理科の目標と 現状を確認しよう 【ねらい】 ・学習指導要領における理科の目標を 理解する ・全国学力・学習状況調査から見える 理解する ・全国学力・学習状況調査から見える 課題と授業改善の方向性を知る 理科の目標と、今、理科の学習に求められている力について見ていきましょう。★ 10分
日頃の理科について どんな印象を持っていますか 困っていることはありますか 意識して取り組んでいることはありますか 今年度、理科を指導している先生、今まで理科を指導したことある先生、これから理科を指導するかもしれない先生、理科についてどのようなことを思っていますか。2分時間をとりますので、印象や困っていること、意識して取り組んでいることなど、グループで話をして意見交換をしてみましょう。 (2分計測する) ありがとうございます。理科について、いろいろな思いをもっていることが分かりました。★ 意識して取り組んでいることはありますか
理科の目標 小学校 自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。 中学校 自然の事物・現象に進んで関わり、目的意識をもって実験などを行い、科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。 学習指導要領に記載されている理科の目標から、そもそも理科の学習でどのような力を育てることが求められているのか見ていきましょう。 小学校と中学校の目標に共通して、「科学的な見方や考え方を養う」とあります。小中に共通している言葉で、この言葉が理科教育のキーワードとなっています。★
自然事象 理科の目標 きまり・しくみ 問題解決 理科とは 実証性 再現性 客観性 観察 実験 児童の身の回りには、川や空気があり、昆虫などの動物がいます。また、植物があったり、季節によって景色が変化したりします。そのような自然の中での様々な物事を自然事象と言います。 理科とは、児童が実証性や再現性、客観性を保証する問題解決の方法や手続きを行いながら、これらの自然事象に対して働きかけ、その方法や仕組み、きまりを見つけていくものです。★ きまり・しくみ
理科の目標 実証性 再現性 客観性 科学的とは 仮説が観察、実験などによって検証できるという条件 同一の実験条件下では同一の結果が得られるという条件 理科の問題解決を「科学的」に保証するためには、実証性、再現性、客観性の三つの要素を満たさなければなりません。 まず、実証性についてです。児童が発想した予想や仮説は、最初は主観的なものです。このため、予想や仮説を観察・実験などを通して検証していく必要があります。このように、発想した予想や仮説を観察・実験によって検証できるということが実証性です。 次に、再現性についてです。予想や仮説を観察・実験を通して実証するとき、その結果が、たまたま出たものであっては、多くの人に共有できるものとはなりません。そこで、同じ条件下では必ず同じ結果が得られることが必要になります。これが、再現性です。 最後に、客観性です。予想や仮説が実証性や再現性を満足すると、多くの人によって承認され、共有されるようになります。このように、多くの人々によって承認され公認されるということが客観性です。★ 客観性 多くの人々によって承認され、公認されるという条件
理科の目標 理科特有の見方とは 領域 エネルギー 粒子 生命 地球 見方 量的・関係的な視点 質的・実体的な視点 多様性と共通性の視点 時間的・空間的な視点 例 豆電球の明るさについて、電池の数や直列・並列つなぎの関係でとらえる 形が変わっても重さは変わらないことから実体として存在することをとらえる 昆虫や植物の成長や体のつくりについて、多様性と共通性の視点で捉える 土地のつくりや変化について、浸食・運搬・体積の関係を時間的・空間的な視点で捉える 理科特有の見方とは、各領域における科学的な視点のことです。エネルギー領域においては「量的・関係的な視点」、粒子領域においては「質的・実体的な視点」、生命領域においては「多様性と共通性の視点」、地球領域においては「時間的・空間的な視点」があります。ただし、これらの特徴的な視点はそれぞれの領域固有のものではなく、その強弱はあるものの他の領域においても用いられる視点です。★
関連性や規則性、因果関係等が見出されるかについて多面的に考える 理科の目標 理科特有の考え方とは 探究的な 学習活動 比較 関係付け 条件制御等 科学的に探究する方法 理科における考え方についてです。 理科の学習における考え方とは、課題の発見・追究・解決という探究的な学習活動の中で、比較したり関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて、事象の中に何らかの関連性や規則性、因果関係などが見出されるかについて多面的に考えることです。科学的に探究する方法については、発達段階に応じて順次獲得していかなければなりません。これらを獲得し、活用・発揮させることで、理科特有の考え方(思考の枠組み)が広がっていきます。★ 関連性や規則性、因果関係等が見出されるかについて多面的に考える
全国学力・学習状況調査から見える 授業改善の方向性 器具の操作の意味を捉え 適切な扱い方を理解する ピントを合わせるときは、調節ねじを回す では、これらの理科の目標に向かうにあたり、今どのような課題があるのでしょう。全国学力・学習状況調査から見える課題と授業改善の方向性を見ていきましょう。 まず、課題としてあげられているのは、「器具の操作の意味を捉え、適切な扱い方を理解する」ことです。★「顕微鏡でピントを合わせるためには、調節ねじを回す」のように、普段の授業で、目的と技能をセットで指導することが求められています。★
全国学力・学習状況調査から見える 授業改善の方向性 結果を見通した予想や仮説を考える 予想 予想通りなら温度計はどの順番で温まる? 次に課題としてあげられているのは、結果を見通した予想や仮説を考えることです。 ビーカーの底の端を加熱したときの水の温まり方の予想し、その予想が正しければ3本の温度計の温度がどのような順番で上がっていくか考える問題に課題がありました。普段の授業で、予想や仮説を立てたとき、どのような結果になるのかを見通して指導することが求められています。★
この実験結果だと、こういう考えになるのかな。 全国学力・学習状況調査から見える 授業改善の方向性 実験結果を基に事実と解釈の 両方を示した考察が記述できる 最後に課題として取り上げられているのは、実験の結果をもとに事実と解釈の両方を示した考察が記述できることです。 自分の予想と違う実験結果が出たとき、考えを修正して実験結果という事実から解釈を導くことに課題が見られました。普段の授業から、考察を丁寧に進めることが求められています。★ この結果は、僕の予想とは違うな。 この実験結果だと、こういう考えになるのかな。