埼玉大学 長谷川 靖洋 hasegawa@kan.env.gse.saitama-u.ac.jp 磁場効果を利用した マイクロワイヤーアレイ構造 エネルギー変換素子の開発 埼玉大学 長谷川 靖洋 hasegawa@kan.env.gse.saitama-u.ac.jp.

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信号伝搬時間の電源電圧依存性の制御 による超伝導単一磁束量子回路の 動作余裕度の改善
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信号伝搬時間の電源電圧依存性の制御 による超伝導単一磁束量子回路の 動作余裕度の改善
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埼玉大学 長谷川 靖洋 hasegawa@kan.env.gse.saitama-u.ac.jp 磁場効果を利用した マイクロワイヤーアレイ構造 エネルギー変換素子の開発 埼玉大学 長谷川 靖洋 hasegawa@kan.env.gse.saitama-u.ac.jp

液化して専用のタンカーで日本まで輸送する 2/11 研究の動機 京都議定書を受けてCO2削減の対策が模索されている.産業界で最も多くCO2を排出するのは、火力発電所 火力発電所の中で、LNG火力発電所に注目 LNGとは・・・液化天然ガス(Liquified Natural Gas) 主成分はメタン           インドネシア・ブルネイなどで産出され、 120Kまで温度を下げ、 液化して専用のタンカーで日本まで輸送する LNGの持っている冷熱(120Kから300Kの温度差)から 電力回収して、LNG火力発電所全体の効率を上げれないか? 効果的・具体的なCO2削減の対策

研究の背景 LNG火力発電プラントの概要 LNG関係部 LNGは可燃性のため、タービンなどの稼働部を持った装置での 3/11 研究の背景 LNG火力発電プラントの概要 Circulation pump LNG tanker LNG tank LNG Sea water pump Sluice gate Evaporator Forced air blower Air heater Drum Water pump Turbine generator condenser Drainag gate Pure water Sea water Exhaust tower Steam Natural gas Feed water heater :LNG :Water :Sea water Boiler LNG関係部 LNGは可燃性のため、タービンなどの稼働部を持った装置での エネルギー回収はほとんど行われていない

CO2削減のための提案 提案 エネルギー回収の手段について ・LNGは可燃性ガスのため、タービンシステムは使用不可 4/11 CO2削減のための提案 エネルギー回収の手段について ・LNGは可燃性ガスのため、タービンシステムは使用不可 ・従来の気化器に大きな変更を加えたくない 天然ガス300K 天然ガス300K 天然ガス300K LNGの持つカルノー効率        約60% 低温側 120K(LNG温度) 高温側 300K(海水温度) 海水 海水 海水 海水 熱電素子を使ったLNG冷熱回収気化器概念図 N P 熱電素子 300K 300K 300K 300K 提案 温度差を電気エネルギーに 変換する熱電素子を 用いたエネルギー回収 海水 LNG 〜 120K 従来のLNG気化器概念図

熱電素子とは? 電圧計 高温 電圧計 低温 金属の両端が同じ温度では、 何も起こらない 温度差があると、 起電力発生 5/11 熱電素子とは? 電圧計 高温 電圧計 低温 金属の両端が同じ温度では、 何も起こらない 温度差があると、 起電力発生 BiTe(室温以上向け,実用化されている材料の一つ),   BiSb(低温向け)の性能がよい → Bi系材料 エネルギー変換効率が10%以下と小さい  過去に電力回収の検討 → 変換効率の低さ故、採用されず

熱電素子材料開発の指針 a Z = r k † 例えば、磁場中における性能指数の改善例(単結晶BiSb) ゼーベック係数 α 大 6/11 熱電素子材料開発の指針 熱電素子の性能は、性能指数Zを使って表され、より大きなZを持つ材料が求められている a 2 α:ゼーベック係数 ρ:抵抗率 κ:熱伝導率 Z = r k 例えば、磁場中における性能指数の改善例(単結晶BiSb) Z(B)/Z(0) 性能指数 改善領域 ゼーベック係数 α 大 抵抗率     ρ 大 熱伝導率    κ 小 † 改善率 熱電素子に磁場を印加することに よって性能改善の可能性が十分ある (磁場効果) 磁場強度 B

7/11 マイクロワイヤーアレイ構造の採用 熱電素子の材料を、熱伝導率の低いガラスなどの絶縁物と一緒に形成することによって、素子自体の熱伝導率低下を行う.さらに磁場を印加することによって、固体中のサイクロトロン周波数を制御  これによって、熱電素子の発電効率が向上 25mm 例 直径25μmのBiをワイヤー状にならべ、それをガラスで束ねてアレイ化したもの

何故マイクロワイヤーか? ナノワイヤーを何故やらないか? 8/11 何故マイクロワイヤーか? ナノワイヤーを何故やらないか?  量子効果を得るためには、直径が約10nm以下、温度100K以下が必要。この条件では、エネルギー変換素子としての希望は、薄い。 なぜマイクロワイヤーか?  ワイヤーの長さL,ワイヤーの直径Dとすると、L/Dが大きいほど、磁場中で熱電素子の性能が向上。 Lは現実的に数mmであるため、L/D=100とするためには、Dがマイクロサイズになる。

素子の大きさとして 即、実用化可能 ワイヤー素子の模式図とSEM写真 約2mm ワイヤー端部のSEM写真 約2mm 約1mm 〜 温度差方向 9/11 ワイヤー素子の模式図とSEM写真 ワイヤー端部のSEM写真 約2mm 約2mm 温度差方向 約1mm 〜 2.5mm 25μm 熱電材料(Bi) ガラス 素子の大きさとして 即、実用化可能

磁場効果,マイクロワイヤーアレイ構造素子を扱う上での 10/11 実用化にむけての課題 磁場効果,マイクロワイヤーアレイ構造素子を扱う上での すべての要素技術の開発に成功 実用化に向けて、さらなる研究開発 ワイヤー直径が1μmまでの素子の作製・性能評価 マイクロプラズマを用いた結晶方位の制御 BiSb,BiTe系材料を使ったサンプル作製 磁場中での熱伝導率の測定 より長いワイヤーサンプル作製 P型材料(BiSn,BiPb)のサンプル作製 ナノワイヤーアレイ素子の検討

11/11 最近の成果 Y. Hasegawa, Y. Ishikawa, et al., Appl. Phys. Let., Vol. 85 pp.917-919 (2004) T. Kikuchi, Y. Hasegawa, H. Shirai, Journal of Physics D, Vol. 37, pp.1537-1543 (2004) Yasuhiro HASEGAWA, Takashi KOMINE et al, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 43, pp.35-42 (2004) Yoshie IKEDA, Tetsuji ITO et. al., Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 43, pp.5960-5966 (2004) Atsushi Suzuki, Yasuhiro Hasegawa et al., Rev. Sci. Inst. Vol. 76, 023907 (2005) Yasuhiro Hasegawa, Yoshiaki Ishikawa et al., J. Appl. Phys. Accepted. T. Komine, T. Takahashi et al., J. Appl. Phys. Accepted T. Komine, T. Takahashi et al., J. Magn. Soc. Jpn. Accepted 査読 付き 論文 特願2005-7128,「熱電変換素子とその製造方法」,出願日 平成17年1月14日 特願2005-3232,「熱電素子における接合電極の形成方法及び多孔体熱電素子」,出願日 平成17年1月7日 特願2003-384317,「ヒートナイフ」,出願日 平成15年11月13日 特願2003-058033,「熱電変換モジュール及びその製造方法」,出願日 平成15年3月5日 特願2003-4364,「顕微鏡,顕微鏡用マイクロプラズマアレイ,表面観察方法、及び表面改質方法」,出願日 平成15年1月15日 特願2003-7438,「マイクロプラズマ生成装置,プラズマアレイ顕微鏡,及びマイクロプラズマ生成方法」,出願日 平成15年1月15日 特願2002-265834,「熱電材料の製造法」,出願日 平成14年9月11日 特許