価格の戦略 価格の意味と価格の影響
価格とは 製品やサービスに対して課された金額 製品やサービスの所有や利用から得られる効用と交換に消費者が支払う価値の総称 マーケティングミックスにおいて価格のみが収益を生み出す 変更が容易で柔軟性に富む要素 価格とは製品やサービスに対して課された金額をいう。 さらに広義には製品の所有やサービスの利用から得られる効用と交換に消費者が支払う価値の総称である。 価格はほかのマーティングミックスの要素とは異なり、唯一、収益を生み出す要素である。 さらに価格は他の要素と異なり迅速に変更することが可能であり、柔軟性に富む要素である。
価格戦略への影響要因 内部要因 価格目的 費用 マーケティングミックス 企業資源 外部要因 市場・競争 需要 その他の環境要因
価格戦略の区別 価格設定戦略と価格調整戦略 価格設定戦略とは マーケティング全体の視点から基本価格ないしは価格水準を作ること 価格調整戦略とは 設定された基本価格を調整し、必要に応じて修正・変更していくこと
価格目的 長期的利益の最大化 目標利益 競争企業に対抗 売上げの増大 イメージアップ 市場占有率の増大 環境保全 価格とマージンの安定化 社会的責任の遂行 長期的利益の最大化
費用 販売量 金額 費用は価格設定の下限を定める。 総コスト 固定費 変動費
マーケティング・ミックス 価格は他のマーケティング・ミックスの1要素 マーケティング戦略を強化する役割を担う 他の要因の戦略とマーケティング目標に沿って統合 全体的なマーケティング・ミックスを考慮
その他の企業資源 高品質製品の製造を可能とする「ヒト」 工場、物流施設、営業所などの「モノ」 環境変化へ対応するための「カネ」 原材料の確保、特許、イメージなどの「ネタ」
市場 市場と需要が価格の上限を決定 競争企業の数と製品差別化の程度による特徴付け 純粋競争、独占的競争、寡占的競争、独占 競合製品の情報、競争企業の数、潜在的な競争など
需要 需要の価格弾力性 需要関数の同定
需要の価格弾力性 需要の価格弾力性とは製品の価格を1%変化させたら製品需要が何%変化するかをみる数値をいう 価格の変化率1%当たりの需要の変化率と言い換えることもできる 価格弾力性は価格の変化に対して需要がどの様に反応するかを表すものであり,必需品や代替製品が少ないときには小さくなる。 価格弾力性は 製品の価格を1%値上げしたら製品需要が何%減少するか,あるいは1%値下げしたら需要は何%増加するかを見る数値である。 Eの数値が1より大きい場合,価格は弾力的ないし価格弾力性が大きいと言う。 1より小さいときは,非弾力的ないし価格弾力性は小さいと言う。 宝飾品,自動車,家具など奢侈品(しゃしひん)高額品あるいは代替品が多数ある場合は弾力的。 塩,ガソリン,煙草などのように必需品,非高額商品,代替製品が少ない製品は非弾力的である。
価格の変化率と需要の変化率 価格の変化率 需要の変化率 E=-1.0 E=-0.5 E=-2.0 -10.0% 10.0% 5.0% 20.0% -5.0% 2.5% -2.0% 2.0% 1.0% 4.0% -1.0% 0.5% 0.0% -0.5% -4.0% -2.5% -20.0%
価格の変化率と売上
弾力的な需要と非弾力的な需要 Eの絶対値が1を超えた場合、弾力的とよび、絶対値が1を下回った場合、非弾力的とよぶ
需要の価格弾力性の式 価格弾力性は価格の変化に対して需要がどの様に反応するかを表すものであり,必需品や代替製品が少ないときには小さくなる。 製品の価格を1%値上げしたら製品需要が何%減少するか,あるいは1%値下げしたら需要は何%増加するかを見る数値である。 Eの数値が1より大きい場合,価格は弾力的ないし価格弾力性が大きいと言う。 1より小さいときは,非弾力的ないし価格弾力性は小さいと言う。 宝飾品,自動車,家具など奢侈品(しゃしひん)高額品あるいは代替品が多数ある場合は弾力的。 塩,ガソリン,煙草などのように必需品,非高額商品,代替製品が少ない製品は非弾力的である。
直線の場合のE 需要関数を直線とすると価格ごとにEの値は異なる
この特殊な関数を前提としている場合が多い 一定の価格弾力性をもつ需要曲線 需要の価格弾力性に関する記述は この特殊な関数を前提としている場合が多い
価格弾力性の違いによるグラフ
弾力的な財と非弾力的な財 Eが製品ごとに一定であると考えると、以下の議論が成り立つ 弾力的な財は、価格を下げると売り上げ総額が増加する 非弾力的な財は、価格を上げると売り上げ総額が増加する 弾力性が1の場合は価格を変えても売り上げ総額は変わらない
価格変化と売り上げの変化
交差弾力性 代替財と補完財と独立財 E > 0であれば代替財 E < 0であれば補完財 E = 0であれば独立財
法的規制 コンプライアンス 独占禁止法 景品表示法 法令遵守・法律遵守 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 不当景品類及び不当表示防止法 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 独禁法・独占禁止法と呼ばれる法律 取引上の優位性を基にした不公正な取引方法を禁止する法律。 私的独占とは、事業者が他の事業者の事業活動を排除したり支配したりすることにより一定の取引分野における競争を実質的に制限すること 不当景品類及び不当表示防止法 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止する 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。 1.商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示 2.商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示 3.前2号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの
価格設定 価格に関する意思決定
費用重視型の価格設定 価格 利益 マージン 営業費 製造原価 製造原価にマージンを加えることによる価格設定法 マージンは営業費と利益から構成される また、マージンは価格から製造原価を引くことにより計算できる。 利点 一定の利益を確保しやすい 一応合理性がありそうに感じる 価格競争を回避する 欠点 需要や競争を無視 価格-費用-生産高の相互作用を無視 コストは実は不明確
利益最大化の価格設定 総売上 総コスト 利益
価格反応関数
売上関数
費用関数
利益関数
知覚価値重視の価格設定 製品価値 価格 顧客 価値 価格 費用 製品 製品の価値が価格よりも大きければ購入するが製品の価値が価格を下回る場合は購入しない。 そこで顧客からみた価値を基点として価格および製品を設定する方法が知覚価値重視の価格設定である。
競争重視の価格設定 市場価格重視の価格設定 業界の平均水準に価格を設定 競争企業の動向に注意を払う必要がある
製品ミックス価格設定戦略 製品ラインの価格設定 オプション製品の価格設定 補完製品の価格設定 副産物をともなう価格設定 セット製品の価格設定 通常企業は複数の財を生産している。企業は個々の製品が最大の利益を得られるようにするのではなく、製品全体として利益を最大化できるように価格を設定する。 製品ライン価格設定 ビデオ・パソコンが例。製品ラインを形成している場合、製品の機能により価格段階を設定する方法。 オプション価格設定 車のオプション品などが例。主要製品とオプション製品に分け、オプションの価格を設定し、主要製品にオプション価格を加える方法。 補完品価格設定 カメラとフィルム。剃刀と刃。主要な部部に低い価格を設定し、補完品に高い価格を設定する方法。 副産物価格設定 製品の製造に際して生じた副産物を販売し、主要な製品から上がる利益を補完させる方法。
価格変更の着手 価格引下げの着手 過剰能力 シェアの低下 市場支配 価格引き上げの着手 持続的な製造コストの上昇 需要過剰
価格引下げに対する顧客の反応 型遅れ 何らかの欠陥がある 企業の財政上の危機 価格の更なる下落 品質低下
値上げに対する顧客の反応 人気商品であり、今後入手が困難 優れた価値を持っている 現状が許す価格の設定と解釈
割引価格戦略 割引価格設定 数量割引 機能割引 季節割引 アロウアンス