物理学Ⅰ - 第 12 回 - 補講(重要!掲示板に掲示してあります) 日時: 7/14(金)6限 場所: E208教室.

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物理学Ⅰ - 第 12 回 - 補講(重要!掲示板に掲示してあります) 日時: 7/14(金)6限 場所: E208教室

物理学Ⅰ - 第 12 回 - 前回のまとめ 単振動 減衰振動 フックの法則に従う復元力が働くときの振動 微小な振動は単振動で近似できる 物理学Ⅰ - 第 12 回 - 前回のまとめ 単振動   フックの法則に従う復元力が働くときの振動   微小な振動は単振動で近似できる 減衰振動   振幅が次第に小さくなりながら振動   特に粘性抵抗が働く場合を具体的に扱った

波動現象 波動分野を学ぶ上でのポイント 1.波動現象の本質を理解する 2.波動現象の基本法則が何かを理解する 波とは? 波はどうやって起こるのか?記述方法? 2.波動現象の基本法則が何かを理解する 3.波動現象に共通する性質を基本法則から理解する 波動:光、音波、電磁波、地震波、津波等

第12章 波の物理 この章のポイント 1.波動現象の理解 2.波の式と重ね合わせの原理 3.波の干渉と定常波(定在波) 第12章 波の物理 12章 主に1次元の波の記述方法について 13章、14章 空間を伝わる波の代表例として音と光をとりあげる この章のポイント  1.波動現象の理解    波とは何か、どのような波があるか、波の起こる理由  2.波の式と重ね合わせの原理    この章に含まれる「基本法則」に相当  3.波の干渉と定常波(定在波)    重ね合わせの原理で理解できる波に共通する現象

今日の内容 第12章 波の物理 1.波とは? 2.さまざまな波 3.波の式と正弦波 次回続き 4.重ねあわせの原理と波の干渉 第12章 波の物理  1.波とは?  2.さまざまな波  3.波の式と正弦波 次回続き   4.重ねあわせの原理と波の干渉  5.波の反射と定常波

§1 波とは? (12-1、2、3) ある場所での変化が周りに伝わっていく現象 例1 ロープを振る 例2 地震波(震源) §1 波とは? (12-1、2、3) ある場所での変化が周りに伝わっていく現象 波源(波動源)-最初に変化が起きた場所 例1 ロープを振る 例2 地震波(震源) ある場所の変化が隣の変化を誘導・・・物質間の力 波源の変化に対して復元力が働いて振動する場合が多い

例3 池に石を投げる ⇒ 波紋が広がる 例4 話す ⇒ 離れたところで声が聞こえる 音 例5 携帯電話で通話 アンテナから電波 電磁波 太陽からの光・・・8分20秒 光

☆波動現象の基本 進行波 エネルギーは流れている 変化を伝えていくもの・・・媒質(媒質自身の流れでは無い) ある場所での変化が周りに伝わっていく現象(変化が伝わる) →川の流れのように物が流れるのとは違う(物の移動を伴う)! 点Pは上下に変化するが 右に流れていく訳ではない エネルギーは流れている 波源のエネルギーが運ばれる 他の例・・・海に浮かぶボート-上下に揺れるだけ 海流で流されるのは別 変化を伝えていくもの・・・媒質(媒質自身の流れでは無い)

☆弦を伝わる波による波動現象の理解 エネルギーは流れている 弦の張力(復元力)が変化を伝える要因 変化が伝わる速さ 力学的波・・・力学で理解できる 変化が伝わる速さ T 張力大⇒速さ大・・・加速度大 線密度大⇒速さ小・・・加速度小 弦の単位長さあたりの質量∝「隣の部分」の質量 エネルギーは流れている のところに力学的エネルギー 垂直方向の運動の運動エネルギー 弦の伸びによる弾性的P.E. ポテンシャルエネルギー

補足 弦を伝わる波の力学的理解 ⇒ 運動方程式で理解できる そもそも何故振動が周りに伝わるのか? この部分に注目する 補足 弦を伝わる波の力学的理解 そもそも何故振動が周りに伝わるのか? この部分に注目する 張ったロープには張力が働いている 左側のロープの張力は上向きの 成分があるので上に引っ張られる 左側のロープの上向き成分より 右側の下向き成分が大きく減速 両側のロープの張力が下向き 成分を持ち下向きに最大の加速度 ⇒ 運動方程式で理解できる

問1 次のうち波動と呼べるのは何個あるか 津波     調子の波     ドミノ倒し スタジアムで起こるウェーブ   波模様 1個 2個 3個 4個 5個

答  津波  ドミノ倒し  スタジアムで起こるウェーブ

§2 さまざまな波 (12-1、2、6 +α) 波動現象は多種多様 ⇒ いろいろな視点から分類ができる §2 さまざまな波 (12-1、2、6 +α) 波動現象は多種多様 ⇒ いろいろな視点から分類ができる しかし、多様な波は共通する性質を示す!

☆自然界の波 1.力学的波 2.電磁波 3.物質波 物質が媒質となり媒質に働く力が波を生む 弦を伝わる波、水面の波、地震波、音 など 弦を伝わる波、水面の波、地震波、音 など 2.電磁波 電磁気学を学ぶと電場、磁場が波動現象を生むことがわかる・・・物理学Ⅱ 光は電磁波の一種 3.物質波 量子力学を学ぶとミクロの粒子(電子、原子など)は波の性質を持つことが分かる Bose-Einstein凝縮(BEC)

方程式の共通性から波動現象の普遍性が生じる これら3種類の波の本質は全く異なる しかし、 力学 波動現象を記述する方程式 (波動方程式) 電磁気学 量子力学 電磁波のヘルムホルツ方程式 時間を含まないシュレーディンガー方程式 方程式の共通性から波動現象の普遍性が生じる

補足・・・前出のクイズについて ドミノ倒し、ウェーブは媒質により変化が伝わっていくが 自然界の波と同じ形の方程式に従うわけではない ⇒ 波としての普遍的性質は共有しない ⇒ 「波」といわれると違和感を持つかも

☆波のタイプによる分類 「変化が伝わる」といっても様々 ☆波のタイプによる分類 「変化が伝わる」といっても様々 1)波源の変化の仕方    時間的区分 パルス 断続的変化 → パルス波 連続波 連続的振動 → 連続波 2)変化の向き    空間的区分 横波 縦波(粗密波) 音波 光、電磁波

横波と縦波(変位の向きで区別) 横波:横ずれが伝わる 縦波:疎密が伝わる

3)伝わる範囲 1次元の波 2次元の波 3次元の波 大気中を伝わる音や光

4)拡がり方 球面波(円形波) 平面波 波が伝えるエネルギーが 薄まるので波源から離れると 波はだんだん弱くなる 波が弱まりにくい (まっすぐに伝搬する) 摩擦や抵抗でゆっくり弱まる

§3 波の式と正弦波 (12-4、5、6) 波・・・ある場所での変化が周りに伝わっていく現象 式で表現するには二つの視点 1.現象記述的 §3 波の式と正弦波 (12-4、5、6) 波・・・ある場所での変化が周りに伝わっていく現象 式で表現するには二つの視点 2 1 1.現象記述的 波を観測 → 時刻 t での波形の空間分布を記述 波の波形が移動していく・・・これを式で表現 2.波の物理の本来の立場 波源の変化が伝わっていく  → 位置 x ので波形の時間的変化を記述 波源の変化を式で書く ⇒ これが伝わることを表現

1.現象記述的表現 時刻 における波形 波を観測するとこの波形が移動していく スピード で右に移動すると 時刻 に波形を表す関数は 時刻     における波形 波を観測するとこの波形が移動していく スピード  で右に移動すると 時刻  に波形を表す関数は 関数の単なる平行移動 の位置が      に移動する 同様にして左に移動するときは 波の式(右に伝わる場合) 時刻  、位置  の変位

2.波の物理に基づく表現 波源: )における変化(位置の時間変化) とする この変化がスピード で右に伝わる 波源:     )における変化(位置の時間変化)      とする 振動 この変化がスピード  で右に伝わる ⇒ 位置  に変化が伝わるのにかかる時間は ⇒ 位置  では  の時間だけ遅れて同じ変化をする ⇒ 位置  における変化を表す式は と捉えればよい 右に伝わる波は      の関数(現象論的記述と同じ)

☆正弦波 波源の単振動が伝わって生じる波 原点(波源)の記述 単振動・・・ 周期 、 振幅 、 振動数 講義では2.の視点で説明・・・教科書とは相補的 物理的理解としてはこちらのほうが良い 波源の振動 → 波源の変化が空間的に伝搬 原点(波源)の記述 単振動・・・ 周期   、 振幅  、 振動数 11章ではcosを用いたが、ここではsinで表現 ・・・     に振動の中心にいる場合を表す 負号は教科書と対応がつく振動を考えるため

原点の単振動 時刻 、位置 の変位・・・ の時間だけ遅れて振動 時刻t、位置xにおける振動 決まった時刻(ある時刻tにおける)の波形 時刻  、位置  の変位・・・   の時間だけ遅れて振動 時刻t、位置xにおける振動 決まった時刻(ある時刻tにおける)の波形 ごとに山となる正弦関数 :波長 波形も正弦関数・・・視点1.ではこの点が天下り

時刻 での波形 時刻 、位置 での変位 波数: ⇔ 角振動数: 微小な振動は単振動で近似できる ⇒ 正弦波は波の基本となる 時刻     での波形 時刻  、位置  での変位 微小な振動は単振動で近似できる ⇒ 正弦波は波の基本となる ⇒ 正弦波の式を波の式と捉えてもよい 波数: ⇔ 角振動数:

波が伝わる様子 各点での媒質の変化

☆縦波の場合 正弦波の式は同じ-変位の向きが違うだけ

問2 次のうち正しい説明を選べ 1. 2. 3. 4. 振動数の大きな波は速く伝わる 波長の大きな波は速く伝わる 問2 次のうち正しい説明を選べ 1. 2. 3. 4. 振動数の大きな波は速く伝わる 波長の大きな波は速く伝わる 波が伝わる速さは振動数や波長には依らない 上の説明はすべて間違っている

答  波は「振動が伝わる」現象 伝わる速さはどのように伝えられるかによる 波長 は振動が伝わった結果の特徴 ⇒ この結果を使って考えてはだめ 振動数(波長)によって速さが異なる場合もある 紹介する多くの例では振動数(波長)には依らない

今日のまとめ 波とは 波の式 正弦波 波源の変化が回りに伝わっていく現象 多様な波があるが、媒質を伝わる波は媒質の 力学で理解できる   波源の変化が回りに伝わっていく現象   多様な波があるが、媒質を伝わる波は媒質の   力学で理解できる 波の式 正弦波  波源の単振動が伝わってできる波 時刻  、位置  の変位

復習内容 必須範囲・・・12-1~5 12-6は時間の都合で省略するが 物理系の専門分野に進むことを考えている人は 自習しておくことが望ましい