退出可能な 社会的ジレンマ実験 小林盾(シカゴ大学) 大浦宏邦(帝京大学) 石原英樹(立教大学) 2003年10月12

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退出可能な 社会的ジレンマ実験 小林盾(シカゴ大学) 大浦宏邦(帝京大学) 石原英樹(立教大学) 2003年10月12 退出可能な 社会的ジレンマ実験 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 小林盾(シカゴ大学) 大浦宏邦(帝京大学) 石原英樹(立教大学) 2003年10月12 日本社会学会 中央大学 Today is the FIRST day in Europe. (in each slide) Title → SUMMARY → read out → MOVE.

狙いと構成 1. 移動可能な社会的ジレンマ? 2. 移動コストがゼロの実験 3. それでも協力 問題 仮説 実験 結果 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 狙いと構成 1. 移動可能な社会的ジレンマ? 2. 移動コストがゼロの実験 3. それでも協力 問題 仮説 実験 結果

問題 近代社会では… 退出が可能 転職 社会的ジレンマへの退出の影響? http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 問題 近代社会では… 退出が可能 転職 社会的ジレンマへの退出の影響? My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

社会的ジレンマ 「フリーライド」が合理的 しかし,「全員で協力」が効率的 約束,寄付 チームワーク 社会運動,環境問題 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 社会的ジレンマ 「フリーライド」が合理的 しかし,「全員で協力」が効率的 約束,寄付 チームワーク 社会運動,環境問題 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

先行研究 OUT-FOR-TAT (林) 移動  協力 ? フリーライダーをどう排除?? 退出 排除 C C C D D C C D http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 先行研究 OUT-FOR-TAT (林) 移動  協力 ? フリーライダーをどう排除?? My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. 退出 C C C D D C C 排除 D

理論モデル 多数のプレイヤー,複数の集団 退出可能な社会的ジレンマ 匿名 p p p p p p p p p p p p p p http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 理論モデル 多数のプレイヤー,複数の集団 退出可能な社会的ジレンマ 匿名 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. p p p p p p p p p p p p p p

ゲーム 1. 集団内で社会的ジレンマ (6ラウンド) 2. 退出オプション (同時,6移動) 社会的ジレンマ 退出オプション 6 6 終了 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) ゲーム 1. 集団内で社会的ジレンマ (6ラウンド) 2. 退出オプション (同時,6移動) My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. 社会的ジレンマ 6 6 退出オプション 終了

仮説 OUT-for-TAT戦略… 集団内でしっぺ返し フリーライダーがいたら退出 移動先でしっぺ返し 移動コストがゼロのときに… http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 仮説 OUT-for-TAT戦略… 集団内でしっぺ返し フリーライダーがいたら退出 移動先でしっぺ返し 移動コストがゼロのときに… 仮説1 協力率が正 仮説2 Out-for-Tat がいる My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

実験 2002年11月,日本の2大学 6セッション,111被験者,2000円 コンピュータ利用,集団実験 各セッション 15-20 被験者 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 実験 2002年11月,日本の2大学 6セッション,111被験者,2000円 コンピュータ利用,集団実験 各セッション 15-20 被験者 20-40 ラウンド,3-6 移動 条件 移動コストがゼロ My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

1. 社会的ジレンマ(毎月) 企業で働く 協力の利得 = 協力率 - 0.5 フリーライドの利得 = 協力率 C -1/4 D 1/4 D http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 1. 社会的ジレンマ(毎月) 企業で働く 協力の利得 = 協力率 - 0.5 フリーライドの利得 = 協力率 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. C -1/4 D 1/4 D 1/4 D 1/4

My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

2. 退出(半年ごと)

結果 平均 標準偏差 協力率 0.40 0.24 移動率 0.54 利得 0.20 0.09 6セッション,111被験者 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 結果 平均 標準偏差 協力率 0.40 0.24 移動率 0.54 利得 0.20 0.09 6セッション,111被験者 -0.5 < 利得 < 1 0 = 協力ゼロ,0.5 = 全員協力 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.

http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) セッションの例 A社    B社   C社     D社 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. …

http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 協力率 1 0.8 0.6 0.4 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. 0.2 1 7 13 19 25 31 37 ラウンド

移動率 移動の機会 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 移動率 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. 移動の機会

戦略の頻度 27% 移動戦略 ジレンマ戦略 退出 固定 その他 合計 しっぺ返し 30 10 8 48 常に協力 1 4 6 http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 戦略の頻度 移動戦略 ジレンマ戦略 退出 固定 その他 合計 しっぺ返し 30 10 8 48 常に協力 1 4 6 常にフリーライド 7 3 2 12 20 18 45 58 35 111 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE. 27%

結論 退出可能な社会的ジレンマ? コストがゼロ  40%の協力率 条件付き協力の役割 (27%) 第二実験 移動コストあり http://www.src.uchicago.edu/users/koba/ Jun Kobayashi (jun.kobayashi@uchicago.edu) 結論 退出可能な社会的ジレンマ? コストがゼロ  40%の協力率 条件付き協力の役割 (27%) 第二実験 移動コストあり 調査 転職の経験者 My basic interest is in problems of SOCIAL CHOICE.