糖尿病
目 次 Index 糖尿病ってどんな病気? 糖尿病のタイプ 糖尿病患者の割合は、少しずつ増加中 糖尿病の診断基準 症状 六大合併症 目 次 Index 1 糖尿病ってどんな病気? 2 糖尿病のタイプ 3 糖尿病患者の割合は、少しずつ増加中 4 糖尿病の診断基準 5 症状 6 六大合併症 7 その他の合併症 8 治療<食事療法> 9 治療<運動療法> 10 食事療法への取り組み方 11 エネルギーを抑えるコツ 12 健康的な生活を営むために
1 糖尿病ってどんな病気? 食事で摂った主な糖質は消化されてブドウ糖になります。ブドウ糖は人間が生きるためのエネルギー源として、非常に重要な栄養素です。摂取されたブドウ糖は、血液に溶け込んで全身へと運ばれます。その血液中のブドウ糖量が、「血糖値」として表されます。 血液中のブドウ糖量は、膵臓で作られるインスリンによって調節されています。しかし、インスリンがなんらかの原因によって不足したり効かなくなると、血糖値は高い状態が続きます。 このように、ブドウ糖が血液中に増えたままになってしまうのが「糖尿病」です。
糖尿病のタイプ 2 膵臓の細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなるのが原因。若年者に多い。 1型糖尿病 遺伝的な要因・肥満・生活習慣の乱れなどにより発症すると言われる。中高年に多い。生活習慣病の1つ。 2型糖尿病 (全体の約90%※) 遺伝子異常や、他の病気にともなって起こるもの、薬剤によるものなどがある。 その他の糖尿病 妊娠糖尿病 妊娠をきっかけに発症、あるいは妊娠中に初めて発見された糖尿病には至っていないものを指す。 ※日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手引き 改訂第56版, p.16, 南江堂, 2014
糖尿病有病者の割合(糖尿病が強く疑われる人) 3 糖尿病患者の割合は、少しずつ増加中 (万人) 糖尿病と 糖尿病予備軍の 合計 約2,050万人 出典:2012年国民健康・栄養調査(厚生労働省) 糖尿病有病者の割合(糖尿病が強く疑われる人) 6人に1人(17.0%) 4人に1人(22.3%) 70歳以上では… 9.8% 15.5% 男性 女性 出典:2014年国民健康・栄養調査(厚生労働省)
糖尿病の診断基準 4 糖尿病型 境界型 正常型 糖尿病 正常高値 空腹時血糖値 75gブドウ糖負荷試験 : 2時間値 (mg/dl) 糖尿病型 空腹時血糖値 126 境界型 110 正常高値 100 正常型 140 200 (mg/dl) 75gブドウ糖負荷試験 : 2時間値 糖尿病 随時血糖値 200mg/dl以上 75gOGTT 2時間値 200mg/dl以上 早期空腹時血糖値 126mg/dl以上 または HbA1c 6.5%以上 確実な糖尿病網膜症の存在 口渇、多飲、多尿、体重減少
自覚症状がでる前に、合併症は着実に発症・進行しています 5 症状 自覚症状 合併症 トイレが近くなる 網膜症 三大合併症 よく食べるのに体重が減る 腎症 体がだるい 神経障害 疲れやすい 動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞 のどが渇きやすい など 感染症 など 自覚症状だけで気付くのは、難しい… 糖尿病の治療の目的は、 合併症を予防することにあります 自覚症状がでる前に、合併症は着実に発症・進行しています
血糖値が高い状態が続くと合併症が起こる可能性が高まります。 6 六大合併症 血糖値が高い状態が続くと合併症が起こる可能性が高まります。 その代表が糖尿病六大合併症です。 糖尿病腎症 腎臓の糸球体が侵されると、尿を作り出す働きが低下。 尿が作れなくなると、老廃物が血管にとどまり、体内を循環する。 悪化すると人工透析が必要になる。 糖尿病網膜症 網膜の血管に障害が起こると、小さな出血を繰り返す。 症状が進み硝子体に出血が広がると、視力が急激に低下したり眼前に黒いものがちらついたりする。 失明に至る危険性も。 糖尿病神経障害 細小血管の血流が悪くなったり、神経細胞内にソルビトールがたまり、神経組織に障害が起こる。手足のしびれ、顔面まひ、発汗異常、立ちくらみ、排泄異常、勃起障害等の全身に症状が起きる。 糖尿病足病変 足の血管の動脈硬化で壊疽 になることも。 動脈硬化性疾患 動脈硬化が進行すると、血管が詰まり易くなる。 冠動脈が詰まると心筋梗塞、脳血管が詰まると脳梗塞に陥る。 歯周病 高血糖により歯肉の血管が痛んだり、歯槽骨が壊され、歯周病にかかり易くなる。血糖コントロールに影響する。 参考:日本糖尿病学会 編「糖尿病治療の手びき」, 南江堂, 2011 、「糖尿病治療ガイド2012-2013」,文光堂, 2012
その他の合併症 7 急性合併症 糖尿病昏睡 高浸透圧 高血糖症候群 感染症 (ケトアシドーシス昏睡) インスリンが不足し、血液中の酸素が利用されにくくなり、臓器の働きが低下。 脳細胞に酸素が提供されず、昏睡状態に陥る。 高浸透圧 高血糖症候群 高血糖と脱水症状から昏睡状態に。 感染症 感染症にかかりやすくなり、かかると血糖値は更に上昇する。
栄養バランスのとれた食事 = 糖尿病の食事療法の基本 8 治療 <食事療法> 栄養バランスのとれた食事 = 糖尿病の食事療法の基本 食事の量 ・ 医師に指示された摂取エネルギー量を必ず守る ・ 腹八分目で満腹とする 食事の質 ・ 多くの種類の食品を摂るようにする ・ 食物繊維をたくさん摂取する ・ 体に吸収される糖質量を調整する 食事の摂り方 ・ 欠食せず、三食きっちり食べる ・ 食事の時間は規則正しくする ・ ゆっくりよく噛んで食べる
運動療法 + 食事療法 糖尿病治療に一層の高い効果 9 治療 <運動療法> 運動療法 + 食事療法 糖尿病治療に一層の高い効果 2型糖尿病 有酸素運動が血糖コントロール・インスリン抵抗性・心肺機能・脂質代謝を改善し、血圧を低下させる。 有酸素運動※1とレジスタンス運動※2は、ともに血糖コントロールに有効。 1型糖尿病 一定の見解は得られていないが、心血管疾患のリスクファクターを低下させ、生活の質(QOL)を改善させる。 尿ケトン陽性時には運動は控える。 運動の頻度 できれば毎日 運動の強度 中等度 運動の時間 有酸素運動を20〜60分間 ・週に2〜3回のレジスタンス運動を同時に行う ・段階的に運動量と運動強度を増やす ・インスリンや経口血糖降下薬(SU薬)で治療中の場合は低血糖になる恐れがある。運動の時間/種類/量、投薬量の調整、補食が必要。 ※1:持続的、律動的、反復的に主要な骨格筋を動かす運動。心肺機能を高める目的。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど。 ※2:骨格菌に負荷を与える運動。筋機能を高める目的。自体重、チューブ、ダンベルやマシンを用いて行う。 参考:日本糖尿病学会著「糖尿病診療ガイドライン2016」, 南江堂
食事療法への取り組み方 10 日本糖尿病学会編「糖尿病食事療法のための食品交換表」の活用 GIの活用 糖質制限等の活用 カーボカウントの活用 食品を、主に含まれている栄養素別に6つのグループに分け、1単位=80kcalにあたる重量を表示しています。同じ表の食品は含まれている栄養素がほぼ同じになるようにしてあるので、表を活用することで、面倒なエネルギー計算をしなくても、適正エネルギーでバランスのよい献立をたてることができます。 GIの活用 Glycemic Index グライセミック・インデックス 糖質制限等の活用 体に吸収される糖質量の摂取調整法 カーボカウントの活用 炭水化物量の計算、 1カーボ=15g or 10g
エネルギーを抑えるコツ 11 低エネルギーの食品で、 料理のボリュームを増やして 満足度アップ ちょっと工夫で油を控えて ・食物繊維の豊富な食品 ・ビタミン・ミネラルの 豊富な食品 ちょっと工夫で油を控えて エネルギー大幅ダウン ・油を使わない調理法(ゆでる・蒸す・煮る) ・油を使わない調理器具 (フッ素加工のフライパン・電子レンジ) 薄味を心がけましょう ・味付けが濃いと、どうしてもご飯の量が 増えがちに ・調味料のエネルギーも無視できません 低カロリー甘味料、 カロリー低減食品の利用 ・甘味が欲しいときは低カロリー甘味料を利用 しましょう
血糖のコントロールが良ければ健康な人と同じ生活ができます。 12 健康的な生活を営むために 栄養 運動 休息 糖尿病は、コントロールする病気です。 血糖のコントロールが良ければ健康な人と同じ生活ができます。 『おいしく』『楽しく』続けましょう!