佐藤勝昭 東京農工大学 工学部物理システム工学科 結晶工学スクール2002.7.10-11 結晶格子と電子状態 佐藤勝昭 東京農工大学 工学部物理システム工学科
内容 1.はじめに 2.結晶の対称性と電子構造 3.バンドダイヤグラムの見方 4.固体の光学現象と電子構造 5.おわりに A.バンド構造と光学遷移の選択則 B.反射スペクトルとバンド構造 C.直接遷移と間接遷移 D. 価電子帯の分裂とバンド内遷移 局在電子系の多電子構造-結晶場 5.おわりに
1.はじめに 結晶評価法には、 分光法→基礎となる電子構造の理解が必要 実空間で直接見る方法 逆格子空間の写像を見る方法 のほかに、 反射分光法、光電子分光法、磁気共鳴分光法 などによって間接的に評価する方法がある 分光法→基礎となる電子構造の理解が必要 「電子状態の話はむずかしい?」→上手な付き合い方教えます。
2.結晶の対称性と電子構造 局所的な対称性→点群 結晶全体の対称性→空間群 結晶のよさ 点欠陥・不純物のまわりの近距離の対称性 結晶場・核スピン→多電子準位の分裂・シフト 遷移元素を添加して光スペクトル・ESRで観測 結晶全体の対称性→空間群 広がったバンド電子の見る長距離の対称性 反射スペクトル、光電子スペクトルで観測 結晶のよさ バンド電子系特有の光スペクトル構造の発現 励起子発光、サイクロトロン共鳴の観測
電子構造と 光学的性質 透過率スペクトル Ellipsometry→n, k 発光励起(PLE)スペクトル(発光センターの吸収) PAS(粉体・散乱性のものでも測定可) PDS (Photothermal Diffraction Spectroscopy) (薄膜の微弱吸収の測定可) 光伝導スペクトル (トラップに関係する微弱吸収測定可) 反射スペクトル→Kramers-Kronig変換 結晶構造・対称性・周期性:バンド構造 →反射スペクトル、変調反射スペクトル、光電子スペクトル 構成元素の性質:X線吸収、X線発光 磁気的性質:磁気光学効果 界面、表面:エリプソメトリ 局在電子状態:不純物・欠陥→吸収スペクトル、発光スペクトル
2.バンドダイヤグラムの見方 縦軸と横軸 Γ、Xなどの記号は何? 屏風のようにつながっているのはなぜ? 半導体と金属 Γ25とかΓ12とは? 広いバンドと狭いバンド 状態密度曲線 状態密度曲線の検証-光電子スペクトル E-k分散曲線はホント?
(1) 波数ベクトルとは? 短い波長 長い波長
結晶運動量 自由電子の波動関数 運動量演算子
(例) シリコンと鉄のバンド構造 Si Fe
(3)縦軸と横軸 縦軸:電子のエネルギー 横軸:電子の波数ベクトルk 正孔のエネルギーは下向き 単位:Ry=13.6eV (Rydbergリードベリ) 横軸:電子の波数ベクトルk 単位:cm-1 波数って何?:電子の波動をeikrと表したときのk kの大きさ:k=2π/λ いわば空間周波数
(4)Γ、Xなどの記号は何? BZの対称点 BZとは: BZの形: BZ(ブリルアンゾーン)の対称点の記号 逆格子空間におけるWigner-Seitz Cell 波数ベクトルkがBZ上にあると電子波のBragg反射が起きる BZの形: fccではtruncated octahedron, bccでは正12面体 BZ(ブリルアンゾーン)の対称点の記号 BZの中心k=(0,0,0)がΓ、他は結晶構造で異なる fcc格子の場合、k=(0,0,1)がX点、k=(1,1,1)がL点
逆格子 電子密度のフーリエ解析 3次元の場合: n(r)=ΣnG exp(iG・r) nG=Vc-1∫celldV n(r)exp(-iG・r) 実空間 r 逆格子空間G 3次元の場合: b1=(2π/Vc)(a2×a3), b2=(2π/Vc)(a3×a1), b3=(2π/Vc)(a1×a2) bi・aj=2πδij
実格子と逆格子 fcc構造の ブリルアンゾーン
ブリルアンゾーン境界 ブリルアンゾーン境界 ブラッグ条件 実空間 逆格子空間 λ
ブリルアンゾーンの形 fcc 例:Si bcc 例:Fe
Siのバンドと ブリルアンゾーンの対称点 点 k=(0,0,0) X点 k=(/a){1,0,0} L点 k=(3 /2a) ×{111}
(3)屏風のようにつながっているのはなぜ? Γ-X方向、Γ-L方向、X-U方向など異なる方位の分散をつなぎ合わせたもの Γ点で非対称なのはなぜ? k=[1,0,0]方向に関して[-1,0,0]から[1,0,0]までを表示すれば対称的です。右側は[1,0,0]方向、左側は[1,1,1]方向に向かっての分散を描いたので、非対称に見えるだけです。
(4)半導体・金属・半金属・ハーフメタル 半導体:フェルミ準位を横切るE-k分散がない 金属:E-k分散曲線がフェルミ準位を横切る (フェルミ準位がバンドギャップの中に位置する) 金属:E-k分散曲線がフェルミ準位を横切る (BZにフェルミ面が見られる。電子面、ホール面) 半金属:伝導帯の底と価電子帯の頂の波数が異なり、かつ両帯のエネルギーに重なりがある。 ハーフメタル:多数スピンバンドは金属であるが、少数スピンバンドは半導体
半導体・半金属・金属・ハーフメタル 半導体 半金属 金属 ハーフメタル
ハーフメタル:PtMnSb ↑スピンは金属、↓スピンは半導体
PtMnSbの磁気光学スペクトル カー回転と楕円率 誘電率対角成分 誘電率非対角成分 (a) (b) (c)
(5) Γ25とかΓ12とは? 空間群の既約表現の記号 Γ点では点群Tdと等価 既約表現の基底に着目 Γ12 :2z2-x2-y2, x2-y2のように変換:dγ的 Γ25 :Sx, Sy, Szのように変換:dε的 Γ1: r のように変換:s的 Γ15:x,y,zのように変換:p的
点群Tdの既約表現の指標表 既約表現 E R 基 底 M BSW K A1 G1 1 r or xyz A2 G2 -1 SxSySz 4C3 4C32R 4C2 4C2R 3C2 3C2R 3S4 3S42R 3S42 3S4R 6sd 6sdR 基 底 M BSW K A1 G1 1 r or xyz A2 G2 -1 SxSySz G12 G3 2 (2z2-x2-y2), 31/2(x2-y2) T1 G25 G4 3 Sx, Sy, Sz T2 G15 G5 x, y, z E1/2 G6 -2 21/2 -21/2 E5/2 G15(1/2) G7 G3/2 G15(3/2) G8 4 -4 M: Mulliken, BSW: Bouckoert-Smoluchowski-Wigner, K: Koster
既約表現とは
回転群Tdの回転操作とdの変換 指標 操作の行列
(6)広いバンド・狭いバンド バンド幅:電子の広がりの尺度 Si 広いバンド:sp電子性 Fe 狭いバンド:d-電子性
Feのフェルミ面 ホール面
Feのカー回転スペクトルの 理論と実験 片山の実験 磁気光学カー回転角 バンド計算 から求めたもの
単位エネルギーの区間にどれくらいたくさんの状態があるか (7)状態密度 experiment 単位エネルギーの区間にどれくらいたくさんの状態があるか experiment 多数スピン Fe Si calculation 少数スピン calculation
状態密度(DOS) 3D n()
状態密度(DOS) 2D
(8)状態密度曲線の検証:光電子スペクトル 占有状態の状態密度の情報 光電子数 const. final state h const : work function EF EF h variable
(9)状態密度曲線の検証:逆光電子スペクトル 空状態の情報を得る 発光強度 electron 空のバンド 満ちたバンド
(10)E-k分散曲線の検証 角度分解光電子スペクトルと逆光電子スペクトル
(11)スピン分解状態密度の検証 I+=↑スピン+↓スピン I-= ↑スピンー↓スピン I+ + I-= ↑バンド スピン偏極光電子スペクトル I+=↑スピン+↓スピン I-= ↑スピンー↓スピン I+ + I-= ↑バンド I+ - I-= ↓バンド
3.固体の光学現象と電子構造 光学現象は主としてバンド間遷移が支配 バンド電子系の光学遷移 局在電子系の多電子構造-結晶場 黄銅鉱を例に バンド電子系の光学遷移 A.バンド構造と光学遷移の選択則 B.反射スペクトルとバンド構造 C.直接遷移と間接遷移 D. 価電子帯の分裂とバンド内遷移 局在電子系の多電子構造-結晶場
バンド構造と光学遷移 黄鉄鉱(パイライト)を例に research.kahaku.go.jp/geology/ sakurai/033.GIF staff.aist.go.jp/takumi-sato/ koubut/ryuka/B018.jpg
なぜ金ぴか? 赤から緑の波長域にある強い吸収が原因
パイライトの反射スペクトルとバンド構造 FeS2 半導体 反磁性 CoS2 金属 強磁性 NiS2 半導体 反強磁性
一連のパイライトの反射スペクトルとバンド構造 固体の光スペクトル: 大まかな構造はバンド電子系で決まる。 スペクトルの個性、電気的性質: Fermi準位付近の状態密度で決まる
A.バンド構造と光学遷移の選択則 H=(1/2m)(p+eA)2+Vc(r) 遷移確率 A: ベクトルポテンシャル A=A0 exp{i(kr- t)} + cc. H=H0+H’ →H0=(1/2m)p2+Vc(r), H’=(e/m)Ap 遷移確率 c (k,r)=exp(-i Ect/)exp(ikr)uc(k, r):伝導電子の波動関数 v (k,r)=exp(-i Evt/)exp(ikr)uv(k, r):価電子の波動関数 w(, t, k, k’) =(e2/m22)|0tdt’Vdc*(k’,r)Ap v(k,r)|2 = -(eA0/m)2|0tdt’ exp{i (Ec-Ev-)t’/}Mvc|2 Mvc=Vd exp(-ik’r) uc*(k’,r)e exp (irks) uv(k,r) Wvc()=-4(eA0/m)2 dk (1/43)|Mvc|2(Ec-Ev-) 単位時間・単位体積あたり遷移確率
バンドと光学遷移(つづき) Wvc(): 単位時間・単位体積あたり遷移行列 エネルギー損失を計算する Eloss=Wvc () =(1/2)’|E0|2 ;E=-A/t=i A→ |E0|=A0 ’:光学導電率 ’=2 Wvc () / |E0|2=2 Wvc () /A02 = 2 -1(e/m)2 dk(1/43)|Mvc|2(Ec-Ev-) = 2 -1(e/m)2SdS(1/43)|Mvc|2/|k(Ec-Ev)|Ec-Ev= |Mvc|2Jvc (|Mvc|2:遷移確率、Jvc: 結合状態密度)
Jvc= (1/43) SdS/|k(Ec-Ev)|Ec-Ev= 直接遷移のスペクトル形状 Jvc= (1/43) SdS/|k(Ec-Ev)|Ec-Ev= ∫dSはEc-Ev=Eであるようなk空間の 等エネルギー面についての積分 k(Ec-Ev)=0 のときJvcが極値 →van Hove 特異点 kEc=0;kEv=0 kEc= kEv E0 E1
B.反射スペクトルとバンド構造 垂直入射の反射率と光学定数 R={(1-n)2+2}/ {(1+n)2+2} n2=(’+||)/2 2=(- ’+||)/2 ||=(’2+”2)1/2 Si Ge
反射スペクトルのピークとvan Hove 特異点 SiやGeでも E1,E2のあたりは 直接遷移です!
光吸収と選択則 遷移確率|遷移行列要素|2 遷移行列Mcv=dc*(k,r)e・ v(k,r) =[dc*er v](-m/2)(Ec-Ev) r →x,y,zのように変換 直積c×x,y,zにvが含まれれば‘許容遷移’となる。 Oh群の既約表現の‘指標の表’を用いて判定 cij=(1/g) jc(R)x,y,z(R) iv(R) = 0 禁止遷移 0 許容遷移 g;対称操作の数
C.直接遷移と間接遷移 吸収端付近の吸収スペクトル (半対数プロット) 直接遷移: InSb, InP, GaAs 間接遷移: Ge, Si, GaP
直接遷移と間接遷移
実空間で見た間接遷移 =2x(2/3a)(1,1,1) k=(3/2a)(1,1,1) k=(0,0,0)
価電子帯とスピン軌道相互作用 重い正孔 スピンと軌道が平行 軽い正孔 分離した正孔 スピンと軌道が反平行
D. 価電子帯の分裂とバンド内遷移 (c) (b) (a)
CuInSe2の価電子帯内遷移
反射スペクトルに見られる 価電子帯のスピン軌道分裂
金属電子の量子閉じこめ 金属超薄膜のヘテロ構造 界面において進行波と反射電子波が干渉 強磁性体:↑バンドと↓バンドが分裂 電子線損失などの世界では周知の事実 光電子スペクトル、逆光電子スペクトルで検証 強磁性体:↑バンドと↓バンドが分裂 どちらかのスピンの電子に対し反射が起きる バルクにない磁気光学効果を発現
Au/Feのバンドダイヤグラム スピン依存量子井戸状態
Fe超薄膜と量子井戸
[Fe(xML)/Au(xML)]N人工格子 1 2 3 4 5 6 -0.2 0.2 0.4 Photon energy (eV) q K (deg.) Fe(1ML)/Au(1ML) Fe(2ML)/Au(2ML) Fe(3ML)/Au(3ML) Fe(4ML)/Au(4ML) Fe(5ML)/Au(5ML) x=1 x=2 x=3 x=4 x=5 (a)
局在電子と多電子状態 遷移金属イオンのd電子系、希土類イオンのf電子系:電子の広がりが原子位置付近に局在 多電子系の基底状態→ Hund則、ESR 局在光学遷移:局所的な対称性を反映 電荷移動型遷移:配位子のp軌道から遷移金属イオンのd軌道への遷移 配位子場遷移:配位子のp軌道と混成したd軌道における多電子遷移
配位子場スペクトルから得られる情報 対称性の情報 結晶場の大きさ→共有結合性の情報 サイトの決定(置換位置、格子間原子) 8面体配位か4面体配位か 低対称結晶場の大きさ ゼーマン効果・ESR→異方性の情報 電荷移動遷移との配置間相互作用
宝石の色 と遷移金属 配位子場理論と その応用
遷移金属イオンを取り囲む酸化物イオンの配位子八面体(上)および四面体(下)
t2g(dg-p)軌道とeg(de-s)軌道の広がり (b) eg (a) t2g
結晶中のt2g(dg-p)軌道とeg(de-s)軌道
8面体配位と4面体配位の比較 8面体配位:イオン結合性強い 4面体配位:共有結合性強い tet=(4/9)oct 反転対称性をもつ t2g軌道はeg軌道より低エネルギー 4面体配位:共有結合性強い 反転対称性なし e軌道はt2軌道より低エネルギー tet=(4/9)oct eg t2 oct tet t2g e 8面体配位 4面体配位
多電子状態と 配位子場遷移
ルビーの光吸収スペクトル Y帯 U帯 B線 R線
Oh対称におけるCr3+イオンの 田辺・菅野ダイアグラム 結晶場の強さ エネルギー
磁性ガーネット 磁性ガーネット: 3つのカチオンサイト: YIG(Y3Fe5O12)をベースとする鉄酸化物;Y→希土類、Biに置換して物性制御 3つのカチオンサイト: 希土類:12面体位置を占有 鉄Fe3+:4面体位置と8面体位置、反強磁性結合 フェリ磁性体 ガーネットの結晶構造
YIGの光吸収スペクトル 電荷移動型(CT)遷移(強い光吸収)2.5eV 配位子場遷移 (弱い光吸収) 4面体配位:2.03eV 8面体配位:1.77eV,1.37eV,1.26eV
磁性ガーネットの3d52p6電子状態 品川による Jz= J=7/2 3/2 6P (6T2, 6T1g) 5/2 7/2 -7/2 - 6S (6A1, 6A1g) 6P (6T2, 6T1g) without perturbation spin-orbit interaction tetrahedral crystal field (Td) octahedral (Oh) J=7/2 J=5/2 J=3/2 5/2 -3/2 - Jz= 3/2 7/2 5/2 -5/2 -3/2 -7/2 P+ P- 品川による
Faraday rotation (arb. unit) Faraday rotation (deg/cm) YIGの磁気光学スペクトル experiment calculation 300 400 500 600 wavelength (nm) Faraday rotation (arb. unit) -2 +2 Faraday rotation (deg/cm) 0.4 x104 0.8 -0.4 (a) (b) 電荷移動型遷移を多電子系として扱い計算。
多電子状態の基底状態の Zeeman分裂とESR h Sz=1/2 6A2g Sz=3/2 零磁場分裂 H 零磁場分裂ないとき:等間隔に分裂→1本の共鳴線 零磁場分裂あるとき:3本の共鳴線
クラマース2重項 と 非クラマース2重項 Kramersの定理:奇数個の局在電子を含む系(Cr3+、Fe3+、Eu2+など)では結晶場分裂によって完全に縮退が解けることはなく、常にスピン2重項(±1/2のスピンをもつエネルギー状態が縮退している状態)が残る。 、偶数個の電子を含む系(Cr2+、Fe2+、Tb3+など)では、偶然縮退がない限り2重項とはならない。
CuAlS2単結晶における 微量遷移金属イオンの検出 共鳴磁界の角度変化をともなう5本の微細構造をもつ共鳴線:Fe3+(3d5) H//cにのみ現れる異方性のg//=8.15の共鳴線:Cr2+(3d4) 等方的なg=11.95の共鳴線: I族あるいはIII族の関与する真性欠陥? CuAlS2単結晶のESRスペクトル(温度100K)
ESR and IR transition of Fe2+ 5B1 5B2 Ms=±2 Ms= 0 Ms=±1 IR absorption ESR 4d6 ion Hcr(Td) Hcr(D2d) lL・S 4gmBH
Angular dependence of ESR of Fe2+ signal Dependence on angle between [112] and H 90 180 270 360 100 150 200 250 300 Magnetic Field [mT] Angle [deg.] Angular dependence of C-signal
FTIR of A- & B-sample Free carrier absorption ) 1000 2000 3000 4000 5000 10 20 30 40 50 -1 RT Free carrier absorption A-sample B-sample 2+ Fe Absorption coeffcient (cm -1 Wavenumber (cm ) Fig. FT-IR spectra of CuGaSe2 single crystals. Sample (B):Broad absorption band around 3200 cm-1 → similar absorption is found CuInSe2 and assigned to Crystal field absorption of 5E-5T2 transition of Fe2+
おわりに 結晶の電子状態を「理論の問題」として敬遠するのではなく「結晶評価の基本」と捕らえて欲しい。 結晶構造・対称性・周期性 →電子構造→光学的性質に反映 光学的性質→固体の電子構造の情報 →結晶性のよさ、不純物・欠陥の評価 群論の記号や数式の誘導にとらわれず、バンド構造や局在電子状態の意味を理解して欲しい。 この講義が、電子構造アレルギーを取り除く一助になれば幸いである。