ネットクリエイター向け 平成28年分確定申告セミナー 2017.2.4 一般社団法人 日本ネットクリエイター協会 ネットクリエイター向け 平成28年分確定申告セミナー 税理士中嶋貴浩 本資料の内容には正確を期しておりますが、確実性・正確性を保証するものではありません。あくまでも所得税の確定申告のための一般的な情報提供目的ですので、個別的・具体的な申告のための網羅性を有しておりません。本資料の内容を踏まえて税務申告等を行うときは、必ず事前に税に関しては税理士、法律一般に関しては弁護士等の専門家にご相談ください。なお、平成28年4月1日時点の税法をベースとして資料作成しています。
質問 ここで想定しているネットクリエイターって? 質問 ここで想定しているネットクリエイターって? ボカロP、歌い手、絵師、動画師、 実況主、自作ゲームクリエイター、 小説家など インターネットを中心に オリジナルコンテンツを公開している 同人クリエイター
平成28年4月より 自宅(賃貸)でボカロPとして 1人で事業を開始した Xさんを想定してみました。 -前 提- 平成28年4月より 自宅(賃貸)でボカロPとして 1人で事業を開始した Xさんを想定してみました。
-第1部- 所得税の確定申告とは
質問 所得税の所得って何ですか? 所得と収入は違います。 収入-経費 = 所得
所得 ⇒ 10種類 事業所得、不動産所得、退職所得、 利子所得、配当所得、給与所得、雑所得 、譲渡所得、一時所得、山林所得
毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、 原則として翌年3月15日までに 申告・納税する手続き 質問 所得税の確定申告とは? 毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、 原則として翌年3月15日までに 申告・納税する手続き
事業所得の申告書 ⇒ B様式 収入金額等 アからサ 所得金額 ①から⑧ 総合課税の合計 ⑨ ←累進課税 所得から差し引かれる金額 ⑩から㉔ 分離課税 山林 ←累進課税 退職 ←累進課税 (分離課税用) 第三表 第二表 確定申告書B 第一表 収入金額等 アからサ 所得金額 ①から⑧ 総合課税の合計 ⑨ ←累進課税 所得から差し引かれる金額 ⑩から㉔ 所得控除の合計 ㉕ 課税される所得金額 ㉖ ⑨-㉕又は第三表 税額 ㉗ ㉖に対する税額又は第三表の 税額控除 ㉘以下㊸までに記載欄 86
賦課課税制度 申告納税制度 国や地方自治体が税金を計算・決定し、徴収をする。固定資産税・自動車税など 納税者が自主的に納税額を計算して申告・納税する。所得税・法人税・相続税など
納税の義務 租税法律主義 質問 納税はしなくてはいけないのか? (憲法第30条) (憲法第84条) 質問 納税はしなくてはいけないのか? 納税の義務 (憲法第30条) 「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」 租税法律主義 (憲法第84条)
質問 確定申告を怠るとどうなる? 所得があるにもかかわらず納税しないと 過去数年にさかのぼって(最大7年) 税金のほか、 延滞税・無申告加算税等の罰金が 徴収される。
ー 第2部 ー 確定申告の種類
質問 青色申告と白色申告の違いは? 特典が多いのは青色申告
白色申告のイメージ
青色申告のイメージ1
青色申告のイメージ2 青色申告特別控除 65万円控除 会社と同じレベル
白色申告 青色申告 メリット デメリット ・なし 平成26年分から帳簿記 録が必要となった。 ・青色 最大65万円控除 平成26年分から帳簿記 録が必要となった。 ・青色 最大65万円控除 ・赤字の繰越し(3年間) ・青色専従者給与制度 ・特例により30万円未満の資 産を一括償却 (300万円までその年に経費化) デメリット ・青色の特典なし (例)10万円以上は固定資産 帳簿記録は白色申告も必 要・同様に資料保存も必要
質問 税務署に届出書が必要となる場合は? 個人事業主のケース 個人事業の開廃業等届出書 所得税の青色申告承認申請書 青色事業専従者給与に関する届出書 その他 ※所定の期間内に提出
ー 第3部 ー 税金の計算
質問 収入で知っておくべきことは? ネットクリエイターの場合 源泉所得税が引かれる収入 支払調書を保管 源泉所得税が引かれない収入
質問 源泉徴収とは? 給与・報酬などの支払者が、給与・報酬などを支払う際にそれから所得税などを差し引いて国などに納付する制度。 質問 源泉徴収とは? 給与・報酬などの支払者が、給与・報酬などを支払う際にそれから所得税などを差し引いて国などに納付する制度。 主に個人に対しての支払金額が対象となる。 クリエイターの場合、平成25年より 支払う側が10.21%を報酬から天引きし、代わりに税務署に納める(100万円未満の場合)。0.8979で割って、小数点以下切り捨て ・源泉対象取引 平成24年までは10% (例)報酬55,555円→50,000円 平成28年 10.21% (例)報酬55,685円→50,000円
質問 経費になるものは? 経費・・・ 収入をあげるために使った支出 ※判断基準:事業のために使ったお金か否か
事業分とプライベート分を分けること⇒按分 按分には合理的な根拠が必要 質問 按分とは? 自宅が仕事場。家賃は経費か? 事業で使用している割合分が必要経費 事業分とプライベート分を分けること⇒按分 按分には合理的な根拠が必要 家賃の按分基準の例 ・自宅の一部を事業に使用⇒総面積と事業に使う面積の割合
質問 事業のために支出した金額はすべて経費になりますか? 質問 事業のために支出した金額はすべて経費になりますか? 事業のために支出した金額 必要経費 (例)減価償却など により経費化 資 産
必要経費の例 事業で使用する 家賃 携帯電話代 ネット通信費 書籍代 コミケへの交通費 打ち合わせ時のお茶代 音楽機材 ボイストレーニング代 パソコンソフト代 etc・・・ 事業で使用する プライベート部分が 含まれているときは 按分 (資産計上後に経費化の場合あり)
質問 領収書は必要か? 領収書の代わりにレシートでもOK 領収書・レシートがない 例 電車等の運賃 ⇒支払内容を記載したメモ書 メモより出金伝票の方がベター
ー 第4章 ー 税金の種類
・所得税 ・住民税 ・事業税 ・消費税 質問 個人事業主にかかわる税金は? (事業所得が290万円超の場合) 質問 個人事業主にかかわる税金は? ・所得税 ・住民税 ・事業税 (事業所得が290万円超の場合) ・消費税 (2年前の課税売上が1000万円超の場合)
ー 第5部 ー 税金対策
1 青色申告にする 2 小規模企業共済の活用 3 中小企業倒産防止共済の活用 青色申告特別控除 10万円・65万円 専従者給与の活用 1 青色申告にする 青色申告特別控除 10万円・65万円 専従者給与の活用 2 小規模企業共済の活用 個人事業をやめたとき、会社等の役員を退職したとき、個人事業の廃業などにより共同経営者を退任したときなどの生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度 3 中小企業倒産防止共済の活用 取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度
質問 会社を設立した方がいいですか? ①規模を大きくしたい。 ②より信用力をつけたい。 ③個人事業主として所得が多い場合 →節税メリット 質問 会社を設立した方がいいですか? ①規模を大きくしたい。 ②より信用力をつけたい。 ③個人事業主として所得が多い場合 →節税メリット ・本人に役員報酬を支給 →給与所得控除が受けられる ・事業に関与する家族に給与を支給しやすい ・厚生年金など社会保険に加入できる ・経費の概念が個人より広くなる (例) 車・生命保険など
<所得税一般税率> 平成27年分から、 課税所得4,000万円以上は 税負担が増加しました。 課税所得金額 税率 195万円以下 5% 中小法人の年800万円以下の所得に対する 実効税率は、現在20%前半です。 <所得税一般税率> 課税所得金額 税率 195万円以下 5% 195万円超 330万円以下 10% 330万円超 695万円以下 20% 695万円超 900万円以下 23% 900万円超 1,800万円以下 33% 1,800万円超 4,000万円以下 40% 4,000万円超 45% 平成27年分から、 課税所得4,000万円以上は 税負担が増加しました。 法人化が有利 中小法人 800万円超 ※この他に復興特別法人税(所得税×2.1%)が加算 33%台 中小法人 800万円 以下 ケースバイケース 20%前半 所得税 住民税 確定申告書B㉖ 課税所得金額 平成28年度改正 法人実効税率 現行35.64% 27年度33.1% 28年度29.97% 29年度29.97% ※1経済産業省資料から一部抜粋 ※2法人税等の実効税率は平成27年度は東京都、平成28年度以降は標準税率をベースに算定し記載
ー 第6部 ー F A Q
平成29年2月4日現在、税務署に何も届け出を行っていません。 青色申告を受けたいのですが、いつから適用が受けられますか? FAQ1 平成28年4月に事業を開始し、 平成29年2月4日現在、税務署に何も届け出を行っていません。 青色申告を受けたいのですが、いつから適用が受けられますか?
回答 (参照)国税庁HP http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2090.htm 回答 (参照)国税庁HP http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2090.htm 28年分は白色申告ですが、いまから手続きをと れば29年分から青色申告の適用が受けられます。 ・個人事業の開廃業等届出書 事業開始等の日から1か月以内 ・青色申告承認申請書 原則、承認を受けようとする年の3月15日まで(そ の年の1月16日以後に開業した場合には、開業 の日から2か月以内)
支払いを受けた側は領収書を発行する必要がありますか? FAQ2 -他のクリエイターに外注するケースー クリエイター間で業務を行う場合、 支払いを受けた側は領収書を発行する必要がありますか?
回答 領収書が無くても以下の点に留意 少なくとも仕事を請け負った側が、 仕事を完了した時点で、 請求書を出すようにして下さい。 回答 領収書が無くても以下の点に留意 少なくとも仕事を請け負った側が、 仕事を完了した時点で、 請求書を出すようにして下さい。 仕事を依頼した側は、なるべく銀行を通じて支払 いをおこなって下さい。
されたくありません。どうしたらいいでしょうか? FAQ3 会社員ですが、平成28年8月より、 ボカロPとして事業を開始し、 2足のワラジをはいています。 住民税は会社の給料から源泉徴収 されたくありません。どうしたらいいでしょうか?
回答 平成28年分の所得税の申告書B 第二表 右下 あたりを見て下さい。 給与・公的年金等に係る所得以外の 所得に係る住民税の徴収方法の選択 回答 平成28年分の所得税の申告書B 第二表 右下 あたりを見て下さい。 給与・公的年金等に係る所得以外の 所得に係る住民税の徴収方法の選択 給与から差引き 自 分 で 納 付
いままで事業所得はほぼゼロでしたが、今年は多額の著作権使用料収入が入りました。税負担が心配です。 FAQ4 いままで事業所得はほぼゼロでしたが、今年は多額の著作権使用料収入が入りました。税負担が心配です。
回答 原稿料・印税・著作権の使用料など 変動性の高い所得 納税者の選択により「平均課税制度」 を選択 税負担の軽減規定 回答 原稿料・印税・著作権の使用料など 変動性の高い所得 納税者の選択により「平均課税制度」 を選択 税負担の軽減規定 臨時・変動的所得を一旦5で除し、その除した金額 に累進税率を適用して計算した税額を5倍した金 額を納税額とする方法(5分5乗方式)
マイナンバーは平成28年分の所得税の確定申告に関係がありますか? FAQ5 マイナンバーは平成28年分の所得税の確定申告に関係がありますか?
回答 マイナンバー制度は、平成28年1月1日より 制度が開始されました。 平成28年分の提出用の確定申告書から第一表 回答 マイナンバー制度は、平成28年1月1日より 制度が開始されました。 平成28年分の提出用の確定申告書から第一表 に本人の個人番号の記載が必要です。 配偶者控除・扶養控除→第二表
FAQ6 平成28年より始まったマイナンバー制度ですが、留意すべき点はありますか? 私はボカロPをやっています(個人事業主)。
回答 平成28年中の源泉徴収の対象となる報酬につい て必ず支払調書(平成29年1月下旬から2月初 旬)をもらってください。 回答 平成28年中の源泉徴収の対象となる報酬につい て必ず支払調書(平成29年1月下旬から2月初 旬)をもらってください。 A社 → Bさん(クリエーター) 55,685円 ▲5,685円 50,000円 A社はBさんよりマイナンバーを取得し、平成29年1月末 までに支払調書を税務署に提出します。
FAQ7 前頁のマイナンバーの取得とは具体的にどういう行為ですか?
回答 個人番号の取得 ①番号確認 ②本人確認 ケース1 ①通知カード+②運転免許等 ケース2 ①個人番号カード+②個人番号カード 回答 個人番号の取得 ①番号確認 ②本人確認 ケース1 ①通知カード+②運転免許等 ケース2 ①個人番号カード+②個人番号カード (裏面) (表面) ネットクリエーターなら写メで個人番号カードをとっ てメールするのが便利
ご清聴ありがとうございました