2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出

Slides:



Advertisements
Similar presentations
宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
Advertisements

硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
銀河物理学特論 I: 講義1:近傍宇宙の銀河の 統計的性質 遠方宇宙の銀河の理解のベースライン。 SDSS のデータベースによって近傍宇宙の 可視波長域での統計的性質の理解は飛躍的 に高精度になった。 2009/04/13.
X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
かなた望遠鏡による NGC2264の可視赤外同時観測
HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
自作電波望遠鏡による木星電波の検出 園田愛実 冨田敬人 静岡県立磐田南高等学校 地学部 天文班
物理Ⅰの確認 電波(電磁波)は 電流の流れる向きと大きさが絶えず変化するときに発生 ・電場と磁場の方向は直角に交わっている(直交している)
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
みさと8m電波望遠鏡の性能評価 8m (野辺山太陽電波観測所より) (New Earより) 和歌山大学教育学部 天文ゼミ  宮﨑 恵 1.
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
6.3.4 無給電アンテナ 伝播路上に障害物があるときこれを避ける 例題6.5 無給電アンテナを用いたマイクロ波回線.
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
HOWPolの偏光キャリブレーションと GRB残光の可視偏光観測
偏光で見る星雲の姿 銀河学校2014 C班 杉山純菜 田中舞 長谷部匡敏 寺村まどか 柳楽裕介 西村南海 吉田真琴 阿部峰也
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
Damped Lya Clouds ダスト・水素分子
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
電波望遠鏡による銀河系地図作製 和歌山大学 教育学部 天文ゼミ 菊池かおり
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
茨城 32 m 電波望遠鏡(高萩局・日立局)の整備状況
すざく衛星による、2005年9月の太陽活動に起因する太陽風と地球大気の荷電交換反応の観測
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
HⅠ輝線を用いた 高銀緯分子雲の観測的研究
Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造
SAX J1748.2−2808 からの 3 つの鉄輝線と593 秒周期の発見
信川 正順、福岡 亮輔、 劉 周強、小山 勝二(京大理)
クワッドリッジホーンアンテナ (広帯域フィード) を 用いた電波望遠鏡の測地VLBIにおける性能評価
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
ANIRによるM型星まわりの トランジット地球型惑星の観測 国立天文台 成田憲保.
COSMOS天域における ライマンブレーク銀河の形態
高エネルギー陽子ビームのための高時間分解能 チェレンコフビームカウンターの開発
パルサーって何? 2019/4/10.
小型JASMINE計画の状況       矢野太平(国立天文台)       丹羽佳人(京大).
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
すばる望遠鏡による10GeV領域ガンマ線天体の観測
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
宇宙線研究室 X線グループ 今こそ、宇宙線研究室へ! NeXT
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
セイファート銀河中心核におけるAGNとスターバーストの結び付き
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
(2048x2048 pixel; pixel size13.5μm sq.)
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
京大岡山3.8m望遠鏡用高分散分光器 京大宇物 岩室史英 サイエンス 太陽型星のスーパーフレア現象の解明
第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
JASMINEワークショップ March 6-7,2003 松原英雄(宇宙研)
星間物理学 講義 3: 輝線放射過程 I 水素の光電離と再結合
早稲田大学 理工学術院 鳥居研究室 宇宙線の観測 宇宙線はどこから? 電子望遠鏡CALET LHCf加速器実験 卒業生の進路 研究活動
1.85m電波望遠鏡 230GHz帯超伝導(SIS) 受信機の現況
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
すばる/HDSによる系外惑星HD209458bの精密分光観測
Telescope Array ~Searching for the origin of the highest energy cosmic ray 私たちの研究の目的 宇宙線って何? 最高エネルギー宇宙線の数が、 理論による予想を大きく上回っていた! 現代物理学の主要な謎の1つ 宇宙空間を光に近い速度で飛び回っている非常に小さな粒子のことです。
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/16講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
宮本 八太郎(日大、理化学研究所) 三原 建弘、桜井 郁也、小浜 光洋(理化学研究所)
天体電波望遠鏡の開発  研究者:福永 健司 共同研究者:笠原  良太.
ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
高地におけるγ線エアシャワー地上観測のシミュレーション
電磁気学C Electromagnetics C 7/10講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
望遠鏡技術検討会 (2013/2/9) 京大3.8m望遠鏡用 面分光装置開発 松林 和也 (京都大学)
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/10講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
すざく衛星によるSgr B2 分子雲からのX線放射の 時間変動の観測
シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測
Presentation transcript:

2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出 國安 正志

動機 自作した装置で宇宙を観測できないか? 地球上から大気の影響をあまり受けずに観測できるのは可視光,電波の一部  自作した装置で宇宙を観測できないか? 地球上から大気の影響をあまり受けずに観測できるのは可視光,電波の一部 →まだアマチュアではあまり観測されていない宇宙電波を     観測したい

銀河電波 短波帯で銀河面に沿って強く放射される シンクロトロン放射により説明される 一昨年30MHz程度で観測し発表されている 観測できそうな宇宙電波の種類 銀河電波 短波帯で銀河面に沿って強く放射される        シンクロトロン放射により説明される        一昨年30MHz程度で観測し発表されている 強度が弱く観測は困難だが,輝線スペクトルなので銀河系の構造や質量分布がわかり,銀河を真上から見たイメージやダークマターの存在がわかる 太陽電波 高い周波数になるほど強く放射される        放射機構は黒体放射        たまにバーストと呼ばれる現象が起き太陽活          動の様子がわかる 原子輝線 水素原子が発する波長21cmの電波

観測装置 2mパラボラアンテナ 初段アンプ(GaAsHEMT) 受信機(アマチュア無線機) 変換器 記録装置

観測装置の製作 アンテナのパラメータ 周波数 1.42GHz F/D(焦点,口径比) 0.5 利得 26.47db 分解能 半値角9.61° 周波数 1.42GHz F/D(焦点,口径比) 0.5 利得 26.47db 分解能 半値角9.61° 偏波 円偏波(左旋偏波) 12mmのアルミパイプ12本を放物線状に曲げ,2mのリングで結び金網を貼ることで反射鏡を形成 受信機の周波数を変化させることで分光器に対応

アンテナを赤経23h03min・赤緯28°に向け観測 周波数を20kHz間隔で1420.3~0.4まで分光 観測結果 同じ領域をスペクトラムアナライザーで追観測 アンテナを赤経23h03min・赤緯28°に向け観測 周波数を20kHz間隔で1420.3~0.4まで分光 周波数に直して1420.360MHzで電波強度が上昇

ビームパターンなど電波望遠鏡の特性調査 R-SKY法による電波強度の見積もり 本格的な観測に向けて ビームパターンなど電波望遠鏡の特性調査 R-SKY法による電波強度の見積もり 4月中にはこれらの調査を行い,いよいよ本観測へ 考えられる観測内容 掃天観測→視野が広く解像度が悪いことを利用して,おおざ          っぱに全天を観測        銀河系の構造,ダークマターの分布のあらまし その他,近傍分子雲の観測など