB星からの電離光子の数から評価) = 0.22 Mo yr–1 (H=0.3R) = 0.51 Mo yr–1 (Kiso 烹 GAO factor 0.42) = 5.1 Moyr–1 (銀河吸収 AR=1.49、HII領域内1.1 mag) Σ(SFR) = 0.45 Moyr–1 kpc–2 (67” at 3Mpc = 0.94 kpc) log ( Σ(SFR) ) = – 0.34  cf. Kennicutt (1998) log(Hα) = –0.41 ← FIR あいすぎ! 

Hα領域の測光 Hα(IC342; Kiso; 全域) = 2×106ADU = 4.6×1040erg s–1 = 0.36 Mo yr–1 (SFR = 0.8×10–41 L(Hα) Kennicutt + 1994、                  OB星からの電離光子の数から評価) = 1.1 Mo yr–1 (H=0.3R) = 2.0 Mo yr–1 (Kiso 烹 GAO factor 0.42) = 20 Moyr–1 (銀河吸収 AR=1.49、HII領域内1.1 mag) cf. SFR(MW) = 4 Moyr–1  (HII領域の電波観測)

めざすはこれなんですが これをやるには全部の銀河のHII領域をはからないといけないので。。。

Hα領域の密度 5Mpcの球の中にN個のMWがあって0.01 M yr–1Mpc–3 に なるとすると、、、 N * 4 (M yr–1) / 4π (5 Mpc)3 / 3 = 0.01 M yr–1Mpc–3 5Mpcというのは銀河団サイズ。 銀河団なら数百の渦巻き銀河がある!ぜんぜんあわない。 ∴相当広い範囲の平均。。。。

How about Error Sources ? Blanc et al. (2009) ApJ 704, 842 M51 case; integrated fiber unitの分光観測 internal extinction(HII領域内部の吸収減光) Diffuse Ionized Gasの存在 Hα連続光の推定誤差 NII contamination Incompleteness?

HII領域内部の吸収減光 Balmer decrement method –2.5 log(LHα/LHβ/2.87)obs Hα と Hβの吸収量(等級で表現)の差を利用する –2.5 log(LHα/LHβ/2.87)obs AHα = k(Hα) × ——————————— k(Hα) – k(Hβ)      kは各波長での吸収係数 Kennicuttのscalingでは全域で 1.1mag at Hαを採用

Diffuse Ionized Gas 通常の星形成領域とは [SII]/Hαで区別できる 成因 SNやOB型星風などによりHII領域からリークできた 電離光子が銀河面から高く まで飛ぶ

分光との関連  星の吸収線の影響 NIIの輝線の影響

[OIII][NII]による輝線領域の分類 どちらも自然にはなかなか光を出さない 光を出すには衝突などの外因が必要 [OIII] 高階電離 電離が進むには青いSEDが必要 OB型星の20000Kでは不足,AGNなどの青いSED [NII]  OB型星などでも電離できる

M51(Blanc+09)の他の事項 電波データとの比較 consumption time scale τ 母体の質量がわかる 星形成効率がわかる ΣSFR ∝ (Σgas)N HIあるいはHIIの どちらと相関? HII slope 1.0に近い single slope ではない? consumption time scale τ τ = Mgas/SFR = 2Gyr < Hubble time → gas recycling !

Kennicuttグループ(1) IMFの重要性 φ(m)dm = m–Ndm N = 2.5(Salpeter) N = 2.0~3.0 Hα ← SFRIMF SFR=SFR(–t/b) (B–V)0 → b EW(Hα)=N(OB)/N(total) → IMF(Salpeter best) Hα → SFR b パラメーターと矛盾はない ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡で系外銀河の個々の星が分解してみえるようになり、星形成は色等級図から別途評価できるようになり、指数関数というような単純なSFRを仮定しないでこの議論を再検討する時期がきているのではないか。 N(OB)/N(total) Salpeter b

Kennicuttグループ(2) HII領域の半径依存性  threshold Toomre Q