経営情報論A(2・3・4年生) 第10回企業の統治(4章5節) 4-5-1 長期利益の獲得(p.108) 長期利益の獲得 経営情報論A(2・3・4年生) 第10回企業の統治(4章5節) 4-5-1 長期利益の獲得(p.108) 長期利益の獲得 会社は 営利 を目的とする法人である。 会社は長期的に存続すること( ゴーイング・コンサーン )が 前提となる。短期的な利益より、長期的に安定して利益を獲得し 続けることが重要課題となる。 その主な収入源は 顧客 (=外部)への売上である。 その顧客に財やサービスを提供するために、会社は 社内外 の 資源 を最大限活用しなければならない。 営業利益とは売上高(収入)から売上原価と販売費・一般管理費 を控除したものであり、会社の営業活動の成果を示している。さら に、営業利益に営業外損益を加減したものが 経常 利益となる。
4-5-2 社会的責任の遂行(p.109) 企業(組織)統治の定義 ※組織は企業を包括するより広い概念 「企業(組織)統治とは、組織が自らの決定および活動の与える影 響に責任をもち、 社会的責任 を適切に果たせるように組織全 体を統合・管理していくことである。」 「社会的責任という文脈で考えたときの組織統治は、組織が行動 するときにしたがうべき中核主題であると同時に、他の中核主題 との関連で社会的に責任ある行動をとるための組織の 能力 を高 める 手段 でもあるという特殊な性格をもっている」 企業 企業は社会(多様なステークホルダー) に責任があり、それを遂行するための 決定や行動を企業が採用できるような 組織構造を整える必要がある。 責任 社会 (ステークホルダー)
●多様なステークホルダーへの責任 政府 投資家(株主) 債権者 (企業) 従業員 取引先 消費者 地球環境 地域住民 企業が多様なステークホルダーに対して、 ①国内外の法律や行動規範を遵守し、倫理的に行動すること、 ②ステークホルダーの利害や人権を尊重すること、 ③企業活動の透明性を確保し、 説明責任 を果たすこと、 が求められている。
社会的責任遂行による長期利益の獲得 企業統治がうまく行われている会社は、 法令違反 が少なく、 反社会的とのレッテルを張られにくい(社会ルールの順守)。 多様なステークホルダーに対する社会的責任を適切に遂行で きており、社会やステークホルダと良好な関係が構築できる (善良な 企業市民 )。 さらに社会的責任を遂行する過程で、 組織能力 が鍛えら れる(環境に優しい車作りなど他社がしていないことを手掛け る)。 その結果、社会ルールから逸脱する経営が行われずらく、社 会から信頼され、組織の能力が高まり、 長期利益 を獲得 しやすくなる。
会社のステークホルダー(利害関係者) 会社は 社会 の一員であり、社会と 共存関係 にある。 会社は、社会における活動を通して利益を獲得する。 その一方で、会社は、社会に対して 責任 を負う存在でも ある。社会の中には、会社と利害関係を有する多様な人々 が存在する。 会社にとって最も身近な利害関係者(ステークホルダー)は、 出資者( 株主 )や従業員( 使用人 )である。出資者は 会社の所有者であり、会社の資産価値の増減が彼らの財 産の増減につながる。そして、従業員は長期的に安定かつ 快適な職場で働くことを望んでおり、会社の業績や従業員 への待遇などへの関心が高い。
会社のステークホルダー(続き) 会社にとって、 債権者 とも良好な関係を保つことは不可欠で ある。事業に必要な設備投資を金融機関からの 融資 で行う場 合や信用取引によって 売掛金 が発生する場合がある。当然、 債権者は融資や売掛金を確実に 回収 することを望む。した がって、当該会社に対して、堅実な経営と 情報公開 を求める のは当然のことである。 消費者への財・サービスの提供は サプライチェーン のゴー ルである。消費者が提供されている財やサービスに満足しなけ れば、 継続的 な購買につながらない。消費者の満足の度合 いには、品質や価格だけでなく、会社あるいはサプライチェーン の 体質 も影響を及ぼす。
会社のステークホルダー(続き) 地球環境や 地域住民 は会社とのビジネス上の関連は弱い が、会社にとって無視することのできない利害関係者である。会 社の規模が 巨大化 し、その活動がグローバル化することに よって、地球環境や地域住民に多大な影響を与える。その活動 規模に比例して、地球環境や地域住民への配慮が必要になる。 政府は 規制 や 政策 を通して会社の活動を左右する。会 社は法人税などの 税金 を納める一方で、国や地方公共団 体が整備した道路などの インフラ や制度を活用してビジネ スを行う。政府は規制や法令を設定し、会社や市民の活動を制 限する。その規制の中身は、安全・健康関係、労働関係、環境 関係、交通・物流関係など多様な範囲に及んでいる。会社は、 最低限、これらの法令や規制を遵守しなければならない。
企業統治のあり方 今日、会社は多様な利害関係者に対して法令で定められている 以上の責任ある行動が求められるようになっている。 企業の社会的責任はCSRと呼ばれ、企業の社会における評判や 評価も、株価、売上、資金調達などに多大な影響を与える。 企業側もCSR活動を推進する際に、以下の4点を重要視している。 ① 国内外 の行動規範を遵守し、倫理的に行動すること、 ②利害関係者の利害や人権を 尊重 すること、 ③企業活動の 透明性 を確保し、 ④利害関係者への 説明責任 を果たすことなどである。 多様な利害関係者の利害を調整し、多様な利害関係者から 協力 体制を構築しなければならい。