禁煙治療の安全性 1.

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禁煙治療の安全性 1

安全に関する分科委員会 委員長 Neal Benowitz University of California San Francisco, USA Carolyn Dresler Arkansas Department of Health, USA Steve S Hecht University of Minnesota, USA John Hughes University of Vermont, USA Anne M Joseph Minneapolis VA Medical Center, USA Jacques Le Houezec Freelance consultant (France), and University of Nottingham, UK Cheryl Oncken University of Conneticut, USA Maxine Stitzer Johns Hopkins University, USA    2

ニコチンかタバコ煙か タバコ由来のニコチンの主要な有害作用は、タバコ使用 を持続させる依存である1-2 健康への有害作用の大部分は、ニコチンではなく、タバ コ煙に含まれる他の毒性物質である3-4 4000以上の化学物質 タール、一酸化炭素、刺激性のあるオキシダントガス 80以上の発がん物質 (11 はグループ1の発がん物質)5 ニコチン依存のためにタバコ煙の中の有害物への曝露が 持続することとなる 1 USDHHS. The Health Consequences of Smoking: Nicotine Addition. 1988. 2 Royal College of Physicians. London: 2008. 3 Benowitrz. In Nicotine Safety and Toxicity; pp 185–195 NY: OUP. 4 Hoffman and Hoffman. J Toxicol Environ Health 1997; 50: 307–64. 5 Smith et al. Food Chem Toxicol 2003; 41: 807–817. 3

ニコチンとがん ニコチン自身は、重要ながんの原因ではない1-2 短期間のNRTによるがん関連リスクは、喫煙のリスクに 比較すると、取るに足らないものでしかない ニコチン以外のタバコ煙の成分ががんの原因であると信 じられている3,4 US Department of Health and Human Services. Survey of compounds which have been tested for carcinogenic activity. Bethesda, MD: US Department of Health and Human Services, National Institute of Health, National Cancer Institute, 2001. 1 US Department of Health and Human Services, Bethesda, MD, 2001. 2 Surgeon General's report 2010 3 Hoffman and Hecht. IN Handbook of Experimental Pharmacolgy, pp 63–102; 1990 Heidelberg: Springer-Verlag 4 Hecht. J Natl Cancer Inst. 1999; 91: 1194–1210. 4

ニコチンとがん 齧歯類における研究によると、通常の条件下では、ニコチンに発 がん性はない1 特定の条件下では、発がん性のある、ニコチン由来のニトロソア ミンが体内で形成される2–4 短期間のNRT投与では、そのレベルは低く最小限のリスクでしかない 長期間のNRT投与にともなうリスクがあるか否かを確立するためには さらに研究が必要である ニコチンは細胞あるいは動物実験のシステムにおいて、アポトー シス(細胞死)を阻止し、血管新生を亢進させる5-9 これは、理論上がんの進展を促進する。しかし、このようなリス クは人間においてはこれまで報告されていない 5 Porubin et al. J Agric Food Chem, 2007; 55: 7199-7204. 6 Stepanov et al. Cancer Res. 2009; 69: 8236-8240. 7 Cooke. Life Sci, 2007; 80: 2347-2351. 8 West et al. J Clin Invest, 2003; 111: 81-90. 9 Dasgupta et al. Proc Natl Acad Sci USA, 2006; 103: 6332-6337. 1 US Department of Health and Human Services, Bethesda, MD, 2001. 2 Benowitz et al. J Pharmacol Exp Ther 1994; 268: 296–303. 3 Hecht et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2000; 97: 12493-12497. 4 Carmella et al. Carcinogenesis 1997; 18: 101–106. 5

喫煙と心臓血管疾患(CVD) 喫煙によって心臓血管疾患のリスクが増加する 心臓血管疾患のリスクを増加する喫煙関連の要因は以下の通り 血栓発生率の増加 一酸化炭素 酸化損傷 高脂質血症 禁煙によって、1~3年以内にリスクが著しく減少する1,2 NRTを用いた禁煙治療によって、上記の要因を取り除くことが できる3 1 Rosenberg et al. N Engl J Med. 1990; 322: 213–217. 2 Rosenberg et al. N Engl J Med. 1985; 313: 1511–1514. 3 Ludviksdottir et al. J Intern Med. 1999; 246: 61–66. 6

NRTと心臓血管疾患 NRTは、喫煙と並行して処方した場合でも、ほとんどの心臓 血管疾患患者が安全に使用することができる1–3 1 Joseph et al. N Engl J Med. 1996; 335:1792–1798. 2 Tzivoni et al. Cardiovasc Drugs Ther. 1998; 12:239–244. 3 Working Group. Arch Intern Med. 1994; 154:989–995. 4 Greenland et al. Drug Saf. 1998; 18: 297–308. 5 Mills et al. Tob Induc Dis. 2010; 8: 8. 6 Hays & Ebbert. Drugs. 2010; 70: 2357-2372. 7 Benowitz. Prog Cardiovasc Dis. 2003; 46: 91-111. 8 Joseph & Fu. Prog Cardiovasc Dis. 2003; 45: 429-441. 9 Hubbard et al. Tob Control. 2005; 14: 416–21. 7

喫煙、 NRTと妊娠 妊娠中の喫煙は、妊娠および子供に有害である1–5 有害性は、タバコの煙に含まれる多くの毒性物質によってもたらさ れる ニコチンは、胎児の奇形起因の可能性がある物質である ニコチンは、妊婦の産科合併症や乳児突然死症候群の要因であ ると考えられている6,7 NRTの利点は、妊娠中の喫煙によるリスクを上回る8 胎児が、タバコの煙中の他の毒性物質にさらされることを防ぐ ニコチン全摂取量とニコチンにさらされる時間の低減 1 USDHHS. Surgeon General's Report. 2001. 2 Steyn et al. Paediatr Perinat Epidemiol. 2006; 20: 90-99. 3 Fried et al. Neurotoxicol Teratol. 1998; 20: 293-306. 4 Jacobsen et al. Neuropsychopharmacology. 2007; 32: 2453-2464. 5 Romano et al. Pediatrics, 2006; 117: 2101-2110. 6 Slotkin et al.. Brain Res Bull. 1995; 38: 69-75. 7 Slotkin et al. Neuropsychopharmacology. 2006; 31: 2462-2475. 8 Benowitz & Dempsey. Nicotine Tob Res. 2004; 6 Suppl 2: S189-202. 8

ニコチン置換療法 NRTは、ニコチンのみを伝達し、タバコの毒性物質を伝 達しない1 NRTは、禁断症状の対処に有効である2 1 Benowitz & Gourlay. J Am Coll Cardiol. 1997; 29: 1422-1431. 2 Silagy et al. Cochrane Database Syst Rev. 2004; (3): CD000146. 3 Le Houezec. Int J Tuberc Lung Dis. 2003; 7: 811-819. 9

喫煙とNRTの血漿 ニコチン 濃度 14 12 10 8 ニコチン濃度の増加 ( ng/ml ) 紙巻タバコ ガム 4 mg ガム 2mg インヘラー 鼻スプレー パッチ 6 4 2 This chart illustrates (schematically) plasma nicotine concentrations for a ‘single dose’ of a number of different nicotine delivery systems. It shows that a cigarette is the ‘formula one car’ of nicotine delivery. In contrast, NRT products provide slower, less variable plasma nicotine concentrations, which means that, while they alleviate nicotine withdrawal symptoms, the addictive potential of these products is minimised. References for this slide: Balfour DJ & Fagerström KO. Pharmacol Ther 1996; 72:51–81 5 10 15 20 25 30 分 Source: Balfour DJ & Fagerström KO. Pharmacol Ther. 1996; 72: 51-81. 10

NRTの乱用の可能性 現状のNRTの乱用や依存症の頻度は、まったくない(パ ッチ)か、非常に低い(ニコチンガム、鼻スプレー、イ ンヘラーで10%未満)1 ニコチン伝達の速い製品ほど乱用や依存症の可能性が高 いとされるが、タバコ製品と比較すると低い2–4 依存症を発生した場合でも、喫煙者が禁煙を持続できる 場合は全体として健康上の利点がある 1 West et al. Psychopharmacology. 2000; 149: 198-202. 2 Stitzer & de Wit. In: Benowitz, NL. Nicotine Safety and Toxicity. pp. 1998 119-131 New York, Oxford University Press. 3 Henningfield & Keenan. J Consult Clin Psychol. 1993; 61: 743-750. 4 Hughes. In Nicotine Safety and Toxicity, 1998; pp. 147-157. New York: OUP 11

ブプロピオンの安全性 喫煙者は、一般的にブプロピオンに対して忍容性が良好 である 禁煙を目的とするブプロピオン処方は、ほとんどの喫煙 者にとってリスクを差し引いても有益である1–3 心臓血管疾病患者に対するブプロピオンの試験では、心 血管への有意な副作用は認められていない4-5 妊婦に対する安全性のデータは結論が出ていない ブプロピオンは、高い依存性がないと考えられている6–9 1 Hurt et al. N Engl J Med. 1997; 337: 1195-1202. 2 Jorenby et al. N Engl J Med. 1999; 340: 685-691. 3 Cox et al. J Gen Intern Med. 2004; 19: 828-834. 4 Joseph & Fu. Prog Cardiovasc Dis. 2003; 45: 429-441. 5 Tonstad et al. Eur Heart J. 2003; 24: 946-955. 6 Peck et al. Br J Clin Pharmacol. 1979; 7: 469-78. 7 Miller & Griffith. Psychopharmacology. 1983; 80: 199-205. 8 Margolin et al. Drug Alcohol Depend. 1995; 40: 125-31. 9 Rush et al. Exp and Clin Psychopharmacol. 1998; 6: 32-44. 12

バレニクリンの安全性 喫煙者は、一般的にバレニクリンに対して忍容性が良好 である1-3 もっともよく見られる副反応は悪心 (30-40%)で、時に は嘔吐をともなう4-6 バレニクリンは、重篤な腎障害を有する者、妊娠中の喫 煙者、あるいは授乳中の喫煙者を除き、18歳以上のすべ ての喫煙者に対して認可されている バレニクリン服用の喫煙者における自殺を含む精神障害 の報告が数例あったのち警告が発せられた。ただし、試 験中には自殺は観察されていない7-8 1 Williams et al. Curr Med Res Opin. 2007; 23: 793-801. 2 Cahill et al. Cochrane Database Syst Rev. 2011; (2): CD006103. 3 Stapleton et al. Addiction. 2008; 103: 146-54. 4 Gonzales et al. JAMA. 2006; 296: 47-55. 5 Jorenby et al. JAMA. 2006; 296: 56-63. Erratum in: JAMA, 2006; 296: 1355. 6 Tonstad et al. JAMA. 2006; 296: 64-71. 7 Gunnell et al. BMJ. 2009; 339: b3805. 8 Stapleton et al. Addiction. 2008; 103: 146-154. 13

その他の薬剤の安全性 健康な喫煙者を対象とする禁煙の試験では、鬱治療で承 認されている量のノルトリプチリン、モクロベミド、ク ロニジンの処方は安全であると報告されている1-5 禁煙目的の抗鬱剤の使用は、規制当局による承認は得てい ない これらの薬剤は、過量により強い毒性をともなう 1 Hughes et al. Cochrane Database Syst Rev. 2007; (1): CD000031. 2 Hughes et al. Nicotine Tob Res. 2005; 7: 491-499. 3 Berlin et al. Clin Pharmacol Ther. 1995; 58: 444-452. 4 Gourlay et al. Cochrane Database Syst Rev. 2004; (3): CD000058. 5 Fiore. Respir Care. 2000; 45: 1200-1262. 14

喫煙と並行した処方 喫煙と並行してNRTやブプロピオンやバレニクリンを処 方しても、忍容性は良好である1–7 一般的に、ベースライン時点よりも喫煙量は低下する これによって、健康への害が低下する 並行処方の有益性は、科学的には実証されていない NRT処方による減煙は、その後の禁煙率を上昇させる8-12 1 Benowitz et al. J Pharmacol Exp Ther. 1998; 287: 958-962 2 Bjornson-Benson et al. Addict Behav. 1993; 18: 491-502. 3 Hurt et al. N Engl J Med. 1997; 337: 1195-202. 4 Jorenby et al. N Engl J Med. 1999; 340: 685-91. 5 Zevin et al. Clin Pharmacol Ther. 1998; 64: 87-96. 6 Gonzales et al. JAMA. 2006; 296: 47-55. 7 Jorenby et al. JAMA. 2006; 296: 56-63. 8 Bolliger et al. BMJ. 2000; 321: 329-333. 9 Wennike et al. Addiction. 2003; 98: 1395-1402. 10 Batra et al. Clin Pharmacol Ther. 2005; 78: 689-696. 11 Rennard et al. Nicotine Tob Res. 2006; 8: 555-564. 12 Kralikova et al. BMC Public Health. 2009; 9: 433. 15

「低リスク」タバコ 「低リスク」タバコは、低タールタバコ、「軽い」タバコ、 燃焼を最低限に押さえてニコチンを伝達する新製品などが含 まれる 低タールタバコは、有害性の著しい低下が確認されていない が、依存症の持続に充分なニコチンが含まれている1-6 一部の新製品には、毒性物質伝達レベルの低下が認められる 製品もあるが、より多量の一酸化炭素を伝達する製品もある。 いずれも、有害性の低下や禁煙効果は確認されてはいない7-9 禁煙治療の薬剤は、どの「低リスク」タバコよりも安全であ ると考えられている 1 NCI Monograph 13. 2001. 5 Bernert et al. Nicotine Tob Res. 2005; 7: 729-738. 2 NCI Monograph 7. 1996. 6 Blackford et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2006; 15: 1799-1804. 3 Hecht et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2005; 14: 693-698. 7 Fagerström et al. Tob Control. 2000; 9: 327-333. Erratum in: Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2006; 15: 1568. 8 Pauly et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 1998; 7: 967-979. 4 Benowitz et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2005; 9 Buchhalter & Eissenberg. Nicotine Tob Res. 2000; 2: 39-43. 14: 1376-1383. 16

電子式ニコチン伝達装置 (Electronic Nicotine Delivery Devices) 電子式ニコチン伝達装置(ENDD)は、基本的には、口腔から 咽頭へのニコチン伝達装置である ENDD によって体循環に得ることのできるニコチン量は比較 的小さいが、カートリッジ内のニコチン量は相当な量であ る (16-18 mgまで)1 ある製品に検出された少量の汚染物質(たとえばTSNA)が健 康への関心を引き起こしている2 症例報告、調査、そして小規模の研究によると、 ENDD は、 禁煙に役立ちそうに思われる3-6 製品の標準化(規制機関による監視)や臨床レベルの研究、 さらには公衆衛生レベルの研究が必要である2 1 Bullen et al. Tob Control. 2010; 19: 98-103. 4 Siegel et al. Am J Prev Med. 2011; 40: 472-475. 2 Etter et al. Tob Control. 2011; 20: 243-248. 5 Trtchounian et al. Nicotine Tob Res. 2010; 12: 905-912. 3 Etter. BMC Public Health. 2010; 10: 231. 6 Vansickel et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2010; 19: 1945-1953. 17

無煙タバコ 嗅ぎタバコやかみタバコは、有害性の低下や禁煙に効果があると 示唆されてきた1 しかし、これらの製品は口腔癌の原因となることが知られている 2–3 無煙タバコの配合は国によって異なり、その有害性も異なる 4–7 無煙タバコも依存性があり、禁煙補助手段としては奨められてい ない NRTやブプロピオン、バレニクリンの安全性や効果の方が広く実 証されている 1 Radical strategies for prevention and harm reduction in nicotine addiction. Royal College of Physicians; 2008. 2 International Agency for Research on Cancer. IARC Monographs Vol. 89. Smokeless Tobacco and Some Tobacco-specific N-Nitrosamines. 2007. 3 US Surgeon General. Public Health Service, Bethesda, MD, NIH Publ. No. 86-2874, 1986 4 Hecht. Chem Res Toxicol. 1998; 11: 559-603. 5 Hoffmann et al. J Natl Cancer Inst. 1995; 87: 1832-1869. 6 Osterdahl. International Agency for Research on Cancer Scientific Publications 105, 235-237, 1991. 7 Stepanov et al. Nicotine Tob Res. 2008; 10: 1773-1782. 18

長期的な薬物療法 長期的な薬物療法は、喫煙を薬剤の処方と置き換えることを 目的とする1-3 長期的なNRTやブプロピオン、バレニクリンの処方は、 喫煙よりもはるかに安全だと考えられているが、効果は まだ実証されていない4-7   鬱治療のための長期的なブプロピオンの処方の経験によ り、その忍容性は良好であることが示唆される6 タバコ消費量の減少が長期間継続したとしても、依然と して健康へのリスクがあるというエビデンスがある8 1 Anderson & Hughes. Addiction. 2000; 95 Suppl 1: S9-11. 2 IOM report. Clearing the Smoke: Assessing the Science Base for Tobacco Harm Reduction. Washington DC, 2001. 3 Radical strategies for prevention and harm reduction in nicotine addiction. Royal College of Physicians; 2008. 4 Stead & Lancaster. Cochrane Database Syst Rev. 2007; (3): CD005231. 5 Murray et al. Chest. 1996; 109: 438-445. 6 Cox et al. J Gen Intern Med. 2004; 19: 828-834. 7 Tonstad et al. JAMA. 2006; 296: 64-71. 8 Godtfredsen et al. J Epidemiol Community Health. 2003; 57: 412-416. 19

若年喫煙者に対する安全性 多くの青少年がニコチン依存症に陥っている1 青少年の喫煙者に対するNRTやブプロピオン、バレニク リンの処方が、成人喫煙者への処方よりも高いリスクを ともなうという理由は殆どない 青少年の喫煙者に対するNRTやブプロピオン処方の効果 は明らかではない2-10 青少年の喫煙者に対するバレニクリンの効果はまだ研究 されていない 1 USDHHS. A Report of the Surgeon General. 1994. 2 Colby & Gwaltney. JAMA. 2007; 298: 2182-2184. 3 Hanson et al. Nicotine Tob Res. 2003; 5: 515-526. 4 Hanson et al. Drug Alcohol Depend. 2008; 95: 164-168. 5 Killen et al. J Consult Clin Psychol. 2004; 72: 729-735. 6 Monuteaux et al. J Clin Psychiatry. 2007; 68: 1094-1101. 7 Moolchan et al. Pediatrics. 2005; 115: e407-e414. 8 Muramoto et al. Arch Pediatr Adolesc Med. 2007; 161: 1068-1074. 9 Roddy et al. Tob Control. 2006; 15: 373-376. 10 Upadhyaya et al. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2004; 43: 199-205. 20

提言 心血管疾患を有するものも含めて、すべての喫煙者に対 してニコチン置換療法、ブプロピオン、あるいはバレニ クリンを提供するべきである 妊娠中の喫煙者には、薬剤治療を提供する前に、教育的 及び行動科学的な介入を用いて、禁煙を試みるよう奨励 するべきである。もし、そのような禁煙の試みが成功し なかった場合、薬剤治療のリスクと利点を考慮して当該 の妊婦に説明するべきである。薬剤治療を使用するか否 かの決定は、当該妊婦と主治医との間でよく話し合った 後に個々になされるべきである 21

今後研究するべき分野 喫煙妊婦における禁煙の補助のためのニコチン製品や他の薬剤の安 全性の研究、これには妊娠中に薬剤が提供された母親からの新生児 の健康や発育に対する影響を含む SIDS の発生におけるニコチン対他の毒性物質の役割に関する前臨 床的及び臨床的研究 ハイリスクグループ(妊娠、アルコール乱用、脳卒中あるいは他の 脳損傷におけるブプロピオン)の安全性 ハイリスクグループ(精神疾患、心血管疾患、アルコール及び薬物 乱用、妊娠)におけるバレニクリンの安全性 青少年の禁煙補助におけるニコチン及び他の薬剤の安全性 新しいニコチン伝達装置の健康への利益と害、これには(青少年に おける)喫煙開始への影響、紙巻タバコとの併用によるニコチン摂 取量の増加への影響、そして禁煙に対する悪影響(禁煙せずにスイ ッチする)が含まれる 22

今後研究するべき分野 タバコ製品や関連製品への曝露指標や健康影響の代替指標の開発 紙巻タバコの喫煙を減らす、あるいは禁煙を維持するために長期間 ニコチン置換療法あるいは他の薬剤を使用することの安全性 口腔内タバコ(たとえばスヌース)の禁煙、ハームリダクション、 あるいは一時的な禁煙の間の禁断症状の軽減における安全性と効果 禁煙の理由以外のために新しいタバコ製品あるいは口腔内タバコ製 品を使用することは、禁煙への動機づけを邪魔するか? バレニクリンと精神異常との関連に関する、前向きの研究を含むよ り厳密なデザインの研究 減煙と喫煙リスクの軽減との関連に関するよりよい疫学研究 23