大東文化大学 8班 金子 隼人 田中 涼 千谷なつ実 宮下 裕太 ルイ・ヴィトンジャパン の成功要因 これから大東文化大学8班の発表を始めさせて頂きます。 私たちは「ルイ・ヴィトンジャパンの成功要因」というテーマで研究を行いました。 発表者は皆様から向って左から~わたくし~です。 宜しくお願い致します。★ 大東文化大学 8班 金子 隼人 田中 涼 千谷なつ実 宮下 裕太
発表の流れ 1.はじめに 2.企業概要 3.ラグジュアリーブランドとは 4.品質とデザインに対する評価 5.日本での価格決定プロセス 6.オーダーサービス 7.日本進出 8.考察 9.参考文献 本日の発表はまずはじめに、このテーマを選んだ理由についてお話しし、続いて企業概要、その後なぜルイ・ヴィトンが日本でトップの売上高シェアを誇っているのか、その要因について説明し、最後に考察を述べさせていただきたいと思います。★
1.はじめに その他 7% グッチ 15% ルイヴィトン 45% コーチ 16% エルメス 17% 私たちはケースに学ぶ経営学の第5章で取り上げている「新しい事業の創造」に興味を持ちました。 そして、その事例として最近学生の私たちにとっても身近になっているブランド業界を取り上げることにしました。★ こちらのグラフは学生に対して『ルイ・ヴィトン製品を持っているかいないか』アンケートをとった結果となります。約7割の学生がルイ・ヴィトン製品を持っていることからも身近と言えるのではないでしょうか。★ 続いてこちらの円グラフをご覧ください。こちらはラグジュアリーブランドの売上高シェアの円グラフになります。 ラグジュアリーブランドを日本に広めた先駆者であり、また、第2位のエルメスに約2.6倍の差をつけ国内でトップシェアを誇っているルイ・ヴィトンは、どのような戦略をとり日本進出に成功したのか、気になったので調べるに至りました。★ エルメス 17%
2.企業概要 会社名 LVJグループ株式会社 代表取締役社長 エマニュエル・プラット 設立 1978年3月1日 売上高 1,596億円(2008年) 資本金 1億2,000万円 従業員数 1,843名 (2009年11月1日現在) 店舗数 57店舗[うち百貨店内45店舗] 事業内容 旅行鞄・その他関連商品の輸入・販売 プレタポルテ・靴の輸入・販売 アクセサリーの輸入・販売 LVJグループ株式会社は1978年に設立され、売上高は約1,600億円、現在の従業員数は約1800名です。 国内の店舗数は57店舗で、そのうちの45店舗が百貨店内にあります。 事業内容は旅行鞄・その他関連商品の輸入・販売などです。★
3.ラグジュアリーブランドとは ラグジュアリーブランドの定義 ・大量生産ではなく、限られた上流階級で 嗜好するもの 嗜好するもの ・ブランドロイヤリティー(銘柄への忠実度) の確立 ・手の届きにくい価格帯であること 今回ラグジュアリーブランドを調べるにあたり、私達も曖昧だったラグジュアリーブランドについて、説明致します。 ラグジュアリーブランドとは、大量生産ではなく、限られた上流階級で嗜好されること、ブランドロイヤリティーの確立されていること、手の届きにくい価格帯であることの、3つから成り立っていると、一般的に言われています。要するに、商品が高級であることが、ラグジュアリーブランドの特徴です。★
4.品質とデザインに対する評価 原材料へのこだわり ・耐久性を高めるために牛革は高級 なものを揃える ・エジプト綿の布に独自のコーティ ング なものを揃える ・エジプト綿の布に独自のコーティ ング ・5~8年かけて自然乾燥させたフラ ンス産のポプラの木を使用 まず初めに、ルイ・ヴィトンのブランド力を維持している、品質について説明致します。 ルイ・ヴィトンは「品質とデザインに対する評価の高さ」を得るために、製品をつくる原材料にとてもこだわっています。生地に使う牛革は耐久性を高めるために、高級なものをそろえ、上質な物を良い順にごっそりと競り落としています。モノグラムやダミエはエジプト綿の布に独自のコーティングをしています。トランクの骨組みは、東部フランスのマヌル県産ポプラの木を使い、その木材は5~8年かけて自然乾燥させるというこだわりがあります。★ 耐久性を高めるために牛革は高級なものを揃える エジプト綿の布に独自のコーティング 5~8年かけて自然乾燥させたフランス産のポプラの木を使用
4.品質とデザインに対する評価 デザインへのこだわり 顧客からの信頼と人気を 得ることができた ・贋物と戦いながらデザインを変えてきた 1854年 グリ 1872年 トアル・レイエ 商標登録 (世界初) 1888年 トアル・ダミエ また、★デザインにもこだわっています。★1854年に登場したデザインに、初代ルイ・ヴィトンの手による『グリ』というデザインがあります。『グリ』は、防水加工を施したグレー色のキャンバス地の『グリ・トリアノン・キャンバス』という生地を使っていて、積み重ね可能なトランクとして大好評を得ました。しかし、デザインがシンプルだったため、贋物がでてきました。贋物対策として、★1872年に『トアル・レイエ』という赤とベージュのストライプ模様のデザインが登場しました。さらに、4年後の1876年には、色を茶とベージュに変えました。しかし、それでも贋物はキャッチアップしてきました。そこで、初代ルイ・ヴィトンは、★1888年に『トアル・ダミエ』を登場させ、これを、「商標登録」しました。これは地模様としては世界初の商標登録でした。そしてついに、★1896年、2代目ジョルジュ・ヴィトンがLVと星と花を組み合わせた『モノグラム・キャンバス』を発表しました。また、『ダミエ・キャンバス』は『モノグラム・キャンバス』の発表と同時に、封印され、100年後の1996年にダミエ誕生100周年を記念した企画で復活しました。レギュラーラインとしては1998年に再登場しました。以上のように贋物と戦いながらデザインを変え、また顧客のニーズに合わせてカジュアルな要素を取り入れてきた結果、顧客からの信頼と人気を得ることができました。 1896年 モノグラム・キャンバス 顧客からの信頼と人気を 得ることができた ・贋物と戦いながらデザインを変えてきた ・顧客のニーズに合わせてカジュアルな要 素を取り入れてきた
「新生産方式ペガス」 品質を落とすことなく 新商品を出荷 改革前 ペガス 鞄を1つ完成させるのに 20人から30人の職人が 8日間 専門の工程を分担 鞄を1つ完成させるのに 8日間 販売の機会損失が発生 品質を落とすことなく 新商品を出荷 2005年11月 新生産方式「ペガス」導入 ペガス ・1人の職人が複数の作業工程を担う多能工化 ・生産ラインの開始地点と終了地点の位置を近づ けたU字型生産ラインへの変更 ルイ・ヴィトンでは、こうした新しいデザインで消費者をひきつけ、さらに伝統的なデザインを見直させるという好循環を発生させてきたのですが、一方で、ある問題が発生していました。★当時の生産は、20人から30人の職人が専門の工程を分担し、鞄を作製していたため、1つ完成させるのに8日間かかっていました。そのため、ルイ・ヴィトンの魅力である職人の手仕事では大規模な増産はできず、★販売の機会損失という問題が発生していたのです。そこで★2005年11月に、トヨタ生産方式をもとに体系化された「ペガス」という新生産方式を導入しました。★「ペガス」では1人の職人が複数の作業工程を担う多能工化や、少人数チーム化、生産ラインの開始地点と終了地点の位置を近づけ、工員の移動をスムーズにするU字型生産ラインへの変更などを行い、1日で1つの鞄を完成させることが可能になりました。この改革により、★以前はほぼ12週間ごとにしかできなかった新作入荷が、倍の6週間ごとのペースでできるようになり、★品質を落とすことなく新しいデザインを出荷できるようになりました。★ 入荷期間が12週間から6週間へ短縮
適正価格を提示したことにより顧客の信頼を得た 5.日本での価格決定プロセス 現 在 現地価格の1.4倍の値段 適正価格を提示したことにより顧客の信頼を得た 1978年日本支社発足当時 商品がパリでの販売価格の 3倍から5倍で販売 次に、ルイ・ヴィトンの日本での価格について説明致します。 日本での商品の価格決定は、★現地価格の1.4倍の値付けとなっています。 では、なぜ本国と同じ値段で購入することができないのでしょうか。 それは内外価格差の問題にあります。 ★1978 年日本支社発足当時、人気が出始めていたルイ・ヴィトンの商品をパリでの販売価格の3倍から5倍という高価格帯で販売していました。★しかし、LVJ の経営を任された秦氏は、この内外価格差を解消することにより、それまで非正式な販路から購入していた顧客層の取り込みを目指すことに成功しました。 ルイ・ヴィトンは正式な販路を設置し、関税や流通経費を加味し、その結果、現地価格差を1.4倍に抑えることができました。これにより、★適正価格を提示したことになり、顧客の信頼を得ることができました。ルイ・ヴィトンは、円高や円安になってもこの現地価格差1.4倍を貫いています。★ 内外価格差を解消することで それまで非正式な販路から購入していた顧客層の取り込みを目指すことに成功した
6.オーダーサービス メイド・トゥ・オーダー カスタム・メイド これらをスペシャルオーダーという 現存製品の素材変更やポケットの 追加などができるサービス カスタム・メイド 全く新しい自分オリジナルの製品 を作成できるサービス 続いて、ルイ・ヴィトンのサービスについて説明致します。 ルイ・ヴィトンは他社と差別化を図るために独自のサービスを行っています。それは“オーダーサービス”というものです。 日本でのラグジュアリーブランド売上高シェア第2位のエルメスでは、オーダーサービスはお得意様限定のサービスとなっています。 また、第3位のコーチでは、オーダーされてから製造する商品は存在しますが、自分だけのオーダーメイド品を作るというサービスはありません。 それに対し、ルイ・ヴィトンには4つのオーダーサービスがあります。 1つ目は★『メイド・トゥ・オーダーサービス』です。 これは、右の写真のように、現存製品の素材変更やポケットの追加などを注文できるサービスです。 2つ目は★『カスタム・メイドサービス』です。 『カスタム・メイドサービス』とは、全く新しいものを作ってもらえるサービスです。日本独特のオーダー品には、お茶の葉を入れるお茶の葉入れが多いそうです。これらの2つのサービスをスペシャルオーダーといいます。★ これらをスペシャルオーダーという
6.オーダーサービス パーソナルキーサービス イニシャルサービス 顧客一人ひとりの専用の鍵を 作成するサービス イニシャルのペイントや型押し 3つ目は★『パーソナルキーサービス』です。 『パーソナルキーサービス』とは、旅行鞄などについている鍵に、ピッキングでは開けられない6枚羽根の鍵を顧客一人ひとりの専用の鍵として作成するサービスのことです。鍵を作る際に、氏名と鍵の番号が本店パリの顧客名簿に永久保存されるので、鍵が紛失しても再び新しい鍵をどこの店舗でも作成してくれます。 4つ目は★『イニシャルサービス』です。 『イニシャルサービス』とは、自分のイニシャルをペイントか型押ししてくれるサービスです。これは無料で入れてもらうことができるので、私達にも気軽に利用できる身近なサービスです。★ イニシャルのペイントや型押し の無料サービス
6.オーダーサービス 顧客の情報が直に入り また職人の腕も鍛えられる メイド・トゥ・オーダー カスタム・メイド パーソナルキーサービス イニシャルサービス これらのサービスにより… このような充実したオーダーサービスは、ルイ・ヴィトンの大きな魅力の1つだといえます。 そして、自分だけの、世界に1つしかないオーダーメイド品が顧客の満足度を高めているのはもちろん、★顧客がどんなものをルイ・ヴィトンに作ってもらいたいかなど、顧客のニーズや考え方の情報が直に入ってくること、また、職人の腕が鍛えられるなど、ルイ・ヴィトンにとってもメリットのある、大切なシステムなのです。★ 顧客の情報が直に入り また職人の腕も鍛えられる
日本人がパリの本店へ押しかけ行列を作った 7.日本進出 きっかけは… 1970年代前半の海外旅行ブームの際に 日本人がパリの本店へ押しかけ行列を作った 秦氏に日本の市場調査を依頼し 日本への進出準備 最後に、ルイ・ヴィトンの日本進出について説明致します。 ルイ・ヴィトンが日本に進出する★きっかけとなったのは、1970年代の海外旅行ブームの際に、日本人がパリの本店へおしかけ、ルイ・ヴィトン製品を手に入れるために開店前から行列をなしたことです。異常な日本人の行列にルイ・ヴィトン本社は、状況の把握のため急遽コンサルティングを依頼します。★それを担当したのが秦郷次郎氏です。 当時秦氏は、ニューヨークの会計事務所に従事していましたが、フランスの友人からコンサルティングが必要との助言を受け、ビジネスチャンスとばかりにルイ・ヴィトンヘアポイントを入れました。★結果、市場調査と日本進出の準備を請け負い、契約成立に成功させ、1981年にルイ・ヴィトン直営店の第一号店が銀座並木通りにオープンしました。★ 1981年にルイ・ヴィトン 直営店の第一号店を 銀座並木通りにオープン
ルイヴィトンの商品を手にした人々が広告塔となり耐久性や品質のよさを口コミで広げていること 日本独自のPR活動 百貨店 最大の広告は… 「一等地」に店舗を展開し 消費者の目にとまるPR活動 ルイヴィトンの商品を手にした人々が広告塔となり耐久性や品質のよさを口コミで広げていること 単独店 また、ルイ・ヴィトン・ジャパンは、ブランドの伝統、コンセプトを知ってもらうために、日本独自のPR活動が必要であると考えました。 そのために★百貨店の「一等地」に店舗を展開し、消費者の目にとまるよう心掛けました。そして現在は、★単独店にも力をいれ、百貨店では実現できないルイ・ヴィトンワールドを作り、顧客に対して伝統、コンセプトを最大限伝える努力を行っています。顧客に対して「リッチな気分にさせてくれる場所」を提供するために銀座、表参道、六本木など国内57店舗を展開しています。 しかし、★最大の広告は、別のやり方で行われています。それは、★ルイヴィトンの商品を手にした人々が広告塔となり耐久性や品質のよさなどの商品の素晴らしさを口コミで広げていることです。★ 百貨店では実現できないルイヴィトンワールドを作り顧客に対して伝統、コンセプトを最大限伝えるPR活動
なぜ日本で売れたのか 日本とヨーロッパの意識の違い 日本人の特殊性 【ヨーロッパ】 階級意識がある為、高い階級でないと 身につけることを社会が拒む風潮 【日 本】 階級意識がない為、女性達がラグジュアリーブランドを所有することが一般的 では、なぜパリの本店に日本人が行列を作るほど、ルイ・ヴィトンは日本人に売れたのでしょうか。 実は、ラグジュアリーブランドを所有するにあたって、★日本とヨーロッパには意識の違いがあります。★ヨーロッパでは、身分相応、不相応の階級意識があるため、ラグジュアリーブランドは高い階級でないと身につけることを社会から拒まれる風潮があります。そのため、若年層がラグジュアリーブランドを所有するという階級を超えた文化の交流には、高いハードルがあります。一方、★日本では、階級意識がなく、若い女性達がラグジュアリーブランドを所有することが一般的となっています。 このようなことからルイ・ヴィトンの★日本での成功要因は、日本人の特殊性にあると思われます。★ 成功要因は・・・ 日本人の特殊性
これにより、国内では最もシェアの高いラグジュアリーブランドの 8.考察 ・ルイ・ヴィトンジャパンの成功は日本人の特殊 性にある ・ルイ・ヴィトンの製品は、耐久性の高さ カジュアルな要素から実用的なラグジュアリー ブランドとして日本人から認知されている 先ほどにも述べたように、LVJの成功は階級意識などがない日本人の特殊性にあると思います。 また、ルイ・ヴィトンの製品は、耐久性の高さやカジュアルな要素から実用的なラグジュアリーブランドとして日本人から認知されています。★ これにより、国内では最もシェアの高いラグジュアリーブランドの地位を確立しました。 これらをうまく利用したことがLVJの成功要因につながったのだと私達は考えました。 これにより、国内では最もシェアの高いラグジュアリーブランドの 地位を確立した
9.参考文献 『ルイ・ヴィトンの法則』 長沢伸也著/東洋経済新報社 『ルイ・ヴィトンHP』 長沢伸也著/東洋経済新報社 『ルイ・ヴィトンHP』 http://www.louisvuitton.com/ 『ケースに学ぶ経営学』 東北大学経営学グループ著/有斐閣ブックス 参考文献はこちらになります。 以上で大東文化大学8班の発表を終了とさせて頂きます。 ご清聴ありがとうございました。