IT企業における 知識経営導入方法と評価方式 湯浦研究室 修士2年 石橋が発表いたします。 よろしくお願いいたします。 7043-0004 石 橋 萌 絵
目次 研究の背景・目的 研究の背景・前提 顧客志向型経営の評価方法 顧客志向型経営の評価の実施 コア・コンピタンス型経営の評価方法 コア・コンピタンス型経営の評価の実施 結論 本日は、このような流れで発表させていただきます。
1. 研究の背景・目的 初めに研究の背景と目的です。
1.1. 研究の背景 経営環境の変化 インターネットの急速な普及 顧客ニーズの多様化 情報技術の発達 IT企業の経営の課題 技術力≫営業業務 CRM研究の多くが対一般消費者(BtoC)で 情報システム構築などの対法人(BtoB)は少ない 近年、企業の経営環境は大きく変化をしています。 インターネットの急速な普及。 顧客ニーズの多様化に伴う、製品やサービスの細分化。 情報技術の発達に伴う、業務スピードの向上。 これらに加えIT企業ならではの課題もあります。 我が国のIT企業においては、開発業務における技術力の向上に力を注ぐ傾向が強く、 営業業務に着目した経営改革手法には定石が存在しません。 また、営業活動に着目した経営戦略の1つであるCRMにおいても、 研究の多くが、一般消費者向けのビジネスを想定しており、 情報システム構築などの法人向け営業に関する研究は十分ではありません。
1.2. 研究の目的 IT企業における ○知識経営の評価指標の策定 ○知識経営の評価手法の提案 コア・ コンピタンス型 顧客志向型 ○知識経営の評価指標の策定 ○知識経営の評価手法の提案 顧客志向型 コア・ コンピタンス型 背景を踏まえまして、本研究では IT企業における知識経営の評価指標の策定、 および、評価手法の提案を目的としました。 特に、法人営業業務を軸に、 「顧客志向型経営」と「コア・コンピタンス型経営」の 2つの視点からアプローチをしました。 なお、本研究では、 顧客志向型経営については株式会社TOKAIコミュニケーションズ様と、 コア・コンピタンス型経営については株式会社日立ソリューションズ・クリエイト様の 協力のもと実施しました。
2. 研究の背景・前提 はじめに、本研究の要となる「知識経営」「CRM」「コア・コンピタンス」の3つの概念について簡単に紹介していきます。
2.1. 知識経営 企業内の個々人のもつ知 識を企業全体の知的資産 として組織的に共有・活 用することによって優れ た商品や価値を生み出し ていくこと。 そのための仕組みづくり や技術の活用を行うこと。 ひとつめ、知識経営とは、企業内の個々人の持つ知識、経験的ノウハウや学問的知識などを、 企業全体の知的資産として組織的に共有・活用することによって 優れた商品や価値を生み出し行くこと。また、そのための仕組みづくりや、技術の活用を行うことです。 右の図は、知識経営において広く知られる、知識創造のプロセスを表した「SECIモデル」と呼ばれるものです。 ※ 観察、模倣、練習などを通して経験を共有することによって、 ノウハウなど他人の持つ暗黙知を獲得、創造するプロセスである「共同化」。 グループでの議論などを通じて、個人が内部で抱えている暗黙知を言語や図像に表わし、 グループの形式知に変換するプロセスである「表出化」。 個人の形式知を集め、形式知の編集を行い、新たな組み合わせを生み出すプロセスである「結合化」。 組織の形式知を個人の暗黙知として取り入れ、 自らの行動を通じて、オリジナルの知識を再現獲得するプロセスである「内面化」。 4つのプロセスが知識創造のプロセスとされています。 また、これらのプロセスは一回りだけすればよいのではなく、日常的にスパイラル上に繰り返させることが重要です。 SECIモデル
2.2. CRM Customer Relationship Management 顧客接点情報の 統合管理 顧客との長期的な 関係性構築 顧客接点情報の 統合管理 顧客との長期的な 関係性構築 製品・サービスの 継続的な利用を 促す 収益の拡大を図る 続いて、顧客情報すなわち顧客に関する知識を活かす経営方法である 顧客志向型経営の代表例としてCRMを紹介します。 CRMはCustomer RelationshipManagementの頭文字を取ったのもので、 日本では「顧客関係管理」などと訳されます。 顧客接点情報の統合管理し、顧客との長期的な関係性を構築することで、 製品・サービスの継続的な利用を促し、収益の拡大を図る経営手法です。 右の図は、日本にCRMを広めたアクセンチュアが構築した「CRMモデル」とよばれるフレームワークです。 この図からも分かるように、本研究では、顧客志向型経営推進のためには、 知識層の拡大が重要であると判断し、知識の獲得の場として、業務プロセスに着目していきます。 CRMモデル
2.3. コア・コンピタンス 顧客に対して、 他社には真似のできない 自社ならではの価値を 提供する企業の中核的な力 顧客に対して、 他社には真似のできない 自社ならではの価値を 提供する企業の中核的な力 最後に、コア・コンピタンスとは、 顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する企業の中核的な力を指します。 コア・コンピタンスを軸に基本戦略を練り直し、競争力を高めるだけでなく、 それに加え、イノベーションの創出を目的としています。
3. 顧客志向型経営の評価方法 それでは、顧客に関する情報を、顧客に関する知識と捉えた、顧客志向型経営の評価方法から説明します。
3.1. 顧客志向型経営評価モデル 目的:顧客志向型経営の浸透度や成熟度の評価 達成目標:顧客志向を取り入れた業務の実施と その最適化 達成目標:顧客志向を取り入れた業務の実施と その最適化 評価軸: ※成熟度レベルの提示 →次の改善目標の設定が容易になる 業務プロセス 成熟度レベル 顧客志向型経営の浸透度や成熟度の評価を目的とした、顧客志向型経営評価モデルを開発しました。 顧客志向型経営では、顧客志向を取り入れた業務の実施、また、それらの業務の最適化が目標です。 そこで、業務プロセス毎に成熟度レベルを用いて評価をします。 また、成熟度レベルを提示することで、次の改善目標の設定が容易になると考えました。
3.2. 評価モデルの作成手順 顧客志向型経営評価モデルの作成手順は3つのStepで実施しました。 です。 これより、順を追って説明いたします。
<Step1> 営業業務に基づくプロセス領域の整理 初めに、プロセスを大括りにしたプロセス領域の定義を行いました。 左から順に、 会社として方針を決定する、「戦略策定」 営業員が顧客との交流を通じて、顧客の理解や育成を行う、「顧客育成」 顧客との最初の接点にあたり、アプローチ企業から顧客候補へのステップアップを推進する、「顧客アプローチ」 秘密保持契約締結後の商談先の要求理解やプレゼンテーション、見積もり作成や契約獲得を行う、「商談」 本研究では取り扱いませんが、システム会社におけるメイン業務である「システム構築」 開発したシステムの「納品後」 以上、システム構築を除く、5つの領域を定義しました。 なお、営業業務本流は、「戦略策定」→「顧客アプローチ」→「商談」→「納品後」となりますが、 顧客志向型経営において、顧客との交流は重きを置かれるべきもののはずです。 そこで、顧客との最初の接点からフォローしていくというイメージで、「顧客育成」を前面に出しました。
プロセス領域にわたる顧客の絞り込み また、5つのプロセス領域は、顧客の絞り込みの過程に対応しています。 本研究では、プロセス領域の流れに沿って、 ターゲット企業、アプローチ企業、顧客候補、商談先、取引先、 そして、企業として失うことのできない優良顧客の 6つに顧客を分類をしました。 ※ 「戦略策定」において、最初に絞り込まれた、ターゲットとする業界・地域・企業規模の企業群を指す「ターゲット企業」 「ターゲット企業」群をさらに絞り込んで選んだ「アプローチ企業」 「アプローチ企業」の内、「顧客アプローチ」のプロセスを通じて、実際に顧客との接点を持つことができた企業を指す「顧客候補」 「顧客候補」の内、秘密保持契約を結び、商談プロセスにある顧客を指す「商談先」 契約を結ぶことのできた「取引先」 そして、「顧客育成」を通じて関係性を構築した、企業にとって失うことのできない「優良顧客」というように、 プロセスの流れに応じて、顧客を6つに分類しました。
<Step2> プロセス領域の体系化 戦略策定では、ターゲットの選定、ターゲットの事業環境の理解・共有、 ターゲットの最新動向の収集・共有、自社業界の最新動向の収集・共有、 アプローチ企業選定、の5つのプロセス。 顧客育成では、 顧客交流・関係性構築、顧客の市場・業界の理解・共有、ジャーニーマップ策定の3つのプロセス。 顧客アプローチでは、「顧客候補獲得プロセス」と商談領域にも該当する「顧客情報管理」の2つのプロセス、 商談領域では、「顧客情報管理」に加え、「商談プロセス」と「失注分析」の3つのプロセス。 最後に、納品後では、「CS調査」と「解約分析」の2つを定義しました。 なお、顧客情報管理は顧客候補獲得プロセスや商談プロセスの一部になりますが、 顧客志向型経営推進において、顧客の情報、知識を集めることはとても重要です。 そこで、一つのプロセスとして独立させました。
<Step3> 成熟度レベルの設定 ソフトウェア開発を主な対象として、広く知られているCMMIの成熟度レベルを参考に、 顧客志向型経営の成熟度レベルを設定しました。 CMMIの成熟度レベルでは、レベル0は存在しません。 営業業務においても、営業活動はどの企業でも既存のはずなので、 本来何も実施されていないというレベル0になることはないと思われます。 しかし、顧客育成など、実施していなくても会社として困らないプロセスもあると判断し、あえてレベル0を設定しました。 また、実施されているのだが、意味をもつ活動として認識されていない場合、暗黙知として埋もれている場合も、レベル0に含めることとしました。 レベル1は、個々の営業担当者の属人的行為による活動であり、成果が残るとは限らず、 一度成功してもその成功を反復することができない「初期」の状態を指します。 レベル2は、組織で共有された方針に従って、計画・実施され、何らかの成果物が「管理された」状態を指します。 レベル3は、組織内で標準プロセスとして、目的、役割、手順、成果物、検証方法などが共通的に「定義された」状態を指します。 KPIが設定されていても、収集、分析、活用がなされていない場合はレベル3となります。 レベル4は、プロセス内の活動において、定量的目標が設定され、実績の測定値が収集され、統計的に分析されている、 「定量的に管理された」状態を指します。 レベル5は、分析結果に基づき、標準プロセスの定義や定量的目標の見直しが行われ、継続的に改善し、プロセスが 「最適化している」状態です。 成熟度のレベルに沿って進むことは、継続的なプロセス改善へつながります。
4. 顧客志向型経営の評価の実施 続いて、実際に顧客志向型経営評価モデルを用いた評価を実施しました。
4.1. 評価対象企業 株式会社TOKAIコミュニケーションズ H27.4.1に組織変更 業務プロセスを軸に 顧客志向を取り入れ ようとしている 評価は、株式会社TOKAIコミュニケーションズ様を対象に実施しました。 本企業では、平成27年4月1日に全社的な組織変更を行っています。 また、業務プロセスを軸に顧客志向を取り入れようと取り組んでいます。
4.2. 評価実施方法 評価対象企業へのヒアリング 経営層 評価者 営業担当者 SE 評価は評価対象企業の経営層と現場担当者へのヒアリングで行いました。 ヒアリングは経営層だけに行うと実際の現場の業務の評価にはなりません。 また、営業業務の現場に対する評価を行うので、営業担当者が評価に立ち会うと客観性に欠けます。 そこで、営業担当者に同行して商談の場に立ち会うこともあり、 営業担当者との交流があるSE(システム開発従事者)に評価協力を依頼しました。 評価協力のSEだけでは収集できない項目に関しては、 営業担当者へのヒアリングを行っていただき、現状を正確に評価する体制を整えました。 評価者 営業担当者 SE
4.3. 評価結果 評価の結果はこのようになりました。 業務プロセス14項目の評価値の合計は33.5点、平均は約2.4点でした。 これにより、全体としては成熟度レベル2の「管理された」状態から、 成熟度レベル3の「定義された」状態に成長する過程にあると見ることができます。 また、成熟度レベル5の「最適化された」状態は最終到達目標であるので、 実際的には成熟度レベル4の「定量的に管理された」状態を目指すとすると、 合計目標点56点(4点×14項目)に対して33.5点であり、約6割を達成していることになりました。
(j)商談プロセス…3 評価の具体例として、商談プロセスを挙げさせていただきます。 評価企業の商談プロセス内の業務の多くは、属人的であり、個々の営業員に依る活動となっているそうです。 一方で、商談の確度を評価するKPIの設定は社内共通のものとして存在しており、 最低限のプロセス定義ができていました。 それが、現在表示されている表です。 これとは別に、KPIによる目標設定ができているとのことで成熟度レベル3と評価しました。
(j)商談プロセス…3 なお、本研究では、複人の上級営業担当者へのヒアリングを元に 営業業務プロセスの一覧を作成していただきました。 それが、現在表示させている図になります。 これは社内で共通して定義されたものではないので、評価材料とはしませんでしたが、 営業業務プロセスの定義の目標例の1つとして挙げることができます。
5. コア・コンピタンス型経営の 評価方法 続いて、コア・コンピタンス型経営の評価方法を説明します
5.1. コア・コンピタンス型 経営評価モデル 目的:コア・コンピタンス型経営の 浸透度や成熟度の評価 目的:コア・コンピタンス型経営の 浸透度や成熟度の評価 達成目標:知識ベースで強みを明確化し、 その強みを活かした営業活動の実施 評価軸: ※成熟度レベルは顧客志向型経営評価モデルと 同一のものを使用することを想定 知識経営の 視点 成熟度レベル 部門 コア・コンピタンス型経営の浸透度や成熟度の評価を目的とした、コア・コンピタンス型経営評価モデルを開発しました。 コア・コンピタンス型経営では、今ある知識をベースに自分達の強みを明確化し、その強みを活かした営業活動の実施が目標です。 そこで、知識経営の視点ごとに成熟度レベルを用いた評価を部門単位で実施します。 なお、成熟度レベルは顧客志向型経営評価モデルで作成したものと同一のものを使用することを想定しています。
5.2. 知識経営の視点 一般的に問題解決は発見→問題の定義→問題解決→検証→成果の発展的活用のプロセスで行われます。 本研究では、問題解決のプロセスをもとに、「知識経営の視点」を定めました。 「強みの定義」を行うためには「知識の発見」が必要です。 また、「知識の発見」のためには「前提・環境の理解」を行う必要があります。 次に、定義された強みに関する知識が「蓄積」され、 「蓄積・公開」された知識が「活用」されなくては意味がありません。 さらに、「活用」活動を踏まえて、定義された強みが適切であるかを「検証」します。 また、知識の「活用」を推進するための人材「育成」が必要です。 最後に、定義した知識をさらに「拡大」していく必要があります。 このような流れで8つの視点を定めました。 ※ ・前提・環境理解 自分達が担う業務の目的を理解し、業務範囲や業務環境を把握する。「知識」について考えていくための事前準備といえる。 ・知識の発見 業務活動内にどのような知識や強みがあるかを探索し、発見する。数が多いほど良い。 ・強みの定義 知識の探索結果をグループでレビューをし、内部で価値評価を共有し、コアとなる強みを定義する。 ・蓄積・公開 強みに関する知識に関わる、入力、編集、継続した保守の方法を定めて実施する。 ・活用 蓄積した知識の事業や社内業務における活用方法を定めて実施し、モニタリングする。 ・検証 知識の活用とその効果、あるいは負荷を外部的・定量的に評価する。 ・人材育成 知識が増え、質が高まるように、人材育成と経験獲得を推進する。 ・拡大 知識をより有効的に活かすべく、事業や社内業務を改革する。
6. コア・コンピタンス型経営の 評価の実施 続いて、実際にコア・コンピタンス型経営評価モデルを用いた評価を実施しました。
6.1. 評価対象企業 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト 自社の強みを生かした事業 について開拓の余地あり 自社の強みを生かした事業 について開拓の余地あり 2015年 強みの明確化を目的とした 強み発表会開催 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト様を評価の対象としました。 本企業は、各分野において高い技術力を保持しているのですが、 自社の強みを活かした事業については開拓の余地があり、 2015年度より、強みの明確化を目的とした強み発表会の開催等、 自社の強みの育成運動に取り組み始めています。
6.2. 評価実施方法 評価材料 ・強み発表会発表資料 ※今回の評価材料に合わせて、 「成熟度モデル」をより詳細化した 「営業部門評価用知識経営浸透度判定基準」を作成 ※発表資料内の記述の有無で評価 (→実情より評価は低くなる可能性大) ※[検証]は定義した強みの根拠の記述であれば可とする 詳細:湯浦研究室 4年 鈴木優美 「IT企業における知識経営の推進方法とメトリクス」 評価は、強み発表会発表資料を用いて行いました。 今回の評価では、発表資料に合わせて、「成熟度モデル」をより詳細化した 「営業部門用 知識経営浸透度 判定基準」を作成しました。 また、発表資料内の記述の有無で評価を実施したため、実情よりも評価は低くなる可能性が大きいことを想定しています。 知識経営の視点のひとつ、「検証」は本来、強みを軸に実施された活動を踏まえたものですが、 今回評価対象とした強み発表会は強みの明確化を目的としているので、定義した強みに根拠が伴っているかを判定基準にしました。 なお、これらの活動に関しては、同じ湯浦研究室4年の鈴木優美が 「IT企業における知識経営の推進方法とメトリクス」で 詳しく報告しています。
6.3. 評価結果 評価の結果はこのようになりました。 9部門、8つの視点の全合計点は69点、 部門あたりの平均は約7.7点、 1視点あたりの平均は約1.0点となりました。 営業部門全体の水準として、 成熟度レベル1の「初期」の状態にあることになります。
7. 結論 最後に結論と今後の展望についてです。
7.1. 結論 顧客志向型とコア・コンピタンス型の 異なるアプローチで経営評価方法を提案することができた 顧客志向型とコア・コンピタンス型の 異なるアプローチで経営評価方法を提案することができた 実際に評価を実施した結果、それぞれの長所や課題が 明確となった ・現在、力を入れて取り組んでいることが評価結果に 反映された ・今後強化して対策に取り組むべき項目が明確となった ・評価に曖昧さがあった 初めに研究の結論です。 本研究では、顧客志向型経営とコア・コンピタンス型経営の異なるアプローチで、 経営評価手法を提案することができました。 また、その評価手法を用いて、実際に評価を行った結果、それぞれの長所や課題が明確となりました。 たとえば、各企業が、現在力を入れて取り組んでいることが評価結果に反映され、成果を可視化することができました。 一方で、今後強化して対策に取り組むべき項目を明確にすることができました。 しかしながら、評価には曖昧さも残っています。
7.2. 今後の展望 評価視点(軸)の拡張 各評価軸の見直し 評価材料の見直し 継続した評価の実施 経営改革活動の成熟度と業績との関係づけ 業務プロセス 成熟度レベル 知識経営の 視点 部門 これらを踏まえまて、今後の展望を述べさせていただきます。 初めに、評価軸の拡張をしたいと考えています。 本研究では、顧客志向型経営は「業務プロセス」×「成熟度レベル」の2軸で評価しました。 一方、コア・コンピタンス型経営は「部門」×「知識経営の視点」×「成熟度レベル」の3軸で評価をしました。 今回、実際の評価を通じて、それぞれの評価軸の有用性を明らかにすることができました。 そこで本研究で策定した2つの評価を手法を統合し、 「業務プロセス」×「成熟度レベル」×「知識経営の視点」×「部門」の4軸で評価することが最適ではないかと考えます。 また、それに伴い、各評価軸の見直しや評価材料の見直しを実施することで、評価の曖昧さを排除していく必要があります。 そして、継続した評価を実施し、ゆくゆくは、経営改革活動の成熟度と業績との関係づけを行っていきたいと考えています。