数値一般相対論の 現状と展望 ~コンピュータで再現する 一般相対論の世界~

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数値一般相対論の 現状と展望 ~コンピュータで再現する 一般相対論の世界~ 数値一般相対論の 現状と展望 ~コンピュータで再現する   一般相対論の世界~   柴田 大   京都大学 基礎物理学研究所

1 数値相対論がなぜ必要か 一般相対論的現象が観測可能になってきた ⇒ 未知の重力現象の発見とその応用が可能 1 数値相対論がなぜ必要か 一般相対論的現象が観測可能になってきた ⇒ 未知の重力現象の発見とその応用が可能 重力波源からの重力波の正確な波形の予言が求められている 超新星爆発やガンマ線バーストの理論的 解明/予言が求められている 高密度星(中性子星、ブラックホール)の 誕生過程はいまだに謎である:要予言 高次元時空での高速粒子によるブラックホールの形成率が知りたい(LHC)、 など

① 重力波天文学 LIGO: Hanford 数kmサイズの 検出器が完成 感度向上中 VIRGO: Pisa TAMA300

振幅h 現状 f -1/6 2014~ 合体 周波数 f (Hz) Advanced LIGO 距離 3億光年 を仮定 ~数分 距離 3億光年 を仮定 周波数 f (Hz) BH:10太陽質量、NS:1.4太陽質量を仮定

連星中性子星の合体⇒中性子星形成 合体前  ←  → 合体後

連星の合体は理想的な実験系でもある 連星中性子星の合体=巨大核物質の衝突 ⇒ 高密度核物質の性質が現れる ⇒ 状態方程式の制限に使える 連星中性子星の合体=巨大核物質の衝突                      ⇒ 高密度核物質の性質が現れる       ⇒ 状態方程式の制限に使える ⇒重力波観測+数値相対論モデルとの比較 ⇒ 重力波観測による原子核物理                      f=(GM/r3)1/2/p 合体時、より高周波数

② 高エネルギー宇宙物理学 大質量星の重力崩壊によるブラックホール形成/ 連星中性子星の合体 ↓ ガンマ線バースト ② 高エネルギー宇宙物理学 大質量星の重力崩壊によるブラックホール形成/ 連星中性子星の合体     ↓  ガンマ線バースト 数秒で ~1051 erg    のガンマ線放射

ガンマ線 バースト源 ≒ ブラックホール+高温・高密度トーラス どれが本当 か未解明

③ LHC どんな時ブラックホールが 発生するか?

2 数値相対論とは これらの連立方程式を解いて、時間変動する 宇宙現象を明らかにするのが数値相対論 ‥‥ アインシュタイン方程式 2 数値相対論とは ‥‥ アインシュタイン方程式   (時空の曲がり=物質の状態) ‥‥ 運動方程式(主に流体)       (+状態方程式) さらには電磁場、輻射輸送 これらの連立方程式を解いて、時間変動する   宇宙現象を明らかにするのが数値相対論

アインシュタイン方程式の構造 大雑把には、連立波動方程式(非線形) これを通常は差分法で解く

数値相対論の概要 Horizon Time Black Hole 重力崩壊 流体力学的 相互作用 重力場の 激しい変動 重力波 Space

流れ図 a, b i EOS, n冷却    磁場 特異点の回避 あるいはAMR

数値的相対論を行うにあたって必要な要素 1. Einstein’s evolution equations solver 2. GR Hydrodynamic equations solver 3. Gauge conditions (coordinate conditions) 4. Realistic initial conditions 5. Gravitational wave extraction techniques 6. Apparent horizon (Event horizon) finder 7. Special techniques for handling BHs 8. Micro physics (EOS, neutrino processes, B-field, radiation transfer …) 9. Adaptive mesh refinement

現状:今後の課題は物理素過程の精緻化 ○ 1. Einstein’s evolution equations solver △ 1. Einstein’s evolution equations solver 2. GR Hydrodynamic equations solver 3. Gauge conditions (coordinate conditions) 4. Realistic initial conditions 5. Gravitational wave extraction techniques 6. Apparent horizon (Event horizon) finder 7. Special techniques for handling BHs 8. Micro physics (EOS, neutrino processes, B-field, radiation transfer …) 9. Adaptive mesh refinement 未着手

いくつかの本質的発展 ① アインシュタイン方程式解法の確立 いくつかの本質的発展 ① アインシュタイン方程式解法の確立 拘束条件つきの非線形・波動方程式なので、 定式化・解法に工夫が必要。                ゲージの選択も本質的だった。                手法は確立:以下どれも強力 BSSN形式+動的ゲージ(簡単) 一般化されたハーモニックゲージ形式 KST形式+一般化されたハーモニックゲージ

 ② ブラックホール時空発展の確立 座標特異点 特異点に 激突 Crash!

Black hole excision (Unruh) いくつかの手法が確立

③ Adaptive mesh refinementの確立 2体問題での難所=2つの特徴的長さが存在 星の半径 R ~1-6 Gm/c2 m = each mass 重力波の波長 l ~ p(r3/GM)1/2 M = total mass, r = separation > ~7GM/c2  l > ~50 GM/c2 ~ 100 Gm/c2 l >> R 星を分解しながら、波動帯までグリッドを  張る必要あり。一様グリッドはNO。

Adaptive Mesh Refinement Lmin ~ 4GM/c2 Lmax > l 1 Box 当たり ~ 1003 階層レベルの数 ~ 10程度(10+5) 変数の数 ~ 200-300  メモリ ~10 GBytes  数%精度の計算ならCorei7Xで十分可能 !!

3 現状と展望 2体問題(連星ブラックホールや連星中性子星の合体)のシミュレーションは問題なく可能        ⇒ 今後は、中性子星の精緻化、高精度計算、 パラメータサーベイ(質量、EOS、スピン) 重力崩壊、超新星爆発計算には:       磁気流体、現実的EOSの取り込みなど、問題なく出来る。問題は、物理過程の正確な考慮:                               ① 小スケールの磁気流体不安定性の解像   ② ニュートリノ輻射輸送を考慮すること                        ⇒ 巨大計算機が必要(次世代SC以降の課題)

現状 ① ブラックホール-中性子星連星 (久徳、柴田、谷口) 現状 ① ブラックホール-中性子星連星 (久徳、柴田、谷口) 5周以上の軌道+合体の計算が可能 興味 潮汐破壊の条件と重力波波形への反映 ブラックホール周りに円盤が誕生するか

潮汐破壊の条件は質量と半径に依存 中性子星1.2Msun 、ブラックホール2.4Msun 、中性子星の半径はおよそ11.6 km C:\cygwin\home\HB_q2_M12.gif 中性子星1.35Msun 、ブラックホール4.05Msun 、中性子星の半径はおよそ11 km file://C:\cygwin\home\B_q3_M135.gif EOSはpiecewise polytrope でモデル化 アニメーションは久徳君(基研)による

MBH=2.7Msun, MNS=1.35Msun 潮汐破壊 R=15.2 km 潮汐破壊弱い R=11.6 km sudden shutdown 潮汐破壊 R=15.2 km BH ringdown 潮汐破壊弱い R=11.6 km

Results with piecewise polytrope Clear dependence on NS radius For all, 1.35-2.7Msun advLIGO/10 advLIGO PP. Newton Point particle Larger radius of NS 15.2km 12.3km 10.3km 2k 3k 4k Preliminary Kyutoku, Shibata + 2010 11.6km

② 連星中性子星の合体 (木内、関口、柴田、久徳、谷口、、、) ② 連星中性子星の合体                 (木内、関口、柴田、久徳、谷口、、、) 5周以上の軌道+合体の計算が可能 現状では、簡略モデル化された状態方程式 興味 合体時の重力波波形 合体後はブラックホール or 中性子星? ブラックホール周りに円盤が誕生するか

Merger to BH 1.5Msun 1.5Msun Kiuchi et al. (2010) Akmal-Pandharipande-Ravenhall EOS Kiuchi et al. (2010)

1.3 Msun 1.6 Msun

Merger to NS 1.3Msun 1.3Msun Lapse Akmal-Pandharipande-Ravenhall EOS Shibata & Taniguchi, PRD 73, 064027 (2006)

異なるEOS:For all, 1.35-1.35 Msun R=11.6 km R=11.0 km R=10.7 km NS  BH One-moment NS  BH R=11.0 km BH R=10.7 km

For all, 1.35-1.35 Msun NS  BH R=11.6 km NS R=15.2 km

Fourier spectrum For all, 1.35-1.35Msun heff ~ f -1/6 advLIGO 11.6km advLIGO/10 heff ~ f -1/6 PP. Newton QNM of BH R=15.2 km Appreciable dependence on EOS in high frequency Blue=11.0km Pink=10.7 km Cyan=10.3 km 3 4 k

③ 現実的状態方程式+ニュートリノ損失を考慮したシミュレーション (関口、木内、久徳、柴田、、) ③ 現実的状態方程式+ニュートリノ損失を考慮したシミュレーション (関口、木内、久徳、柴田、、) ShenのEOSを採用 ニュートリノ漏れ出し法によるニュートリノ放射 放射されるニュートリノを補助場で表現 今のところニュートリノ加熱は無視

Very preliminary result (ongoing) Density profiles

④ 重力崩壊によるブラックホールの形成 関口(NAOJ) 種族III星の重力崩壊(初期に、等エントロピー星の崩壊):初期質量約150 太陽質量 星の進化で予言された回転則を用いる ShenのEOSを採用 ニュートリノ漏れ出し法によるニュートリノ放射 放射されるニュートリノを補助場で表現 今のところニュートリノ加熱は無視

重力崩壊初期 Weak bounce due to gas pressure

密度[log10(g/cm3)] km 関口による計算と動画化 重力崩壊後中心にはブラックホールが誕生:     その質量は約7太陽質量

ニュートリノ光度:Log(erg/cm3/s)

Electron fraction

Entropy (s/k)

Neutrino emission Neutrino emission from the torus AH formation

⑤ 高速ブラックホールの2体衝突:5次元 (大川、柴田、吉野) ⑤ 高速ブラックホールの2体衝突:5次元 (大川、柴田、吉野) Critical impact parameter; v=0.6c C:\cygwin\home\alpha_v0.6b3.3.gif Slightly larger impact parameter file://C:\cygwin\home\alpha_v6b3.36.gif BHは等質量スピンなし。ラプス関数を表示。 アニメーションは大川君(基研)による

ブラックホールの軌跡 5次元の場合(v=0.65c) Cross section  BH production rate

4 まとめ 数値相対論は近年の進展の結果成熟期に。 相対論の世界がコンピュータで再現可能。 4 まとめ 数値相対論は近年の進展の結果成熟期に。 相対論の世界がコンピュータで再現可能。 物理プロセスが簡単な2体問題(BH-BH、BH-NS,NS-NS)については高精度の計算が可能                                       ⇒ 重力波波形のモデル化 マイクロ物理を取り入れた計算も開始: ブラックホールへの重力崩壊、連星中性子星の合体への応用 磁気流体計算法も整備されてきた

課題と今後 磁気流体計算(例、中性子星磁場):十分な高解像度で、様々な磁気流体不安定性を分解しないと、物理的シミュレーションにならない                   ⇒ 力任せにやるしかない。さらなる、大規模計算が必要(Dx ~ 10 m程度が必要) 輻射(ニュートリノ過程)の効果を精緻化する必要あり:最終目標は6Dボルツマンを解くことだが長期的課題。まずは、計算手法の確立。 新しい応用の探求:高次元、AdS/CFT

Piecewise polytrpoe by UWM Necessary only for massive NS Log P (cgs) G3 4 parameters G2 P1 EOS of NS is stiff: G1=2.7—3.0 G1 G0~4/3 Log r (g/cm3) Fixed for crust 14.7 15.0 We approximately know