わが国の産婦人科医療の安定的確保のための日本産科婦人科学会の活動 2014年11月12日 日本産婦人科医会 記者懇談会 わが国の産婦人科医療の安定的確保のための日本産科婦人科学会の活動 海野信也 公益社団法人日本産科婦人科学会 医療改革委員会 (北里大学病院長)
2014年5月31日 日本産科婦人科学会医療改革委員会 「平成26年度 医療改革 アクションプラン」 2014年5月31日 日本産科婦人科学会医療改革委員会 「平成26年度 医療改革 アクションプラン」 産婦人科医療改革グランドデザイン2015の策定 産婦人科医療に関する諸調査の実施とその結果の公表 日本産科婦人科学会会員の勤務実態調査 第2回医学部地域枠学生実態調査 第7回産婦人科動向意識調査 http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20140926.html 第8回大学病院産婦人科勤務医の待遇改善策の現況に関するアンケート調査 産婦人科新規専攻医の動向に関する継続的調査の実施 「周産期医療の広場」「拡大医療改革委員会」等を通じた、産婦人科医療及び産婦人科医療提供体制に関する情報提供、社会啓発活動の推進 「周産期医療の広場」http://shusanki.org/ 「拡大医療改革委員会」 平成27年1月25日 13時より ステーションコンファレンス東京にて開催予定 テーマ「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」
日本産科婦人科学会 性別年齢別会員数 2005年11月
日本産科婦人科学会 性別年齢別会員数 2013年11月
日本産科婦人科学会 性別年齢別会員数 2013年11月
日本産科婦人科学会 年度別入会者数(産婦人科医) 2014年3月31日現在
日本産科婦人科学会 年度別入会者数(産婦人科医) 2014年9月30日現在
日本産科婦人科学会年度別入会者数(産婦人科医) 9月30日時点と3月31日時点の比較
産婦人科新規専攻医増加を目指した 日本産科婦人科学会の活動 医療改革委員会 産婦人科医療、特に産科・周産期医療提供の現状を把握、分析し、将来にわたって安定的な医療提供を可能とするための活動を行う。 若手育成委員会 サマースクールの開催:産婦人科領域に関心をもっている医学生、初期研修医を対象とした研修の場を設け、指導者及び同世代の同僚との交流の機会とする。 スプリングフォーラムの開催:若手産婦人科医の相互交流の場を設け、学会活動に積極的に参画できるように支援する。 未来ビジョン委員会 一般の方々の産婦人科の実情についての理解を深め、産婦人科のもつイメージを、ポジティブなものに変える。
サマースクール参加者と産科婦人科学会入会者数 初期研修医数 入会者数 入会者数/参加者(%) 学生数 入会数 入会数/学生数(%) 総参加者 第1回 64 42 65.6% 22 6 27.3% 84 第2回 129 61 47.3% 45 10 22.2% 174 第3回 200 118 59.0% 85 31 36.5% 285 第4回 246 132 53.7% 81 29 35.8% 327 第5回 254 138 54.3% 75 19 25.3% 329 第6回 286 109 38.1% 83 369 第7回 227 98 43.2% 107 334 第8回 208 未だ専攻医になっていない 120 328 (応募者のうち51名をお断りしている) 計 1614 698+α 49.6% (1~7回まで) 618 95+α
産婦人科スプリングフォーラムのテーマと参加者数 テーマ 参加人数 第1回 産婦人科診療における理念と技能の伝承 68名 第2回 産婦人科専門医取得後10年をどう過ごす? ―目標と克服すべき課題― 61名 第3回 後輩に伝えよう産婦人科の魅力 63名 第4回 各大学、病院での産婦人科医師プラスワン計画 日本の産婦人科を支える皆さんと一緒に、産婦人科の現在と将来をpositiveに考えてみましょう 第5回 社会に求められる新たなる産婦人科医のあり方 募集中
産婦人科医療改革グランドデザイン2015について
過去5年間の取り組みとその結果としての産婦人科を取り巻く環境の現状 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会の取り組み サマースクール 妊産婦死亡登録・原因分析事業 産科医療補償制度 行政上の取り組み 全都道府県での周産期医療システムの整備 厚生労働省:産科医等確保支援事業 厚生労働省:地域医療支援センター 厚生労働省:診療報酬改定 勤務医の負担軽減と処遇改善 文部科学省:周産期医療環境整備事業(H21-(人材養成環境整備)) 出産育児一時金の引き上げ・分娩費用の動向 出産育児一時金直接支払制度・受取代理制度の導入 地域医療再生基金 寄附講座 医学部地域枠・診療科枠、奨学金制度 分娩手当の普及
過去5年間の取り組みとその結果としての産婦人科を取り巻く環境の現状 3. 病院の取り組み 院内保育の普及 短時間正規雇用制度の導入 育児休暇取得の増加 東日本大震災の経験 → 有事対応の必要性 司法判断 奈良県立病院産婦人科超過勤務手当訴訟への最高裁判断
重点コンセプト 地域分娩環境の確保 周産期医療を支える医療人材の将来にわたる安定的確保 高水準の周産期医療レベルの確保 地域格差の問題に正面から取り組む 地域における一次医療機関、健診施設、社会的資源へのアクセスの確保 すべての地域で高次医療機関への円滑な紹介・搬送システムが機能している 周産期医療を支える医療人材の将来にわたる安定的確保 女性医師の継続的就労が可能な勤務体制 若手医師にとって将来にわたるキャリアパスが明確である 助産師 高水準の周産期医療レベルの確保
産婦人科医療改革グランドデザイン2015の方向性 産婦人科医療改革グランドデザイン2010 修正・追加ポイント グランドデザインにおける目標 20年後、90万分娩に対応する。 地域で分娩場所が確保されている。 病院において労働関連法令を遵守した医師の勤務条件が確保されている。 女性医師がそのライフサイクルに応じた勤務形態で継続的に就労することが可能になっている。 産婦人科医及び助産師不足が発生していない。 世界最高水準の産婦人科医療提供が安定的に確保されている。 合計特殊出生率 1.8という政府の方針をどのようにとりこむか? 分娩のあり方に関する多様性の確保 地方における地域分娩環境のあり方に関する具体的な記載 大都市圏の集約化に関する踏み込んだ記載 産婦人科医の勤務条件に関する踏み込んだ記載 他の診療科、他の職種との業務分担の大胆な見直し 有事対応に関する記載
産婦人科医療改革グランドデザイン2015の方向性 産婦人科医療改革グランドデザイン2010 現実の展開と修正・追加ポイント 産婦人科医師数:年間最低500名の新規産婦人科専攻医を確保する。 助産師数:助産師養成数を年間2000名以上まで増員する。 助産師養成システムの再検討を行う。 助産師がすべての分娩施設で分娩のケアにあたる体制を整備するため、特に診療所への助産師の配置に対してincentiveを付与する。 500名に至らず、漸減しつつある。 助産師国家試験合格者は2011年実施試験以降、4年間連続して、2000名を超えているが、2000名以上に増加していく傾向は認められない。 就業助産師数は各年齢層で増加傾向にあり、助産師養成増加策は奏効していると考えられる。 診療所勤務助産師数は増加傾向にあるが、分娩取扱数と比較すると以前として不足状態にあると考えられる。
産婦人科医療改革グランドデザイン2015の方向性 産婦人科医療改革グランドデザイン2010 現実の展開と修正追加ポイント 地域周産期医療体制: 診療機能及び妊産婦・患者のバランスのとれた集約化と分散により、安全、安心、効率化の同時実現を目指す 施設間連携を強化し、周産期医療における安全性の向上を図る 麻酔科、新生児科、救急関係諸診療部門を擁し、施設内連携が良好な周産期センターを中心とした周産期医療システムを各地域に整備 分娩管理の効率化と多様性を確保するため分娩数全体の2分の1から3分の2を産科診療所または産科専門施設で担当 診療ガイドラインの作成やその普及等により周産期医療の標準化を推進し、周産期医療の質の向上に寄与する。 大都市圏における分娩取扱病院の集約化・大規模化を積極的に推進する。 周産期母子医療センターの診療機能を強化し、地域における安全な妊娠分娩管理を可能にする。 出生場所別出生割合 2009年と2012年の比較 病院 51.6% → 52.7% 診療所 47.2% → 46.3%
日本産科婦人科学会 性別年齢別会員数 2013年11月
* * 男性医師の分布 女性医師の分布
日本産科婦人科学会学会員の年齢別分布(所属施設毎) 会員数は男女合計
* * 男性医師の分布 女性医師の分布
「世代間分業の現状」を踏まえた グランドデザイン2015の課題 30歳ー40歳 周産期センター・病院勤務・分娩取扱 45歳ー65歳 診療所勤務・分娩取扱 診療所勤務・婦人科診療 女性医師が男性医師と同様のキャリアパスを選択するかどうか 女性医師の産科診療所勤務・開業を支援する方向性 勤務医として? グループ診療に参加する? 病院における分娩取扱の増加を前提として、女性医師が病院勤務を継続できる体制を整備する方向性 地域における分娩環境確保戦略との関係