銀河形成シミュレーション: 銀河形成における major mergerの役割

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銀河形成シミュレーション: 銀河形成における major mergerの役割 斎藤貴之 国立天文台天文学データ解析計算センター saitoh.takayuki@nao.ac.jp ApJL submitted ”Coevolution of the galactic cores and spiral galaxies” Saitoh & Wada ALMAによるhigh-z銀河 2004.7.23

概要 階層的構造形成宇宙の元での銀河形成シミュレーションから銀河中心部の進化について調べた ・銀河の中心部(R<0.3kpc)の成長 ・平均的には銀河の質量成長に比例 ・細かく見ると、間欠的な合体による急速な成長を繰り返す ・ガスダイナミックス ・中心部ガス円盤と銀河ガス円盤の角運動量の向きは異なる ・Mergerのorbit A.M. 影響

Our universe. 宇宙初期の量子的な揺らぎ 宇宙膨張の中で重力により成長 ある臨界を超えると宇宙膨張から切り離されて重力崩壊 崩壊した領域では力学平衡な天体を形成 CDM宇宙では 小さな塊が先につぶれる 塊同士が合体成長より大きな構造を作る Hierarchical Clustering Universe.

Galaxy Formation in Cold Dark Matter Universe. 宇宙の質量の大半はCDMでしめられている Galaxy Formation  Hierarchical clustering 小さな構造が先に出来、それらが合体してより大きな天体が形成される Tidal field よりトルクを受けたハローは回転をはじめる Baryon は radiative cooling によってエネルギーを失い、ダークハローの底に集まる Mergingで成長するのはspheroidal 中心部 中心部の成長は、high-z Merging Smooth な降着 Spheroidal formation (e.g. Toomre 1977) Disk formation (e.g. Katz & Gunn 1991) 銀河の形態

銀河/銀河核の共成長? Spheroidal 形成とSMBHの形成が 強くリンクしていることを示唆している McLure & Dunlop (2002)

本研究 超高分解能銀河形成シミュレーションにより、銀河中心部(~Spheroidal)の成長を調べる Q1.Spheroidal と Galaxyの成長は? Q2.Mergingによる影響は? 準解析的手法 観測的示唆 観測的示唆 本研究 今後

Method & Init Condition Dark Matter:Self gravity Baryon:Self gravity, Hydro, Radiative Cooling、 Star Formation Code : Tree+GRAPE SPH Gravity:Tree+GRAPE (e.g. Makino 1990) Hydro:SPH (e.g. Lucy 1977) Cooling (10K<T<108K ,Z=0) Star Formation (C☆=1/30) HubbleFlow M=1010M◎ λ=0.05 zi~87 zc~3 CDM perturbation DM: Baryon: M>105M◎ のクラウドの自己重力崩壊まで追うことが可能 (Bate&Burkert 1997)

SPH : 分解能 SPH法で正確に追えるJeans質量はMj>2xNnbxMsph (Bate & Burkert 1997) μ=0.59、比熱比=5/3 SPH法で正確に追えるJeans質量はMj>2xNnbxMsph (Bate & Burkert 1997)

放射冷却 ・10K<T<108K ・Molecular Hydrogen cooling ・Opt. thin Free-Free 電離ガスは、自由電子とイオンから成る。高温では激しく運動している。 クーロン力によって引かれあい、軽い電子の軌道が変わるエネルギー(光)放出 水素の三体反応による分子形成 回転・振動遷移 衝突誘起による水素分子の連続波的な放射 ~2000Kでの水素分子乖離の吸熱反応 Spaans & Norman 1997 Wada & Norman 1999

Star Formation ・星形成の条件 ・High density (n>0.1/cm3)&(ρgas>200ρbackground) ・Low-T (T<30.000) ・Converging (∇・v < 0) ・すべての条件を満たした粒子は、~30dynamical time程度で非衝突粒子に置き換える(e.g. Katz 1992) ・超新星爆発などのFeedback等は考慮していない(つぎのmodelで)

Movie : 4Dデジタルシアター ・Simulation実行 斎藤貴之(NAOJ) ・可視化 武田隆顕 (NAOJ) ・2x106 particles in this simulation. ・Total 100 sec. 収録につきmovieはありません ・青:DM ・黄色赤:ガス ・光点:星 Simulation outout:~100GB 可視化用データ:~50GB

Movie : プロ用 ・Simulation実行 斎藤貴之(NAOJ) ・可視化 斎藤貴之 (NAOJ) ・2x106 particles in this simulation. ・Total 31 sec. ・緑:ガス ・赤:古い星 ・青:若い星(age<0.1Gyr) 収録用のmovieです。その他の目的で利用なさりたいかたは斎藤まで連絡して下さい。

Snap Shot at z=2 R<5kpc Rvir R<0.3kpc

銀河質量と中心部(R<0.3kpc)の質量 Baryon Gas f=0.04 Stars Z=7.6 Z=5 Z=10 Z=3.5 Z=12

どこで星が生まれる? ~50%

Central Gas Disk : Movie x-y x-z y-z ・Simulation実行 斎藤貴之(NAOJ) ・可視化 斎藤貴之 (NAOJ) ・2x106 particles in this simulation. ・Total 31 sec. 5kpc 1kpc 収録用のmovieです。 その他の目的で利用なさりたいかたは斎藤まで連絡して下さい。

Evolution of Normalized A.M. R<5kpc x y Z=4.5 Z=3.0,2.5, 2.0 Z=4 Z=3.5 Z=5

Evolution of Normalized A.M. R<0.3kpc x y Z=2.5,2.0 Z=4 Z=4.5 Z=5 Z=3.5

A.M. Spin vector R<0.3kpcとR<5kpc Z=4 Z=2.5,2.0 Z=4.5 Z=3.0,2.5,   2.0 Z=4.5 Z=4 Z=5 Z=3.5 Z=3.5 ・Outer disk と Inner diskの A.M. は decouple. ・Mergingにより、Inner diskの角運動量は大きく変わる

Spin vector & Gas Accretion Rate x y z old new θ ・Spinの変化率とaccretion rateを並べてみる ・供給があったあと数百万年のラグの後にspin vectorの向きが変わる ・dM/dt>0のピークのあとにspinの向きが変わる Time delay 色について 赤: R=0.3kpc 青: R=5kpc 黒: R<Rvir

まとめ ・階層的構造形成宇宙の元での銀河形成シミュレーションから銀河中心部の進化について調べた(z=2まで) ・Simulation ・結果 ・2x100万粒子(baryon/DM)を用いたCDM銀河形成シミュレーション(tophat)  銀河形成と銀河中心部進化を同時に見ることが可能 ・結果 ・銀河中心部の成長はhalo質量の成長と比例関係(~0.04) ・マージングによるステップ関数的な成長(Time delayあり) ・Inner gas diskのA.M.はgalactic diskとdecouple ・Innter disk A.M.の向きは、振ってきた物質の角運動量に依存 ・AGN jets and disks (Seyfert; Kinney et al. 2000、Radio Galaxies; Schmitt et al. 2000)

議論 銀河と銀河中心部の共成長??? ・もし、銀河中心部のある割合がSMBHになるとする Spheroidal-SMBH関係 ・シミュレーションデータからRadiation Dragの寄与を見積もりSMBHの成長を調べる・・・準備中

次のシミュレーション ~From ApJL referee report~ The final paragraph about the need of 1pc and 1solar mass spatial and mass resolution is too speculative and really unnecessary. It is clearly impossible that those limits will be reached by the next generation of specialized supercomputers as suggested. That would require a sudden increase in computing power of many, many orders of magnitude, well in excess of Moore‘s Law ... unless the cited reference has access to secret alien technology that is. He knows!