看護管理学特論 救急・集中治療領域における家族看護

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 医中誌Webについて 杏林大学 医学図書館. 2 医中誌Webとは  国内発行の雑誌に収載された論文情報を検索 できる医学文献デ-タベ-ス  医学、薬学、歯学、看護学、獣医学の分野を 網羅  約5,000誌、695万件におよぶデ-タ (2009年11月現在)  1983 年から現在までの検索が可能.
Advertisements

J.Kominato 個別ケアプラン作成の留意点 個別ケアプラン作成の留意点 J.Kominato.
何でもおたずねください 長崎がん相談支援センター 長崎がん相談支援センター 吉原律子・平山美香・木場英郎 緩和ケア普及のための地域プロジェクト 野田剛稔・藤井 卓 白髭 豊・ 鳥山ふみ子 長崎がん相談支援センター.
1 STAS-J 導入プロセスと 看護師への影響 宮城千秋(沖縄県立精和病院) 神里みどり(沖縄県立看護 大学)
第 2 章 子どもの成長・発達と看護 3. 幼児期の子どもの成長・発達と看護( 2 ) 学習目標 1 .幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する. 2 .幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確 立に向けた援助を理解する. 3 .幼児にとっての遊びの意義と発達を促すために必要な 遊びへの援助を理解する.
MSW の役割について 広島大学病院 薬剤部 藤田啓子. MSW の仕事とは? ・主に医療機関や老人保健施設、在宅介護支援センター等 に勤務し、医師・看護婦・理学療法士などと共に、 医療チームの一員として、患者さんとその家族への相談 やさまざまな援助を行っています。 ・社会福祉の専門家として、患者さんに関わる経済的、
がん患者の意思決定について がん患者の意思決定と、その過 程、要因について知る がん患者の意思決定への支援に ついて考える 先端侵襲緩和ケア 看護学 芦沢 佳津美.
「ストレスに起因する成長」に関する文献的検討
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備③ 医療・福祉・教育の連携
1.保健行政の役割としくみ 2.保健サービスの活用
第2回 病院内で行う抗がん剤・放射線治療時の口腔ケア
ターミナルケアとホスピスの看護研究の動向: 医中誌1983年~2007年デ ータのテキスト マイニング
自殺未遂者・遺族ケア に関する研究について
第3回はままつCDE研究会 アンケート集計結果
がんと就労 資料1 山内班計画 がん診療連携拠点病院等 【課題】 【課題】 就労や職場の現状、法律に関する知識なし
第10回 岡山QOL研究会のご案内 会 次 第 日時:平成27年 3 月 21 日 (土)13:00~16:00
「存在の肯定」を規範的視座とした作業療法理論の批判的検討と 作業療法・リハビリテーションの時代的意義 田島明子
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」 の説明
緑茶の洗浄効果に関する研究について 23030171 長谷川尚子.
治療法は主に手術、薬物療法、放射線治療があります。
がんの家族教室  第3回 緩和ケアには何が出来るのか? 愛知県がんセンター中央病院 緩和ケアセンター 下山 理史(医師) 松崎 雅英(薬剤師)
集中治療室入室経験者の その後の生活・人生について
東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 健康教育学 友納 理緒
疫学概論 診療ガイドライン Lesson 22. 健康政策への応用 §B. 診療ガイドライン S.Harano, MD,PhD,MPH.
7大学連携先端的がん教育基盤創造プラン主催
医中誌Web利用講習会 平成23年5月31日 丸善株式会社.
退院後を支えてこそ 医療連携から地域連携へ
自治医科大学附属 さいたま医療センター 救急部 2014年8月 八坂 剛一.
高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7 1 意見交換会開催に至る経緯と今年度の取り組み  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治   療の希望確認ができているかの課題提起がなされた。  平成27年度   (1)介護サービス事業者協議会主催研修会および施設ごとの講演会の開催.
医中誌Web利用講習会 平成23年5月31日 丸善株式会社.
訪問看護における看護管理のあり方 ステーションの管理者に求められるもの 在宅看護学 遠山 寛子.
老健の作業療法における作業療法士 の問題関心 -日本作業療法学会誌抄録を手がかりとして-
 クリティカルケア領域に             おける家族看護     ICU入室中の患者家族の      ニードに対する積極的介入について              先端侵襲緩和ケア看護学                    古賀 雄二 
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
熱中症の救急搬送者数 今日は,熱中症について勉強したいと思います。.
中山和弘(聖路加看護大学) 戸ヶ里泰典(東京大学大学院健康社会学)
緩和ケアチームの立ち上げ ー緩和ケア医の立場からー
Evidence-based Practice とは何か
Evidence-based Health Care とは何か
CINAHL データベース チュートリアル 基本検索 featuring:
伊藤大樹 あおばクリニック 福岡東在宅ケアネットワーク
「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
感染症集団発生事例に対する基本的対応 大山 卓昭 感染症情報センター 国立感染症研究所.
クリティカルケア領域における 家族看護の研究動向 ―質的研究と量的研究の文献の比較- (★タイトル変更しました) いとうたけひこ(和光大学) 迫田典子 城丸瑞恵(札幌医科大学大学院) 日本計算機統計学会  テキストマイニングスタディグループ 研究会 2012年7月10日(火)14:00-17:00.
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
がん患者の家族看護 急性期にあるがん患者家族の看護を考える 先端侵襲緩和ケア看護学 森本 紗磨美
筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター 茨城厚生連 総合病院 水戸協同病院 放射線科 入江敏之
末期がん 【症例2】 ・口腔衛生不足 ・歯科疾患(う蝕・歯周病) ・口腔乾燥、口内炎、出血、 味覚異常など ・摂食嚥下機能低下
主催 宮崎がんのリハビリテーション研修会実行委員会 後援 宮崎県看護協会・宮崎県理学療法士会・ 宮崎県作業療法士会・宮崎県言語聴覚士会
アウトカムとタスク.
栄養士分科会 /02/08.
大学生における援助要請行動の 調査研究.
4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」
医師のキャリアパスの観点からみた 医師養成数の考え方
高齢慢性血液透析患者の 主観的幸福感について
子どもに対する 生活習慣病予防の 取り組み           健康情報分析学            三輪 夕起.
~求められる新しい経営観~ 経済学部 渡辺史門
我が国の自殺死亡の推移 率を実数で見ると: 出典:警察庁「自殺の概要」
宮崎がんのリハビリテーション研修会実行委員会主催
平成17年度 インシデント・アクシデント集計報告
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
現状 医療側チーム構成 開発終了後 (のイメージ) 診断が3分で可能に 例:診断に長時間かかる
ナラティブ・アプローチの看護への有効性の検討
「アルコール依存症者の回復過程における看護師の役割」
SWOT分析 看護師 転職例 強み (Strengths) 弱み (Weaknesses) 機会 (Opportunities)
アウトカムによる        ケアマネジメントの評価 在宅ケア看護学 奥富 幸至.
緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)
「在宅医療と 家族の位置/中立性」 京都橘大学看護学部看護学科 老年看護学 立命館大学大学院先端総合学術研究科 博士課程後期課程 仲口 路子
-日本文化を反映した終末期がん看護実践モデルの作成にむけてー
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
Presentation transcript:

看護管理学特論 救急・集中治療領域における家族看護 看護管理学特論 救急・集中治療領域における家族看護         東京医科歯科大学保健衛生学研究科 前期博士課程1年                     先端侵襲緩和ケア看護学専攻 岸野 亜矢

はじめに 急性期にある患者の看護にとって、家族の 存在とそれに伴う課題は患者ケアと同等の、時にはそれ以上の重要性をもつ。 急性期にある患者の看護にとって、家族の 存在とそれに伴う課題は患者ケアと同等の、時にはそれ以上の重要性をもつ。 患者家族員の抱えるはかりしれないストレスや心理的負担を軽減する必要性、患者家族の一番身近にいる看護職が積極的に介入 する重要性がうかがえる。 急性期にある患者の看護にとって、家族の 存在とそれに伴う課題は患者ケアと同等の、時にはそれ以上の重要性をもつ。しかし、実際の現場では、このような家族員に医療者が十分関わっていると言い難い部分もあり、またその介入が根拠あるものであるのかは疑問が残る。救急・集中治療の場における患者家族への看護について明らかになっていることを整理し、今後の課題について考えていきたい。

救急・集中治療の場における患者 家族に関する研究について 日本でのクリティカルケアにおける家族援助に関する研究は、1990年代から報告数が増加し、最近では最も関心の高い研究領域の1つになっている。 この領域での研究はまだまだ発展途上であり、文献も少なく、研究テーマの偏りや研究の質自体の向上を目指している段階である。 日本でのクリティカルケアにおける家族援助に関する研究は、最近では最も関心の高い研究領域の1つになっている。そして特徴としては、家族ニードを背景に家族の抱く心理状態をアセスメントし、効果的な看護援助のあり方を検討したものが多い。さらにそのニードへの介入としては面会に関する検討が圧倒的に多かった。しかしそれらの研究はテーマに偏りがあり、さらに研究というよりは症例報告にとどまったものが多い。またそれらの研究は、家族という用語の定義もされておらず、看護者側の一方的な客観的検討で終わっているものがほとんどである。

文献検討の目的 過去5年間の国内・国外での救急・集中治療の場における家族看護の研究で明らかになっていることをまとめ、今後の課題を検討する。

文献検索 ①「集中治療」AND「家族」をPT=原著論文、 SB=看護で検索の結果19件 以上①~③をOR検索すると50件の文献が検索  された。そしてその中で、年齢区分を成人(19~)~老人(65~)に限定し、19件の文献が検索された。 文献検索では「集中治療」「救命救急」「重症患者」「家族」のキーワードで検索し19件の文献が検索されました。その中で、医師による治療についての報告の2件と、救命救急センターに搬送された患者の現状分析2件、臓器移植の事例報告1件、の看護について述べられていない文献を除き最終的に14件の文献を選択した。

文献検索ー2 「Critical care nursing」および「family」は、  単独の用語でそれぞれ2410件と12301件が得られた。それをAND検索すると164件が得られた。さらにResarch、Abstract、Englishで絞り込むと42件であった。その中で、看護援助の方向性を明確にするコーピングストラテジーへの効果的な看護介入について詳細に書かれていた原著2件を選択した。 Critical care nursing」および「family」は、単独の用語でそれぞれ2410件と12301件が得られた。それをAND検索すると164件が得られた。さらにResarch、Abstract、Englishで絞り込むと42件であった。その中で、看護援助の方向性を明確にするコーピングストラテジーへの効果的な看護介入について詳細に書かれていた原著2件を選択した。

文献検索の結果 14件をテーマごとに分類してみると、 ①患者家族員のニードや心理状態の分析、 ②終末期ケア、 ③危機介入、 ④その他となった  ①患者家族員のニードや心理状態の分析、  ②終末期ケア、  ③危機介入、  ④その他となった 14件をテーマごとに分類してみると、①患者家族員のニードや心理状態の分析3件、②終末期 ケア5件、③危機介入4件、④その他2件となった。

看護職としてのアクションプラン 臨床 研究 マネージメント 教育 患者の擁護者 研究テーマの偏りということに対しても、そのテーマが今のこの領域にとって優先されるべき看護問題であるのなら仕方がないが、実際はそうではない。クリティカルケア領域においても日々進歩している先端医療と並行して、看護ケアの開発、看護の役割についても検討が必要である。いまだ残されている研究課題も多く、社会的ニーズなど優先度も考えて研究を進めていくことも必要であると考える。 今後は問題点をさらに明確にし、アクションプランも抽象的な表現となっている部分もあるが、具体的にイメージできるようにしていきたい。