KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 電力の自由化と託送料金 関西電力 送電サービスセンター 古沢 尚登
内 容 電力の自由化の背景としくみ 世界の状況 日本の自由化の概要 託送制度とその料金 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 内 容 電力の自由化の背景としくみ 世界の状況 日本の自由化の概要 託送制度とその料金
・規制緩和は世界の潮流 (通信、金融、航空、エネルギー、etc.) KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., ・規制緩和は世界の潮流 (通信、金融、航空、エネルギー、etc.) ・「規制緩和」により ・電力の小売りが「自由化」され ・電気事業に大きなインパクトを与えることから 「電力ビックバン」と呼ばれている
関西電力の送電系統図 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 山崎 山崎東部線 能勢山崎線 原電敦賀 #1 900MW 16-8 #2 900MW 20-8 舞鶴 14-3 舞鶴火力線 12-10 青葉線 山崎 山崎東部線 東滋賀 13-3 能勢山崎線 13-6 18-5 12-11 能勢 13-3 能勢西大阪線 13-3 西大阪 14-5 発電所 #1-1 822MW 21-8 変電所 和歌山 北和歌山 21-6 送電線 阿南紀北直流幹線 12-6 紀北 DC±250kV (DC±500kV設計) 12-6 和歌山火力線 20-11
電力の供給経路 電力の場合 一般商品の場合 発電部門 工 場 送電部門 基幹流通網 配電部門 末端流通網 販売部門 小売り業 顧 客 顧 客 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 電力の供給経路 電力の場合 一般商品の場合 発電部門 工 場 送電部門 基幹流通網 配電部門 末端流通網 販売部門 小売り業 顧 客 顧 客
状況の変化 今まで (独占の背景) 現在 (自由化の背景) ・発電でのスケールメリット大→巨大資本要 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 状況の変化 今まで (独占の背景) ・発電でのスケールメリット大→巨大資本要 ・需要増加量が大きい →計画的な設備増強要 ・発電設備、流通設備の運用は複雑 現在 (自由化の背景) ・発電でのスケールメリット小→小資本で発電可 ・需要増加量が小さい →不足のリスク少ない ・IT技術の発展→複雑な設備運用も可能
自由化の基本形態(1) 送電線開放モデル 発電 発電 ・電力会社は、自ら顧客に発電、送電の設備を用いて電気を販売する。 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 自由化の基本形態(1) 送電線開放モデル 発電 発電 ・電力会社は、自ら顧客に発電、送電の設備を用いて電気を販売する。 ・電力会社は、自らが使う送電設備を同じ条件で競争者にも開放する。 ・競争者は、電力会社の送電線を使用して、電気を顧客に販売する。 (配電は省略している) 発電 ・・・ 送電 販売 販売 ・・・ 販売 顧 客
自由化の基本形態(2) プールモデル 発電 発電 発電 ・「発電」はプール市場に電気を売る。 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 自由化の基本形態(2) プールモデル 発電 発電 発電 ・「発電」はプール市場に電気を売る。 ・「販売」はプール市場から電気を買い、顧客に売る。 ・「プール」は発電と販売の取引の量・価格のバランスをとる。 ・「送電」は安定的に発電から顧客までの電気を流す。 ・・・ プール市場 送電 販売 販売 ・・・ 販売 顧 客
役割の変化 送電部門 発電部門 販売部門 電気を発電所から需要まで輸送する部門 電気を発電する部門 電気を販売する部門(手続き面が主体) KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 役割の変化 送電部門 発電部門 販売部門 電気を発電所から需要まで輸送する部門 電気を発電する部門 電気を販売する部門(手続き面が主体) 電力会社、およびその競争者も使う流通網を提供 (コモンキャリア) 新規参入者と価格面、サービス面で競争する部門
米国における小売市場の自由化動向 99.8.1現在 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 電力再編成法が成立(19) 規制当局が再編決定 (3) 審議、調査中・その他 (28) 99.8.1現在
米国の状況 卸売は完全自由化 全米で小売り自由化の動きが進展中。 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 米国の状況 卸売は完全自由化 全米で小売り自由化の動きが進展中。 電力会社は機能分離や発電所売却を実施。 いくつかの地域で、ISO(系統運用を行う独立機関) が設立されている。 各地で、供給支障事故、供給力不足とそれに伴う価格高騰が起きている。また、送電線建設が進んでいないこともあり、供給信頼度低下の問題がクローズアップされており、大統領の政策非難に至っている。
EU諸国における電力自由化の状況 全体の自由化率は63% KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 1999年 2010年 全体の自由化率は63%
欧州の状況 規制改革の最小限度の要求事項はEU指令で規定 一定シェアの小売り自由化を同指令は義務づけ 実際は、義務以上に各国は市場を開放 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 欧州の状況 規制改革の最小限度の要求事項はEU指令で規定 一定シェアの小売り自由化を同指令は義務づけ 実際は、義務以上に各国は市場を開放 当初は発電、送電、配電についての会計分離するも、将来は完全分離の方向に向かうとの予想。 英国、ドイツでは、企業合併、海外企業も含む企業買収の動きが活発 ドイツでは、およそ1割の大口需要家が供給先を変更。企業単位での契約、大幅な価格引き下げ、価格対抗、定額料金などによる競争が激化。
ドイツの状況 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., HEW(ハンブルグ電力) VEBAプロイセン電力)2 スウェーデンバッテンフォールが出資 HEW(ハンブルグ電力) VEBAプロイセン電力)2 BEWAG(ベルリン電灯) 米サザンカンパニーが出資 VEAG 合併 VEAG 米サザンカンパニーが株式取得に関心 合併 RWEエネルギー1 VIAG(バイエルン電力)3 仏EDFが出資 ENBW RWEエネルギー
日本の電力自由化の主要ポイント 送電線開放による2万kV、2000kWh以上を対象とする部分自由化 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 日本の電力自由化の主要ポイント 送電線開放による2万kV、2000kWh以上を対象とする部分自由化 託送は「接続供給」による。域内は均一料金(郵便切手方式、約3円/kWh) 接続供給は規制され、公平性・透明性が求められる 需要のすべてに供給する「同時同量」が必要 「送電部門」は、他に対して競争者情報を守秘 (情報遮断) どことも交渉が成立しない場合は、電力会社が最終供給義務を負う
部分自由化への帰着(電事審議論) 現状において現実性高い 問題多い 原子力開発の困難化 エネルギー輸入依存度の上昇 地球環境問題への影響 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 部分自由化への帰着(電事審議論) 部分自由化 全面自由化 プール市場 問題多い 現状において現実性高い エネルギー セキュリティ 環境 原子力開発の困難化 エネルギー輸入依存度の上昇 地球環境問題への影響 自由化の影響 供給信頼度 系統運用の困難化 ユニバーサル サービス ・地域毎に電気料金格差が発生 ・供給事業者の撤退等による 需要家への不利益発生
自由化の規模 (販売電力量) 自由化部分 規制部分 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 30% 特別高圧 その他 70%
KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 規制部門への料金引き下げ圧力 自由化分野の費用は、全体の費用を需要の比率で割り振る方式。 →自由化分野のみのコストダウンは出来ない。 →全体の効率化により、全体にメリットがいきわたる。 自由化後の料金原価のしくみ 自由化メリット の均てん 競争圧力 現行原価水準 発電部門 送配電部門 販売部門 自由化分野 非自由化分野
電力の供給における競争 電力会社の 発電所 PPSの 発電所 送電線開放 送電線網 同 じ条件 で送電線を 利用 配電線網 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 電力の供給における競争 電力会社の 発電所 PPSの 発電所 送電線網 送電線開放 同 じ条件 で送電線を 利用 配電線網 送電線利用者間の対等な 競争条件を確保するため、 公平な送電線利用料金とし、送電部門は、送電線利用に関して、中立性を確保する必要がある。 競争関係 規制対象のお客さま 自由化対象のお客さま
送電サービスセンターとは 21 送電部門が託送の実施により、先行的に得る新規参入者情報を、営業部門が知ることは、公平な競争とならない。 KANSAI ELECTRIC POWER CO.LTD., 送電サービスセンターとは 送電部門が託送の実施により、先行的に得る新規参入者情報を、営業部門が知ることは、公平な競争とならない。 ・接続供給サービスは、送電部門である電力システム室で実施 ・電力システム室に、「送電サービスセンター」を設置。センターは問い合わせ対応から供給後の紛争処理に至る一連の業務を所管 ・新規参入者の情報は他と情報遮断を実施