1.ギブソンの歩み アフォーダンス―新しい認知の理論 鈴木恵二研究室所属 修士1年 小林 世弥 g2105008
プロフィール James J.Gibson 1904年 生まれ 1922年 プリンストン大学哲学科 入学 1904年 生まれ 1922年 プリンストン大学哲学科 入学 専攻は心理学 学位修得後 スミス・カレッジに職を得る 1940年代 空軍の知覚研究プロジェクトに参加 1949年 ニューヨークのコーネル大学に移動
研究書物 100を超える研究論文 3冊の書物 視覚世界の知覚 (The Perception of the Visual World(1950)) 知覚システムとしての感覚 (The Senses Considered as Perceptual Systems(1966)) 視知覚への生態学的アプローチ (The Ecological Approach to Visual Perception(1985))
ゲシュタルト ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ギブソンの人的ネットワーク ゲシュタルト ゲシュタルト問題に最初に触れた ハーバート・ラングフェルト 三人のゲシュタルト 心理学者 ハーバート・ラングフェルト レオナード・カーマイケル ヨーロッパ留学時 プリンストンの心理学部 マックス・ヴェルトハイマー ヴォルフガング・ケーラー ギブソン クルト・コフカ スミスカレッジ ゲシュタルト問題に最初に触れた ゲシュタルト 感覚要素の総和以上のもの、総和とは異なったもの 例 : 音のつながり ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 同一のメロディーを聴くことができる
ゲシュタルト どのようにゲシュタルトの知覚が可能になるか ゲシュタルトを直接的に知覚すると感じる ヒトの直感とかけ離れている アレキサス・マイノンク 最初の解答者 直接知覚されている 要素刺激を関係づける「知的な過程」の結果 ゲシュタルト知覚の「中枢―推論説」 「点刺激」+「推論機構」という知覚理論の伝統に のっとった説明 ゲシュタルトを直接的に知覚すると感じる ヒトの直感とかけ離れている
ファイ現象 三人のゲシュタルト心理学者 ゲシュタルト刺激によりゲシュタルトの知覚は 引き起こされている 次の解答者 三人のゲシュタルト心理学者 ゲシュタルトの知覚~要素を感覚することと 同じレベルで起こる 証明 : ファイ(仮現運動)現象の存在 ~ 豆電球の点滅 点滅に見える 移動(運動)に見える 結論 : 知覚である「移動」と「点滅」は同じレベル で相互に排除し合っている ゲシュタルト刺激によりゲシュタルトの知覚は 引き起こされている
感覚刺激は知覚の原因ではない 特定の感覚刺激は特定の知覚を引き起こす (恒常性) 感覚刺激 知覚 今までの知覚の前提 ※ 一方的で、因果的に繋がっている こころの勝手な振舞いで夢や幻想と区別できなくなる 光の点滅により 二つの位置での光の点滅は同一刺激だが、 「点滅」と「移動」と知覚される 「恒常性仮説」と食い違っている
感覚刺激は知覚の原因ではない 伝統派の反論 : 眼球運動に起因するもう一種の生理的な刺激が、 点滅速度によって異なる 点滅速度によって異なる 三人の再反論 : 上下反対に動く、光の点滅 結論 : 被験者は2つのファイ現象を なんとなく知覚できた 眼球が点滅に合わせて上下別に 動いたからとは説明できない ギブソンの研究内容 視覚の領域で研究を始めた 「見ること」が網膜やそこにできる像から全く説明 できないことの証明
ビジュアルワールド 今までの方法 普通の見えが歪められた状態を実験的に分析し、当たり前の見えについて考える 空軍心理テストフィルムユニット(1941)の参加によって、 抜け出すきっかけとなる 空軍心理学テストフィルムユニット フライトシミュレーターの作成 敵機を発見する知覚的能力 パイロットの候補者となりうるすぐれた知覚能力の選考 任務 当たり前の見えが実現している素晴らしさ
ビジュアルワールド 「奥行き」知覚の問題 数メートル先の暗闇に光点を提示し、そこまでの距離を答える 手がかりとして両眼視差が発見されてきた 今までの空間知覚の説明はおかしい 普通の世界を「ビジュアルワールド」とした 対象が数十メートルのときは無効 パイロットのテスト成績が、知覚能力と相関していない 結果 点刺激 両眼器官がつくる 「奥行きの手がかり」 「三次元空間」の知覚
点から面へ 面とキメ 面~視覚世界にある面(サーフィス) キメ~面の上のキメ(テクスチャ) キメのパタンから奥行きが知覚できる 実験:700メートル先に立てられたくいの高さが、 手前のくいのどれと同じかを書く 結果:ほとんど間違わずに答えられた
点から面へ 実験結果より 環境の構成 キメがあれば、対象の性質は正しく知覚できる キメの変化のパタンを「勾配」、「変化度」とする 勾配は知覚の刺激の有力な候補であるとした 環境の構成 感覚器官が受容する「ミクロ」な刺激 知覚をそのまま説明できるような「マクロ」な刺激
面からレイアウトへ ギブソンは40年代終わりから50年初頭、キメの勾配が奥行きの刺激にならないことを気づく 実験 結果 知覚者の顔に並行に置かれたスクリーンに、下図のように キメの勾配をプロジェクターに移し、面の傾きを再現する 結果 キメの勾配率から予測できる 面の傾きとは対応していなかった Y X W Z A B C D W X Y Z
面からレイアウトへ 2つの面が重ねて置くように配置されたとき、前の面の知覚は、背景の面の性質によって変化する キメの勾配説の矛盾 キメの勾配説の矛盾 知覚される面と顔(網膜面)との角度が変化しても、面の傾きは同じように知覚される 面の傾き 知覚者の網膜面と、環境の面が作る光学的傾き 対象の面と地面とが作る地理的傾き レイアウトが問題となってくる 知覚者が立っている面との関係である 知覚者が見ていた傾き
動きの発見 キメの勾配説は、面にあるキメが不規則な場合に説明できない 面の傾きの知覚が得られる +動き 動き 網膜像から視覚を説明するときに「邪魔」になる要因 無視することはできない +動き 奥行きの知覚が二次元的な「像」からでなく、 像が動いたときにあらわになる性質に基づく グンナー・ヨハンソン(スウェーデンのウプサラ大学)
動きの発見 ギブソンの発想の転換 : 「像」ではなく、「動き」が重要である グニャグニャに折り曲げた針金を投影する ギブソンの発想の転換 : 「像」ではなく、「動き」が重要である グニャグニャに折り曲げた針金を投影する 静止 ~ 折れ曲がった一本の曲線が知覚される 回転 ~ 立体的な針金そのものを知覚する パイロットがすばやく動く機影から敵機か僚機かを見分けるのも同じ原理である。
形を放棄する 形~幾何学の単位 知覚者が見ているもの 重要 形(form)ではなく姿(shape)である 変化しないことではなく、変化することによって、対象の不変な性質が明らかになること 形の放棄は、網膜像からの説明を放棄することでもある
動きに「姿勢」を見る 任務:「安全な着陸のための知覚能力の分析」 外界の見えが現すもの 着陸技術を分析すると、「視覚的な技術」 着陸時、何を見るのかが非常に重要 流動の中心が着陸の照準となる 着陸ポイントと速度が視覚的流動の中の「動きと静止」となる 外界の見えが現すもの 知覚者自身の姿勢 速度
動きに「姿勢」を見る 視覚 外部から情報を得る感覚 自身の動きについての感覚 視覚的な「運動感覚」や「自己感覚」が存在する 例:キメの勾配 地理的傾きで見てることが発見されたが、これも知覚者 の姿勢が含まれているから
動きに「姿勢」を見る 空軍での体験 刺激の配列 環境の中で動き回る知覚者が得る「刺激の変化」を表現する、刺激に変わる言葉 考え 伝統的知覚心理学の呪縛から少しずつ自由になる ビジュアル・ワールドの見えは、知覚者自身の体の傾きや変化も含まれる 刺激の配列 環境の中で動き回る知覚者が得る「刺激の変化」を表現する、刺激に変わる言葉 考え 刺激の配列が網膜のどこかに投影されている 網膜を捨てるためには、もう一つアイディアにであう必要がある