理科の目標と 現状を確認しよう 【ねらい】 ・学習指導要領における理科の目標を 理解する ・全国学力・学習状況調査から見える

Slides:



Advertisements
Similar presentations
情報科指導法Ⅰ 第 15 回 模擬授業と総括. 自由利用マーク 文化庁 2003 年~ プライバシーマーク.
Advertisements

キー・コンピテンシーと生きる 力 キー・コンピテンシー – 社会・文化的,技術的道具を相互作用的に活用する力 – 自律的に行動する力 – 社会的に異質な集団で交流する力 生きる力 – 基礎・基本を確実に身に付け,いかに社会が変化しようと, 自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え, 主体的に判断 し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力.
中学校 高校 小学校 「言語活動の充実」を意識した授業につ いて (対象者:小学校 178 名、中学校 68 名、高校 30 名の国語指導者、計 276 名) 児童・生徒、指導者の意識調査の結果 (単位 % ) 平成 21.
1.情報教育について 2 情報教育. 情報教育とは 児童生徒が自ら考え、 主体的に判断・表現・行動 児童生徒は主体的に学ぶ 「情報活用能力」を育成する教育.
言語教師としての 役割と認知 平成 21 年度教員免許状更新講習 3 共立女子大学 02/08/2009 笹島茂 1.
学習指導での ICT 活用 柏市立中原小学校 西田 光昭 教育の情報化に関する手引き【概要】
生 活 科 (小) 福島県教育委員会 平成20年度小・中学校教育課程研究協議 会. Ⅰ 改訂の要点 1 学年の目標の改善 (1) 目標 (3) を加え、四つに増やした。 (2) 文言を加え、一人一人の児童に育 つことを期待する認識を明確にした。 ① 目標 (1) 「地域のよさに気付き」 ② 目標 (2)
研修のめあて 授業記録、授業評価等に役立てるためのICT活用について理解し、ディジタルカメラ又はビデオカメラのデータ整理の方法について研修します。 福岡県教育センター 教員のICT授業活用力向上研修システム.
平成19年度 「長崎県国語力向上プラン」 地区別研修会
平成19年度長崎県国語力向上プラン地区別研修会
5 情報モラル教育 4.道徳や各教科等における  情報モラル.
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
2007年6月15日(金) 瀧川 光治(樟蔭東女子短期大学)
富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮
7.幼稚園教育要領と領域「環境」 瀧川 光治.
相模原理科教室 2011 Y字振子で絵を描こう 理科で遊ぼう会.
教職院 ナッキョン 奈良市高畑町 得意: 授業での「つかみ」
5-1 おおさか環境科 おおさか環境科 大阪市 この絵はなんでしょう?
日本の高校における英語の授業は英語でがベストか?
中学校における理科教育の目的と目標について
平成26年度 鶴ヶ島市立新町小学校グランドデザイン めざす学校像 一人ひとりが輝き、確かな学力が獲得できる学校
ICT活用指導力向上研修会 ~児童生徒の情報活用能力を高める指導方法~
9.保育環境 瀧川 光治.
総合学科における インターンシップの取り組み
ラーニング・ウェブ・プロジェクト(Learning Web Project) -自立・共愉的な学習ネットワークの形成に向けて-
どこで、何を使って?(準備物と場の設定)
薩摩川内市小中一貫教育特区 (連携型) 平成18年4月~平成20年3月
統計リテラシー育成のための数学の指導方法に関する実践的研究
情報科教育法第3回 普通教科「情報」の構成 理学部数学科 清 水 克 彦.
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
教育課程研究集会資料 新学習指導要領の手引(理科) 徳島県立総合教育センター 学校経営支援課.
教育課程研究集会資料 新学習指導要領の手引(理科) 徳島県立総合教育センター 学校経営支援課.
4 ICTを活用した指導力の向上 3.指導案の作成.
少経験者を育てる「3+1授業研究」 今年度からの取組 立案(P) 研究授業(C) 実践(D) 次への抱負(A) 研究協議(A)
スライド資料 B3 ICT機器の活用 ③タブレット端末 兵庫県版研修プログラム.
校内研修プログラム 研修1 ~外国語教育についての理解を深める~
高等学校数学科におけるICT活用 (コンピュータ活用)のポイント 石谷 優行(いしたに まさゆき) 神奈川県立横浜平沼高等学校
小中連携を進めるために! 外国語教育における 三つのステップと大切にしたいこと 岐阜県教育委員会 学校支援課
 小学校外国語活動で    大切にしたいこと(指導の重点編) 岐阜県教育委員会 学校支援課.
【演習】 アクティブ・ラーニングの 視点を取り入れた 授業をデザインしよう
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
思考力・判断力・表現力等の育成に向けて 平成20年12月26日 徳島県立総合教育センター.
理科学習指導の基礎・基本 ~新学習指導要領に基づいた 授業づくり~ 2019年 3月
「人生100年時代」に求められるスキル 【OS】 【アプリ】 人生100年時代の働き手は、【アプリ】と【OS】を
【演習】 アクティブ・ラーニングの 視点を取り入れた 授業をデザインしよう
課題研究ルーブリック評価の 活用マニュアル 平成30年1月10日 愛媛大学高大接続推進委員会 「課題研究」評価ワーキンググループ
黒はいや!   白のパンダにして!.
中学校保健体育科 1 改訂の趣旨及び要点 新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業づくり 改訂の基本的な考え方 目標の構成の改善 内容の構成の改善
平成31(2019)年度 ○○○立○○小学校 学力向上プラン(例)
単元の学習地図で目指す「深い学び」 ~「知識の構造化」の視点を取り入れた学習~
新学習指導要領に対応した 子どもの学びを高める授業づくり
筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟 佐々木智美
(中学校)学習指導要領前文 これからの学校は 子どもたちの育成 教育課程を通して =「社会に開かれた教育課程」の実現
「21世紀型コミュニケーション力の育成」研修モジュール A1 概要解説モジュール
自由席にしています。 資料のある席へお座りください.
平成23年度 大阪府学力・学習状況調査の結果概要 大阪府教育委員会
教育情報共有化促進モデル事業報告 中学校数学 平成16年1月31日 岐阜県 学習システム研究会「楽しく学ぶ数学部会」
SUNPOWERを利用した太陽エネルギー教材及び手引書の開発
学習指導案の検討会を通し て、 本時の授業への見通しを持ち、 参観の視点をつかむ。
生きる力を育む国語教育 説明的文章の読解を通して 鹿沼市立南摩中学校                 坂井清貴.
地理的分野の学習内容と 場所イメージ.
小中連携・一貫教育による確かな学力の育成
科学館(仮称)基本構想中間報告書(案)概要
於:宇都宮大学教育学部 理科教育学学生実験室
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
仮説演繹法 思考 経験 問題 : あるべき姿と現状のギャップ 課題 : 問題解決のために成すべきこと 問題 19世紀 あるべき姿(予想)
教育課程研究集会資料 新学習指導要領の手引(生活科) 徳島県立総合教育センター .
平成20・21年度 国立教育政策研究所・教育課程研究センター指定
学習指導要領の改訂 全国連合小学校長会 会長 大橋 明.
Presentation transcript:

理科の目標と 現状を確認しよう 【ねらい】 ・学習指導要領における理科の目標を 理解する ・全国学力・学習状況調査から見える  理解する ・全国学力・学習状況調査から見える  課題と授業改善の方向性を知る  理科の目標と、今、理科の学習に求められている力について見ていきましょう。★ 10分

日頃の理科について どんな印象を持っていますか 困っていることはありますか 意識して取り組んでいることはありますか  今年度、理科を指導している先生、今まで理科を指導したことある先生、これから理科を指導するかもしれない先生、理科についてどのようなことを思っていますか。2分時間をとりますので、印象や困っていること、意識して取り組んでいることなど、グループで話をして意見交換をしてみましょう。 (2分計測する)  ありがとうございます。理科について、いろいろな思いをもっていることが分かりました。★ 意識して取り組んでいることはありますか

理科の目標 小学校  自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。 中学校  自然の事物・現象に進んで関わり、目的意識をもって実験などを行い、科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。  学習指導要領に記載されている理科の目標から、そもそも理科の学習でどのような力を育てることが求められているのか見ていきましょう。  小学校と中学校の目標に共通して、「科学的な見方や考え方を養う」とあります。小中に共通している言葉で、この言葉が理科教育のキーワードとなっています。★

自然事象 理科の目標 きまり・しくみ 問題解決 理科とは 実証性 再現性 客観性 観察 実験  児童の身の回りには、川や空気があり、昆虫などの動物がいます。また、植物があったり、季節によって景色が変化したりします。そのような自然の中での様々な物事を自然事象と言います。  理科とは、児童が実証性や再現性、客観性を保証する問題解決の方法や手続きを行いながら、これらの自然事象に対して働きかけ、その方法や仕組み、きまりを見つけていくものです。★ きまり・しくみ

理科の目標 実証性 再現性 客観性 科学的とは 仮説が観察、実験などによって検証できるという条件 同一の実験条件下では同一の結果が得られるという条件  理科の問題解決を「科学的」に保証するためには、実証性、再現性、客観性の三つの要素を満たさなければなりません。  まず、実証性についてです。児童が発想した予想や仮説は、最初は主観的なものです。このため、予想や仮説を観察・実験などを通して検証していく必要があります。このように、発想した予想や仮説を観察・実験によって検証できるということが実証性です。  次に、再現性についてです。予想や仮説を観察・実験を通して実証するとき、その結果が、たまたま出たものであっては、多くの人に共有できるものとはなりません。そこで、同じ条件下では必ず同じ結果が得られることが必要になります。これが、再現性です。  最後に、客観性です。予想や仮説が実証性や再現性を満足すると、多くの人によって承認され、共有されるようになります。このように、多くの人々によって承認され公認されるということが客観性です。★ 客観性 多くの人々によって承認され、公認されるという条件

理科の目標 理科特有の見方とは 領域 エネルギー 粒子 生命 地球 見方 量的・関係的な視点 質的・実体的な視点 多様性と共通性の視点 時間的・空間的な視点 例 豆電球の明るさについて、電池の数や直列・並列つなぎの関係でとらえる 形が変わっても重さは変わらないことから実体として存在することをとらえる 昆虫や植物の成長や体のつくりについて、多様性と共通性の視点で捉える 土地のつくりや変化について、浸食・運搬・体積の関係を時間的・空間的な視点で捉える  理科特有の見方とは、各領域における科学的な視点のことです。エネルギー領域においては「量的・関係的な視点」、粒子領域においては「質的・実体的な視点」、生命領域においては「多様性と共通性の視点」、地球領域においては「時間的・空間的な視点」があります。ただし、これらの特徴的な視点はそれぞれの領域固有のものではなく、その強弱はあるものの他の領域においても用いられる視点です。★

関連性や規則性、因果関係等が見出されるかについて多面的に考える 理科の目標 理科特有の考え方とは 探究的な 学習活動 比較 関係付け 条件制御等 科学的に探究する方法  理科における考え方についてです。  理科の学習における考え方とは、課題の発見・追究・解決という探究的な学習活動の中で、比較したり関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて、事象の中に何らかの関連性や規則性、因果関係などが見出されるかについて多面的に考えることです。科学的に探究する方法については、発達段階に応じて順次獲得していかなければなりません。これらを獲得し、活用・発揮させることで、理科特有の考え方(思考の枠組み)が広がっていきます。★ 関連性や規則性、因果関係等が見出されるかについて多面的に考える

全国学力・学習状況調査から見える 授業改善の方向性 器具の操作の意味を捉え 適切な扱い方を理解する ピントを合わせるときは、調節ねじを回す  では、これらの理科の目標に向かうにあたり、今どのような課題があるのでしょう。全国学力・学習状況調査から見える課題と授業改善の方向性を見ていきましょう。  まず、課題としてあげられているのは、「器具の操作の意味を捉え、適切な扱い方を理解する」ことです。★「顕微鏡でピントを合わせるためには、調節ねじを回す」のように、普段の授業で、目的と技能をセットで指導することが求められています。★

全国学力・学習状況調査から見える 授業改善の方向性 結果を見通した予想や仮説を考える 予想 予想通りなら温度計はどの順番で温まる?  次に課題としてあげられているのは、結果を見通した予想や仮説を考えることです。  ビーカーの底の端を加熱したときの水の温まり方の予想し、その予想が正しければ3本の温度計の温度がどのような順番で上がっていくか考える問題に課題がありました。普段の授業で、予想や仮説を立てたとき、どのような結果になるのかを見通して指導することが求められています。★

この実験結果だと、こういう考えになるのかな。 全国学力・学習状況調査から見える 授業改善の方向性 実験結果を基に事実と解釈の 両方を示した考察が記述できる  最後に課題として取り上げられているのは、実験の結果をもとに事実と解釈の両方を示した考察が記述できることです。  自分の予想と違う実験結果が出たとき、考えを修正して実験結果という事実から解釈を導くことに課題が見られました。普段の授業から、考察を丁寧に進めることが求められています。★ この結果は、僕の予想とは違うな。 この実験結果だと、こういう考えになるのかな。