MBE成長GaAs表面の平坦化とそのAFM観察

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MBE成長GaAs表面の平坦化とそのAFM観察 JST-CREST秋山小川グループ研究会@大阪大学 (June 29-30, 2006) MBE成長GaAs表面の平坦化とそのAFM観察 東大物性研秋山研助手 吉田 正裕 Masahiro Yoshita

T型量子細線 MBE成長(110)表面の平坦化 成長中断アニール法 490oCで成長 600oCでアニール アーム 井戸 原子レベルで (M. Yoshita et al. JJAP 2001) 490oCで成長 600oCでアニール T型量子細線 アーム 井戸 6nm [110] [001] [110] 原子レベルで 平坦な表面 の形成 ステム井戸 14nm

成長中断アニール表面のGaAs堆積量依存性 600C, 10 min. GaAs厚(nominal) 6nm (=30 ML) Ga 分子線空間分布方向 アニール表面を制御するという観点から 供給量のずれの効果 界面の制御 Ga flux分布 1 %/mm          (0.3 ML/mm) M. Yoshita et al. APL 2002 J.-W. Oh et al. APL 2003

(110)GaAs量子井戸構造の顕微発光像 原子平坦 2~3 ML高さ 島構造 1ML深さ ピット構造 n = 30 ML 原子平坦 2~3 ML高さ 島構造 1ML深さ ピット構造 その良い一致をエネルギー分解で見たのがこの結果です。 M. Yoshita et al. APL 2002 J.-W. Oh et al. JAP 2004

MBE成長表面平坦化プロジェクト T型量子細線の更なる高品質化 研究目的: へき開再成長(110) ヘテロ界面の平坦化  へき開再成長(110) ヘテロ界面の平坦化    i) 成長中断アニール法の確立 ii) 平坦化メカニズムの解明  (001)ヘテロ界面の平坦化  AlAs、InGaAs系での平坦化法 T型量子細線の更なる高品質化 今回、1.に関して、 最適なアニール温度を探る。 平坦化メカニズムの解明を試みる。

(110)表面のアニール基板温度依存性 T= 591 C 615 C 627 C 649 C 6 nm (110) GaAs CEOgrowth(510C)  + 10 min. anneling 結果: アニール温度上昇により平坦化が促進 島構造の減少 ピット構造拡大 しかし、 650C高温アニール  三角ピット構造形成  ラフニング 堆積量 偏差 5um x 5um 40um x 40um

GaAsへき開(110)面の高温アニール GaAs へき開(110)面 no MBE growth  10 min. annealing at 649 C 三角形ピット構造の形成 650C高温アニール時の 成長表面からのGa原子desorption

三角形ピット構造のサイズ分布 三角ピット構造形成 620~630Cにしきい値 高温でサイズの増大 アニール温度は620-630C付近が最適 2ML深さ @ 649C 5mmx5mm 三角ピット構造形成 620~630Cにしきい値 高温でサイズの増大 アニール温度は620-630C付近が最適

ステップエッジ近傍での表面構造 ステップエッジ近傍では、形成される表面構造が変化。 平坦化過程でのエッジとの相互作用 6 nm (110) GaAs CEOgrowth(510C)  + 10 min. anneling at 650C 50um x 50um ステップエッジ近傍では、形成される表面構造が変化。 平坦化過程でのエッジとの相互作用 表面原子の拡散距離 ~ 20um

ステップエッジ方位依存性 100nm GaAs on (110) edge 10 min. annealing at 650C coverage deviation : 5 ML/mm i) ステップ周期 200 um/ML >表面拡散長 ~20 um 局所的な表面構造には差が見えない。

ステップエッジ方位依存性2 100nm GaAs on (110) edge 10 min. annealing at 650C (110) sub. 100nm GaAs on (110) edge 10 min. annealing at 650C ii) ステップ周期 <表面原子拡散長 結晶方位に依存した特徴のある規則的なステップエッジが形成

まとめ へき開再成長(110)GaAs表面における成長中断アニール表面モフォロジーのアニール温度依存性を観察。 1) 高温アニールにより表面平坦化の促進。島・ピット構造の大きさの減少。 2) 650C高温アニールでは、多数の2ML深ピット構造の形成。表面ラフニ   ング表面からのGa原子のdesorption 3) アニール温度620-630Cが平坦表面形成においてもっとも有効。 (110)面アニール平坦化過程でのステップエッジ効果 1) ステップエッジ周期が表面原子の拡散距離より小さい場合、ステップ   結晶方向に依存した規則的なステップエッジ形成

諸々の今後の課題(検討中) 透過吸収測定による量子細線・量子細線レーザーのキャリアダイナミクス解明 ポンププローブ法による吸収・ゲイン形成メカニズム 4光波混合、波長変換 計測・プロセス技術 時間分解透過計測系 PCFによるcontinuum光を用いた透過測定 ARコーティング 励起子分子の2光子発光(直交配置測定) 量子細線レーザー電流注入メカニズム

native oxide desorption (001)界面ラフネスの低減と(001)QW発光特性の向上 バッファ層からのラフネス低減 ・・・成長中断(GI)時間を変えて表面ラフネス比較 MBE成長・アニール基板温度:650C 1) 2) バッファ層の成長条件 ラスネスp-p (nm) (括弧内はrms) 1) 700nm GaAs + 50s-GI 10-16nm (1.8nm) 2) 700nm GaAs + 3hrs-GI 1.7nm (0.23nm) ref. native oxide desorption (no growth) 20-23nm (2.4-2.7nm) h-scale 16 nm h-scale 3 nm ref. (001)QW発光特性の向上 極めて細い発光線幅 QW成長:  基板温度 610C h-scale 20 nm

GaAs(110)面におけるmigration barrier energy 1MLピットの モデル Ga adatom As adatom GaAs(110)面におけるmigration barrier energy Atomic Species Migration Direction Barrier Energy (eV) Ga [110] 0.57 [001] 0.86 As 0.67 [110] on (001)b2 1.2 1.5 cf. (A.Ishii et al. APL 2003)

(110)GaAs量子井戸のエネルギー分解発光像 2~3ML高さ島構造 1ML深さピット構造 堆積量が整数倍となる領域では両界面が原子平坦!! M. Yoshita et al. APL 2002